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官と民の壁、職種の壁、年齢の壁・・・
私たちの身の回りにある様々な目に見えない「壁」をCross-overし、
多様な「人財たち」がより良い社会の実現に向けて協働するきっかけを創り出す触媒、
それが官民協働ネットワーク Crossoverです。
     

2017年4月22日開催


Crossover主催 教育ダイアログ


みんなで語ろう これからを「生きる力」


- こどもを取り巻く環境から公教育の役割を考える -



報告書



1.全体総括と参加者アンケートの結果

4月22日(土)13:00より、東京医科歯科大学にて、教育ダイアログイベント「みんなで語ろ
う!これからを「生きる力」- こどもを取り巻く環境から公教育の役割を考える -」を開催しました。

当初80名を定員としていましたが、締切一週間前で既に定員に達してしまったため、急遽、
スタッフの体制を強化し、当日は第一部、第二部を合わせて100名を超える方にお越しいただきました。

参加者の顔触れも、Crossoverならではの多様性溢れるものになっており、若きは17歳の高校生から、上は70代の人生の先輩方まで、お越しいただきました。
また、職業を見ると、文科省をはじめとする中央省庁職員、地方自治体職員、学校の先生方、多彩な業種で活躍するビジネス・パーソン、そしてメディアやNPO職員の皆さんや大学生など、参加者の圧倒的に彩り豊かなバックグラウンドに印象付けられました。
さらに、首都圏からだけでなく、青森県、栃木県、大阪府、三重県等からご参加頂いた方々もいらっしゃいました!

本企画は、教員として学校教育の現場で子供たちと、研究者として様々なデータと、そしてNPO活動を通じて子供たちを取り巻く環境と向き合いながら、教育問題に長年取り組んできたCrossoverスタッフである識名由佳と丸山剛が企画リーダーとして他のスタッフを巻き込みながら実現したものです。

当日、両企画リーダーによる「プチ講座」に続くダイアログでは、日常生活や仕事だけをしていたのでは出会うことがなかったであろう多彩な参加者が、スタッフが幾度となく議論し、熟慮の上で提起した3つの発問と向き合いました。

全体の流れは以下のとおりです。

時限 流れ 時間 内容
1時間目 ダイアログその1 60分 「★ これからの時代を「生きる力」を身につけるために、今、あなたが小学生だったら、学校で一番学びたいことはなんですか?」
2時間目 ダイアログその2 50分 「★ 今、こどもたちを取り巻く環境には「“格差”がある」と思いますか?それは、あなたにとって身近で解決しなければならないと感じる課題ですか?」
3時間目 ダイアログその3 55分 「★ おかれた環境に関わらず、こどもたちみんなが、“これからの時代を生きる力”を身につけるために、小中学校はどうあるべきでしょうか? また、私たち一人一人は子供たちとどうかかわるべきでしょうか?」
4時間目 SSM
(Super Speed meeting)
10分 ダイアログその1~3を通じて得た気付き・学びを、参加者同士がペアになり自由に共有するセッション
帰りの会 成果の確認 2分 ダイアログその1~3、そしてSSMを通じて得た最大の気付き、学び、そして出会いを自問し、答えを名札の裏に書き記すセッション
放課後 懇親会 2時間 懇談を通じて、会場に集った多様な参加者同士の交流を深めるためのセッション

1時間目

ダイアログその1では、まず日本の教育を取り巻く様々な課題や現状について、識名、丸山による「プチ講座」により共有しました。
中でも参加者の関心を集めたのは、「40年ギャップ」という考え方です。
これは、今の大人がこれからの教育を考えるとき、①(思考の前提とするであろう)自分が受けた教育は20年前のものであること、②これから教育を受ける子どもが大人になるのは20年後であること、という二つの20年のギャップ、すなわち「40年ギャップ」を念頭に置いて、教育のあり方を考えなければいけない、というものです。
さらに、成績の評価方法、授業時間数などが変わってきていること、進学率や貧困率の最近の傾向など、日本の教育を取り巻く様々な課題や現状について共有しました。

その上で、参加者同士で

★ これからの時代を「生きる力」を身につけるために、今、あなたが小学生だったら、学校で一番学びたいことはなんですか?

をテーマに対話しました。


2時間目

ダイアログその2でも、識名、丸山による「プチ講座」を行いました。
新しい学習指導要領においてもこれまでの教育とは異なった能力や、意欲を育てていくことが重視されているという話が共有されるとともに、所得による進学率、習い事の有無などの違いを示すデータが紹介されました。その上で、参加者同士で

★ 今、こどもたちを取り巻く環境には「“格差”がある」と思いますか?それは、あなたにとって身近で解決しなければならないと感じる課題ですか?

をテーマに対話しました。



3時間目


ダイアログその3では、一旦グループのメンバーを総入れ替えした上で、「プチ講座」により海外の教育環境を紹介するとともに、会場全体で「大空小学校」を紹介するドキュメンタリーを観ました。
大阪市南住吉区にあるごく普通の公立の学校である「大空小学校」は、別な小学校では、様々な事情を抱えて不登校となってしまった子供たちや、「問題児」とされて溶け込むことのできなかった子供たちを含む全ての子供たちが、居場所を見つけ、生き生きと、元気に過ごせるようになる学校として有名です。
「大空小学校」は新指導要領が目指すビジョンを体現する小学校のモデルの一つでもあり、この学校の日常を描いた「みんなの学校」という映画は、全国で自主上映会が開催され続け注目を集めています。

今回のイベントで共有したドキュメンタリーは、映画「みんなの学校」のエッセンスの一部分のみが感じられる、わずか10分ほどの映像でしたが、その後の参加者同士のダイアログに大きな示唆がありました。
そして、これまでのダイアログと大空小学校の映像等を踏まえた上で、

★ おかれた環境に関わらず、こどもたちみんなが、“これからの時代を生きる力”を身につけるために、小中学校はどうあるべきでしょうか?また、私たち一人一人は子供たちとどうかかわるべきでしょうか?

