再設計! 日本経済・社会の仕組み ~人口減少に適応できる経済・社会の構築に向けて~(前哨戦)

再設計! 日本経済・社会の仕組み ~人口減少に適応できる経済・社会の構築に向けて~(前哨戦)

官民協働ネットワークCrossover主催
異業種ディスカッション大会

 

 

再設計! 日本経済・社会の仕組み
~人口減少に適応できる経済・社会の構築に向けて~

(前哨戦)

 

 

報告書

 

 

 

1.全体総括


12月14日(日)、東京医科歯科大学にて表記イベントを開催し、60名の定員を上回る大勢の皆さんに参加いただきました。師走の多忙な中、会場まで足を運んでいただき、「心のスイッチ」が入る非日常空間を、ともに創り上げてくださった皆さんに、この場を借りて、改めて感謝を申し上げます。

今回は、2015年上期に「再設計!日本経済・社会の仕組み ~ 人口減少に適応できる経済・社会の構築に向けて ~」をテーマに、複数回に分けて行う「ディスカッション大会」本番の“前哨戦”という位置付けで、「そもそも人口減少は問題なのだろうか?」という問いと向き合い、日本の人口動態に関する様々なデータや見通しを共有しながらグループ・ディスカッションやプレゼンテーションを楽しみました。

日常生活や仕事だけをしていたのでは決して出会うことがなかったであろう参加者同士で、「与えられた問にどうやって答えるか」だけでなく、「向き合うべき真に重要な問いは何か?」という視点にまで立ち返り、互いの問題意識、視点、そして価値観を交差させながら学びあう、そんな時間をもつことができました。

14:00~18:00までのディスカッションに続く懇親会は、毎度のことながら深夜まで続き、分野、組織横断的な協働の礎となる絆を参加者同士で強めることができました。今回のイベントを機に、新たに2名の方がスタッフとして加わってくれたことも、大きな成果の一つです。

今回のイベントで出された貴重な意見を一人一人の記憶にシッカリと残すため、そして社会に向けて発信していくために、以下のとおり、グループ・ディスカッションにおける各チームの議論をスタッフがまとめました。

人口減少をテーマに今後行っていく「異業種ディスカッション大会」へのインプットにもなるものですので、今回参加された方も、残念ながら参加がかなわなかった方も、ぜひご覧いただければと思います。

スタッフ代表 池田洋一郎

 

2.スタッフからのプレゼンテーション報告


 

~日本の人口動態に関するKey QuestionとKey Data~

 

まず始めに、スタッフの田中里沙より、「日本の人口動態に関するKey QuestionとKey Data」と題したプレゼンテーションを行いました。ここで発せられたKey Massageは、次の通りです。

1.人口は「どのくらい」減るのか
→日本の総人口はほぼ確実に減る

2.人口は「どのように」減るのか
→高齢化と共に人口減少が進む

3.人口は「どこで」減るのか
→地方でより人口減少が進む
→世界では爆発的に増える

※プレゼンテーションの詳しい内容は、プレゼンテーション資料をご覧ください。

 

プレゼンテーション資料

 

3.ディスカッション報告


 

~そもそも「人口減少」は問題なのか?~

 

グループA

ファシリテーター
池田洋一郎 (所属:財務省)

メンバー構成
大学生 1名、国家公務員 2名、会社員 1名(総合電機メーカー)、医師 1名、団体職員 2名、シンクタンク職員 1名
年齢層は20代 4名、30代 4名

1.スタッフからのプレゼンテーションに対する感想

○ 日本の人口が減少していくことには認識があったが、出生率が第二次ベビーブーム時の2.07まで回復してもなお、人口減少が止まらないことは認識がなかったため、衝撃を受けた。
○ 大豊町の事例については、単に出生率の低下による人口減少(自然減)だけでなく、町外への移転に伴う人口減少(社会減)のインパクトのほうが大きいのではないか。
○ 消滅可能性都市における、特に慢性疾患に対応できる病院の不足(いわゆる医療過疎)は、今後全国的に高齢化、人口減少が進んでいく中で、より一層深刻度を増すのではないかと感じた。

○ 労働力人口の変動に影響を与える要因として、①女性の労働参加率、②高齢者の労働参加率、③出生率、が挙げられたが、移民の受入動向も加えるべきではないか。

2.主な議論

議題1
高齢化を伴う人口減少は問題か?

【YES派の主な意見】
○ 内需の減少により、経済成長を維持するには海外の消費に依存せざるを得なくなり、日本経済がより一層海外の影響を受けやすい体質となるため。
○ 現在の人口減少のペースと人口動態の変化を放置すれば、社会保障制度が持続不可能なものとなるため。なお、少子高齢化を伴う人口減少が進む中での社会保障制度の変更には、国民に対する負担増や給付減が必ず伴うことから、弾力的な変更は困難。
○ 要介護者数は増加の一途をたどる一方で、介護の担い手は減っていくことから、介護保険制度が維持できなくなるため。
○ 農業の担い手が消滅し、また海外からの一次産品輸入に必要な製造業の競争力維持も困難となる。これにより、日本人が食べていけなくなるため。

【No派の主な意見】
○ 地球資源の有限性や、地球規模の人口増加を踏まえれば、日本の人口減少は問題ではない。
○ 出生率の低下による子供一人当たりの教育投資の拡大や栄養改善は、日本だけでなく多くの国にとって共通した政策目標であった。また、「高齢」社会とは医療技術・制度や公衆衛生の発展によりもたらされた「長寿」社会に他ならない。つまり、日本の「人口減少・高齢化」は、国が発展していく過程で追及してきたゴールが実現した結果あらわれる現象にすぎない。問題なのは、こうした現象に対応できない既存の制度。
○ 介護の担い手の減少などは、「介護ロボット」の導入などの研究開発や、担い手の外国からの招聘により問題を緩和することが可能なはず。
○ 「生産年齢人口」(15歳から65歳)や高齢者(65歳以上)といった言葉の定義は、社会の状況や健康寿命の増進により、変更可能なはず。既存の定義に縛られて将来を論じるべきではない。
○ 社会保険制度等、一度確立された精緻な制度を変更することは確かに容易ではないが、人口動態や人口数にかかる現状の傾向を変えるに十分な数の出産を女性に促すことのほうがもっと困難ではないか。

議題2
「適正な人口動態」や「適正人口」は、政策目標となる(すべき)だろうか?

【Yes派の主な意見】
○ 世の中には、「月刊ねじの世界」、「月刊野宿野郎」といった一部のマニア向けのマイナー雑誌が存在する。こうしたマイナー雑誌は、1万人の読者がいなければ採算が取れなくなり廃刊となる。同様に、国においても、人口減少や高齢化を単なる現象として座視すれば、日本語を話す人口が少なくなるほか、日本が誇るサブ・カルチャーや文化の担い手が減少し、「日本らしさ」が損なわれる。以上より、国全体として、「適正人口」を政策目標として設定することには一定の意義がある。
○ 世界を見渡すと、母国語で医師免許を取るための勉強を完了できる国は、それほど多くない。人口の減少が続けば、医師等の免許を取る際に、英語や中国語で取らなければならない日が来るかもしれず、それは望ましいことではない。
○ 中国や北朝鮮の影響力や国力が増加する中で、一定規模の人口を維持しなければ、国の安全保障を保つことが困難となるのではないか。
○ 無理に子供を産ませるということではなく、出産を希望する夫婦が望む数だけ出産できるようにするのは、公共政策の在り方として、問題視されるものではない(※現在の「希望出生率は1.8%」)

【No派の主な意見】
○ 人口減少それ自体は「現象」にすぎず、問題は、それに適応できない政策や社会の慣習。こちらに目を向けて必要な改革を議論・実行ことが重要であって、「適正人口」が何人か、それを達成するには、どうしたらよいか、といった事柄に議論の時間を費やすのは意味のあることではない。
○ 人口が3,000万人だった江戸時代の日本人が、今の日本人よりも不幸とは限らない。
○ 人口減少自体を問題視すると、一人の女性が子供を産む、産まないという選択の自由を害することになり、倫理上の問題を惹起する。子供を産みたい夫婦向けに社会的・経済的・政策的な壁を取り払うことと、国全体として「適正人口」を設定し、それに向けて政策資源を動員することとは、大きな違いがある。
○ 国全体の「適正人口」を設定すれば、都道府県別、市町村別に出生率の「ノルマ」が課されることになり、結果、有形無形のプレッシャーが、女性にかかることにつながる。
○ 国の力や存在感は人口だけで決まるものではない。世界には人口が日本の半分以下でも、存在感や力を発揮している国は多くある。たとえば、世銀やIMF等の国際会議の場においても、形式的な発言権は、各国の経済規模に応じた出資割合で大小が決まるが、発言の実質的な影響力は、議題に対する理解の深さやコミュニケーション、プレゼンテーションの巧拙によって決まるもの。人口の数を問題にすると、こうした実質的な部分を無視・軽視することにつながる。

文責 池田洋一郎

 


グループB

ファシリテーター
斎川貴代 (所属:(株)見果てぬ夢)

メンバー構成
国家公務員 1名、団体職員 1名、会社員 4名、教師 1名、その他 1名 (私塾経営)
年齢は20代 1名、30代 3名、40代 2名、50代 1名、60代 1名

1.自己紹介

○各自の出身地、職業や興味・関心を紹介。
北海道1名、長野1名、茨城1名、千葉1名、岐阜1名、京都1名、名古屋1名、福岡1名の出身者が集結。参加者の興味・関心も、「地域活性化」「町づくり」「女性の活性化」「教育」等、様々であった。

2.少人数で意見交換

2~3人1組になり、「そもそも人口減少は問題なのか」についての意見を出し合った後、その意見を全員に共有した。

【問題である派の主な意見】
◯人口減少、急速な少子高齢化により
・ 労働力の減少、若者と高齢者のバランス(若者<高齢者)が問題
・ 経済力、国力の低下が問題
・ 日本語のユーザーが減り、文化が失われることが問題

【問題でない派の主な意見】
※ 問題ではないという意見が少なかったため、「人口減少のメリット」について意見を集めた。
◯一人一人が使うスペースが広くなる
◯人が少ないと自然環境が守られる
◯単純に子供をたくさん産めば良いというものでは無い

【その他の意見】
◯「人口減少が問題」と言う前に、子育て支援等の整備をすべきではないか
◯首都圏にいると「人口減少」の実感が無い

3.意見の深掘り

【問題である派の意見について】
◯「労働力の減少、若者と高齢者のバランス(若者<高齢者)が問題」という意見については、男女それぞれの視点から意見交換がなされ、さらに「企業の制度(昇進や休暇等)を変えること」「男女の働き方の意識を変えること」「大家族の再興」「移民、難民の受け入れ」という解決策の案にも話が及んだ。「大家族」は、血縁だけでなく、近所等の地縁、コミュニティという考え方を取り入れていくとさらに良いという意見も出された。
◯「経済力、国力の低下が問題」という意見については、経済力・国力の低下は「公共サービスの低下(インフラ、医療、治安、税収、学校等の環境の劣化)」「企業倒産」「国際社会におけるプレゼンスの低下」という現象を招くという意見が出た。(国際社会におけるプレゼンスの低下の裏付けとして、ODA被援助国の人の言葉「お金があるから日本と付き合っている」が挙げられた)

【問題でない派の意見について】
◯「人が少ないと自然環境が守られる」という意見については、「人口が多い方が環境整備に予算があるため環境が守られる」という反論があった。

文責 斎川貴代

 


グループC

ファシリテーター
識名由佳 (所属:研修会社)

メンバー構成
国家公務員 2名、会社員 5名、NGO職員 1名

議論のサマリー
1.ディスカッション前の自分の意見
2.他のメンバーの意見からの気づきや学び
3.ディスカッションを通して新たに生まれた意見

1.ディスカッション前の自分の意見 (そもそも「人口減少」は問題なのか?)

【YES派の主な意見】
○少子高齢化により、(生産年齢人口が減る一方で高齢者の方々が増加することで)増加する社会保障費を支える現役世代が減る(すなわち負担が増える)ことが問題

○人口減少により“故郷”がなくなってしまう
○少子高齢化により、次世代を担う子どもたちの負担が大きくなる
○地図に記載されている地名は、過去の災害から付けられている場合があり、人口減少により統合され失う可能性がある
○人口減少によって特に地方のコミュニティが維持できなくなる

【No派の主な意見】
○ 資源が有限であることを考えると、人口減少は、地球全体にとってはプラスとなる
○ 生産人口保持のためには、移民を受け入れればよい
○ 国としては問題だが、個人としてスキルがあれば影響は小さい

2.他のメンバーの意見からの気づきや学び

○ 過疎化を解決するモデルつくりは、今、夕張や陸前高田で進んでいることを知った
○ 人口減少は、国や個人など主体によって問題であるか否かのとらえ方が異なるのではないか
○ 国全体の人口減少(政策的な遅れ)のしわ寄せが、頑張ろうとしている自治体の足をひっぱっているのではないか
○ 地域活性化は誰のために行うのか?経済的にメリットがあっても社会的に成り立たない対策まで行うべきかは疑問
○ 対策の一つとして「女性のリアルな声を聞くこと」が重要だと思った。産みたくない人の声を聞いて広めたらよいのでは
○ 国として社会制度全体を変えていく必要があると思っていたが、解決策そのものも(特に地方は)ケースバイケースで考えるべきだと思った
○ マクロレベルで人口減少が問題となっていることと、個人レベルでその状況に納得するかどうかは、別の問題だと感じた
○ 少子高齢化の問題は日本にとって非常に深刻であることは間違いないと思う。既存のシステム・制度が待ったなしの変革の必要性に迫られていることが分かった。それに加え、個人としては経済的尺度とは違う幸福の追求も1つの解決策になるのではないかと感じた
○ 陸前高田の人口回復を諦めることは、他のすべての地方の人口回復を諦めることと同等だと感じた
○ 東京は子育てがしにくい地域であるということを知った
○ 日本人は贅沢をしすぎであり、よりシンプルに暮らすこともできるのではないかと感じた
○ 過疎化地域、東京、日本、世界、それぞれの視点で、全然考え方が違うのだと感じた。
また、それらの間の妥協点を見つけるためには、専門性のある意見交換と事例をつくる必要がある(視野が狭くならないように)
○ 未来に残したいのは、コミュニティなのか、それともコミュニティの文化なのか?両者の違いは重要だと感じた
○ 人口減少という問題に対して、「移民政策」のような解決策が取り上げられるが、そもそもいつまで日本に外国人が来てくれるのか…という意見を聞き、前提だと考えていた事から考え直す必要があると感じた
○ 陸前高田市は、東日本大震災による人口減少で課題先進都市になっており、今後学ぶべきところが多いではないかと感じた

