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官と民の壁、職種の壁、年齢の壁・・・
私たちの身の回りにある様々な目に見えない「壁」をCross-overし、
多様な「人財たち」がより良い社会の実現に向けて協働するきっかけを創り出す触媒、
それが官民協働ネットワーク Crossoverです。
     

2016年12月18日開催


Crossover主催 異業種ディスカッション大会


みんなで考えよう!日本の農業

〜何を守り、変えていくべきか〜



報告書



1.全体総括と参加者アンケートの結果

今回の企画は、「みんなで考えよう!日本の農業 〜何を守り、変えていくべきか〜 」というテーマで行いました。

今回のディスカッション大会がこのテーマに至った背景には、「農業はいったい誰のものなのか?」という問題意識がありました。
世の中の農業に関する議論の多くが「農業政策」や「農家保護」といった視点で行われており、農業に携わる一部の人たちだけで農業のことを議論していないか?「消費者」の視点が抜けて落ちているのではないか?そのような想いから、多くの方に農業を自分ごと化してもらい、そして「みんなで」日本の農業について議論することを目的に本ディスカッション大会を開催しました。

今回の「異業種ディスカッション大会」には、年末の忙しい時期にも関わらず、約70名の方々から申込みを頂き、当日、62名の方に実際に参加頂きました。参加者の職業は農業関係者のみならず、教員、国家公務員、地方公務員、会社員、会社経営者、政治家秘書など多様な分野からお集まりいただきました。

そして、今回の「異業種ディスカッション大会」は、この企画のリーダーであり、また、普段は農林水産省の職員であるCrossoverスタッフの二宮聖也(通称にの)のプレゼンテーションで幕を開けました。

冒頭のプレゼンテーションでは、ディスカッションを通じて得られる「気づき」のきっかけとなるよう、特に以下の2点について問題提起がされました。

① 農業は、消費者、農家、そして社会や地域のために存在する「みんなのもの」。だからこそ、農業がどうあるべきかについては、みんなで考える必要があること。
② 農業を考える視点には「合理性だけでは測れない多様な視点がある」こと。 産業としての合理化や競争化は当然必要であるが、農業について考えるということは、農業を取り巻く農村の暮らしや非農家を含む社会への影響、私たち日本人を作り上げた歴史・伝統・文化について考えること。

これらの点を、二宮が農林水産省で勤務し始めた頃の問題意識や、2年間の山形県の農村勤務、米国の留学経験を経た問題意識の変遷を通じて説明した上で、議論の前提となる日本の農業の現状について共有を行いました。

農林水産省入省直後の二宮は、農業に競争原理を導入することで、日本の農業を合理的で競争力の高い産業にしたいと考えていました。しかしながら、その後の農村での勤務を経て、農業には合理性では測れない多様な価値が存在することに気づきました。過度な効率重視の政策によって、日本の農家の約7割を占める兼業農家が市場から退出することになれば、それは農村の文化・伝統や暮らしの担い手を退出させることと同じであり、必ずしも地域の農業と農業を取り巻く農村が良くなるとは限らないという気づきを得たそうです。

また、海外留学を通じてアメリカやヨーロッパと日本の農業の違いを実感し、農業には各国の風土や歴史に根付いた発展の仕方があり、各国・各地域の違いをお互いが認識したうえで、各々の農業のあり方について考えなければならない、ということが説明されました。

そして、農業が営まれ続けることによって国土保全等の価値が社会に提供され、また日本人のアイデンティティの原点とも言える場を農村が提供しているとすれば、「農業」は農家だけのものでも、農業政策の観点のみから考えればよいものでもなく、私たち消費者を含めた「みんな」で考えなければならないものだ、という考えに至り、そしてその問題意識は、このディスカッション大会の開催へとつながっていきます。

この他、
・日本の農業を取り巻く現状と課題
・歴史的・地理的な違いに基づく日本と欧米諸国の農業形態及び農業保護政策の違い
・JA改革やTPPなどの農業に関するホットトピックについての簡単な解説
等を紹介した上で、参加者同士のディスカッションへと移っていきました。

流れ 時間 内容
Crossoverスタッフ二宮からの
プレゼンテーション
60分 日本の農業の現状、二宮の問題意識の変遷、農業に関するホットトピック(JA改革・TPP)についての簡単な解説
第一セッション

50分 「日本の米農業の何を守り、何を変えていくべきか」をテーマに参加者同士で議論
第二セッション

55分 「国産の食材に拘るか?食料自給率の低下は問題か?」をテーマに参加者同士で議論
SSM
(Super Speed meeting)
10分 第一、第二セッションを通じて得た気付き・学びを、参加者同士で共有するためのセッション
成果の確認

2分 第一、二セッション、そしてSSMを通じて得た最大の気付き、学び、そして出会いを自問し、答えを名札の裏に書き記すセッション
懇親会

2時間 懇談を通じて、会場に集った多様な参加者同士の交流を深めるためのセッション

第一セッションでは、「日本の米農業の何を守り、何を変えていくべきか」をテーマに参加者同士で議論を行いました。まず、このディスカッション大会のテーマである「みんなで考えよう!日本の農業」の「みんな」とは具体的に誰なのか、参加者同士で洗い出しの作業を行いました。その上で、それぞれの主体にとって望ましい米農業のあり方を話し合い、そのために何を変え、何を守るべきかについて議論を行いました。

第二セッションでは、「国産の食材に拘るか?食料自給率の低下は問題か?」をテーマに議論を行いました。今回、参加申し込みに当たって、「国産の食材に拘るか否か」、「食料自給率の低下は問題と思うか否か」のアンケートに回答いただいていました。それぞれの問について、参加者同士で立場と理由を最初に共有していただいた上で、