をテーマに参加者同士で対話しました。

これらの対話を通じて、教育という身近だが正解のないテーマについて率直な意見や見識が示され、学びに満ちた時間・空間を参加者全員で創ることが出来ました。
またデータ等に基づく抽象論ではなく、参加者の具体的な経験や試行錯誤に基づく実践的なアイディアが出されたことも収穫でありました。

さらに、今回のダイアログその1~3の対話に当たっては、

・「みんな平等の立場で参加する」

・「人の意見を遮らず最後まで耳を傾ける」

・「できるだけ自分の経験に基づいて話す」

というシンプルなルールを共有するとともに、「話す人は小さな花束をもち、話し終わったら、次に話したそうな顔をしている人に花束をプレゼントする」という工夫をcrossoverとしては初めて取り入れました。
恥ずかしさや戸惑いがあることも予想されていましたが、当日の会場はリラックスした笑顔溢れる雰囲気となり、対話は深く、示唆深いものとなったと、スタッフ一同感じました。


なお、各グループの対話の様子はファシリテーターがまとめたサマリーをご参照ください。


チーム シンボル ファシリテーター リンク
チーム1 えんぴつ 平野 慧
チーム2 チューリップ 池田 洋一郎
チーム3 バスケットボール 丸山 剛
チーム4 コンパス 服部 真子
チーム5 ノート 二宮 聖也
チーム6 パレット 中江 遼太郎
チーム7 消しゴム 川合 淳一
チーム8 バケツ 新関康平

また、参加された皆さんにご記入頂いたアンケートについては、こちらに取りまとめましておりますので、併せてご覧下さい。



アンケート結果


ダイアログ終了後は懇親会、そして場所を近隣の居酒屋に移しての二次会と続き、参加者皆で教育談義に花を咲かせました。
イベントが幕を閉じたのは、開会のあいさつ(13時)の10時間半後!終電間際となっていました。

文責 : 平野 (Crossoverスタッフ)




2.ダイアログ報告

チーム1
えんぴつ
ファシリテーター 平野 慧(所属:Crossover、厚生労働省)
馬見新 真理(所属:Crossover、会社員)
メンバー構成
(ダイアログその1、その2)
○職  業 国家公務員:2名、地方公務員:1名、会社員:2名、大学:1名、NPO:1名、学生:1名
○年齢層 20代:3名、30代:2名、40代:3名、50代:1名
○教育関係者(過去含む) 5名

(ダイアログその3)
○職 業 国家公務員:2名、地方公務員:1名、会社員:3名、大学:1名、、NPO:1名、学生:1名
○年齢層 20代:4名、30代:3名、40代:1名、50代:1名
○教育関係者(過去含む) 5名

主な議論
○「これからの時代を『生きる力』を身につけるために、今、自分が小学生だったら、学校で一番学びたいこと」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-「英語」「他人を巻き込み結果を出す経験」「問題解決力」「情報を受け取る力」「経営的な経験」「コミュニケーションをとる力」など、現代の社会がどうなっているかを前提・背景とした上で、必要になってくる力や能力、経験。
-また、「夢を見つけ、叶える力」「他人に貢献し、感謝される経験(『モテ方』を知る)」といった生きる姿勢に関係するような事項。
-さらに、「お金の稼ぎ方」などの非常に現実的な意見。

○その後、「今、こどもたちを取り巻く環境には、『”格差”がある』と思うか否か、それは自分にとって身近で解決しなければならないと感じる課題か否か」について議論した。
まず、『”格差”がある』と思うか否かについては、「収入によって大学に行けない」「家庭環境によっては義務教育を受けていてもそこから得るものが違ってくる」「教師の質に差がある」など、「格差はある」という意見が多かったものの、その差の程度については、「義務教育が無料であることや努力次第で乗り越えることができる」など「相対的には小さい」という認識が共有された。
次に「それは自分にとって身近で解決しなければならないと感じる課題か否か」について議論したが、その中では、
-「差があることによって競争が生まれたり、マイノリティの経験が強いリーダーシップにつながったりするなど、あってよい格差もある」といった意見
-「そもそも、塾に行けるかどうかよりも、子どもにとっては周りにいる大人が褒めてくれるかどうか、愛を感じられるかどうかの方がよっぽど重要なんじゃないか。」といった意見
が出された。

○最後に、グループ換えをした上で、「小中学校はどうあるべきか。そして自分たち一人一人は子ども達とどのように関わるべきか」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-公教育のありかたとセットで、親からの教育、家庭教育についても考えていく必要があると思う。
-自分が子どもの頃、同級生からいじめられたり、成績が悪ければそれだけで評価されなかったり、自己肯定感を持つことができないことが多かった。成績以外の評価や肯定の仕方を考えていくべきではないか。
-周りの大人が子どもの存在を認め、子どもが愛されていること、大事にされていることを実感できるような環境を作り、子どもが自己肯定感を得られるような世の中にしていくべきではないか。
-そのためには多様な主体を巻き込んでいくことが大事。先生には先生の、親には親の役割があり、それに応じた評価軸ができてしまう。多様な主体が巻き込まれていけば、その分だけ評価軸は多様になり、子どもが評価、肯定されるあり方、子どもにとっての「理想」が増えることになる。
-そのためには、地域の力を生かしていくことも必要。しかし、PTA会長が逮捕されるなど、このような時代なので、何らかの媒体が無いと地域の大人が学校に関わることはできないのではないか。
-たしかに、都心部において学校と関わる方法は思い浮かばない。
-地域のNPOが、地域の大人と学校を仲介する事例がある。先生もたくさんの業務があり、先生に仲介を求めることは困難。こういったNPOを媒体として地域の学校への関わりを促進していくのがよいのではないか。