3.ディスカッションを通して新たに生まれた意見

○ 「問題だと考えられていることは、果たして誰にとっても問題なのか?」ということを考えることが重要
○ 地域の問題の解決に際しては、その地域に住んでいる人の実際の声を聞くことが重要
○ 問題が起きるまで対策を考えないのは、もったいない。過疎化はもうはじまっているのであり、事前に手を打ちたい
○ 「地域のにぎわい」という言葉一つをとっても、色々な定義がある。見方は1つではない
○ 問題を包括的に考えることが大事
○ 過疎化地域は、コミュニティそのものだけでなくコミュニティの文化も残したいはず。移民を受け入れる際には、日本の価値観を知ってもらうことも大切。その上で、日本の文化と海外の文化が混ざることは、悪いことではない
○ 現場目線、現場から離れた目線、日本の目線、世界の目線、はそれぞれ全く違う。これらの間で折り合いをつけるのは容易ではない。実際に会って話しをすることが大事
○ 経済の問題(稼げるかどうか)と社会の問題(幸せに暮らせるかどうか)は、ともに大切。片方だけのことを考えてはいけない

文責 識名由佳

 


グループD

ファシリテーター
田中健一 (所属:北京天衛診療所)

メンバー構成
国家公務員 2名、団体職員 1名、会社員 4名
年齢は20代 1名、30代 2名、40代 2名、50代 2名

1.自己紹介

○本イベントに参加した理由について説明

2.人口減少について挙手による意見表明

(「問題でない派」は2名のみ)

【問題である派の主な意見】
◯国債が暴落する
◯社会保障費がアップする
◯変化に対して対応できない

【問題でない派の主な意見】
◯制度変更により対応できる
◯その時にはその時の風が吹く

【哲学的な意見】
◯日本人の定義とは何か。人口とはどこの人口として定義するかについて共通認識にたっておかないと、移民を受け入れるにせよ、受け入れないにせよ、感情論から脱せないと思う。

3.意見の深掘り

【問題である派の意見から】
○長期債務がふくれデフレを起こすと、企業は外に逃げ出し、税収を払う層がなくなってしまう。アルゼンチンのように広大な農地もなく、ロシアのように原油を産出できない国は、存続が不可能になる。
◯ 新人が入らない企業では、組織が硬直化し、ますます変化ができなくなる。さらに、現状維持を嫌う国民性の中で、個人が自立することは無理ではないか。この環境下では新たな制度をつくることはできず、時間だけが無為に経過してしまう。
○前提ありきの制度で我々は生活している。その感情の中では、日本人は制度を作れない。負のスパイラルが進行することにより、ますます制度を作りにくくなってしまう。レッセフェールに陥ってしまう。

【問題でない派の意見について】
◯国民の世論を操作することにより生活レベルは下がっても、「絆」でアジャストできる。これをするためには独裁制を敷き、強いリーダーシップが発揮できる仕組みが必要になる。
○ 独裁でもなく、変化もしないというのであれば、尖閣諸島の売却や、(それでも足りなければ)北海道・九州まで手放すことを視野に入れれば、このままでも対応できるのではないか、という唐突だが矛盾はしない意見もあり。

【次回への問い】
◯未知のものに対してどちらを選択すれば良いのだろうか?
・受容の恐れ
・変化の恐れ

文責 田中健一

 


グループE

ファシリテーター
田中里沙 (所属:横浜市←総務省から出向中)

メンバー構成
大学生 1名、市役所 1名、国家公務員 3名、団体職員 1名、会社員 2名(エネルギー系、NPO)
年齢は20代 4名、30代 2名、40代 4名

1.自己紹介

○各自の出身地、職業、趣味を紹介。
埼玉2名、東京1名、千葉1名、三重1名、京都1名、大阪1名、兵庫1名と、都市や地方の各地の出身者が集結。《TBU》

2.他己意見紹介

2人1組になり、相手方が「そもそも人口減少は問題なのか」についてどう考えるかを相互に聴き合った後、グループ全員にペアの相手方の考え方を紹介。

【問題である派の主な意見】
◯人口減少、急速な少子高齢化による
・若者と高齢者のバランス(若者<高齢者)や、都市地方のバランス(地方から都市への人口移動)が問題。
・医療、介護を中心とした社会保障費が増大する一方、労働力人口の減少による税収入が減少することにより、行政が提供できるサービスが限定的になってしまうことが問題。
・税の配分は子育て施策よりも社会保障施策にウェイトがかけられ、少子化を解決できない。

【問題でない派の主な意見】
◯人口減少に併せて、社会制度や行政サービスの在り方を変え、ソフトランディングさせていけば、人口減少そのものは問題ではない。
◯一人当たりGDPが維持されるならば、人口減少そのものは問題ではないのではないか。
◯毎年2%ずつ人口が増加している中東の国では、雇用の場で需給のミスマッチが起きている。人口減少によるダウンサイジングは、適正雇用の観点からは妥当ではないか。
◯限りある資源の有効活用を考えると、エネルギーの供給の観点からも、適正な人口規模を維持するのであれば人口減少そのものは問題ではないのではないか。

【条件付き派の主な意見】
◯現在は、資産(マネー、土地、財産価値があるもの)は持つ者が(貯蓄や承継等により)持ち続け、持たざる者には資産が配分されない社会の仕組みとなっている。人口減少・少子高齢化社会では、その仕組みがより一層固定化される。再配分の仕組みが機能しない限りは、人口減少は問題。

3.意見の深掘り

【問題である派の意見について】
◯人口減少そのものというよりは、減少の速度が急速であるため、社会制度、行政サービス等の変革がその速度に対応できないことが問題である。
◯急激な人口減少、少子高齢化により、地方経済の衰退、国土の荒廃、文化の衰退・消滅、
ひいては日本の経済成長の阻害等を引き起こすと考えられる。

【問題でない派の意見について】
◯問題ではないという意見は、人口減少により「適正人口」の状態を前提とすると、人口減少そのものは問題ではない、という考え方に集約されるのでは。
→「適正人口」を前提とすると、例えばゴミ処理の問題等に対しては、人口減少はプラスに寄与するもの。
→食糧の供給についても同様。
◯一方で、「適正人口」がどういう規模・構成であるかにはよるが、当面の少子高齢化、労働力の減少に対しては、(期間限定での就労になるであろうが)一定程度の移民による労働力の確保も必要な前提となるのではないか。

【条件付きの考え方について】
◯現行の制度にとらわれずに、例えば課税制度をドラスティックに変えるなど、人口減少に合わせた制度の変更を行うという条件で考えるとどうか。
◯また、国の枠組みにとらわれずに、例えば日本の保険制度と成長市場であるインドネシアの保険制度を統合運用してはどうか。日本にとっては保険者人口の増加がメリットに、インドネシアにとっては安定した保険制度がメリットになるのでは。

文責 田中里沙

 


グループF

ファシリテーター
田中宗介 (所属:経済産業省)

メンバー構成
会社員 6名、学生 1名、国家公務員 1名

1.自己紹介

○ 本イベントに参加した理由と、人口減少に対して思うことを、各自一言ずつ発言。

2.メンバーから出た主な意見 (人口減少を問題視しない意見が中心であった。)

【問題でない派の主な意見】
◯自身がIターンする予定。Iターン先では外国人労働者と野球の独立リーグを立ち上げる。移民も1つのソリューション。

◯アジアの人々は日本に憧れており、日本が好意的に見られていれば交流人口増加が見込まれる。
◯少子化と長寿命化によって、相続問題が複雑化(親子への相続よりも、兄弟・親戚等への相続が増加するため)し、プロ(行政書士)の出番が増えるため仕事が増える。また、単純労働者受入れが進めば、就労ビザ等の業務も増える。人口の減少よりも、一人あたりの所得の増加が重要。

【その他の意見】
◯アジア等の諸外国の企業では、女性幹部によく出会う。日本でも男女問わず登用される社会になれば良い。
◯人口の偏在が問題。東京はより人口が減った方が暮らしやすい。
◯人口減少はずっと議論されているのに、状況は変わっていない。真面目な議論が行われているのか。また、過去に振り返れば、1990年頃までは「人口過密」が議論されていた。その時々で問題視はするが結局解決策は生み出されていない。
◯GDPにこだわる必要はあるのか。それでも自身は(所得の高い)東京で会社員をしている。

3.意見の深掘り

【豊かさとは何か】
◯経済成長を求め、外貨を稼ぐ。ライフスタイルにおける欲求を満たす。その結果、コミュニティは豊かになったか?
◯コミュニティにうまく馴染めずに自殺する人は多い。コミュニティに入れないと生きられないのに、心の豊かさを追えていない。
◯バブル時代、タクシー利用もリゲインを飲むのもGDPにはプラスとなるが、幸せにはマイナス。

【関心の方向】
◯人口の減少は多様性の喪失に繋がるのではないか。
多様性の喪失は創造力の減少に繋がり、コミュニティや心の豊かさに繋がるかも知れない。
◯自身の生きる環境を創り出せる人が幸せになれる(仕事の創造、充実した生活)。自分で考えられるような人材の育成が重要ではないか。
◯人口の減少に対応すべく、生産性を向上させたとして、少子化は解決するのか。
今と同じく、忙しく働くだけではないか。

【メンバー間の議論が不十分だった内容】
◯女性の社会進出や少子化への対応

文責 田中宗介

 


グループG

ファシリテーター
西村洋平 (所属:経済産業省→PEファンド)

メンバー構成
大学生 1名、会社員 4名、経営者 1名、国家公務員 2名
年齢は20代 3名、30代 3名、40代 2名

1.自己紹介

○各自の名前、職業、今回のテーマに関するスタンス(問題である/問題でない)とその理由/背景を紹介。

2.フリーディスカッション

〇当グループでは、人口減少について問題でないというスタンスの方が多かったため、まずはそちらのスタンスについて深掘りをした。その後、(敢えて)「問題である」という論点を挙げつつ、各人のバックグラウンドに則った意見を出し合った。

〇最初の1時間半程度で全員によるディスカッション、その後は、8人を3つのグループに分け、議論を深めた後に全員に共有した。

【問題でない派の主な意見】
◯(個人)
・ハッピーに生きるかどうかが問題であり、GDPと個人のハピネスには相関関係はないのではないか。自分単位でモノを考える視点に立って日々の生活を営むべき。
・昔は農業が生活の中心であり、その働き手として必要だから家庭が自然と子どもを多く産んでいた。子どもが成長しても、自分の家庭が所有する農地で生産活動を実施すればよかったため、教育へのコストもあまりかからなかった。他方、今は生活場所と生産場所(=金を稼ぐ場所)が離れており、教育にも多くのコストがかかってしまうため、多くの子どもを養うことは難しくなっている。自然と選択されてきた行動であるため、何も問題は無いと思う。
→バングラデシュの主な産業は、縫製と農業である。昔の日本と同様、この(労働集約的な)産業に必要であるから、子どもの人口は増加している。
・人口減少は地方で問題になると言われているが、リニアモーターカーなどの交通機関やITの普及により、地方で暮らす若者も増えている。
〇(企業)
・海外売上比率は上昇しており、国内需要が低下しても、売上にさほど大きな影響は無くなっている(=国内需要の低下に、企業経営の戦略はうまく対応している)。生産現場も海外に出ており、為替リスクも排除されつつある。
〇(国・政府)
・そもそも現状の制度は、人口増加を前提とした設計になっている。人口減少に対応できるように制度を大幅に変更することが必要であり、人口減少を「問題であるが故に対応せねばならない事項」として捉えるのは筋違いなのではないか。

【問題である派の主な意見】
〇(国・政府)
・地方では、人口が減少することで、農業用水の管理ができていないなどの身近な問題が多く生じている。
・社会保障など、社会的なコストを負担する人口の割合が減少し、一人当たりの負担が増加することは大きな問題。高齢者に有利な政治になっている現状では、この問題を政治的に解決するには非常に長い年月を要するのではないか。
〇(企業)
・人口が減少して内需が小さくなると、国内でのテストマーケティングができなくなり、ひいては海外での競争力も弱体化するのではないか。まずは最も知見があり、言語の壁も無い国内マーケットで数回の実験を経てからでないと、海外市場に出て行くということは非常に怖い。
・また、最も知見のあるマーケットが縮小すること自体も、海外展開やM&Aなど、今まであまり手を出してこなかった手法を用いないと、売上の増加が見込まれないため、経営としては難易度が数段あがったと感じる。
・地理的に人口が減少している地域の労働集約的な産業では、需要も減少するものの、それ以上に労働供給量が減り、人手不足に陥る。
〇(個人)
・同世代の友人が少なくなることで、孤独感を感じることが多くなるのではないか。例えば、小くいのではないか。
・世代内の競争が減少することで、大人になったときに、対海外での競争に打ち勝てるような精神力が鍛えられないような気がする。実際、団塊の世代と自分たち(20~30代)を考えると、競争心という意味では、団塊の世代に軍配が上がるように感じる。

文責 西村洋平

 

池田洋一郎、佐藤正弘、福嶋慶三 帰任報告会 ~Be the Change you want:望む変化に自分自身が成るために~

池田洋一郎、佐藤正弘、福嶋慶三 帰任報告会 ~Be the Change you want:望む変化に自分自身が成るために~

Crossover 特別企画

 