・参加者同士で立場に違いがあった場合は、その違いは何故生まれたのか、どのようにして埋めるべきなのか
・二つの問に対する答えの間にギャップがあった場合(例:国産にはこだわる一方で食糧自給率の低下は問題と思わない)、そのギャップは何故生まれたのか、どのようにして埋めるべきなのか

について参加者同士で議論を行いました。




なお、各グループの議論の詳細はファシリテーターがまとめたサマリーをご参照ください。

チーム シンボル ファシリテーター リンク
チーム1 インゲン 池田 洋一郎
チーム2 ニンジン 斎川 貴代
チーム3 サクランボ 斉藤 あおい
チーム4 シイタケ 上杉 泰樹、宮野 玲
チーム5 ゴボウ 新関 康平
チーム6 レンコン 服部 真子、馬見新 真理
チーム7 バナナ 平野 慧、川合 淳一
チーム8 ハクサイ 識名 由佳
チーム9 牛乳 田中 健一


また、参加された皆さんにご記入頂いたアンケートについては、こちらに取りまとめましておりますので、併せてご覧下さい。



アンケート結果


グループディスカッションに続くSSM(Super Speed Meeting)では、参加者全員に席を立っていただき、まだ話したことが無い人とペアになって、「今日一番の気づきと学び」を5分間で共有しました。多くの参加者が、農業に従事した経験や強い関心が無かったにもかかわらず、参加者の間で沢山の気づきが共有され、会場は大盛り上がりでした。

ここまでの締めくくりに、「議論やSSMを通じて得た最大の気付き、学び、出会い」について静かに自問し、それぞれの答えを名札の裏側に書き込みました。

会の冒頭で名札の上半分に書き刻んだ「目的意識」と、会の終わりに下半分に記した「成果」は、参加者一人ひとりの日常を変える、小さくとも確かなヒントとして、参加者の皆様に持ち帰って頂きました。

約50名が参加した懇親会では、群馬県の採れたての野菜を巡るじゃんけん大会が開催されたり、お寿司やおにぎり、各地方厳選の酒や農林水産物を皆で味わったりするなど、農業をテーマにしたディスカッション大会にふさわしい懇親会となりました。

懇親会終了後も、会場を近隣の居酒屋に移して懇親は続き、約10時間にわたる「異業種ディスカッション大会」をともに盛り上げてくださった参加者の皆様に、心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました!

文責 : 平野(Crossoverスタッフ)




2.ディスカッション報告

チーム1
インゲン
ファシリテーター  池田洋一郎(所属:Crossoverスタッフ、財務省職員)
【第一セッション:日本の米農業の何を守り、何を変えていくべきか】

メンバー構成
○職 業 国家公務員:2名、会社員:3名、税理士:1名、農業従事者:1名
○年齢層 20代:2名、30代:3名、40代:2名

議論の概要
○ 最初に、日本の米農業を取り巻くステークホルダーをチームメンバーそれぞれの立場も踏まえて列挙。次にチームを3つのグループに分け、上記ステークホルダーそれぞれが何を求め、何を求めていないかを議論。出されたアイディアは以下の通り。

ステークホルダー 求めていること
兼業農家(大半が零細農家) 農地の継承、所得の安定的な増加、激変のない外部環境、住民参加型の農業(CSA)の普及
農業に従事者以外の農村住民 住民参加型の農業(CSA)への参加
農家の所得向上による地域経済の活性化
意識の高い消費者(自らの健康や米作のあり方に問題意識を持つ) 健康で文化的な生活を維持するに十分な質と量の米供給
意識の低い消費者(外食が中心で米作についても特に意見を持たない) 米の供給量、品質、価格の面で、安心して無関心を続けることのできる状況
メディア(大手新聞社等)

読者の関心を引く「対立」や「新たな動き」
選挙区に農業従事者を抱える政治家

継続的な当選とこれを可能にする得票
農機具メーカー 利益確保と顧客満足(米作だけに頼らない商品の多角化、利用者ニーズに応える商品開発(自動運転化、化石燃料に頼らない機器の開発等))
地域農協

安定的な販路の確保、農家の所得向上
生産性向上等を支援するシステムを開発するエンジニア 農業の全自動化、無人化の実現
(歴史・文化を共有する運命共同体の一員としての)国民 日本人としての「舌」と「心」とを満足させる日本米の安全且つ安定的な供給

○ 上記を踏まえて、ステークホルダーがwin-winとなるために、米農業の何を守り、何を変えていくべきかを議論。メンバーから出された主な意見は以下の通り。
-多くのステークホルダーが「安定(現状維持)」を求めている。米をはじめ農業は新しいことを試し失敗すれば、その年の所得が丸ごと失われるというリスクと背中合わせであることから、本質的に保守的な姿勢となるのは無理がない。

-地域農協の組合員は農業従事者であるため、農協と農家の利害が相反することはないのではないか。
-「意識の低い消費者」は、現状に満足しているからこそ無関心なのであり、仮に価格等の安定供給が崩れれば、「意識の高い消費者」へと変化する可能性がある。
-「意識の高い消費者」は、公共心・利他心から米農業のありように問題意識を持っている訳では必ずしもなく、健康的な食生活を維持したいと願い行動しているに過ぎないのではないか。その意味でも「意識の低い消費者」と「意識の高い消費者」とを隔てる壁は薄いのではないか。
-米農家の零細化や高齢化を踏まえると「安定(現状維持)」が困難となる可能性。この問題を解決する上で、技術革新による生産性向上や物流網の効率化に貢献できるシステムエンジニア、起業家等の新しいステークホルダーの巻き込みが重要。
-マスメディアだけで無く、規模は小さくとも現場の新たな動きをキャッチし発信出来るalternative mediaの果たす役割も重要。