ファシリテーターの感想
○「これからの公教育はどうあるべきか」をテーマに議論するというときに、その議論は、今後の社会の在り方や世界の動向を踏まえて、IT教育とか、プレゼン力とか、そういったものになると想定していた。実際、ダイアログその1では、そういった力がこれからの子どもたちには必要だという意見が多く、自分もその意見に対して特段の違和感はなかった。
○しかし、ダイアログその2や大空小学校の映像を視聴した後で行われたダイアログその3では、子どもたちにとって一番必要なのは、「子どもたちが愛されていると実感できること」、「成績以外にも多様な軸で評価、肯定されることで、自己肯定感を持てること」であるという意見が多くみられ、これからの社会や世界の在り方に応じた能力等が挙げられるだろうという当初の予想と反して、時代や国・地域を問わない普遍的な要素を重視する議論になっていった。
○このように議論が展開されたのは、参加者の方それぞれが、プチ講座の内容や他の参加者の経験に基づく発言を虚心坦懐に受け止め、自らの経験に照らして子どもにとって真に必要なものは何か、真剣に考えてくださったことによるものだと感じている。

文責 Crossoverスタッフ 平野 慧


チーム2
チューリップ
ファシリテーター 池田洋一郎(所属:Crossoverスタッフ、財務省)
メンバー構成
(ダイアログその1、その2)
○職  業 国家公務員:2名、地方公務員:1名、会社員:1名、NPO:1名、学生:1名、大学職員:1名
○年齢層 20代:4名、30代:1名、40代:1名、50代:1名
○教育関係者(過去含む) 3名

(ダイアログその3)
○職 業 国家公務員:2名、地方公務員:1名、会社員:3名、NPO:1名、学生:1名
○年齢層 20代:3名、30代:3名、40代:2名
○教育関係者(過去含む) 4名

主な議論
○「これからの時代を「生きる力」を身につけるために、今、あなたが小学生だったら、学校で一番学びたいことはなんですか?」をテーマに20分間の対話をした。出された意見は以下のとおり。
- 「人と人とのつながりの大切さを知る力」「人と学びあえる力」:AIやロボット等が大きな役割を果たす社会において、人間にしか果たすことが出来ない、人のメンタル面に対応する仕事に取り組むために必要な力を身につけたい。
-「人生の目的意識を持つ力」:様々な難題と向き合う、あるいは純粋な喜びを感じる機会を楽しみながら、自分の個性、能力を発揮しながら取り組むことが出来るテーマは何かを見つける力を身につけたい。自分の意見を言える場を用意してほしい。
-「本を楽しく読む力」「失敗しても大丈夫と思える力」
-「身の回りにある世界がすべてではないと知る力」
-「学び続けることができる力」:自分が何を知らないかを知り、問を立て、答えを探す手段や人からの意見を効果的に咀嚼を取得し、そして、得られた答えを次の問へとつなげていくプロセスや習慣を習得しておきたい。

○「今、こどもたちを取り巻く環境には「“格差”がある」と思いますか?それは、あなたにとって身近で解決しなければならないと感じる課題ですか?」をテーマに50分間の対話をした。出された意見は以下のとおり。
(「“格差”はあり、それは身近で解決が必要な問題だ」とする意見)
- 大学生の留学支援の仕事をしていると、家庭に経済的余裕があれば海外留学の選択肢を手に出来る一方、そうでない家庭の子どもたちは、能力があってもこれを手にすることが出来ない、という状況を目にする。奨学金を紹介する等、手助けをしているが、それでもなお機会を手に出来ない若者がいる。
- 身の回りに「信頼できる、認めてくれる、心が折れそうなとき応援してくれる大人」がいるか否か、という意味での格差がある。いわゆる「愛情不足」は子供の将来に大きな負の影響を与える。
- お金がすべてではないが、「お金の余裕」は「心の余裕」を生む。またお金は選択肢を生むことから、家庭の経済的格差は子供の学力、学歴の格差につながる。
-「目の前にいる子どもたちを幸福にしたい」と願う一教師として、子供が経済的理由で本来手に出来る選択肢を手に出来ないのは、実にもったいないことと思う。

(上記以外の意見)
- “格差”と呼ぶから何か問題があるように見える。単純に“差”であると考えれば、それは人間社会にあたりまえに存在することであり、それ自体はただの現象。特に公立学校には、色々な“差”のある児童が集まるという意味で社会の縮図であるといえ、それが公立校の良さでもある。
- 自分は母子家庭に生まれて経済的に決して楽ではなかった。しかし「あの子うちは母子家庭だから…」とレッテルを張られるのが悔しくて努力でき一流校に進学できた。だから、所得格差が学力格差を生むとは限らない。
- 何の“格差”と定義するか、どの程度の差なのか、等よって問題か否かが変わってくるので正直よく分からない。
- 「格差」があるとは思わないし、この言葉は使わないほうがよい。「留学に行けない」、「相談できる大人がいない」という「ある水準、状況が満たされていないこと」が原因であるなら、シンプルにそう伝えれば問題解決に向けた対話もスムーズであるはず。「格差」という言葉を使うから、本当に困っている人の助けにならない非生産的な議論が展開されることになる。
- これまでメディア等で紹介されるデータを見て「格差は問題」と思っていたが、「身近で、解決しなければならない問題か?」と問われ、自分事として捉えていない自分を発見してしまった。