 

池田洋一郎、佐藤正弘、福嶋慶三 帰任報告会
~Be the Change you want:望む変化に自分自身が成るために~

 

 

 

結果報告

 

 

 

 

3年前の夏、それぞれの想いを胸に抱いて霞が関を飛び出し、国際機関職員、研究者、そして自治体職員として、新しいフィールドへと向かった3名のCrossoverスタッフ(池田洋一郎:財務省⇔世界銀行、佐藤正弘:内閣府⇔京都大学、福嶋慶三:環境省⇔尼崎市役所)が、挑戦の旅路を通じて得た葛藤と成長、そしてこれからの目標などを報告した上で、参加者の皆さんと、「望む変化に自分自身が成る」生き方について、対話を通じて考えました。

 

1.イベント概要


① 日時:2014年8月31日(日)
② 場所:富国生命ビル(内幸町)10階 世界銀行東京開発ラーニング・センター
③ プログラム:
第一部 報告会&ディスカッション 司会:植木武志
・開会に当たってのメッセージ ~Crossoverのビジョンと本会の趣旨~:田中里沙
・池田洋一郎、佐藤正弘、福嶋慶三からの報告と鼎談
・参加者とプレゼンターとのダイアログ(質疑応答)
・参加者同士のダイアログ
1) 自分が過去経験した/現在経験中の/将来経験し得る、最大の環境変化とは?
2) 環境変化から、学んだ最も大切なこととは?(最も学び取りたいこととは?)
3) 環境変化がその後の人生に与えた/与えうる意味とは?
・グループ・ダイアログの内容の共有
・閉会に当たってのメッセージ:田中宗介

第二部 懇親会 (フィン・マクールズ 霞が関店)

 

2.旅から戻った3名からのメッセージ


 

池田洋一郎

1.旅の始まり

○ 「途上国の国づくりの現場に身をおき、人々ともに困難な問題解決のために汗をかきたい」、「二国間の交渉だけでなく多国間交渉の場における発信力、提案力、合意形成力に磨きをかけたい」、そして「日本だけでなく世界の国造りや地球規模課題の解決に貢献できる人材を目指したい」…。

こんな想いを胸に「日本からバングラデシュへ」、そして「国益を追求する国家公務員から、グローバル益を追求する世界銀行の職員(国際公務員)へ」という二つの「クロス・オーバー」に乗り出すべく日本を旅立った3年前の夏。

前例、前任者、そして引継書の無い道を歩みだすきっかけは、当時財務省で鍛えてもらっていた上司による「で、お前どうしたいんだ?!」の一言だった。

○ 組織、あるいは社会において、何か新しいことを始める時は、「新鮮な視点とアツい意志をもって主体的に提案する若者」と、それに対して「冷静且つ建設的なコメントと併せて「面白いじゃないか、やってみろよ!」と背中を教えてくれる大人」の両方が大切。
自分にとっては、そういう先輩・上司が傍にいてくれたことが、新しい旅を始める上で大きかった。自分も将来、そうありたいと思っている。

2.突き当たった壁

○ 高い期待と強い想いを持って乗り込んだ世界銀行のバングラデシュ現地事務所。しかし、思うように、自分の立ち位置を見つけ、仕事を任され進めていくことができない。
各分野で第一級の実績を誇る専門家集団である世界銀行で、実績もこれといった専門分野も持たない当時の自分に割り当てられるのは、霞が関でいえば、入省して2-3年目の若手職員が担当するようなごく単純な仕事ばかり。様々な新規提案をするものの殆ど採用されず、仕事の依頼をしても相手にされないことが稀ではない日々。
財務省勤務時代には、「仕事が降ってくる」という言葉を無意識のうちによく使っていたものだが、「仕事は降って来るものではなく、自ら取ってくるものだ」ということ、そして、それがどれだけ難しいことか骨身染みたものだった。

○ また、ベンガル語を勉強し、週末を利用して農村やスラムを駆け回るも、自分が提供できる付加価値が見つけられず、「自分は社会科見学の小学生と変わらないのではないか」との想いに苛まれた。周囲に同じような立場の日本人も、心を開いて相談できる友人もいない中、孤独感と「一年目で結果を出さなければ雇用期間終了で日本追い返される」という焦りが募るばかり。

3.背中を押してくれた厳しく優しい言葉

○ 焦り、苛立ち、そして腐りかけていた自分の背中を押してくれたもの、それは「現実を受け容れることは積極的な行為なのだよ」、「自分を目的語にしてばかりいないで、大切な誰か、何かを目的語にしたらどうだろう?」という二つの言葉だった。
○ 振り返ればバングラデシュに旅立つとき、自分は「好奇心」と「向上心」に突き動かされていた。こうした気持ち、即ち「自己実現」の追及は大切だが、これだけだと、自分にスポット・ライトが当たらなくなると腐ってしまいがちだ。また環境や相手が思い通りに動かないと、その現実を「受け容れる」ことができず、むやみに焦ってしまう。
しかし「自分の成長自体を目的視せず、他の誰か/何かに尽くすことを目的と考える」というマインド・セットを持てば、自分ではなく目の前の現実や人にスポット・ライトを当てて正面から向き合い、よく観察し、そして受け容れることができる。相手を受け容れて初めて、自分も受け容れられる…

○ こんな気付きに背中を押されて、自分は前向きな気持ちを取り戻しながら、バングラデシュでの仕事を続けることができた。
結果、1年目の終了時点で、面接を経て正社員として採用されるとともに、政府-大学―世銀―NGOの協働を通じた市民参加型のプロジェクト・モニタリングという今までにない仕組みを立ち上げ、軌道に乗せることができた。
また、過激派に襲われた村の救済のために、個人で約150万円を3週間で集め暴動が多発する最中に村を何度も訪問し、コミュニティの再建に貢献することができた。

4.自分が魂を燃やし続けられるテーマとは何か?

○ 3年目に入り、ワシントンの世銀本部の経営企画部からオファーを頂いた自分には、1年目とは比較にならないほど、様々な仕事が寄せられ、楽しく生産的な時間を過ごすことができていた。そうした中、4年目以降も引き続き世銀で仕事をするという話が持ちあがった。
悩ましい状況の中で友人がかけてくれた問い、即ち「君が魂を燃やしながら尽くせるテーマとは何だ?」は職業選択をする上でのある指針に光を当ててくれた。

○ 確かに世銀には、例えば、水、インフラ、栄養、医療、あるいは気候変動等、特定のテーマに対して魂を燃やしながら突き進んでいる同僚が多い。では、自分が一番追求したいテーマはなんだろうか?それは「日本の国づくり」であった。
そうか、それならば3年を経て日本に戻ろう…ようやく慣れてきた世界銀行や親しい同僚たちに別れを告げるのは寂しかったが、素直にそう思えることができた。

5.これから

○ 世銀バングラデシュ事務所時代のある同僚が、異動に当たって残したこんなメッセージが心に残っている。「記録ではなく、記憶に残る仕事ができる人でありたい」。

○ 人は確かに数字やポジション等、記録に残る実績を求めがちだ。しかし、これらは時を経て更新されていくもの。他方で、「あの人はあの時に逃げなかった」、「彼はあの時に、こんな言葉をかけてくれた」、「あんな風なやり方をしたのは彼女だけだった」といった人々の心と脳裏に刻まれる記憶というものは、なかなか更新されないものだろう。
自分は、霞が関に戻ったが、「仕事は降ってくる」ではなく「とってくるものだ」という気持ちを忘れず、現場と霞ヶ関を往復しながら課題解決に尽くすアントレプレナーとして人の記憶に残れるような職業人でありたいと、今思っている。

 

佐藤正弘

1.研究テーマ―水―選択に当たっての問題意識

○ 皆さんは一日どれくらいの水を使っているかご存知だろうか?私の推計では、食料や衣類を作るための農業生産用の水は、日本人の平均で1日3,542リットルになる。
つまり、私たちが使う水の圧倒的に多数は、私たちが直接触れない形で、畑で使われている。自分の研究の対象は、水一般ではなく、この食料生産のための水。

○ 食料にこれだけ水が必要となると、気になるのは人口との兼ね合い。世界人口は1963年には32億人だったが、今年には72億人、2050年には96億人になる。そして今世紀末に、100億人を超えたところでようやく安定化に向かう。

つまり、たった100年少しの間に、人類は100億人の世界、かつて経験したことのない未曾有の地平にジャンプするということ。
そのジャンプの過程で、私たちは、100億人サイズに合うように、地球と人間との関係性をリデザインしていなかくてはならない。
特にこの過程のちょうど2/3のところにいる我々のミッションは、このリデザインを遂行し、新しい地平で生きていく世代(孫と曾孫の世代)に地球を受け渡していくこと。

○ では、このジャンプの過程で、どのくらいの食料や水が必要なのか。FAO(国連食糧農業機関)の推計では、2050年までに世界の穀物需要は70%?100%増加する。これに伴って、必要な水の量もおよそ2倍になる。
地球上には、この需要を賄うだけの水があるのだろうか。結論から言うと、水の総量自体は十分すぎるほどある。しかし問題は、それがどこにあるか。

○ 地球の構造上、水は極めて偏って存在する資源。特に、世界各国の一人あたりの水賦存量で見ると、インド、中国、ナイジェリア、タンザニア、パキスタン、エチオピア、ウガンダといった今世紀末に人口上位10カ国に入る国のうち7カ国が、今現在でも日本の半分しか水がない。
しかも、これらの国にとって、人口増加と気候変動によって水の希少性は更に増すことになる。

○ これらの国々が、水が豊富な国から農作物を輸入できれば問題はそれほど深刻ではない。現実に中国は既にそういう戦略をとっているし、インドも近い将来そうなるだろう。
問題は、それができないアフリカの貧しい国々。これらの国々、特に食料生産のほぼ全てを天水に依存している国々に残された選択肢は耕作地の拡大。
ある推計によると、2050年までに、水不足を回避するため、世界全体で日本の国土面積のおよそ6倍もの耕作地が新たに必要になる。おそらくこの過程で、多くの森林が失われることになり、それがさらに気候変動を助長する。

○ 東アフリカや西アフリカの貧しい国々を気候変動が襲えば何が起こるのか。ソマリアでは、2010年から2012年の間に26万人が餓死した。
その半分は5歳以下の子ども。原因は、この当時東アフリカを襲った大干ばつと、内戦のために救援物資がゆきとどかなかったこと。もちろんソマリアは特殊な国だ。しかしその特殊性は、アフリカではそれほど特殊ではない。
南スーダンも、コンゴ民主共和国も、中央アフリカ共和国も、ナイジェリアでも紛争が進行中。ソマリアで起こった事態は、今後、水不足に直面する多くの貧しい国々でいつでも起こり得る。

○ これが地球の水問題の帰結である。すなわち、水問題は、森林破壊と気候変動の悪循環と、干ばつによる深刻な飢饉や貧困が生じる不確実性、そういう世界に我々を導く。
これが、リデザインがうまくいかない場合の代償。そして命をもって償わなければならないのは、いつも貧しい国の何の罪もない子供たち。

2.年間で実現した成果

○ 今日伝えたいことの一つ目は、研究者として「何を実現したいのか?」自分の場合、それは、100億人のサイズに合うように、地球と人間との関係をリデザインすること、そしてそのためのプリンシプル、新しい時代の原則となるアイディアを、自分の頭の中から生み出すこと。それによって、命をもって償わなければならない子供たちを一人でも多く減らすこと。

○ もちろん、その仕事は3年間だけで終わるわけではなく、この先、10年でも20年間でも、納得がいくものを生み出せるまで続けていきたい。ただ今日は、この3年間でのひとまずの成果をお話ししたい。

○ 自分が着目したのは、水の多様性。水は、地球を循環する中で多種多様な形態に姿を変える。水という資源の本質が多様性だとすると、この多様性をもっと積極的に活用することはできないか、と考えた。

○ 例えば、地域Aでは天候による変動の激しい河川水、地域Bでは変動はさほどしないが、揚水しすぎると枯渇してしまう地下水のストックが利用できる場合を考えよう。
地域Aが干ばつで水が不足したら、地域Bで水を多く使う農産物の比重を高めて、その農産物自体(バーチャル・ウォーター)、あるいはそれによって生み出された経済的な価値を地域Aに移動する。反対に地域Aで水が豊富にあるときは、地域Aで水を多く使う農産物の比重を高めて、それによって生み出された価値を地域Bに移動し、地域Bは揚水量を抑制する。
そうすれば、地域Aでは干ばつによる影響の緩和、地域Bでは地下水資源の節約を実現できる。

○ 別のケースとして、両地域ともに不確実性が極めて高い天水しか使えない場合を考えてみよう。地域AもBも、平均的には同じくらいの水の量で、干ばつの確率も同じ程度。しかしもし、両地域の変動のパターンがちょうど逆さまだったらどうだろう。
お互いに水利用量を相手に合わせて調節することで、全体として安定化効果を引き出すことができる。実際、アフリカの多くの半乾燥地帯にはこうしたモデルがフィットする。

○ このように、水そのものの移動ができなくても、複数の地域の水利用量をお互いの天候や水の形態に合わせて調節し、水を使って生み出された価値を交換すれば、全体として安定性や水資源の保全を図ることができる。
そうすれば、不安定な天水に依存するアフリカの地域は、お互いに不安定性をカバーし合うことで、必要以上に耕作地を広げることなく食料を増産できるし、干ばつの被害も防ぐことができる。
このように、複数の地域をリンクしてネットワーク全体として安定性や資源保全を図る新たな枠組みを、私は“バーチャル・ベイスン(仮想流域)”と名付けた。
ベイスンは日本語で“流域”。複数の地域の水資源をバーチャルにリンクさせて、ネットワーク全体であたかも一つの大きな流域として水利用量を調節していく考え。
この3年間で自分が考え出したのは、このバーチャル・ベイスンの原理やモデル、そのために必要な政策の枠組み。