【第二セッション:国産の食材に拘るか?食料自給率の低下は問題か?】

メンバー構成
○職 業 国家公務員:1名、地方公務員:2名、会社員:1名、学生:2名、農業従事者:1名
○年齢層 20代:2名、30代:3名、40代:2名

議論の概要
○ 冒頭「一消費者として、日常的な買い物や外食の場で国産の食料品に拘るか否か」を理由と併せて一人ひとりがグループ全体と共有。主な意見は以下の通り。

(拘る理由)
―国産品のほうが作物の出自が明らかであり安心感がある。
―同じ食材であれば遠く外国から輸入されたものよりも近場の国内で生産されたものを消費したほうが、輸送時に発生するCO2削減や化石燃料消費の節約にも繋がる。
―消費者が国産に拘らなければ、農作物の国内生産を動機付けることはできず、結果として安定的な食糧供給が損なわれる惧れがある。

(拘らない理由)
―拘っても知識が無いので安全や品質について確認できない。
―日々の消費行動でそこまで拘る時間的・精神的余裕が無い。
―国産に拘っていては、豊富な食材を楽しむことが出来ない。
―輸入品であっても検疫等を通過しているため国産品と比して安全性に劣るとみなす必要はない。
○ 興味深い事に「国産に拘らない」と回答したメンバーの多くは「車であれば国産に拘る」と回答。理由は、安全・価格・性能面での日本車の競争力が高く選択肢も幅広いこと、食材と比べて日々購入するものではないことから、じっくりと性能等を見極める時間を確保できる等の理由が挙げられた。
○ 続いて「食料自給率の低下は問題か」をグループ全体で議論。主な意見は以下の通り。
(問題であるとする意見)
―既に主要国と比較して低い水準にあることから、これ以上の低下は問題。
―戦争や自然災害等により突然海外からの供給が途絶えるリスクに備えるべき。
―「日本国民の胃袋は日本の農家が満たす」との農家の矜持に応えるべき。
―農地や農業技術は一度劣化・喪失すると簡単に取り戻すことはできないから、これ以上の自給率低下は問題。
―農地は食糧供給以外にも、防災や景観保持等、多面的な機能を担っている。農業と農村を一体として考えるべき。

(問題ではないとする意見)
―戦争等で食糧供給が途絶える時にはエネルギーの輸入も止まっているはず。こうした事態は無論問題だが、食料の自前調達で対処すべき話ではなく、他国からの安定供給が持続する国際政治・経済環境をつくることにリソースを注ぐべき。
―日本の天災発生のリスクは世界でも相当高いことから、国内生産に拘れば、むしろ安定供給を損なう可能性すらある。調達先の多様化が重要。
―食料自給率低下への警鐘は、既存の農業や農政を変えないことの言い訳に使われている印象。これにより日本の農業がジリ貧の一途を辿るほうがむしろ問題。
○ 以上を踏まえ、これからの日本の農業のあるべき姿について、各メンバーがセッション1のグループで特に印象に残った意見を紹介しながら議論。


ファシリテーターの感想

○農業に関する経験値、問題意識、及び考え方も様々なメンバーでの議論であったが、「現状では立ち行かなくなるので何かを変えなければならない」と考えている一方「安定的供給を損なう訳にはいかない」という点においては一致しているよう見えた。「変化」と「安定」のジレンマの中での新しいバランスを見つけ出すうえで、システムエンジニアや起業家等の新しいステークホルダーに光が当たったことも興味深かった。
○田舎の農家では、農協職員が高齢の農家に代わって預金通帳を預かりお金の引き下ろしまで担っているということ、農機具については、「他も買っているから私も」という動機で購入されている例も多いといった現場ならではのストーリーを聞くことが出来たことも印象的であった。

文責 Crossoverスタッフ 池田洋一郎


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チーム2
ニンジン・カカロット
ファシリテーター 斎川貴代(所属:Crossoverスタッフ、IT企業勤務)
【第一セッション:日本の米農業の何を守り、何を変えていくべきか】

メンバー構成
○職 業 地方公務員:1名、会社員:4名、自営業:1名、学生:2名
○年齢層 20代:4名、30代:4名

主な議論
○はじめに、日本の米農業を取り巻くステークホルダーを挙げ、次にそのステークホルダーにとって望ましい米農業は何かのアイディアを出し、議論を進めた。出てきたアイデアは以下の通り。

ステークホルダー 求めていること
行政機関(農水省、外務省、地方自治体等) 食料自給率をあげること。農業従事者が多いこと。
銀行、VC(ベンチャーキャピタル)

農業の発展
農家 後継者がいて農業が続けられること。安定したルールがある。生産者の生活を守ること(安定した収入があること等)。参入障壁を 高くすること。農業の効率を上げること。災害時の補償
農機具業者

質の高い製品、農機具が売れること。農業が発展すること。
農地保有者

農業の継続
土、種苗業者、肥料、農薬メーカー

高く売れる、低コストで生産、販売ルート
JA

販路
加工業者 信頼できる生産者、品質がよく価格の安いものを仕入れること、用途にあった品種、農作 物の安定供給
流通業者(飲食店、コンビニ等)

安定した販路
消費者

安心安全、安さ、美味しさ。いつでも食べれる。
地域住民 農業を通じて豊かな生活(精神的な、風景含め)、農業がきっかけで地域が元気になる。
-また各ステークホルダー全てにおいて「生活を守ること」(農家であれば安定し
た農業収入、消費者であれば生活できる価格で安全な食料が入手できる)は共通し
ている。
-余計なルールがあるとそれぞれのステークホルダーで困ってしまうので、安定した
国のルールがあると良い。
-農業の効率が上がれば、農家の収入向上、効率により農業生産物の価格は低下し
消費者が購入しやすくなる。
-消費者が求めているもの(品質、味、価格)を可視化することで、農家、消費者
双方で合理的なマッチングを行うことができる。