○「おかれた環境に関わらず、こどもたちみんなが、“これからの時代を生きる力”を身につけるために、小中学校はどうあるべきでしょうか?また、私たち一人一人は子供たちとどうかかわるべきでしょうか?」をテーマに40分間対話した。出された意見は以下のとおり。
(「これからを生きる力」についての意見)
-「人生の目的意識を持つ力」、「自分にとって何が幸せかを知ることが出来る力」、「自らの生き方を選択できる力」等

(公教育の役割についての意見)
- 自分が小1から小4まで通っていた茨城県内の公立小学校と、小5、小6で通った神奈川県内の公立小学校では、中学受験をはじめ学習への意欲に大きな差があった。振り返って両者共通することは、学習意欲についての保護者や児童間の「同調圧力」が強く、それぞれが主体的に「進学校」進学や「手に職をつけること」を選択しているようには思えなかった。「同調圧力」を生まず、自らの将来を自分で考え選択できる雰囲気を先生だけでつくるのには限界があるのではないか。
-「自分の生き方」を模索でき、「自分で考える力」を身につけるために、公教育からは否定される機会をなくすことが必要。また、大人がやり過ぎず、出来る限り子どもたちが自らやるよう心がける必要。
- 自分の高校では、月に一度、生徒の父親をゲストスピーカーとして招き、仕事の内容や想いを語ってもらう機会があった。こうした機会を設けることで、生徒と保護者、保護者と先生、保護者同士の絆を深めることが出来るのではないか。
- 「学習指導要領」等の制度をつくるだけでは現場は変わらない。地域の力、人の息遣いが社会を変える。こうした観点から現在、過疎地の学校の空き教室を、地域の老若男女が集う場へと変え、児童と地域の人々が自然に交流できる「スクールカフェ構想」を推進している。「スクールカフェ」に年金相談員や子育て相談員を定期的に配置することで、教育-介護-子育て等の悩みにワンストップで応じるとともに、相乗効果を高めることも期待できる。

ファシリテーターの感想
○教育という身近だが正解のないテーマについて、各人の経験に基づく率直な意見や見識が示され、学びの多い時間となった。また机上の空論ではなく、現場で実現できそうな実践的なアイディアが出されたことも収穫だった。


文責 Crossoverスタッフ 池田洋一郎


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チーム3
バスケットボール
ファシリテーター 丸山(所属: 株式会社クリックネット)
メンバー構成
(ダイアログその1、その2)
○職  業 国家公務員:3名、地方公務員:1名、会社員:1名、その他:4名
○教育関係者(過去含む) 5名

(ダイアログその3)
○職  業 国家公務員:1名、地方公務員:1名、会社員:1名、その他:4名
○教育関係者(過去含む) 3名

主な議論
○「今小学生だったら身につけたい力」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-お金について知っておきたい。金融、経済。人、アイディア、モノはお金に集まる。
-移民や国際化に備え、フランス語など英語以外の言語も。バリアを外して異文化への対応する力。
-AIの影響から逃れられない。コミュニケーション&イノベーション力。仕事を奪われる人をどうやって守るか。
-そもそも公教育に期待していない。
-大人と出会いたい。
-スクールカフェのようなものをつくり、地域の人が集まり交流力を磨く。

○「教育格差」や「問題意識」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-格差と差では大きく違う。差はあっていい。
-格差とはそもそも何なのか? 劣等感?
-地域にもよる。ロールモデルがいないのが問題。比較できない面も多い。
-選べる世の中になることが必要。
-評価を変えていかないと、能力は測れない時代に。
-職業に対する偏見があるから、格差が生まれやすい。
-人間であることに価値があるという風潮になればいい。
-差をきちんと認識する必要がある。

○すべての子どもが生きる力を獲得できる「公教育の役割」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-何を学ぶのか、どうして学ぶのかをきちんと伝える
-コミュニティでどう生きるか、サバイバル力を教える
-成功体験をさせる
-挨拶礼儀などを教える
-斜めの関係が大切
-かっこいい大人との出会いを提供
-社会、地域、親が先生をサポート
-競争させることも必要、居場所は家でいい
-親の愛情が足りない子をどうすべきか。そこを考える必要がある。

ファシリテーターの感想
○身につけたい力について、学力や暗記などのテクニックが無かったのが今らしい。
○「自立とは依存先をたくさん持っていること」という湯浅誠氏の言葉を紹介してもらったが、とても印象的だった。
○全体として、競争や受験という話があまり出なかったのが、時代の変化を感じさせてくれた。


文責 Crossoverスタッフ 丸山 剛


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チーム4
コンパス
ファシリテーター 服部 真子(所属:Crossoverスタッフ、NHK World勤務)
メンバー構成
(ダイアログその1、その2)
○職  業 国家公務員:3名、地方公務員:0名、会社員:2.5名、NPO:0.5名、学生:1名
○年齢層 20代:4名、30代:3名
○教育関係者(過去含む) 3名

(ダイアログその3)
○職  業 国家公務員:2名、地方公務員:1名、会社員:3名、NPO:1名、学生:1名
○年齢層 20代:3名、30代:3名、40代:2名
○教育関係者(過去含む) 4名