3.研究者として持つべきマインド・セット

○ さて、研究の話はこれくらいにして、今日皆さんにお伝えしたいことの2つ目に移りたい。自分にとっての3年間のチャレンジを一言で言い表せば、“異常であること”だった。
これは、研究の世界で価値のあるものを残す上で、とても重要なこと。わかりやすく説明するために、ユタ大学のマット・マイト教授が学生に「博士号を取るとはどういうことか」を説明するために使っている図を用いる。
ここで私が強調したいのは、この過程。これは単にある分野の専門知識を増やしていっているというだけではなく、特定の視点、世界の見方そのものを、非常に特殊な状態に研ぎすませていくということ。

○ 経済学の例でいうと、モデルによって世界を見るという行為がそれに当たる。経済学者に対する批判として、経済学者はモデルの中でだけ物事を考えていて、現実を見ていないというものがある。しかし、モデルには、現実の未来の予測以外に、もう一つの使い方がある。それは、真理を見つけるための手段としての使い方。現実世界は極めて多様。
それをそのまま眺めていても何も見えてこない。そして往々にして、私たちの目に見えているものと、この世界の真理とは必ずしも一致しない。真理を見つけるためには、現実世界の様々な要素を削ぎ落としていって、高度に抽象化された世界観を構築し、そこで思考実験を繰り返す必要がある。
そのためには、どの要素を削ぎ落として、どの要素を残すべきか、という視点、即ち世界の見方が問われることになる。そして、余計な要素を削ぎ落としたその先に、高度に抽象化された世界に、一点の真理が見えてくることがある。
それは現実そのものではないが、世界の真理の一面を写し出している。この真理を見つけ出すために、異常であることが必要。

○ 自分にとってそれがチャレンジングだったのは、ある意味、自分はこれまで霞ヶ関でバランスを取ることを求められる仕事をしてきた。現実世界で政策を実施するためには、関係する様々なステークホルダーの利害を読み解き、均衡点を見つけていかなくてはならない。
そのためにはバランス感覚が非常に重要。しかし、研究の世界で本当に意味のある成果を残すには、異常であること、つまり、バランスを逸することが極めて重要。
これは自分にとって非常に新鮮で、チャレンジングだった。

○ ところで、真理を見つけ出すためには異常であることが必要だけれども、その先に見えてくる風景、すなわち、人類の現在の知識の外側に飛び出た時に見えてくる風景は、実は異常ではなく、とても普遍的なものだったりする。それが、今日皆さんにお話ししたいことの3つ目。

○ 僭越ながら、自分が生み出したバーチャル・ベイスンの考え方の中にも、一定の普遍性がある。バーチャル・ベイスンは、クラウド・コンピューティングやバーチャル・パワープラント(仮想発電所)などとも共通する構造を持っている。
これは、不確実性が極めて高い複雑な世界の中で、中央集権的な統制構造を築くのではなく、多様な要素が分権的に相互作用しながらレジリエンスを高めるような構造。
そしてこの中からだけも、100億人のサイズに地球と人間の関係性をリデザインする上で重要なプリンシプルがいくつか見えてくる。今日はその中から2つお話しして終わりたい。

4.地球と人間との関係性をリデザインする際の大切な原則

○ 一つ目は、自然との向き合い方。これまで人類は、巨大なダムや運河を建設することで、水の変動に対応してきた。これは自然の側を人間の都合に合わせるやり方、言わば、力によって自然を征服するやり方。
しかしその過程で、多くの生態系や文化の多様性が失われてきた。しかしこれからは、人間側の関係性を柔軟に組み替えることによって、人間側が自然に適応することが求められる。
力に対して力で挑むのではなく、変動を受け入れた上で、関係性によってそれを吸収していく。そういう仕組みが求められる。

○ もう一つは、ローカルとグローバルの関係性。バーチャル・ベイスンの下では、それを構成する個々の地域は多様であれば多様であるほどよい。
それぞれがそれぞれの気候や風土に合う形で、その土地に合わせた生産を行う。そういう多様な地域がつながることによって、全体として安定性や持続可能性が生まれてくる。
全体として安定性や持続可能性が確保できれば、個々の地域はより一層個別の状況に適応していくことができる。
ローカリズムでもグローバリズムでもなく、ローカルとグローバルが相互に好循環を生み出していくような構造が、これからの時代に求められるもう一つの要素。

○ そして、こういうプリンシンプルを、自分は美しいと思う。異常性を突き詰めることで、しかし、そこで見出した真理は実は普遍的で、そして、美しかった。

 

福嶋慶三

1.尼崎市赴任のきっかけと問題意識

○ 尼崎市長・稲村和美さんの要請で、3年前の2011年7月に兵庫県尼崎市(人口約45万人、職員数約3千人)に「理事」(市長、副市長に次ぐナンバー3のポジション)として赴任した。
要請を受けた際には、自分のキャリア上は別の選択肢もあって、非常に悩んだが、尼崎市を選んだ。理由はなく、最後はパッションというか直観的なもの。

3年間、市長と文字通り2人3脚(途中からは、博報堂から招請した船木成記さん(現・尼崎市顧問)も交え3人4脚)で、新しいまちづくりに挑戦してきた。

○ 市長は尼崎を、以前東大の小宮総長が「課題先進国日本」と呼称したことになぞらえ、課題先進国の中の「課題先進都市」と位置づけ、ここで課題の解決に結びつけば、それは日本全体へのヒントになるとの思いでやってきた。

○ 今、まちづくりは、3.0の時代。もはやマンバワーも財政も限界であり市民だけでも、行政だけでも、まちの課題の解決はもはやできない。(企業を含めた)市民と行政が同じ目線でまちの課題に向き合い、ともに協働して、課題の解決にあたることが不可欠。
そして、それこそが、新しい時代のまちづくり、国づくりのロールモデルとなる、こんな問題意識を持って尼崎市に赴任した。

2.壁を乗り越える

○ しかし、振り返れば、就任当初は、正直、期待にまったく応えられていなかったと思う。最初の数か月は、市長とほとんど一緒に行動し、市長の考え方、判断軸を吸収した。
同時に、本当に多くのことを勉強した。守備範囲は市長と同じであったため、教育も産業も雇用も福祉も子育ても防災も治安もなんでもやった。しかし、自分の力不足を痛感する毎日であり、胃が痛い日が続いた。

○ 半年ほどして、胃が痛いのはある程度は解消されたが、それはしょせん、「できることしかできない」と割り切ったからであり、また同時に「自分にしかできないことをやろう」と開き直ったからでもあった。

○ その1つに、例えば、なかなか芽が出なかった若手の職員たちの心に火をつけたこと。若手が自分たちで考え、自分たちで行動し始めたこと(組織の人口ピラミッド上も、特に30代職員のボトムアップ、スキルアップが不可欠でもあった)。
彼らからもらった寄せ書きが書かれたTシャツは、今でも自分の宝物。

○ 仕事では、市長の参謀としての仕事と同時に、数多くのプロジェクトのリーダーを務めた。それらの仕事を通じて、自分自身も成長をした。
一緒に仕事をしたたくさんの人に鍛えていただいた。結果として、シティプロモーションやソーシャルビジネス、尼崎版グリーンニューディールなど、全国的に見ても先進的な取り組みを手がけることができた。

3.自分のミッションとは何か?

○ あるとき、友人で先輩の懇意の研究者の方から飲みの席で「君が尼崎で、本当にやりたいことは何か?」と詰め寄られた。
自分が答えるすべての答えが薄っぺらく、否定された。最後には、答えることができず、なぜか、涙が溢れてとめることができなかった。それで、結局、「自分がこのまちで本当に(池田くんのいうような)魂を焼き尽くしてもやりたいことはないのだ」と気づかされた(それはある意味、求められて行ったのだから、当然といえば当然なのだが)。

○ では、自分の本当にやりたいことは何か?それはおそらく、いま4歳の自分の息子が将来も日本で、地球で、それなりに豊かに暮らしていけるような社会を、彼が大人になったときに引き渡すこと。そのために今、努力すること。
もちろん、そこには、尼崎市での仕事も含まれるが、自分が地方自治体で経験した数多くのことは、いまの霞ヶ関には足りないもので、これを霞ヶ関に持ち帰るべく、東京に戻ろうと決心した。

 

3.少人数グループ・ダイアログにおける議論の紹介


① 自分が過去経験した/現在経験中の/将来経験し得る、最大の環境変化とは?

○ 仕事で3年間のアメリカ勤務(商社)から戻ったが、日本の労働市場の流動性の低さに改めて気づかされた。

○ 「子供が生まれる」ということで世界観が変わった。「この子のために」という意識が生まれ、社会や政治に目が行くようになった。

○ たまたま参加した自転車の大会にハマり、気付けば日本で初の国際大会開催の実行委員になって(その自転車レースの文化(「バカになる文化」)の維持と、行政や社会のサポート(あまり破天荒なことは好まない)いかに両立させ、イベントを成功させるかが課題。

○ これから欧州勤務になるので、そこで起こることが転機になるだろう。

② 環境変化から、学んだ最も大切なこととは?(最も学び取りたいこととは?)

○ 4代続く老舗で、「変わるべきところ」と「変わってはいけないところ」の見極め、価値判断基準をどうおくかが重要な点になってくる。

○ 「悪い変化」はいつ起こるのか?という疑問と向き合う事が必要。例えば、多くの若者は、社会人一年目は青雲の志を持っているはず。
しかし、年月が経つうちに、不正を行う人が出てくる。どこで彼らの志は変わってしまうのだろうか?

○ 官僚の世界で2度ほど働く経験をしたが、民間の知恵を霞ヶ関は活かし切れていないと感じた。官僚の世界にやってきた民間人に、官僚になることを強いるのではなく、もっとうまい活かし方があるはず。

○ 地方の事務所で起こっている諸問題が霞が関では認識できていないことがもどかしい。

○ 海外特派員をしている時に自社や自分自身が予定調和になっている姿勢に違和感を持つことができたこと。

○ 変化を予測することはできないが、自ら変化を起こすことはできる、というドラッカーの言葉を思い出した。

○ 変えられない体質のあるのはどこの業界でも同じである。

③ 環境変化がその後の人生に与えた/与えうる意味とは?

○ 学生時代に政府の対応に違和感を持ったことが官僚の道に入るきっかけとな ったこと。

○ 自分の仕事に息苦しさを感じた時、今行っている活動を紹介された。

○ 来年から就職するので、職場体験が人生の転換になるだろう。

○ 未来像を持って仕事をしている官僚に会えたことが収穫だった。

○ いまの職場でやりたい事もあるし、やりがいも感じているけれども、「このまま流されていていいのか」と漠然と不安を抱えていたが、「隣の芝は青い」という言葉は、まさにそのとおりで、自分の意識の問題であることに気づいた。
まずは目の前にある仕事や、自分が入省してやりたいと考えていたことに全力を傾け、ここでしか経験できない学びを得たいという気持ちになった。

 

4.スタッフによる総括


人間、誰もが楽に過ごしたいと思う。それは悪いことではなくてごく当たり前のことであるし、常に気を張っていると疲れてしまう。仕事においても、与えられた仕事をしっかりとこなすことはもちろん重要。
でも、本当にそれだけでいいのかな、もっと自分ができることはないのか、自分にしかできることはないのか、という漠然とした不安を、今日、このCrossover特別報告会で解消したと思う。

会は3人の報告者からの、それぞれの旅路の報告から始まった。各自がそれぞれの想いを胸に、それぞれの職場を自らの意思で飛び出し、様々な葛藤を乗り越え、苦楽を経て成長して戻ってきた。
3人に共通しているのは、自分の信念に真っ直ぐに向き合い、ベストなアプローチを考え、挑戦を続けていく、という点ではないか。

3人からの旅路の報告を肴に、参加者が自分自身のこととして今日のテーマを捉え、グループ内で意見交換を行った。

参加者自身が、他の参加者の考え方を知ることで、自分自身を振り返り、自らの気持ちに自信を持って取り組むこと、それが実は自分の信念に真っ直ぐに向き合っていることになるのではないか。
その過程において、変化にチャレンジする場面もあれば、現状を見つめ直すことが必要となる場面もあり、それぞれの場面に適応していき、ベストなアプローチを探っていく、そんな自分でありたいと思う。

このCrossoverの会で各参加者が持ち帰るモノは十人十色。新しい気づきがある人もいれば、今までの考えに自信を得る人もいる。
それは、分野も、年代も、性別も、あらゆる違いをCrossoverして、同じ時間を共有しているからであろう。

これからもCrossoverな出会い・発見を大事にしていきたい。

田中里沙
Crossover21 スタッフ

 

壁を越える力 ~社会変革の担い手たちのストーリー~

壁を越える力 ~社会変革の担い手たちのストーリー~

異業種ディスカッション大会

 

 

 

壁を越える力

~社会変革の担い手たちのストーリー~

 

 

 

開催報告

 

 

 

1.はじめに


「社会変革・組織改革に関する具体的な経験や事例を元に、「自分だったらどうするか」「自分にとってのテーマは何か」を問いかけ、語りかけ、そして、耳を傾けよう。
社会の課題を“他人事”ではなく、“自分事”として考え始める一日」をテーマに開催した今回のディスカッション大会には、年度末、そして3連休の最終日にも関わらず、86名もの皆さんに参加頂きました。

日常生活や仕事だけをしていたのでは会うことが無かったであろう人たちが、立場、年齢、職業、そして国境の壁を越えて集い、社会の様々な課題について各々の経験に基づく問題意識を交し合う…そんな非日常空間を創ることができたのは、参加して下さった皆様、そして会を支えてくれたスタッフのおかげです。

Crossoverのディスカッション大会に関わって下さった全ての皆様に改めて感謝を申し上げます。

 

2.全体総括


ディスカッション大会は、Crossoverのビジョンとミッションを伝えるCrossover副代表、田中宗介からのメッセージでスタート。
公務を通じて被災地支援・復興や中小企業対策等に関わってきた経験から、社会を支える様々な主体が困難な課題解決に向けて連携することの重要性や、こうした連携を促進する媒体として、業種や官民の垣根を越えてフラットな立場で出会い、語り合うことのできるCrossoverという場の意義を会場の皆さんと共有しました。