【第二セッション:国産の食材に拘るか?食料自給率の低下は問題か?】

メンバー構成
○職 業 地方公務員:1名、会社員:5名、学生:1名
○年齢層 20代:1名、30代:5名、50代:1名

議論の概要
○「消費者として、国産の食料品にこだわるか否か」について、一人ひとりがグルー プ全体に理由を添えて共有。主な意見は以下の通り。

(こだわる理由)
―国産なら雇用も日本で創出され、国産を買えば税金も日本のもの。
―生産地が近いので鮮度が良く、結果美味しい。
―添加物や農薬が外国製は心配だから。(衛生や倫理観等日本人の方が信用できる)
―日本の文化も含め維持していくため。

(こだらない理由)
―産地にはこだわるが、国産にはこだわらない。なぜなら作物にはそれぞれの土地に適したものがあるので日本以外で作った方が美味しいならそれで良い。
―安全面で言っても、国外の方が安全基準が高い。(外国では許可されない添加物を日本は使用しているケースも実際ある)
―高すぎると購入できない。
―存在しないものは買えなくなるから(バナナ等日本では育ちにくい果物等もありそれにこだわっていては食べられなくなる。)
―国産、外国産に限らず、良質なものであればOK。(皮をむいて食べれる等をすると回避できるのでは)

○ 議論を進めるにつれて、「一番の問題は、良質であるという基準が確固たるものがないことではないか」という結論に行き着いた。良質であるということがわかれば、外国産でも安心なものもあるし、国産であっても、利益のために添加物をたくさん使っている食品業者があればそれを回避できたりする。「国産」というより「品質」という意見に一同納得。

○続いて「食料自給率の低下は問題か」をグループ全体で議論。主な意見は以下の通り。

(問題であるとする意見)
―有事の際に国内で十分な食料を確保しておくべきである。
―国産のものが減るのは海外の生産力に依存することになるので危険である。
―もし大地震で港が全部潰れたら、輸入も止まってしまう。
―何かあった時に交渉の材料にされてしまう。
―「農業」は地方を支える産業の1つであり、その核となる食文化を支える必要があるため。
(問題ではないとする意見)
―その作物(植物)が育ちやすい環境、気候の国で育て、需要のある場所・国に売るのが一番良い。
―日本の外交がうまくいっている間は輸入すればよい。
―輸入のルートを作っておけば、日本で作物が育たない場合(気候変動や放射能等)のリスクヘッジにもなる。米不足の時に最初に輸入スキルが低かったため、タイ人も食べないような低品質のタイ米が輸入されたことがある。それから月日を経て、良い米が入手できるようになった。いきなりルートは作れないものである。
―食料自給率は基準が不明確なので FACTとして捉えられない。

(その他)
―そもそも石油等のエネルギーがなければ農産物生産は難しいので、農産物の生産地が国内か、国外かで議論した方が良いと思う。

○以上を踏まえ、これからの日本の農業のあるべき姿について、各メンバーがセッション1のグループで印象に残った意見とともに議論。「品質に関する基準が明確にあると良い」というのは改めて提示された。


ファシリテーターの感想

○当初「国産派」だった人が「盲目的に国産を選ぶのはちょっと安直」と考え直す人もいたことが印象的。確かに野菜に農家の人の写真がついていればそれだけで安心しているが、実際にその人が基準を守っているかどうかは直接見たわけではないのでわからないといえばわからない、ので安易に「国産だから疑わずに選ぶ」というより「品質で選びたい」というのも納得。

○また同様に当初「国産絶対」と語っていた人が「バナナは国産ですか?」と質問された時に一同言葉が出なかった状況があり、目からウロコでした。(国産派と言っても、 食べたいものであれば外国産を選んでいたりするもの)

○流通に携わる方もいたため、「実際に品質を担保する指標が明確にない」実情の共有や、国内で製造している納豆は輸入が大半。その大豆が輸入時に大量の農薬がかけられていたという情報等、それぞれの参加者の実体験に基づく内容の濃いものとなり、多様な視点で物事を見ることの大切さ、Crossoverの原点を改めて考えさせられるイベントとなりました。


【第二セッション:国産の食材に拘るか?食料自給率の低下は問題か?】

メンバー構成
○職 業 国家公務員:1名、地方公務員:2名、会社員:1名、学生:2名、農業従事者:1名
○年齢層 20代:2名、30代:3名、40代:2名

議論の概要
○ 冒頭「一消費者として、日常的な買い物や外食の場で国産の食料品に拘るか否か」を理由と併せて一人ひとりがグループ全体と共有。主な意見は以下の通り。

(拘る理由)
―国産品のほうが作物の出自が明らかであり安心感がある。
―同じ食材であれば遠く外国から輸入されたものよりも近場の国内で生産されたものを消費したほうが、輸送時に発生するCO2削減や化石燃料消費の節約にも繋がる。
―消費者が国産に拘らなければ、農作物の国内生産を動機付けることはできず、結果として安定的な食糧供給が損なわれる惧れがある。

(拘らない理由)
―拘っても知識が無いので安全や品質について確認できない。
―日々の消費行動でそこまで拘る時間的・精神的余裕が無い。
―国産に拘っていては、豊富な食材を楽しむことが出来ない。
―輸入品であっても検疫等を通過しているため国産品と比して安全性に劣るとみなす必要はない。
○ 興味深い事に「国産に拘らない」と回答したメンバーの多くは「車であれば国産に拘る」と回答。理由は、安全・価格・性能面での日本車の競争力が高く選択肢も幅広いこと、食材と比べて日々購入するものではないことから、じっくりと性能等を見極める時間を確保できる等の理由が挙げられた。
○ 続いて「食料自給率の低下は問題か」をグループ全体で議論。主な意見は以下の通り。

(問題であるとする意見)
―既に主要国と比較して低い水準にあることから、これ以上の低下は問題。
―戦争や自然災害等により突然海外からの供給が途絶えるリスクに備えるべき。
―「日本国民の胃袋は日本の農家が満たす」との農家の矜持に応えるべき。
―農地や農業技術は一度劣化・喪失すると簡単に取り戻すことはできないから、これ以上の自給率低下は問題。
―農地は食糧供給以外にも、防災や景観保持等、多面的な機能を担っている。農業と農村を一体として考えるべき。