主な議論
○「これからの時代を「生きる力」を身につけるために、今、あなたが小学生だったら、学校で一番学びたいことはなんですか?」をテーマに20分間の対話をした。出された意見は以下のとおり。
-「自分で考えて自分の意見を発信し、相手の意見をうけとり理解する力。」
  インプットの教育は多くてもアウトプットは中々習わなかった。(公立出身30代)
-「社会にでて必要とされるスキルを見越しての提案を作る力、アイディアを作る力。」 
  社会にでて必要とされる力と学校で習った知識にギャップを感じる。(30代)
-「プログラミングの基礎やメディアリテラシー」今必要な力。(20代)
-「主体性のもち方」自分自身は親から教わった気がする。(20代)
-「答えがない課題に対する想像力」社会では答えがないことの方が多い。(20代)
-「教養」社会に出ての利益に直結しない深い課題に取り組みたい。積極的にアウトプットが必要な教育を受けることができた。(私立出身20代)

○「今、こどもたちを取り巻く環境には「“格差”がある」と思いますか?それは、あなたにとって身近で解決しなければならないと感じる課題ですか?」をテーマに50分間の対話をした。出された意見は以下のとおり。
(「“格差”はあり、それは身近で解決が必要な問題だ」とする意見)
-親の貧困によってそれにとらわれてしまう子がいる。生活設計の仕方を身につけないとそこから抜け出せず、そのための支援が必要である。
- 養護施設の子供は18で施設をでなければならない。その後フリーターになる子が圧倒的に多い。自分で会社を立ち上げた例も見たことがあるが、それは本当に一握り。大きな社会課題の一つだと感じる。
-情報の量は東京と地方では大きな差がある。政府の留学支援の情報なども、東京の方が入って来やすい。
-急に家庭の事情で経済状況が悪化した場合、周りからの支援がなければ、その家庭の子供は困窮する。
(上記以外の意見)
-公立学校では、色々な“差”のある児童が集まっていた。学力が全てという風潮にはしたくない。
-識字率においては格差はない。あるとすれば、大学進学の時の受験料金・授業料金を払えないから諦める子がいることだと思う。
-本人の努力や意欲はどの程度人生に影響を与えるのだろうか。差を均すことを目的にしている人が多いが、一体それは本質的に何をしたいのか疑問に思う。

○「おかれた環境に関わらず、こどもたちみんなが、“これからの時代を生きる力”を身につけるために、小中学校はどうあるべきでしょうか?また、私たち一人一人は子供たちとどうかかわるべきでしょうか?」をテーマに40分間対話した。出された意見は以下のとおり。
(「これからを生きる力」についての意見)
-「自分も人も大切にする力」、「情報をうけとる力」、「世界にでていきたいと思える力」、「いい人生だったなと思える力」、「主体性」等
(公教育の役割についての意見)
-社会に開かれた学校をつくる。より民間の人が出入りできるような。(殺人・誘拐事件を防ぐ仕組みもとても重要ではあるが)
-自分の居場所だと思える学校。自分は大切な存在だと思える学校。
-成功体験をたくさんつめる学校。

ファシリテーターの感想
○世の中の「差」をなくすことを、仕事や活動の目的においている方々に出会い、いったいそれはどういう世界なのか、どの程度「差」がなくなればいいのか。多様性が叫ばれる社会において、何を人類は目指すのか興味深く感じた。


文責 Crossoverスタッフ 服部 真子(ちょり)


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チーム5
ノート
ファシリテーター 二宮 聖也(所属:Crossover、農林水産省)
メンバー構成
(ダイアログその1、その2)
○職  業 国家公務員:2名、会社員:4名、大学関係1名、学生1名
○年齢層 20代:4名、30代:3名、40代:1名
○教育関係者(過去含む) 4名

(ダイアログその3)
○職  業 国家公務員:2名、会社員:4名、教師1名、学生1名
○年齢層 20代:3名、30代:2名、40代:1名、60代以上:2名
○教育関係者(過去含む) 2名

主な議論
【ダイアログその1:今、あなたが小学生だったら、小学校で何を一番学びたいですか? ?「これからの時代を生きる力」を身につけるために~】
・社会との関わり方、解を出す力、成功体験、実験、理数系のトレーニング、かぶりついて学ぶ姿勢、物事の背景に心を馳せる力、感じる力など。
・不確実な未来に対し、普遍的に求められる力として、「自分で調べる力」「自分で問う力(Why)」など。
・世界が広いことを知れば、いじめへの悩みも減るのではないか。学校という子どもの社会で小さな成功体験を見つけること(勉強、足が速い)が自信と成長の糧になる。一方で、「目立つ」という意味で日の目が当たりにくい能力(絵が上手い、芸術の才能など)もあり、家庭や学校でもそのような能力を見つけ、褒め、伸ばしていくことの重要性も指摘された。
・英語やITスキルなどの「知識」や「ハードスキル」は、その時代や社会情勢に応じて求められるものが変わりうる。だからこそ、生きる力を考える重要性が再認識された。