ビジョン・ミッションの共有に続き、全体司会を務める植木武志が、会場に対して投げかけたのが「皆さんが、今日Crossoverに参加した目的とは?」、「皆さんにとってのCrossoverの成功の定義とは?」というクエスチョン。
一人ひとりの目的意識を明確にするための問いと向き合い、短い文章に落とし込むための1分間の内省の時間を持ったうえで、グループ・ディスカッションに移りました。

各グループのメンバーは、申込み時に頂いた参加者の希望、グループ毎の人数のバランス、そして所属や性別等の多様性確保に配慮して、スタッフが決定し、事前に参加者の皆さん一人ひとりにお伝えしました。

グループ・ディスカッションでは、 “ケース・プロバイダー”を務めるスタッフが、各々の経験を通じて培ってきた問題意識を、直面してきた壁、それを乗り越えるための創意工夫や努力に関する具体的事例とともに議論のたたき台として提示。
その後、スタッフの司会・進行の下、グループ・メンバーの間で、提供されたケースについて感じたこと、同様の壁に直面した経験、その壁を越えるためにとったアクション、そしてこのテーマと向き合うことのそもそもの意義も含め、幅広い観点から意見を交わしました。なお、各グループの議論の詳細は上記表のリンクよりご覧いただけます。

グループ・ディスカッションに続き、各グループの代表から議論のポイントを会場全体に対して発表して頂きました。
多様なテーマに関する様々な論点が伝えられる中で、以下の事柄が、共通するエッセンスとして会場全体で共有されていきました。

○ 社会の課題に対して問題意識を持ち、自分の問題として捉えることで、新たな気付きが生まれる。
○ 問題の本質や、解決のための方策・手段は、業種や官民の違いを超えて、相当程度共通している側面がある。
○ 自分にとっては当然の前提と考える事柄が、立場の異なる人にとってはそうとは限らないことを踏まえ、自分を客観視し他者の立場に立ったコミュニケーションをとる事が、協働による問題解決に向けた第一歩と成り得る。
○ 同様の問題意識を持ち、且つ具体的な行動に移している同志を組織の内外に求め、つながっていくことが、「自分自身が問題解決の主体となろう」というモチベーションを保つうえで不可欠である。

 

3.今後に向けて


ディスカッション(議論)というと、議題に関する知識を持って相手を説き伏せたり、グループで一定の結論に時間内に到達することが目的となることが多いかもしれません。
しかし、Crossoverのディスカッション大会の醍醐味とは、自分がこれまで持っていたのとは異なる見方や考え方を得ること、同じ問題意識を持ち、互いに鼓舞し合える仲間を見つけること、そして、社会問題を「自分事」として捉え、自分自身が「明日からできることは何か」を考え、行動に移していく力を得ることにあると思います。

今回、スタッフとして約2ヶ月にわたる事前準備、また一参加者として10時間にわたるイベントに参加した私にとって、グループ・ディスカッション、そしてその後夜遅くまで続いた熱気溢れる懇親会や二次会での出会いや対話の一つ一つが、そんな計り知れない価値を持つものでした。
そして、今後もCrossoverに集う多彩な人財たちと共感の環を広げ、協働の絆を深めながら、Crossoverの活動を継続していきたいと考えています。

次回のディスカッション大会は今年7月です。皆さんとの再会を楽しみにしています。

文責:田中里沙
Crossover スタッフ

 

 

各グループのまとめ

 

 


グループ1
国際社会で問題解決・価値創造に貢献できる日本人・日本の組織を創るには?

ケース・プロバイダー : 池田洋一郎(所属:世界銀行)
ファシリテーター : 菅原寛広(所属:JETRO)

1.導入 ~グループ・メンバーの顔ぶれと目的意識の共有~

○ 冒頭、10名のグループ・メンバーがペアになり、お互いの名前、所属、ディスカッションに向けての目的意識を共有。その後、各々のペアについて、グループ全体に“他己紹介”。

○ メンバー構成はファシリテーター、ケース・プロバイダーに加え、私塾経営者1名、マナー講師1名、会社員4名(総合電機メーカー、データ通信・情報システム構築、生命保険会社)、大学生(医学部)1名、国際公務員(国連専門機関)職員1名。年齢層は20代:4名、30代:4名、50代:1名、60代:1名。

○ 年齢・職業の多様性に加え、メンバーの職歴、経験も青年海外協力隊経験、産休・子育てと仕事の両立、紛争地域経験、海外でのインターン・留学、途上国BOP(base-of pyramid)層向けビジネス・プランニング、各国大使を招いての定期勉強会等、多彩。

2.問題意識の明確化 ~ なぜ「国際社会で問題解決・価値創造に貢献」する必要があるのだろうか?

○ ケース・プロバイダーより、本件を取り上げる際の問題意識として、
① 日本は国際社会に貢献して初めて自らの繁栄を享受できる「資源希少国」であること、
② グローバル化の進展により、機会もリスクも国境を越え拡大・拡散する時代にあること、
③ 人口減少等により、日本が動員可能なリソースや国内の市場規模がかつてより縮小しつつあること、
④ 新興国の台頭等により国際社会における日本の政治・経済面の相対的プレゼンスが縮小していること等を提示。

○ これに対し、大阪あいりん地区でボランティア活動をしている学生から「海外の問題解決に貢献することも大切だが、日本国内にある多くの社会問題に無知・無関心である訳にも行かない。どのようにバランスを取れるのだろうか?」、元青年海外協力隊員の会社員からは「常に国際社会での貢献を意識している訳ではなく、今は、自分の身の回り居る人、目の前にある課題に尽くしていくことが、死ぬときに納得のいく生き方だと思っているが、皆さんはどうだろうか?」との問題提起あり。

○ 別なメンバーからは、これまでの仕事を通じて、「日本は、海外で十分に通用・普及し得る技術や、高い調整力、段取力、職業倫理といったソフト面での力を持っているにも拘らず、これらを十分に活かしておらず、勿体無い」、「引退しつつある団塊の世代を日本企業・社会が上手く活かせていないため、韓国や中国に人材が流出している」、「10代、20代に留学や海外でのインターン等を経験した学生が、これらをダイレクトに活かす職種に就けていないケースが目立つ」といった問題意識や危機感が示された。

○ ケース・プロバイダーからは「確かに国内にある諸問題への解決や身の回りの人に尽くすことは尊い。しかし、2008年秋の金融危機の前後で、「カリフォルニアでの住宅ローンのデフォルト」が、「日比谷公園での派遣村」につながったように、今の世の中は、自分の身近な誰かを守り、日本国内の問題を解決するためにも、国際社会や諸外国に意義ある関与をしていくことが欠かせない。多くの日本人にとって、日常生活や仕事をしていたのでは気付きにくい、しかしリアルなつながりを、如何にして見える化していくかが、この問題への意識喚起を図る上でのポイントかもしれない」と指摘。

3.ケースの共有 ~ 自分が実際に見聞きし、経験した成功例・課題は何だろうか?

○ ケース・プロバイダーより、バングラデシュの青年海外協力隊員及が成し遂げた「エコラン・プロジェクト」の成功例、自身が世銀で貢献する上で感じる壁、防災に関する世銀と日本政府との協働事例等をケースに、
① 自らが追求したいテーマを特定すること、
② テーマや思いを積極的に発信すること、
③ 自分自身や周囲のコンテキストを直視する力を高め、「天動説」に陥らないよう注意すること、等を提示。

○ メンバーからは各々の経験から、
① 日本企業・組織の意思決定の遅さ、
② コンプライアンスの過剰重視によるイノベーション意欲の減殺、
③ 採用・昇進におけるMBA取得や協力隊といった海外経験の軽視、
④ 「確実に儲けの出る既存のマーケット」への安住と「リスキーだが将来につながり得る海外マーケット」への低い関心、といった問題事例を共有。

○ また、バングラデシュで一本300円の野菜ジュースを売り込もうとした結果失敗したケースが共有され、その原因を議論。この点、現地の金銭感覚を、自らの感覚として取り込む努力が必要との指摘あり。具体的には、ダッカ市内の市バスの料金が概ね5タカ(5円)程度の物価水準を踏まえれば、300円(300タカ)の野菜ジュースは市バスを60回乗車できる値段。日本の都バスが180円であることを考えると、一般のバングラデシュ人にとって300円の野菜ジュースは、日本人にとって、一本1万円以上する野菜ジュースという事になる。こうした金銭感覚のすり合わせは、単に現地に駐在するだけでは培われない。ターゲットとする一般の市民層が使う交通手段やマーケット等を自分も活用する努力が必要、との意見が出される。

○ 他方、前向きな事例として、組織内で起業家精神を育てるための工夫として、世界銀行内で実施されている「Innovation Award」、途上国でのビジネスチャンスを見極め、育てようという意志を持ったベンチャー起業家や中小企業関係者が集う交流会「ローマの市場にて(http://romanoichibanite.org/)」、新興国でのビジネス展開の前提となるfeasibility studyを支援するJICAの助成金等の情報が共有された他、バングラデシュにおけるITを活用した遠隔地医療のビジネス・モデルが提案された。

○ また、BOPビジネスの対象となる途上国の一般市民や農村地域の人々の生活水準や金銭感覚を最もよく知っている日本人は青年海外協力隊であるとの指摘あり。この関連で、IFC(国際金融公社)の日本人職員がセネガル・ケニア等の青年海外協力隊員と連携して手がける「青年海外協力隊フィールド調査団」が紹介される。http://jocvmr.webcrow.jp/

4.アクションの特定 ~自分が、「月曜日からできる事」は何だろうか?

○ 社会問題を「自分事」として捉えるクロスオーバーの趣旨に鑑み、組織や社会に何かを期待する前に、自分自身が、明日からできることは何か、を議論。メンバー間で共有したポイントは下記3点。
① 所属する組織の中で貢献し、実績を作りながらも、違和感を失わずに、自らのテーマを追求すること、“自分の旗”を立てること、
② そのために、組織内外で共感できる人―同志、追いかけたい背中―師、を求めること。
③ 最近の若者はダメ、オッサンはアタマが硬い、巨大組織は官僚的で駄目、と決め付けず、楽観的な姿勢と好奇心を持つこと。

5.おわりに ~グループ・ディスカッションを振り返って~

○ ディスカッション終了後に各自記入したアンケートに刻まれた各人の想いは以下の通り
・「ローマの市場」とCrossoverのJoint Eventを実現させよう。
・日本も捨てたものではない。真剣に物事を考え、解決策を見つけようとする姿勢が素晴らしい。
・グループ・メンバーの個性や生き方を知ることができ、とても良い時間であった。
・問題意識を持つこと、物事を自分の問題として捉えるの大切さを思い出した。
・「探究心を持ち続けること」、「人とのつながりを大切にすること」の重要性を改めて認識した。
・沢山の気付きを得た。
・立場が違っても感じている問題意識が同じことに興味を持った。自分レベルでできることとして、仲間を増やしていくこと。Crossoverはその一つだが、所属する組織の内外で続けていきたい。
(以上)

文責:池田洋一郎

 


グループ2
コネなし、カネなし、カンバンなしでも社会起業?

ケース・プロバイダー : 植木 武志(所属:マーケティングコンサルティング会社)

1.導入 ~グループ・メンバーの顔ぶれ~

○ メンバー構成は、ケース・プロバイダー(会社員)・国家公務員1名・会社員2名・経営者1名・行政書士1名・医師1名・学生2名

2.ケースプロバイダーより ~このテーマを掲げた理由~

○ 社会に山積する問題を解決し得るモノ・サービスはあちこちで生まれていることを、現在の仕事を通じて感じている。しかし、それを事業として広めようとした時、直面するのはコネ、カネ、カンバンの問題。社会問題を解決するポテンシャルはあれど、理解されず、顧客がつかず、資金が続かず、消えていくモノ・サービスは多い。

○コネ・カネ・カンバンの無い人は、新しいモノ・サービスを広めることは諦めなければいけないのか?社会問題の解決は、コネ・カネ・カンバンのある人(=大企業、有名大卒、事業の成功者)に任せておけばよいのだろうか?あなたなら、カネ・コネ・カンバンが無いとすれば、どうしますか?