(問題ではないとする意見)
―戦争等で食糧供給が途絶える時にはエネルギーの輸入も止まっているはず。こうした事態は無論問題だが、食料の自前調達で対処すべき話ではなく、他国からの安定供給が持続する国際政治・経済環境をつくることにリソースを注ぐべき。
―日本の天災発生のリスクは世界でも相当高いことから、国内生産に拘れば、むしろ安定供給を損なう可能性すらある。調達先の多様化が重要。
―食料自給率低下への警鐘は、既存の農業や農政を変えないことの言い訳に使われている印象。これにより日本の農業がジリ貧の一途を辿るほうがむしろ問題。
○以上を踏まえ、これからの日本の農業のあるべき姿について、各メンバーがセッション1のグループで特に印象に残った意見を紹介しながら議論。


ファシリテーターの感想

○農業に関する経験値、問題意識、及び考え方も様々なメンバーでの議論であったが、「現状では立ち行かなくなるので何かを変えなければならない」と考えている一方「安定的供給を損なう訳にはいかない」という点においては一致しているよう見えた。「変化」と「安定」のジレンマの中での新しいバランスを見つけ出すうえで、システムエンジニアや起業家等の新しいステークホルダーに光が当たったことも興味深かった。
○田舎の農家では、農協職員が高齢の農家に代わって預金通帳を預かりお金の引き下ろしまで担っているということ、農機具については、「他も買っているから私も」という動機で購入されている例も多いといった現場ならではのストーリーを聞くことが出来たことも印象的であった。

文責 Crossoverスタッフ 斎川貴代


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チーム3
サクランボ
ファシリテーター 斉藤あおい(所属:Crossoverスタッフ、民間金融関係)
【第一セッション:日本の米農業の何を守り、何を変えていくべきか】

メンバー構成
○職 業 農業事業者1名、地方公務員2名、民間会社員3名、大学生1名

議論の概要
(1)農業にかかわる関係者をリストアップ
①農業従事者、
②消費者
③農業関係で仕事をしている人
金融:農協
支える:流通業者、農機具、農薬、肥料、種
売る:加工メーカー、市場、小売、スーパーチェーン、飲食店、通販業者
④日本の役所
⑤政治家
⑥新規参入希望者
⑦海外の消費者
海外の農業関係者

(2)各ステークホルダーの見解を上げていく
①農業従事者
 ・美味しいものを作りたい
 ・一生懸命作っても高く売れないので経営が大変
 ・後継者がいない
 ・農業をすることで土地を守りたい
 ・補助金や助成金が使いにくい
 ・農協の組織への不満
 ・消費者が見えない
②消費者
 ・安全でおいしいものを安く買いたい
・農業の情報を知りたい
 ・いいものとわかっても高いと買えない
 ・産地から遠く作り手の顔が見えない
③農業の関連業者
 ・農業がなくなると自分たちの仕事がなくなるので困る
 ・農業の制度が変わると影響があるので現状を変えられたくない
④役所
 ・改革が必要とわかっても人手や人材の問題で難しい
 ・現場では法律や権限でできることに限りがある
 ・大枠を考えないといけないので末端の要望がわからないし、個別対応はできない
⑤政治家
 農業関係者は選挙の支援者なので意に反することはできない
⑥新規就農希望者
 ・やる気のある人が参入しにくい(農村の体質、業界体質が旧い)
 ・支援制度が薄い(行政に支援してほしい)
 ・経営として考えた時に厳しい
⑦海外の消費者
 ・日本の安全で高品質な農産物を食べたい
 ・自国の農産物を圧迫されたくないが安いのは歓迎
⑧海外の農業関係者
 ・日本の農産物に負けたくない
 ・流通を整えて日本の農産物でニーズのある人に商いをしたい

(3)各ステークホルダーの意見を共有したうえで、「守るもの、変えるもの」につきディスカッション
 ・コメは味が大事。1番は味、2番はコストなので、美味しくて安いなら国産でなくていい
 ・各ステークホルダーの共通認識:農業が衰退すると困る、安全性を確保してほしい
・農業は日本の文化であり、環境保護にもつながる
・海外の消費者も安全で経済的な日本の農産物を歓迎
 ・ライバルとなる海外の農業関係者:日本農産物に負けたくない、日本に売り込みたいので衰退しても構わない
(4)ディスカッションの転換点
 農業保護の方向へ情緒的に一致した流れになったところ、途中から参加した一般消費者から「311以降、食料の安全性がクローズアップされたので自分は日本にこだわらない」という意見が出た
 まさに価値感がクロスオーバーした瞬間で、そこから出た意見は以下の通り
 ・安全性の確保されない食べ物しかなくなったら日本に住めない
 ・住まなくてもいいのかもしれない
 ・安全性の定義とは?
 ・海外の農産物の安全性はどう考える?
 ・コストと安全性のバランスをとるためにできることはあるのか