【ダイアログその2:今、こどもたちを取り巻く環境には、「〝格差”がある」と思いますか?それは、あなたにとって身近で、解決しなければならないと感じる課題ですか?】
・子どもの教育機会は経済・教育面で家庭の影響を大きく受け、その後の子どもの人生にも続いていく「社会的相続」が存在。両親が公務員で、公務員宿舎に住んでいた子どもたちは、同じ学校の他の子どもたちと比較して、進学や就職先に恵まれていた。家庭環境による「差」は事実であるが、「差」によって「機会の多さ」が変わることが格差の原因となる。
・そもそも「格差」という言葉のベースにある価値観に向き合うことが必要。人生に正解はない。地元非行を働いていた友人たちが高校卒業後に就職して地元で幸せで暮らすことは格差ではない。また、地域性や文化によって、教育・人生に対する価値観の違いがある。誰もが自分の生活を肯定するし、精一杯生きている。
・生活保護や無償の義務教育など、制度上、社会は平等。また、無料オンライン教育サービスなど、機会は開かれている。しかし、制度で越えられない壁がある。なぜなら、そこに「アクセス」できないから。金銭的・精神的余裕、情報、人脈がないから。
・だとすれば、教育格差の原因の一つは「情報格差」。社会の制度や機会に「アクセスする力、見つける力、つながる力」が必要。これらの力が、上流階級の一部の人間の特権となり、階級間の移動が容易でないのであれば、格差は自己責任論で解決できない。
・一方で、資本主義における成長と分配の公平性という構造上の課題、社会のセーフティネット(職業訓練、失敗の許容)、成果主義によるプロセスや努力の軽視等の評価制度のあり方など、包括的に取り組むことが重要。

【ダイアログその3:こどもたち"みんな"が、おかれた環境にかかわらず「これからの時代を生きる力」を身につけるために、小中学校はどうあるべきでしょうか?また、私たち一人一人は子ども達とどう関わるべきでしょうか?】
・やってはいけないことを学ぶこと、違いを受け入れること、現場の先生への自由度を与えること、子ども・先生にルールを押し付けないこと、多様性と適応力を学ぶ環境などが挙げられた。
・「学校のあり方」について議論するなか、小学校の教師をしている参加者から、「教育は学校だけが担っているのか?大人や保護者は教育を他人事化していないか?本来、家庭環境が子どもの教育や成長に与える影響が大きいのに、大人が子どもの見本になっていないのではいか?」と問題提起があった。学校で教えられているルール(挨拶、マナーなど)を大人は現実社会で守っているか。大人の言う「べき論」やキレイゴトは、教育を他人事化した議論。
・教育現場で起こっているのは、「教育を他人事化する保護者」への対策として「子どもたちに差や優劣を感じさせないように平等に扱わなければならない」ことが多い。意識の高い大人がきれい事を言えば言うほど、教育現場は疲弊する。一人一人が教育を自分事化しなければ、何も変わらない。
・上記を踏まえ、「私たち一人一人が明日から何をできるか」の決意を新たにした。よい聴き手になる、人としての倫理やマナーともう一度向き合う、シルバー人材として社会に関わる、子どもや社会から信頼され、見本となるような大人になる、やり抜く力を身につけるなどが挙げられた。

ファシリテーターの感想
○個人の経験を振り返り、多様な意見をテーブルに載せて共有するにあたり、ダイアログ方式を採用することで参加者の緊張感を解し、終始和やかな空気で対話ができた。
○誰もが何かしらの格差や機会の不平等が存在すると感じていた。しかし、それが身近に解決するべき課題か、という問いに対しては明確な解はでなかった。「教育格差」という事実の是非よりは、格差の種類・程度・原因を多様な視点から捉え、より根本的な課題とそれを乗り越えるために身につけるべき力を議論したことは有意義であった。
○社会や学校に解決策を求める他人事化の姿勢でなく、「教育の自分事化」を意識し、一人一人ができるこwとを考える議論ができた。一方で、問題意識を行動に移すためのきっかけや最初の一歩を踏み出すヒントが欲しいという声もあり、対話の向こう側にある協働を見据えた企画を求める声もあった。


文責 Crossoverスタッフ 二宮 聖也


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チーム6
パレット
ファシリテーター 中江 遼太郎(所属:Crossover、公務員)
メンバー構成
(ダイアログその1、その2)
○職  業 国家公務員:2名、地方公務員:1名、会社員:3名、団体職員:1名
○教育関係者(過去含む) 4名

(ダイアログその3)
○職  業 国家公務員:2名、地方公務員:1名、会社員:4名、学生:1名
○教育関係者(過去含む) 5名

主な議論
○「これからの時代を『生きる力』を身につけるために、今、自分が小学生だったら、学校で一番学びたいこと」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-モチベーションをもって何かをやり抜く力。
-学校での勉強は「答えのある勉強」ばかり。色んな考え方(説)があるということが学べるとよい。
-創る力を学びたい。

○その後、「今、こどもたちを取り巻く環境には、『”格差”がある』と思うか否か、それは自分にとって身近で解決しなければならないと感じる課題か否か」について議論した。「“格差”がある」と思うか否かについては、
-「地域の違い」はあるが、それぞれの地域でそれぞれよいところがあり、格差というべきではないのではないか(※ここでいう地域は都会と地方等、大きな観点)。
-ミクロに見れば、学区によって、親の職業や地域の雰囲気が異なり、結果として格差が生まれている。
というふうに、どのような違いに注目するかで、それを「格差」と表現すべきかどうか変わってくるという認識を共有することが出来た。そのため、違いがあること自体が問題という訳ではなく(「なんでも教えてくれる・与えられることが当たり前だと思ってはいけない」)、コミュニケーション能力等の基礎的な力をみんなが身につけられることや何をしたいのか、子どもたちが考える機会を与えることが重要という考えが示された。