3.議論の流れ

○前半:「社会起業」およびその事業内容について議論
・何を以て「社会起業」とするか?の議論。一般的には、対象は介護、教育、貧困など。主体は、ボランティアやNPOなどの非営利組織がやるものというイメージがある。
・対象を途上国のBOPにするのか、国内の高齢者を対象にするのかで方法論は変わってくるし、どんなモノ・サービスを提供するのか、それが本当に有効なのかでも変わってくる。

○後半:「社会問題を解決するモノ・サービスが決まって、事業を立ち上げた」と仮定して議論
「コネ・カネ・カンバンは同列か?」
・カネは、中小企業向け融資やクラウドファンディングなど今や数多くのサービスがある。カンバンは、立ち上げ当初は無いのが普通であり、如何ともしがたい。しかし、コネの有無は、特に初期は、顧客層にリーチするための有効な手段であり、これが無いとなると事業の存続にかかわってくる。
「では、コネはどう作るか?」
・どんなに「コネがない」人でも、友人や同業者など、「とりあえず話は聞いてくれる人」はいるはず。直接の顧客にはならなくても、「私はこの問題を解決したい!」という熱意が伝われば、紹介やアドバイスをくれるサポーターになってくれるだろう。熱意を伝えるには、自らを包み隠さずどこまで曝け出せるかにかかっているのではないか。

4.グループ・ディスカッションを振り返って~

○ ディスカッション終了後に各自記入したアンケートに刻まれた各人の想いは以下のとおり(抜粋)。
・年代や業種も様々で新鮮な体験でした。
・“社会”起業の方に前半は引っぱられて、本論が短くなったのは残念。
・多様なバックグラウンドの方と議論でき、普段考えることのない知識、視点を伺うことができ、非常に楽しかったです。

5.おわりに ~ケース・プロバイダーの気づき~

○「社会起業」「コネ、カネ、カンバン」という定義があいまいな言葉を用いたため、前半は様々な議論が飛び交った。その中で、「社会起業とは何か?」については、改めて議論したいと思った。

○議論の中で、普通の人は「カネ、コネ、カンバンなんて持ってない」と思いがちだが、実は他の人から見たら「持っている」要素もあるのではないか、という気付きを得た。それは、決して大きなものではないかもしれない。しかし、「全く無い」のと「小さくてもある」というのは大きな違いであり、始めるには十分なものだ。

○「まずは友人」という発言があったが、自分自身が気付かないコネ・カンバンを気付かせてくれるのは、今身近にいる友人達ではないだろうか。
(以上)

文責:植木武志

 


グループ3
仕事や組織の価値を真に高めるIT化を実現するには?~

ケース・プロバイダー : 川合淳一(所属:合同会社ドリームオン代表/株式会社ブレンドシステムズ代表)

1.導入 ~グループ・メンバーの顔ぶれと問題意識の共有~

○ 冒頭、グループ・メンバーがそれぞれ名前、所属、ディスカッションに向けての目的意識を共有。

○ メンバー構成はケース・プロバイダー(自営業)に加え、自営業2名、国家公務員1名、大学教師1名(IT系)、会社員2名(コンサル1名、メーカー1名)、学生1名(商学部)。

○メンバーが日々取り組む業務はIT関係が多いものの、その切り口は、オフショア開発受託事業、情報化社会のまちづくり、企業内での発注業務担当、情報学科の教員、ベンチャーでのインターン、国の情報セキュリティ標準化の担当など多様。

2.問題意識の明確化 ~ITは変革を促すためにあり、変革は仕事や組織の価値を高めるためにある。

○ 冒頭、「激しさをます競争環境化にある企業、一層の効率化が求められる行政にとって、IT化促進の余地は大きい。しかし、変化に対する抵抗、リスクの回避、縦割りといった組織に見受けられる問題がIT化を阻害している。これらを乗り越えるには、何が必要だろうか?」との問題意識を提示。

○ ケース・プロバイダーより韓国の行政によるICT導入事例と、日本の最新事例を比較して紹介。メンバーからは、トレード・オフの関係になりがちな「利便性」と「セキュリティ」のどちらをどの程度優先すべきかに関して、異なる意見が出された。「セキュリティ」について議論を深めた結果、問題が起きた際の責任の所在が、欧米では個人におかれる傾向がある一方、日本では、組織全体(集団)に置かれる傾向が高いことから、リスクをとってイノベーションに取り組むことが難しくなってしまう、という見方が共有された。

○ 続いて、「企業内で既に利用しているITシステムはありますか?」という質問をケース・プロバイダーよりメンバーに投げかけ、それぞれの組織や仕事に活かせる事例があるかを確認した。結果、組織の規模や管理職のリテラシーに強く依存する傾向ことが判明。

○ 例えば、ソフトウェア開発会社の代表から紹介された、「通常業務でチームのモチベーションや効率化の向上に資するグループウェア」に対する、参加者の反応は様々だった。ベンチャー企業での勤務経験がある者からは、「便利そうだ」という共感を得られた一方、大手コンサル会社の参加者からは、「使いたくない人や用途を理解できない人に対しては、無理に導入しなくても良いのではないか」、という意見が出された。年配の会社代表者は「何が良いのか一向に理解ができない」という反応で、「もっと分かりやすいマニュアルや魅力的な画面なら検討しても良い」という受け身の姿勢が見られた。

○ こうした議論を踏まえ、「何のためにITを導入するのか」という目的共有の必要性が確認された。併せて、発注側が、開発会社に業務を丸投げするのではなく、業務改善のイメージを明確に持たなければならないこと、及び、表計算ソフトやマインドマップで要望を整理する方法が共有された。また、発注側の現場が、要件をまとめる段階でITシステム導入後のイメージを持つことの重要性が認識された。

3.議論のまとめ

① ITを提供する側の在り方:「組織内にはシステムを活用できず、必要性について理解しない人が一定数いる」という認識を欠いたまま、読まれもしない分厚いマニュアルや、使い勝手の悪いシステムを提供してはいないか?
→対応:単に機能を作るだけでなく、顧客が直面する課題解決に役に立ち、顧客が使いたくなるようなシステムを提供するべき。そのために、顧客の業務を深く理解するとともに、例えば客先に開発会社の役員を常駐させるなど、一丸となって課題に取り組む姿勢が求められる。
② ITを導入する側の在り方: 導入するシステムを、実際に、誰が何のためにどの様に使うのかがイメージできておらず、ベンダー任せになりがちとなっていないか?
→対応:ビジネスモデルや業務のイメージを作るところから現場を巻き込み、目的意識を共有することが必要。
③ 組織運営の在り方:問題が発生した際、欧米のように個人の自己責任で片付けることができず、組織全体(集団)に対する責任追及がなさせる傾向が見られる日本において、如何にイノベーションのためのリスクをとれるようにするのか?
→対応:単に欧米化、即ち個に責任をとらせることが適切で最善の解決策とは言えない。日本にもチーム・ワークといった強みはあるため、技術でカバーできない部分は保険をかけるなど工夫を要する。

4.グループ・ディスカッションを振り返って~

○ ディスカッション終了後に各自記入したアンケートに刻まれた各人の想いは以下のとおり(抜粋)。
・ITベンダー、取締役、学生、官公庁、それぞれの立場があり、学びが深まった。
・ITというワードがバズワードであり、そもそもの前提が共有されていないまま議論が進むということが見られた点から、ITを議論することの難しさを実感しました。加えて、ITの導入の難しさを世代が異なる方がいたからこそ、体験することができて良かったです。
・日常生活で出会うことのない異業種の方と議論をする機会を得ることができ、大変貴重な時間をすごすことができました。今回のグループテーマはITですが、私は専門家ではありませんが、ユーザーとしてもっと自身のニーズを明確化し、伝える準備をすることが全体のコミュニケーション不足を解消する1つの術ではないかと思いました。

5.おわりに ~ケース・プロバイダーの気づき~

ITの導入は重要であるものの、それ自体がゴールではなく手段である。複雑で絶えず変動する現代の業務に合わせたITを導入するのは非常に高度な要求となり、導入をする側の負担が大きい。そこで今年から「IT業界の産業革命」を自ら標榜するプロジェクトを立ち上げた。これはIT化の仕事の実績を定型化することで第二、第三の事例へと広めていくものである。今回のように出会った仲間と意識を共有し、学習しながらトライアンドエラーで挑戦し続けたい。
(以上)

文責:川合淳一

 


グループ4
母となって、父となって、働くこと、そして生きること ~草の根からの男女共同参画社会への実現に向けて~

ケース・プロバイダー : 斎川貴代(所属:IT企業)

1.導入 ~グループ・メンバーの顔ぶれと問題意識の共有~

○ 冒頭、10名のグループ・メンバーがそれぞれ名前、所属、趣味、ディスカッションに向けての問題意識を共有。

○ メンバー構成はケース・プロバイダー(IT企業)に加え、弁護士1名、高等学校教諭1名、会社員等7名(医療・医薬品関連企業2名、外資系自動車メーカー1名、電子・電気機器メーカー2名、IT企業1名、監査法人1名)。

○ 男女比は、女性6名、男性4名、年齢層は20代4名、30代4名、40代1名、50代1名。既婚者1名、未婚者9名。国籍は1名はインド、9名は日本。働きながら育児をしているロールモデルが組織にいないため、それらの認識を深めたいという方や、既に子育て経験があり奮闘した経験を持つ方等、本テーマに関する経験値も様々。

2.問題意識の明確化 ~仕事と子育ての両立について、日本における“課題”はどのようなものか。

○ まずケース・プロバイダーから問題意識の共有と、マクロの視点から各種統計データ(育児休暇取得率の各国比、家事の時間の男女比等)や行政・企業の施策、男女の意識に関するアンケート結果が共有された。
それに基づき、各参加者から、育児休暇を取得できないような雰囲気を持つ組織の経験談や、逆に育児休暇が取りやすく現在ベビーブームだという企業の話等所属組織によって多種多様な状況の共有がされた。

○ 議論の途中で、「そもそも結婚後も仕事を続けたいか」という根本的な問いかけが男性参加者からあり、肯定/否定両方の意見があったが、専業主婦を希望する参加者から「今のままの長時間労働で家事と育児を続けるのは厳しいため」という意見や「残業がたくさんあるわけではないが、仕事の内容が、定年まで働きたいという気持ちが起きないため」という意見が挙った。さらに、「専業主婦になりたいと思ったのはいつか」という問いかけに「社会人に実際になってみてから。学生時代はバリバリ働き続ける気持ちでいっぱいだった」というコメントも。
→両立ができないような勤務時間、仕事内容等、社会のデザインが男性向けになっている可能性が日本では否めないことがチーム内で共有された。

○日本では海外と比較すると、女性としての意見を求められたり、女性が上司等になると風当たりが強くなったりといった女性が特別視される傾向にあるが、一人の“人”として認識され、尊厳されることで、個として持つ才能が有効活用されるという議論がされた。

○人口の50%は女性。日本では6割の女性が結婚、育児により退職している事実を鑑みると、単純に考えても6割ほどの人が活用されないままとなっているという事実も認識すべきという意見も挙った。
→新たに生まれた疑問:先進国であり財政面でも発展途上国と比較するとまだまだ安定している日本でなぜ他国の良い事例を取り入れられないのだろうかという疑問が沸き起こった。

3.議論のまとめと今後のアクション〜自分がこれからできること何だろうか?

議論を通して出てきたキーワードは、「周りとのコミュニケーション」と「自分の意識の変革」。具体的には以下である。

(1)周りとのコミュニケーション:企業内の制度や、家庭内での役割分担について、何か課題を発見した時に、企業であれば会社の上司や同僚等、家庭であれば、パートナーとよく話すことが大切であるということ。
(2)自分の意識の改革
①「育児休暇が取りにくい」もしくは「家事と家庭との両立が難しい」と考え、行動を止めているのはもしかすると自分かもしれない。先入観や組織の雰囲気によって自分で自分の限界を作ってしまっている可能性がある。ただ課題や不満を言うのではなく、例えば「育児休暇を取ることで、自分がどのようなメリットを会社に提供できるか」をきちんと組織に提示していくことが大切である。
②また、「男性が育児のメインプレーヤーになる例」や「育児休暇を終えた女性社員を、育児を通して得た能力を評価しマネージャーに昇格する例」等、先入観にとらわれない新しい考え方や施策等も生み出していく柔軟さが大切である。

4.グループ・ディスカッションを振り返って~

○ ディスカッション終了後に各自記入したアンケートに刻まれた各人の想いは以下の通り
・様々な方が社会で活躍していることを実感。自分も現場で頑張ろうと思った。
・まさに自分の問題として制度に魂を込めようとする皆さんの意見に勇気づけられた。
・新しい多様な観点を得ることができて刺激的だった。
・自分にとっての当たり前の世界も他人にとっては当たり前ではなく、アプローチを変えれば、1歩進めるという可能性があることがわかった。
・見て見ぬ振りをしがちだけど、すぐに自分の問題として重要になってくる今回の話題について、違う環境、視点から議論することができ、社会の仕組み、自分たちの意識を変えていかなければならないことがわかった。
・自分が不安に思っていたテーマであったため、今回の議論で元気がもらえた。
・参加前は、女性が圧倒多数かと思いきや、男性の建設的な意見が多数出て、心強かった。
・様々な価値観に触れ、特に「女性」としてではなく「人間」として考えるという視点が面白かった。

5.おわりに ~ケース・プロバイダーの気づき~

議論を終え、自分の中での漠然とした「仕事と家庭の両立について、何かしなければ」ということから、「そもそも、自分自身が壁を作っていた」ことに気づき、「何か物事を良い方向に動かすには、相手のメリットを考え、提案していくこと」というシンプルだけれども、大切な点に気づくことができ、明日の行動に活かしていこうと思う。
(以上)

文責:斎川貴代

 


グループ5
「官僚はなぜ叩かれる?」~官僚は本当に悪なのか?

ケース・プロバイダー : 城真範(独立行政法人産業技術総合研究所)

1.概要

1.参加者
省庁職員、省庁内定者、業界団体職員、私立大学事務職、企業技術職、NGO 団体職員、学生(2 名)、就職活動中、独法職員(ケースプロバイダ兼ファシリテータ)計10 名の班であった。6 名が初参加であり、全体のうち女性は2 名であった。

2.大まかな流れ
ディスカッション大会2 日前よりメールにて順次各自の簡単な自己紹介を共有した。当日は、開始20 分ほどで全員が簡単な自己紹介。発表者と書記を決め、スケジュールについて周知。「官僚は叩かれているのかどうか」についてコンセンサス(官僚は叩かれている)を得たあと、それを前提として1 時間程度順に公平に話す機会をもつよう留意しながら、自らの体験、それについての意見等を自由に語って頂いた。1時間程度経過したあたりで中間まとめをした。その際、官僚、メディア、国民それぞれの課題点と改善提案が参加者より提示されたので、当該参加者にも発表に参加してもらうことにした。官僚の労働実
態が共有され、「官僚が弱者ではないか」というコンセンサスが生まれた。全体共有(発表)ののち、連絡用に作ったメーリングリストのその後について若干の話し合いを持った。
本テーマについて以下の意見が共有された。

2.参加者の意見(抜粋)

1 官僚とはなにか? 叩かれているのか?
・ノンキャリアとの差は?
若手の時は仕事に差はなし、30 過ぎると国会説明等の仕事が入り責任も大に。そして出世スピード、給与も変わる。
・なぜこのような制度(キャリア、ノンキャリアの差)があるのか?
明治の国づくりのためには必要だった、それが現在でも温存されているのでは差自体は悪いことだとは思わない。
・官僚それ自体が叩かれているのか、それとも政策の背景にある存在として叩かれているのか、2種類ある。
・褒められる記事が少ないのは?
マスコミ的にそれでは売れない→返していえば、「叩けば売れる」 では、それはなぜ?