【第二セッション:国産の食材に拘るか?食料自給率の低下は問題か?】

メンバー構成
○職 業 地方公務員1名、民間会社員3名(将来継ぎたい人含む)、農業関係者1名、大学生1名

議論の概要

① あなたは国産にこだわるか
 ・大学生:こだわらない。国産は高いから。食自体に重きを置いていない。・地方公務員:こだわるように意識しているが外食は無理
 ・民間会社員(男性):気になるが値段含め難しい。なるべくという感じ
 ・民間会社員(女性20代):こだわりたいが値段が厳しい。安ければいいのにと思う
 ・民間会社員(女性40代):農家のつてで野菜をもらえるし品質と味で農産物は国産にこだわるが、畜産物は高くて手が出ないので海外産を買っている
 ・農業従事者:自分のところでとれるものはいいが、加工品や外食は気にできない
② 食料自給率の低下は問題と思うか
 ・民間会社員(男性):問題だと思うが、イメージがわかない。じゃあコメを食べればいいのかというと食生活は文化なので自給率のために変えられない気がする。
 ・民間会社員(女性):すでに日本の食文化は海外からの食材なしには成立しなくなっている。国産小麦のパンやうどんでは、消費者の求める品質は維持できない(グルテンが弱いため)
 ・農業従事者:地方で農業をやっていると自給率低下で戦争や困るのは都会人だけなので関係ないと思っている
 ・民間会社員(女性):問題かと言われたらそうだといわされる感じがするので、質問が乱暴な気がする、マスコミや政府報道の裏の意図を考えてしまう
 ・大学生:祖父母も戦争世代ではないのでピンと来ないが、理屈で考えると外交政策として大きな問題と考える。自給率が高いほうが交渉時に有利
 ・民間会社員(男性):実際問題、海外の諸国と友好関係を築く方が自給率上昇より重要ではないかと考えている、いつまで円が強いかはわからないというリスクはあるが
③ 両者のギャップを乗り越えるためにどのように私たちは変わっていけばいいのか、何を守り、変えていけばいいか
 ・民間会社員(男女とも):消費者の目線では個人の生活と国の政策がまったくつながっているように感じられない。遠い国の話のようである。ギャップがあるとも思えないほどに実感がない
 ・農業従事者:産業としての農業は壊滅的であると感じているが、国に対して期待はしていない。実際に自分の兼業であるがいざというときに農業は自分の守るべき陣地と思っている。都会の人や消費者は見えないのであまり考えたことがない。兼業でも農業をやめないことしかできない。手ごたえや明るい展望はあまり見ていない。
 ・大学生:農業に関して勉強中なのでまず知ることが大切ではないかと思ってここに参加した
 ・地方公務員:ギャップを埋めたくてもやりたかがわからずもどかしく、板挟みになっているのでここにきてなにかを得たいと考えていた。具体的には全くわからない。行政の人間として自分は何もできない、できていないという悔しさやむなしさがある。葛藤している。

ファシリテーターの感想

ディスカッションの中で日本の農業で残すべきもの、としては「安全性」だけがゆるぎないテーマとなった。
国産の米に関しては、20代は経済的な問題が最優先で味については食べられればという意見で安全性は大丈夫だろうという感覚、30代後半以降は経済問題よりも健康への意識が高まり安全性が大事という傾向がみられ、世代間の経済的な格差と優先順位の違いがみられた。
農業従事者や農業の専門家がいなかったこともあり、議論の方向性がまとまらなかった。
さまざまな意見をぶつけたいと思っても、ファシリ含めた参加者に農業の基礎知識やビジョンのない状態では「なんとなくのイメージ」でしか話せなかった。
参加者の属性として「農業になんとなく興味があるので詳しい人に教わりたい、知識を得たい」という人が多く、農業を抗したい、いまの農業が問題だという意識を持っていたのは地方公務員や将来農業を継ぎたいという意識の会社員だけだった。
まさに一般消費者の目線ともいえるので、この感覚を生産者サイドや改革派に共有できると問題解決に役立つかもしれないと感じた

第2テーマは非常に難しく、参加者に閉塞感といら立ちが見えました。「行くべき方向を見せてくれ」という渇望が渦巻き、自分たちが当事者として問題点をあぶり出し、ビジョンを描くことなどできない、という無力感が、ファシリ、参加者ともにあり、ディスカッションの継続があやうかった。
ファシリとして感じたのは、専門外でうまく場を回せないというあせりです。ここ数年、自分の専門分野であればどんな球が来ても打ち返せていたので、久々に挫折感を味わった。
参加者にも素人なので意見など聞かれても困る、だから勉強に来たんだという戸惑いがあった。
農業に関して自分の思いを熱く語る人やビジョンを描ける人、実例をたくさん持っている人が欲しかったが、いたら意識がそちらへ流れてしまうので、自分がなにもいえない、わからないことが一番の問題として認識できなかった。
もっと勉強しなければいけない、自分は何もわかってない、という危機感が参加者とファシリに共通した感覚だった。
現場を見たい、詳しい人に会いにいって話をききたいと感じた。

今回の参加してディスカッションを経た後の感想「自分はなにもわからないからフィールドワークへ行ってみたい」
参加者及びスタッフに、農業フィールドトリップの企画参加へつながる素地はできた、と思う。

文責 Crossoverスタッフ 斉藤あおい


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チーム4
シイタケ
ファシリテーター 上杉 泰樹、宮野 玲


※追って追記。




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チーム5
ゴボウ
ファシリテーター 新関 康平(所属:Crossoverスタッフ、金融機関)
【第一セッション:日本の米農業の何を守り、何を変えていくべきか】

メンバー構成
○職 業 国家公務員:2名、会社員:3名、NPO(農業精通者):1名
○年齢  不明

議論の概要
○ 最初に、日本の米農業を取り巻くステークホルダーを列挙。次にステークホルダーそれぞれが何を求めているかを議論。出されたアイディアは以下の通り。

ステークホルダー 求めていること
消費者 安心、安全、美味しさ、安価
農業関連企業 利益、低コスト、国際競争力、土地や文化を守る。
加工流通企業 利益、低コスト、国際競争力
国家 食糧安全保障

○ 上記を踏まえて、ステークホルダーがwin-winとなるために、米農業の何を守り、何を変えていくべきかを議論。メンバーから出された主な意見は以下の通り。
-家庭菜園や農業体験等を通じて、消費者と生産者の距離を縮め、お互いの立場を理解し合う必要がある。
-加工流通業者が、農業従事者に対して、過剰な品質を要求することを止める事で、農業従事者の負担を減らすことができる。同時に、食品廃棄を減らすことを意識し、過剰な供給量を齎さないようにしなければならない。
-消費者は、食に対するリテラシーの向上が必要である。
-農業従事者は、安心安全な食を消費者に提供するという意識付けが求められる。