○最後に、グループ換えをした上で、「小中学校はどうあるべきか。そして自分たち一人一人は子ども達とどのように関わるべきか」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-小中学校は、やりたいことをみつける場であるべき。将来どんなことができるのかを見せたり、やりたいことがあった時に大人が伴走してくれたりする場であるとよい。
-小中学校は、もう少しマイノリティ経験が出来る場であるべき。大空小学校の映像を見たが、支援が必要な子どもに対しても、腫れ物のように扱うのではなく、叱ったりしてもよいということを先生が他の子どもに見せている点がよかった。
-子どもと関わる機会が少なく、どう関わっていくのがよいかという点は難しい。
-子どもだけではなく、地域単位の関わりに参加するとか、あるいは、甥っ子などに話をしてみるとか。斜めの関係の大人の言うことだと、単に親・教師に言われるより、子どもにきっかけを与えられる可能性もある。

ファシリテーターの感想
○教育をテーマに議論をしたが、ダイアログ形式で、議論をするメンバーの経験を踏まえて話すことで、どういった視点からどういう意見があるのか、否定し合わずに議論することができた。
○教育は身近で意見が言いやすいテーマで、クロスオーバー以外でも、議論を聞く機会は多い。他方、一旦社会に出ると、教育業界以外の人に「自分事」するのが難しいテーマと感じて、個人的にはこれまでは議論を避けてきたテーマだった。
○その点、今回のダイアログでは、参加していただいた方と、最後に「自分たち一人一人は子ども達とどのように関わるべきか」しっかり議論できたのが、大きな収穫だった。参加者のみなさま、ありがとうございました。


文責 Crossoverスタッフ 中江 遼太郎


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チーム7
消しゴム
ファシリテーター  川合 淳一 (所属:Crossover、株式会社ブレンドシステムズ)
西村 公典 (所属:Crossover、にしむら治療院))
メンバー構成
(ダイアログその1、その2)
○職  業 公務員:1名、会社員:1名、自営業:3名、学生:2名、その他:2名
○教育関係者(過去含む) 4名

(ダイアログその3)
○職  業 公務員:2名、 会社員:2名、団体職員:1名、自営業:2名、学生:1名
○教育関係者(過去含む) 5名

主な議論
Q1: 今、あなたが小学生だったら、小学校で何を一番学びたいですか? ~「これからの時代を生きる力」を身につけるために~について対話した。これについて出された意見は以下のとおり。
・読み書き算盤と同様に、相手を尊重し協力できる力も必要
・シンガポールでは、海外に出て学ぶことで たくましく帰ってくる。そのような経験
・学ぶことが楽しいと思える体験で、学ぶ意欲

Q2: 今、こどもたちを取り巻く環境には、「〝格差”がある」と思いますか?それは、あなたにとって身近で、解決しなければならないと感じる課題ですか?について対話した。これについて出された意見は以下のとおり。
<ある、とした意見>
・貧困で自尊心が欠如している。学習指導を受けている人に自信がない。
・格差は必ず存在するが“環境格差”よりも“情報格差”が問題で解決が必要
・裕福な人が有利な状況は変わらない。親は選べない。是正が必要
<ない、とした意見>
・日本には絶対的貧困はない。男女の機会均等のような、是正すべきものではない
・社会には強い人から弱い人への順位付けがある。我が子には底辺にいてほしくない。
・昔は能力差でいじめはなかった。差はあって当たり前
<総論>
・若年時の格差が生涯の格差であってはならない。再チャレンジできなければならない。
・「格差」の定義、程度、範囲、といった切り口によって解消すべきか異なってくる
・学習意欲や基礎s学力で、チャレンジの土壤に乗れないのは解消しなければならない

Q3:こどもたち"みんな"が、おかれた環境にかかわらず「これからの時代を生きる力」を身につけるために、小中学校はどうあるべきでしょうか?について対話
した。これについて出された意見は以下のとおり。
・生きる力とは、他の人を尊敬して認めることだが、資本市場では生産性で判断されがち
・学校に通えない「不登校」の状態で通える場が県に一つくらいは必要
・職場や地域で学校を助ける、といった形は馴染まないのではないか

ファシリテーターの感想
多様なバックグランドを持ちながら、互いを尊重して率直に話せる場を目指していたが、参加者の良識のおかげで概ね達成できたと思う。
教育については正論を語りやすく、安易な結論に陥りやすいため、格差問題ではあえて自身の本音・本質を突き詰められるような時間を心がけた。どのような環境で育ち、教育を受けてきたか、今どのように関わっているか、といった個人の尊厳・自己承認に密接に関わるため、言葉は慎重に選び、相手の立場を考慮しなければならないと感じた。その姿勢で、参加者の価値観や生い立ちについて聞けたことがとても良かった。
学校教育がどうあるべきかについては、参加者に、過疎地の学校や障害者福祉、不登校といった多様な取り組みをしている人がいたため、良い意味で視野が広がり一概に言えない結果となった。これまでの議論で十分に自分ごととして捉えていただいたためか、 難しく考える場になってしまったので、 より感情的な部分を共有できれば、さらに良かった。
学校教育は大切な一方で、何度でも学び直して再チャレンジし、それが評価されるようになったら良いなと、強く感じた。自分でも何か取り組んでいきたいと思う。


文責 Crossoverスタッフ 川合 淳一


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チーム8
バケツ
ファシリテーター 新関康平(所属:なし(流離人))
メンバー構成
(ダイアログその1、その2)
○職  業 会社社員:4名、小学校勤務:1名、団体職員:1名
○教育関係者(過去含む) 2名