2 なぜ官僚叩きがあるのか? 受けるのか?
・我々は官僚が褒められているのを見るのが嬉しくないそもそも、官僚は僕(しもべ) なのだから、よく働いたら、”よしよし”すべきでは?
・叩きやすいからでは?→それはなぜ?
役所は個人ではなく、ポスト、組織のみが見えるから。顔が見えないと叩きやすい。当たり障りがない存在として叩かれ役になっている。ドラマによる印象操作もあるのでは?

3 官僚は叩かれて当然? 官僚がやっていることとは?
・叩かれること自体は全て悪いわけではない。実際問題もあり、国民がそれを知ることができるから。
・チェック機能は重要で、その役割がマスコミにはあるが、国民はそれをマスコミに任せきりになっているのでは?
しかし、国民は全部を自分たちでやることはできないので、マスコミの役割が重要。
官の方で分かりやすく伝える努力をしていないのも問題では?
ある意味、マスコミに頼っている感がある(ex:記者へのレク、誤報でも指摘しない)、国会=国民として国会ばかり向いていて国民の方を向けられていない。
こうした情報に対する誤解すれ違いは、結局色々なことが複雑だから起こるのでは。

4 どうなれば、すれ違いがなくなるのか
・制度が複雑
中央省庁改革、公務員制度改革、行政の効率化、小さな政府による一元的な対応が必要。ただ、簡単にするのが難しい分野もあるのでは?
でも、そもそも国民はそんな高度な次元で叩いているのではないのでは?
・官僚が権力を持ち、あらゆる特権を享受しているという認識メディアはこうした側面ばかりを伝えている(ex:天下り、身分保障etc…)
しかし、多くの官僚は労働者としては、実は”弱い存在”なのではないか?
・理解しようとしないで叩いている国民の多くは、行政がどのように動いているかについて理解していない。
・でも、Crossover に集う人もまた「国民」であり、ではどうするのが良いか?
メディアの情報を疑うこと、自分で考えることが重要。
リテラシーよりもさらに根本にある、いわば民主主義の基礎を理解するような教育が重要では?

※本稿は書記担当の参加者S氏の議事録を参考にしました。ありがとうございます。
(以上)

 


グループ6
縦割りの弊害克服には何が必要か?~霞が関と永田町の現場から~

ケース・プロバイダー : 武木田雅大(所属:外務省)

1.グループ・メンバーの顔ぶれ

○ メンバー構成はケース・プロバイダー(公務員)に加え、国家公務員1名、地方公務員1名、会社員2名(都市銀行1名、マスコミ1名)、教師1名(国立大学所属)、学生1名(米国留学・経営系)。

2.ケースの提供~「縦割り」現象と霞が関における特徴

○冒頭、ケース・プロバイダーより、以下について説明。
① 霞が関での勤務経験を通じた「縦割り」についての個人的な経験の紹介
② 「縦割り」現象を分析する視点(役割分担・専門性・総合調整機能)
③ 霞が関における「縦割り」の特徴(分担管理の原則、人事・会計・法令面での独立性、役割分担と専門性の不一致、「鉄のトライアングル」の遠心力、総合調整機能の不足・分権化)
④ 縦割りの弊害を克服し、「国家国民のために働ける仕事」を目指すうえでのケース・プロバイダーの取組

3.身近に感じる「縦割り」とその問題点

○自己紹介を兼ね、各メンバーより「縦割り」に関する体験や問題意識について発言。
・「縦割り」は機能分担と同義であり、弊害が生じるのは設計図の誤り。
・政権交代後など「今までと異なることをやろう」とした際に問題が顕在化しやすい。
・公的部門に関わらず自分が所属する大組織でも同様の問題。横断的な組織の設立が一つの解決策。
・古い価値観・情報共有不足が壁。異なる3つの部門が連携して進めたプロジェクトが全く進捗しない。
・右肩上がりでなく取捨選択の時代に入り弊害が目立つようになってきている。
・自分の組織では「縦割り」の弊害を感じない。あらかじめ役割分担をきちんと決めておくことは必須。
・自分が関わっていた政官学連携プロジェクトはトップが交代した瞬間に停滞。リーダーの重要性を認識。
・大学(特に人文系)の領域では研究分野の細分化が進行し骨太な研究が減少。特に理系と比べ競争力減退。分野を超えまた社会との連携を進めるプロジェクトを推進中。「横断人材」の育成がカギ。
・米国では州政府と連邦政府の権限分担が非常に縦割り(大麻取締等)。他方で陸海空軍を統べる横断的なJoint Forceのような成功例も存在。

4.縦割り克服に向けた解決策①~制度面

○続いて「縦割り」を制度面から捉え、その解決のため用いられる「横断的組織」が機能する条件等について議論。
・ミッションの明確化。(ex.「まちづくり」=抽象的、共有困難 ⇔「高齢者の買物支援」=具体的、共有容易
・同様に責任の所在の明確化も重要。そして最終的には組織を率いるリーダーの資質が決定的要素。
・自分の組織では財務企画部の巻き込みが成功に繋がった。財政当局の巻き込みが重要。(ex.経済財政諮問会議)
・市民にとっては「どこが担当か」は無関係。企画調整課が「原課の意見を尊重する」という姿勢では困る。

5.縦割り克服に向けた解決策②~意識面

○続いて「縦割り」を意識面から捉え、解決策について議論。
・「縦割りの弊害克服」よりも「国家国民のために働ける仕事」を如何に実現するかに思考の重点を置くべき。
・コミュニケーションの円滑化のための「物理的な壁の撤廃」が重要。(ex.アップル新本社計画、東大柏キャンパスIPMU棟(らせん階段)、Google本社、ぶち抜きの大部屋)
・Informalなコミュニケーションが発生する工夫が必要。(ex.タバコ部屋のひそひそ話、管理職の社外ネットワークの構築(executive manager講座)、自由時間割当て(google、勤務時間の20%)、SNS等)

6.グループ・ディスカッションを振り返って~

○ ディスカッション終了後に各自記入したアンケートに刻まれた各人の想いは以下のとおり(抜粋)。
・自分と同様の問題意識を持っていらっしゃる方が多いことに勇気を抱いた。
・職種に偏りがなく良い班に恵まれた。仕事が違っていても共通の考えが見いだせた。
・縦割りの弊害克服に向けた具体的な方策や、問題の本質に迫ることができた。

7.おわりに ~ケース・プロバイダーの気づき~

「縦割り」は組織一般に見られる現象であり、制度面でも意識面でも克服のための手段や方策については官民問わず相当程度問題意識が共有されていると感じた。今回の議論の成果を踏まえ、今後は霞が関における「縦割り」固有の特徴について更に深く分析することに力点を置いて、自身の活動に活かしていきたい。
(以上)

 


グループ7
社会・時代のニーズにあった医療従事者を育てること-医療側への皆さんの期待-

ケース・プロバイダー : 田中健一(所属:北京天衛診療所)

1.導入 ~グループ・メンバーの顔ぶれ~

○ メンバー構成は、ケースプロバイダー(歯科医師)・会社員5名・医師1名・学生2名

2.ケースプロバイダーの問題提起~

《問題提起》
35歳女性、家族は夫に3歳の子1人の家族構成、顎の腫れのため知人の勤務する病院を受診、2度の検査をするものの腫脹は陽性(悪性ではない)だった。そのため通常通りの手術でその腫脹部を摘出し、検査をしたところ悪性、つまりガンだった。さらにガンの中でもその種類のガンの発生頻度が1%以下のマレなものだった。私の知人は、この患者にガンに転移があると、生死に直結するので、自己負担を伴うものの、ガンの転移の検査をすすめた。
しかし、この患者は金銭的な理由から検査を受け入れようとしない。この知人からどうしたものでしょうか?という相談をもらった。あなたが担当医であったらどのように対処しますか?まずはこれをcase studyとして議論を始めた。

3.議論の流れ

医学の枠を超え、文化的側面が色濃く反映しています。まず、だされた意見は「患者を説得する」ことです。それに対して「患者の意思を優先する」とする反論もだされました。さらに、情報に非対称があるため「予防教育を推進する」や「人間関係を作るよう話し合いを継続する」といったように各人各様の意見がでました。前の2論は現在まさに行うべき対応であり、後の2論は未来に行う対応です。
さらに、善きことをなす、倫理的に正しいことをする、という意見がだされたところで、それではこの場合の善きことは具体的にどのようなことなのだろう、そして、その善きこととは患者と医師の間で同じことなのだろうか?という根源的な問いもだされました。同じといえば、同じ医療職であっても、職種により善きことが異なる、という意見もだされました。
糖尿病の患者に対して、生活環境や食習慣の改善により体質改善を試みる管理栄養士と、食べたいものを制限までして体質を変えるより、薬物の服用に頼って苦痛を与えない、という医師との間で一つの疾患であっても対応が異なる場合が間々あるという意見もだされたのです。

4.グループ・ディスカッションを振り返って~

今回のケースについて、

1.説明した後は患者の意思を優先する
2.患者を医師が善かれと考える方向に説得する
3.人間関係を作るよう話し合いをもつ

など立ち位置が全く異なった中でも、予定調和にならず、自分の意見を言えることがcrossoverの良いところだと改めて認識しました。医療従事者を養成する教育が、他職種と比較して異なった土台に立っているのでは、という意見がファシリテーターとして出ることを期待したのですが、それはでないままで議論は終えました。
考え方の相違は受けてきた教育に由来するのでは、という論点にはっきりと持ち込めないまま議論が終えたので、改めてファシリテーターの難しさを認識した今回のディスカッション大会でした。

5.おわりに ~ケース・プロバイダーとしての気づき~

1.一つのケースにしても非常に多くの見方があるということ。
2.現場だけで答えのでないものに対して、より広範囲に情報を発信すれば、様々な答えが戻ってくるということ。
3.世代の枠を超えて、フラットな立場で話し合いができるということ(当初、世代間に埋められないギャップがあるのではと思っていたので)
(以上)

文責:田中健一

 


グループ8
イイ企業ってどんな企業? ~地域経済の担い手は、地域の中小企業~

ケース・プロバイダー : 田中宗介(所属:経済産業省)

1.導入 ~グループ・メンバーの顔ぶれと問題意識の共有~

○ 冒頭、7名のグループ・メンバーがそれぞれ名前、所属、趣味、ディスカッションに向けての問題意識を共有。

○ メンバー構成はケース・プロバイダー(国家公務員)に加え、メーカー勤務や金融・保険業界、ポスドクまで様々。

2.問題意識の明確化 ~社会人、企業人としての「やりがい」は何か。

○ まずケース・プロバイダーから問題意識の共有と、関連する資料(日本の経済・社会構造の変化や、地域経済における中小企業の経済的役割等)や地域社会に貢献する中小企業の事例を紹介した。

○ 参加者からは、自身の経験や所属企業との関係から、「雇用を守る企業が良い企業ではないか」「長く事業を続けている企業は、一定の付加価値を生みだし、適度な利潤を確保しており、良い企業ではないか」といった意見が出された。一方で、企業の厳しい実態もあるのではないか、という意見も出された。例えば、「中小企業が将来を考える余力を失っている」「地方では会社を興す環境が弱く不利」「既存の流通網に後から参入しにくく、敏腕経営者も少ない」といったもの。

3.議論のまとめ

○ 議論を通して出てきたキーワードは、「付加価値」「やりがい」「教育」。
→ 「付加価値」
安定的な企業経営や、継続した雇用の場の創造のためには、利益確保が必要。そのためには、イノベーションを起こし、付加価値を生み出す必要がある。そして、付加価値を生み出せること、その付加価値で社会に貢献できることが企業の存在意義。
→ 「やりがい」
イノベーションを起こし、付加価値を生み出すためには、人材がカギ。与えられたことをこなすのではなく、自ら考え・動く人材が付加価値を生み出すはず。そして、経営者は、従業員のモチベーションを作ることが最大の仕事。
→ 「教育」
人材の生まれるところは「教育」であり、個性やチャレンジ精神が育まれる場でもあるはず。しかし、日本の教育制度は閉鎖的で一本道的ではないか。学び直しや起業など、本来、いろんな選択肢があるはずなのに、「従業員になる」が多すぎる。こんな雇用に意味があるのか。やりがいを感じ、付加価値を生み出せるのか。就職したって、1社目はどこでも良いのではないか。合わなければ辞めれば良い。

4.グループ・ディスカッションを振り返って~ 

○ 異業種・異分野で日々活躍するからこそ、生まれた意見に、今回も「気付かされた」。一人で考えていては決して出会うことの無い意見、知見、経験談。
(例) カトリック教徒にとって、「仕事=罰」。仕事がやりがいになるという考え方は、欧米では受け入れられないのかも知れない。ただ、契約関係だけで仕事をしていれば、日々のカイゼンが生まれるようなイノベーティブな職場を作り出すことは難しいのではないか。だからこそ、グーグルやフェイスブックのようなクリエイティブな会社は、職場環境もコミュニケーションが自然に生まれるようなものにするのではないか。

○ 参加者の受け止め方(アンケートの記載事項(抜粋))
・「仕事のやりがい」について、そもそも定義が明確でなく「やりがいを持てる環境作り」が重要だと認識できた。
・自分で工夫をして、「やりがい」を見つけなければならない。
・議論が発散的になったが、3つのキーワードから更に深掘りができると良かった。
(以上)

文責:田中宗介

 


グループ9
業務効率化でのチャレンジ ~現状維持からでは新しい価値は生まれないのでは~

ケース・プロバイダー : 田中里沙(所属:横浜市)

1.導入 ~グループ・メンバーの顔ぶれと問題意識の共有~

○ 冒頭、9名のグループ・メンバーがそれぞれ名前、所属、趣味、ディスカッションに向けての問題意識を共有。

○ メンバー構成はケース・プロバイダー(公務員)に加え、団体職員1名(福祉系)、会社員等6名(コンサル1名、外資系メーカー1名、元メーカー1名、製造・販売業2名、研究職1名)、学生1名(政治経済学部)1名。

○ 職業の多様性に対し、メンバーの所属では、ITシステムの活用による効率化、品質保証・効率化等このグループのテーマに関連する方も数名。

2.問題意識の明確化 ~業務効率化での課題は何か。自分ごととして考えると?