【第二セッション:国産の食材に拘るか?食料自給率の低下は問題か?】

メンバー構成
○職 業 国家公務員:2名、会社員:3名、その他: 1名
○年齢  不明

議論の概要
○冒頭「一消費者として、日常的な買い物や外食の場で国産の食料品に拘るか否か」を理由と併せて一人ひとりがグループ全体と共有。主な意見は以下の通り。

(拘る理由)
―国内の経済を潤すため。
―安心安全な気がするため。輸入物についての知識が無いため、怖い印象。
―日本人農家を応援したいため。

(拘らない理由)
―安価で高品質であれば、国産に拘る必要は無い。
―国産の安全性の基準が過剰であるため、わざわざ国産である必要は無い。
―輸入品であっても検疫等を通過しているため国産品と比して安全性に劣るとみなす必要はない。
○続いて「食料自給率の低下は問題か」をグループ全体で議論。主な意見は以下の通り。

(問題であるとする意見)
―ビジネスチャンスを活かしていないため。
―有事の際に、食糧が足りなくなる惧れがあるため。
―農地や農業技術は一度劣化・喪失すると簡単に取り戻すことはできないから、これ以上の自給率低下は問題。

(問題ではないとする意見)
―エネルギー共有のように、一国だけで食料を調達するのではなく、あらゆる国から輸入することで、食糧難のリスクを分散させた方が良いと思われる。
―安定供給されていれば、国産であろうが外国産であろうが特に問題はない。食料自給力が低いことは問題である。
○以上を踏まえ、これからの日本の農業のあるべき姿について、各メンバーがセッション1のグループで特に印象に残った意見を紹介しながら議論。


ファシリテーターの感想

○セッション1では、各ステークホルダー間で認識の共有がなされていないことに参加者が気付いたため、ステークホルダー間のギャップを埋めるという目標を達成したと思われる。
○セッション2では、一見すると、矛盾する自身の価値観を発見できたことで、個人として、国家として農業はどうあるべきかを考えることができたため、参加者の満足度が高かったようであった。
〇本当は考えなければならないのに、全く考える機会が無かったテーマでしたとの感想を抱いていた参加者が多かったので、きっかけ提供という視点からは有意義なイベントであったと思う。

文責 Crossoverスタッフ 新関康平


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チーム6
レンコン
ファシリテーター 服部真子(ちょり)(所属:Crossoverスタッフ、NHK World)
【第一セッション:日本の米農業の何を守り、何を変えていくべきか】

メンバー構成
○職 業 国家公務員:2名、会社員:5名、農業従事者:1名
○年齢層 20代:1名、30代:5名、40代:1名、60代以上:1名

議論の概要
○最初に、日本の米農業を取り巻くステークホルダーをチームメンバーそれぞれの立場も踏まえて列挙しました。


大まかに書き出しましたが写真の実物の通り大小様々な関係者がいることが洗い出されました。
(実際の写真↓)

参加者の「農業」との関わりは様々なので、ステークホルダーをあげる目線も多様でした。
次に農業に関わるそれぞれの人がどのような要望を抱えているかを話していきました。
議論が噛み合うということを度外視し、関係者それぞれがどんなことを考えているのかということを挙げいきました。ここでは主に対立した欲求を紹介します。

<農家の要望>VS<政治家や日本国民>
自分の子どもに継がせたい=よそ者には渡したくない農家と、日本の米産業を守りたい政治家?日本国民?
自分の土地は、知らない人にはあげたくない、と思う農家、都市部の若者や外国人にも担い手になってもらい農業人口を増やしていきたいという大きな民意(?)
○そもそも①農業人口が減る事は問題なのか、②日本の農業を守らなければいけないのか、③政治家は農家の味方ではないのか?などの疑問は置き去りで、様々なレベルでの視点の違いがでてきて、この対立ひとつとっても議論をかみ合わせることがとても難しかったです。


【第二セッション:国産の食材に拘るか?食料自給率の低下は問題か?】

メンバー構成
○職 業 国家公務員:2名、会社員:4名、農業従事者:1名
○年齢層 20代:1名、30代:4名、40代:1名、50代:1名

議論の概要
○ まず「一消費者として、日常的な買い物や外食の場で国産の食料品に拘るか否か」を理由と併せて一人ひとりがグループ全体と共有しました。主な意見は以下の通り。

(拘る理由)
―品質に安心感が持てるから。農薬の使用量や、加工過程での透明度が高い
―鮮度がいい。外国産で鮮度がよさそうに見えるものは怖い。

(拘らない理由)
―拘っても知識が無いので安全や品質について確認できない。
―日々の消費行動でそこまで拘る時間的・精神的余裕が無い。
○ 消費者にとって分かりやすく流通経路が透明化され、消費者に選択される農業になっていけばよいという結論へ。
○ 続いて「食料自給率の低下は問題か」をグループ全体で議論。
→漠然と問題である気がするが、なぜそれが問題なのか煮詰まらず。上記の結論と同様、農業の透明化がもっと必要という声が多かった。また、消費者がもっと農業に興味を持つことが必要という議論に集約しました。



ファシリテーターの感想

○国民がより農業に興味を持つようするには、という話題の時にフランスやイタリアでは「味覚の教育」が小学校などでされるという例があげられ興味深かったです。
○食に関する感覚は家庭環境に大きく左右されると感じているので、母親・父親・コミュニティー・学校などを巻き込んでの食育を行うことができればよいのではないかと感じた。

文責 Crossoverスタッフ 服部 真子(ちょり)


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チーム7
バナナ
ファシリテーター 平野 慧(所属:厚生労働省)、川合淳一(所属:自営業)
【第一セッション:日本の米農業の何を守り、何を変えていくべきか】