(ダイアログその3)
○職 業 会社員:4名、学生:1名、団体職員:1名
○教育関係者(過去含む) 1名

主な議論
○「これからの時代を「生きる力」を身につけるために、今、あなたが小学生だったら、学校で一番学びたいことはなんですか?」をテーマに20分間の対話をした。出された意見は以下のとおり。
-「自分で必要な情報を探し、自ら取りに行く力」
-「コミュニティを学校以外に見つけ、あらゆる者と関わる力」
-「思考力」
-「英語等を用いたコミュニケーション力」
-「自発的に行動し社会を変える力」
-「他者と討論を通じて、意見を交わす力」
-「心理学的知見に基づいた他者理解力」
-「手に職を付ける」
-「物事を正確に記憶する力」
-「一つの物事に集中して取り組む力」
-「性に関する事項の知識の習得(恋愛学等)」
-「無人島で一人となったときでも行く抜くことができるサバイバル力」
-「戦時中、相手から攻撃を受けた際に防衛或いは相手を打ち負かせる力」
-「そもそも、起業して金を稼ぐ力を習得していれば、小学校は不要」

○「今、こどもたちを取り巻く環境には「“格差”がある」と思いますか?それは、あなたにとって身近で解決しなければならないと感じる課題ですか?」をテーマに50分間の対話をした。出された意見は以下のとおり。
(「“格差”はあり、それは身近で解決が必要な問題だ」とする意見)
- 小学校で勤務をしていると、親の所得が多くなればなるほど、学力が高い子供であることを痛感する。親の経済格差が学力格差を生んでいることは問題であり、いわゆる底辺層に対して、行動規範や知能の習得を社会全体でサポートすることが必要。ただし、それに対して、学校がどれほど介入できるかについては議論を要する。
- 小学校を対象にプログラミング教育の導入を支援する事業を行う身として、地域間の情報格差・先生の意識における格差を感じている。特に、地方の小学校の先生は、社会の動きに疎く、プログラミングの重要性を唱えても、全く理解されない。一方で、都市部の先生は勉強熱心である方が多く、将来を見据えて子供たちにどのような教育を提供すべきかを真剣に考えている。自分で仕事を創り出していかないと淘汰される時代を生きてゆく子供たちに新たな教育コンテンツを何とかして届けたい。
- 親の意識によって、大学に進学するか、高校までの進学で良いとするかが決定されている。身の回りで高卒で働いている人は、高卒であることを後悔している者が目立っており、再チャレンジできる機会を保障する必要があると感じている。
- 親の意識の格差や地域間格差の解消は困難であるが、教師によって子供たちに与える影響や提供する知識、知恵の質に格差があることについては是正することが必要。
- 能力、やる気はあるが、経済的理由で大学に進学できない人が増えている印象がある。日本の知の衰退を防ぐため、大学を無償化する方向に舵を切って良いのではないだろうか。
(上記以外の意見)
- 日本では、高校或いは大学卒業後に職業をどうするか、家庭をどのように築いていくかについて全く学校が教えない。それらの部分をどれだけ詳しく教えてもらえるかは親の意識や知見に左右されている。結果的に、子供の人生に対するモチベーションも親の意識や知見に左右されることになる。
- そもそも、公教育の目的が、各セクター(文科省、現場の教師、親等)によって、コンセンサスが取れていないため、誰が何をすればよいかについてのアイディアに齟齬が生じるのではないだろうか。
- 「格差」がある物事を変える必要は無く、一つの物差でしかを評価しない教育方針や学校に行く以外の人生の選択肢が少ないことを変える必要があると思う。
- 学校が何らかの思想を無理やり学生に植え付ける教育は即刻廃止すべきである。なぜその思想が社会で生きる際に必要なのかを論理的に説明できる先生がいない。

○「おかれた環境に関わらず、こどもたちみんなが、“これからの時代を生きる力”を身につけるために、小中学校はどうあるべきでしょうか?また、私たち一人一人は子供たちとどうかかわるべきでしょうか?」をテーマに40分間対話した。出された意見は以下のとおり。
(公教育の役割についての意見)
- 地方から東京に出てきて思うことは、東京で出逢う人の価値観等が均質化されていることである。大空小学校に関するドキュメンタリーを見て、とある友人が偏差値65以上だけの人々に囲まれて生活したいと言っていたことを思い出した。中学校まで色んな家庭環境の人に囲まれ、高校では俗にいう優秀な人に囲まれていた自分が仮に大空小学校の生徒だとしたら、とある目立つ者に対しても気遣う必要が生じてくるため、面倒な思いをしそうだと感じた。
- 人生で著しく偏差値が低い人と出会ったことがない私は、学力格差がある公教育が人生において必要かどうかの答えは出せない。確かに、自分と同じような偏差値の人は、自分と同様の価値観や視点をもっているため、コミュニケーションを取る際に、摩擦は少ないため、楽をしているとも捉えられる。
- これからの公教育の役割は、ドイツの教育制度のようにそれぞれの生徒に適切な進路選択ができるように先生があらゆる選択肢を示して、生徒の目指す方向に導いてあげることが重要だと思う。
- なるべく早いうちに海外での生活を経験させ、日本の常識に囚われずに広い視野で物事を考えさせることが重要となってくる。
- そもそも、ルールは何のためにあるのか、障害をもつ人とどのように接するのが望ましいか等、「そもそも」論を考えることを公教育で実施するべき。

ファシリテーターの感想
○ダイアログという形式で、各人が忌憚なく自分の主張したいことを主張できていたので、進行がスムーズに行えた。
〇各人が「公教育」に対してあるべき姿や確固たる意見を持っていたため、教育というテーマにおける切口の多様性を感じた。


文責 Crossoverスタッフ 新関 康平


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