メンバー構成
○職 業 会社員:2名、自営業:2名、財団法人:1名、国家公務員:1名、その他:1名
○年齢層 20代:1名、30代:2名、40代:2名、50代以上:2名

主な議論
○前半のディスカッションでは、
 ・「農業」は誰のものなのか、
 ・それぞれにとって望ましい農業のあり方はどのような姿か、
 ・何を変え、何を守るべきか、
について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。

-農業に関わる主体については、消費者、生産者といった代表的なものに加えて、そのサブカテゴリーとして、消費者については子ども、学校、病院などが、生産者については都市部の生産者、地方の生産者、専業農家、兼業農家、農業研究者などが挙げられた。
-それぞれにとって望ましい農業については、まず消費者にとっては、安心・安全であること、安定供給がなされること、品質(栄養価など)が高いこと、美味しいこと、そして安いことが挙げられた。その一方で、生産者にとっては、地方の生産者にとっては親族や身内の中で世代交代が出来ること、潜在的な農家にとっては土地の賃貸や法人参入の柔軟化などにより容易に参入可能であることが挙げられた。
-最後に何を変え、何を守るべきかについて議論した。まず消費者については、短期的な視点のみに基づいて農産物について消費行動をする場合、どうしても価格だけに着目して意思決定をしてしまう。そうではなく、農村・国土の保全や長期的な健康面に対する影響、食糧自給率の維持など、価格以外の要素も意思決定時の考慮要素に加えていくべき、という意見になった。
-一方で生産者については、生産効率の改善ができる環境が必要という意見になった。つまり、現状としては、現在の価格を維持、あるいは低下させながらもより高品質な農産物を生産することも可能であるのに、様々な規制や農協の存在等がそれを妨げているのではないか、という意見。

(第一セッションの様子)

【第二セッション:国産の食材に拘るか?食料自給率の低下は問題か?】

メンバー構成
○職 業 会社員:1名、自営業:1名、地方公務員:1名、教師:1名、国家公務員:2名、その他:1名
○年齢層 20代:1名、30代:4名、40代:2名、

議論の概要
○後半のディスカッションでは、国産にこだわるか否か、食糧自給率の低下は問題だと思うか否か、をまず参加者同士で共有した。その結果、大半の人は国産にこだわり、食糧自給率の低下は問題である、との回答であった。ただ、「野菜を買う時はこだわるが、外食の時はこだわらない。」といった限定付きの意見が多かった。何故国産にこだわるのか、掘り下げて理由を聞いてみたところ、以下のとおりの意見であった。
-安全性が国産のものが高いから。(輸入物は生産から消費までに時間がかかるため、防腐剤等が使用されている。)
-日本の農業や食糧自給率の向上に貢献できるから。

○一方で、国産であることにはこだわらず、食糧自給率の低下についても問題とは思わないという意見については、食糧自給率の低下が問題になるような国際情勢ではないと思うし、吉野屋なども安いので普通に利用しているというのが理由であった。

○ここまでの議論から、国産物にこだわる人たちは、日本の農業への貢献や高い安全性のために、通常よりも高い価格を受忍して農産物を購入しているということが分かった。しかし、それは決して日本全体のマジョリティではなく、日本全体のマジョリティは価格が安いことが最も大きな意思決定要素ではないか、このマジョリティの意識を変えない限り、日本の農村は守れないし、食糧自給率も低下していくのではないか、ということで、この意識の差をどのようにして埋めるかについて、議論した。出された意見、結論は以下のとおり。
-多くの消費者にとっては、「価格」が最も大きな意思決定要素だが、安全や生産地などのそれ以外の意思決定要素については、情報が入手しづらいのも事実。
-このため、生産地や生産者の顔が見えるような形での表示や、保存料や農薬の使用量などの表示規制を行うことで、「価格」以外の意思決定要素をより見える化するという案が考えられる。
-このようにすれば、安全に気を配って、より高品質な農産物を作っている農家が、市場においてその努力の対価を得ることができるようになるのではないか。
-一方で農家・生産者側については、集約化等の効率化や個々の創意工夫による改善が求められるが、農協の存在や規制によってそれが妨げられているという意見があった。
-しかし、農協の存在が何故農業の効率化や農産物の高品質化を妨げるのか、詳細や真意が不明であるため、スタディトリップでは農協ヒアリングを実施するのが意義深いのでは、という結論となった。


ファシリテーターの感想

○農業をテーマとして、様々な観点から議論がなされた。
○まず一つ目の感想として、今回の参加者の方々は、食べる物を選択する際に、価格以外の品質や安全性にかなり気を配られており、世の中のマジョリティとはやや相違しているのではないか、という点を感じた。実際には、ファーストフードの広がりを見て分かるとおり、世の中の大半の人はそこまで品質や安全性は気にしていないと思われることから、世の中の実態を踏まえて議論を行う必要性を感じた。
○ 二つ目の感想としては、現場のことが分からないと地に足の付いた議論ができないということを改めて感じた。今回の議論の中で、農協は創意工夫やイノベーションを妨げる「悪者」という位置づけで議論がなされることが多く、また、現在の報道や政治の動きの中でも、そのような位置づけにされている。しかし、農協が守っている利益や価値は、大小や多寡は不明であるが確実に存在するはずであり、それを踏まえないまま議論を行うことは危険であると感じつつ、それが何なのかは自分自身も見当がつかなかった。このようなことから、いかにして当事者・現場不在の議論を避け、実りある議論にしていくかが、今後の自分の課題として認識した。

文責 Crossoverスタッフ 平野 慧


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チーム8
ハクサイ
ファシリテーター 識名 由佳(所属:Crossoverスタッフ)


※追って追記。




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チーム9
牛乳
ファシリテーター 田中 健一(所属:Crossoverスタッフ)


※追って追記。




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