○ 行政改革・業務効率化とは、ハードな行革(事業見直しや借金削減等)に加え、ソフトな業務効率化(利用者の利便性を高めるためにベストパフォーマンスで業務を効率的に行う)があり、後者を議論。

○ プロバイドケースの具体例:全国の地方公共団体のICTを活用した業務効率化の例(検討中を含む)
①タブレット活用:紙媒体を電車データで持ち歩くことでペーパーレス化が可能となることや、タブレットの各種アプリを活用し、従来用いていた各種機能(例:測定、写真、情報共有等)を1つの媒体で対応することでコスト削減や事務の効率化を達成。
②クラウド活用による情報共有:在宅医療の例では紙媒体では2者間でしか情報共有できなかったが、クラウドを活用し複数の医療従事者が同一の患者の診療情報を共有し、効率的に治療やケアを可能とする。
→ 取組み易いと思われるかもしれないが、慣れている紙媒体の方を好む、現状の業務フローを変えたくないといった意見がある。

○ 業務効率化とは何か。組織はなぜ業務効率化が求められるのか、現状維持からの転換を阻む壁は何か、自ら取組むことができることは何か。

○ ケース・プロバイダーから参加者へのクエスチョン
①あなたが、所属する組織で感じる業務効率化すべきことは何ですか?
②そこであなたができることは何ですか?

3.議論のまとめ

① 業務の属人化:非効率な例として、部署別採用や専門性が求められる業務の場合、業務が属人的になり、代替性が効かない、又は部署がまたがるプロジェクトの場合効率的に進め難い。
→対応:人事交流やマニュアルの引継ぎをしっかり行う、業務内容(フロー)の数値化、見える化を行う。
② 紙文化:日本は印鑑文化があり紙への信頼が強いため、電車決裁等の電子化が導入されても、紙での確認を行っていて非効率。
→対応:文化の壁を認識し意識改革を行い、サイン&電子証明を取入れる等の行動に移すことが必要。
③ ICT化の促進:なぜICTを活用した業務効率化を進めるためには。
→対応:各人が当事者意識を持つ、明確なビジョンと定量化したメリットを関係者で共有する。働きかけ役がKey personを巻き込み、問題意識を共有する(face to faceが大事)。

4.グループ・ディスカッションを振り返って~

○ ディスカッション終了後に各自記入したアンケートに刻まれた各人の想いは以下のとおり(抜粋)。
・もう少し問題の本質に切り込んで議論を展開できれば良かった。
・まずは、文化に疑問を持つ、なぜその文化があるか考える事が業務効率化の一歩になると感じた。
・自分自身の意識の持ち方や考え方をしっかり明確にして、今後の会社での取組に行かしていきたい。
・企業や団体によって様々な壁があることが改めて分かった。

5.おわりに ~ケース・プロバイダーの気づき~

官民の分野は違えど共通する課題や解決手法があり、各人がテーマを自分事として捉え考えられたのでは。不足点としては問題の本質に関する議論であったことを問題意識として、明日の行動につなげていきたい。
(以上)

文責:田中里沙

 


グループ10
イノベーションを起こす国とNGOの協働~

ケース・プロバイダー : 柚木理雄(所属:農林水産省/芸術家の村)

1.導入 ~グループ・メンバーの顔ぶれと問題意識の共有~

○ 9名のグループ・メンバーがそれぞれ名前、所属と現在の活動、参加した理由や問題意識を共有。

○ メンバー構成はケース・プロバイダー(公務員)に加え、NPO職員、研究者、教員、経営者、会社員、学生と多様。一方で、バングラデシュに縁のある者が過半数の5名という構成。

2.話題の提供 ~イノベーションを起こす国とNGOの協働って?~

○ 芸術家の村では「人・場・金」を整え、持続的な活動の実現を目指している。

○ 芸術家の村で実際に活動をしてみて感じたこととしては、要件の厳しい補助金で政策目標を達成するのも重要だが、がんばったNGOを表彰するなど、イノベーションを起こすNGOのやる気がでるような支援がほしい。お金もかからないので、幅広く支援し、自主性を尊重してほしい。
→ 阪神大震災、東日本大震災、三重県、バングラデシュ、農業などの具体的な事例を交えて議論。

3.議論のまとめ

○ 国とNGOの役割。国は大きな制度を作ることができる。NGOは国の手が届かないようなことができる。

○ NGOが国から補助金を受けると、国の影響を受け、本来目指していた活動ができなくなることがある。一方で、補助金を受けるために様々な要件を満たそうとすることで、NGOの組織が整う場合もある。

○ 当初はNGOの活動と国の目標と合致していなくても、NGOが事例を作り国の制度になることもある。

○ NGOは事例を作る。国は、事例を作る支援をし、事例を集め、制度を作る。

○ 規制がイノベーションを促すような場合もある(サッカーは手が使えないから足技が発達)。

○ 国際的には、ソフィアスタンダード(何人いるからトイレは何個必要のような基準)も作られている。

4.グループ・ディスカッションを振り返って~

○ ディスカッション終了後に各自記入したアンケートに刻まれた各人の想いは以下のとおり(抜粋)。
・自分のよりしたいことができる「道」があるのだと気付かされた。
・グループ内でのディスカッションが拡散したので最後の発表が難しかった。
・じっくり話をする、聞くが重要であると実感。
・様々なバックグラウンドをもった人と具体例を含めた議論ができて充実していた。

5.おわりに ~ケース・プロバイダーの気づき~

様々なバックグラウンドをもったメンバーとの議論で、具体例も含めて大変勉強になった。今回の議論では、国とNGOのみを取上げたが、企業や地方自治体等も含めてさらに議論をしてみたい。
(以上)

文責:柚木理雄

 

 

貧困削減と持続可能な成長に向けて ~日本とフツーの日本人が出来ること~

Crossover異業種ディスカッション大会

 

 

貧困削減と持続可能な成長に向けて

~日本とフツーの日本人が出来ること~

 

 

開催報告

 

 

~スタッフ代表より全体総括~

 

1.全体を通して

7月9日(土)に世界銀行の東京事務所にて、「貧困削減と持続可能な成長に向けて ~日本とフツーの日本人が出来ること」のテーマで今年3回目となるディスカッション大会を開催し、100名以上の方々の参加を頂きました。
ご参加頂いた皆さん、有り難うございました!

今回のcrossover21は、貧困や格差、エネルギー問題といった地球規模の課題や、同じ空の下で私達とは全く異なる境遇にある人々と、私達自身との「つながり」を考える場でありました。

同時に、久保田・佐藤・福嶋・池田の4名のスタッフのそれぞれの旅立ちに向けた所信表明と、これからCrossover21を引っ張っていく、田中宗介、大谷竜2名の副代表、そして事務局長の東慶一へのバトンタッチを会員の皆様と共有させて頂きました。

そのような場において、私自身が改めて感じたのは、Crossover21が、そこに集う人々が、初志を思い出し、組織における枠組みや役割を超えた柔軟な志向と軽いフットワークを忘れないための「サプリメント」であるということです(アンケートでは「Crossover21は“心のサビ落としの場”です」と表現してくださった方がいらっしゃいました)。

Crossover21という「非日常空間」を共有した一人ひとりが、そこで得た気付きや新しい人とのつながりを、それぞれの本業や生活という「日常」をより一層意義のあるものとするために活かしていけば、きっと社会を変える原動力となる「人財」へと自己変革をしていくきっかけになるのではと思います。

以下では、ディスカッション大会の概要です。
プレゼンテーション資料や写真とともに、ディスカッション大会を“追体験”して頂ければ幸いです。

2.第一部 ディスカッションについて

(1) スタッフからのメッセージ

・冒頭、スタッフを代表して「地球サミット2012Project Japan」の代表としても活躍中の佐藤正弘からのメッセージとして、10年前Crossover21を立上げた際の想いとVisionを会場の皆様と共有しました。

・Crossover21の原点は、池田・佐藤が官庁への就職活動の際に痛感した「霞ヶ関の縦割り打破の必要性」だけでなく、佐藤が学生時代に実施した「阪神淡路大震災の復興に関わった200名の人々との対話」にありました。対話を通じて、必ずしも大きな企業や官庁に勤めてはいないけれど、「自分が今出来ることを通じて社会を変えよう!」と言う想いを持つ人々のパワーに圧倒的されました。

そして、「こうした人々に光が当たり、彼らこそが、社会問題を解決していく原動力となるような、そんな社会を創りたい」との強い想いが形になったのがCrossover21です。

・私達が日常生活やビジネスを通じて接し、大切に思う人々は、概ね半径3メートル以内に居る人々です。しかし、「社会を変えよう」という想いを持つ人々は、例えば遠く離れた里山のふもとに、あるいは地球の裏側にいる。

自らが大切に思う人々で構成される半径3メートルのサークルから突き出た“いびつな”突起のような繋がりを、そうした人々とつくりたい・・・知識のぶつけ合いではなく、生き方の共有・共感を通じて、つながりを深めたい、そんな想いが形になったのがCrossover21です。

(2) スタッフからのプレゼンテーション

プレゼンテーション 1 スライド   2 参考資料

・今年8月から世界銀行の職員としてバングラデシュの現地事務所に赴任予定の池田より「Global Issuesの解決に向けて、~日本人が世界との「つながり」を見出し、協働していくには~」とのタイトルでプレゼンテーションを行いました。

・プレゼンテーションでは、「様々なリスクが瞬時に伝播し、互いに影響を及ぼしあって巨大な危機に変容する」世界の状況をレビューするとともに、JICA作成のビデオ「一人じゃ生きられない日本(http://www.jica.go.jp/world/interdependence/izontaikoku/index.html)」を共有して、
– 「私たちは皆、一生顔を見ることも無く、その言語も解さず、その名を聞いても分からないような人々の判断や行動に大きく影響を受けており、そうした人々もまた、私たちに影響を受けている」中にあって、
– 「一方的な依存や搾取ではない「つながり」を創るために、世界(他者)とどのように協働していけるのか?」
– 「そのために、日本は、日本人は、自分自身は 何が出来るだろうか?」
との問題意識を共有しました。

・その後、「可能性と挑戦に満ちた国」「グローバル・イシューの縮図」と言えるバングラデシュの概況を紹介。その中では、ダッカの様子をビデオに収めたyou tube動画も共有しました。

http://www.youtube.com/watch?v=Z5p_8_nUg44&feature=related

・続いて、バングラデシュで「フツーな日本人が生み出すフツーでない5つのエピソード」ということで、以下を紹介。

① マザーハウス
http://www.mother-house.jp/

② E-education
http://eedu.jp/

③ JICAの防災プロジェクト
http://www2.jica.go.jp/ja/evaluation/pdf/2002_0511105G2_4_s.pdf

④ Soket
http://www.soket.me/index_j.html

⑤ 北海道大学歯学部 冒険歯科部
http://idah.choitoippuku.com/about.html

・最後に、バングラデシュの世銀のオペレーションの概要を紹介するとともに、池田自身の目標、「バングラデシュでマクロ-ミクロの壁、セクターの壁、国益の壁をCrossoverする」を共有しました。

・その後の質疑応答では、「先進国が歩んできた経済成長至上主義の過ちをバングラデシュ等の途上国が避けるために何が必要か」、「保健・医療の分野で世銀はバングラデシュで如何なる取組みをしているのか」、「汚職防止のために何が必要か」といった議論が行われました。

(3) グループ・ディスカッション、プレゼンテーション

・グループ・ディスカッションに先立ち、スタッフ11名がそれぞれの問題意識に基づく、以下のテーマについて1分間のショート・スピーチを行い、参加者の皆さんに興味のあるグループを選んでいただきました。

①「世界がもし100人の村だったら?」 ロールプレイ ~村人になって、ともに生きる道を探しましょう~

②「このままじゃ本当にいけないの?」 ~エネルギー問題の今と未来~

③「何ができるか」から「何をしたいか」へ ~フツーの日本人の世界へのつながり方とは~

④ 働くことの意義とは? ~あなたはバングデシュの縫製工場で、圧倒的低賃金で働くことができるか?~

⑤ リーダーシップについて、頭とハートで考える ~ ある日突然日本が「最貧国」に・・・あなたはどうする?~

⑥ 女性へのエンパワーメントによる自立的発展へ ~ 教育で人口問題は解決で出来るのか?~

⑦ バーチャル1日教師体験 in 日本&バングラ ~一日だけ日本、そしてバングラの中学校で教壇に立つことになったあなたは何を伝えますか?~

⑧ 世界の地図を手のひらに・・・ ~ 諸外国に対する視野を広げて自分の知らない世界の国々を知ろう ~

⑨ そろそろ「援助」止めませんか? ~ 必要なのはドルじゃない、ジョブだ!~

⑩ 震災復興と途上国開発をつなげて考える ~ コミュニティ作りと連動したインフラ整備とは?~

⑪ 30年後もバングラデシュに信頼される日本でいるには?

・約90分のグループ・ディスカッションの内容を、各グループが模造紙にまとめ、会場全体で共有をしました。

(4) 今後のCrossover21の体制について

・久保田、佐藤、福嶋、池田が東京を離れるのを期に、Crossover21の体制を、田中宗介(経済産業省)、大谷竜(産業技術総合研究所)の2名の副代表が牽引しつつ、東慶一(東芝)が事務局長として活動の基盤を創る、との新体制が発表されました。

・併せて、今後のCrossover21の活動予定として、
① 2012年6月の地球サミットで採択される文書に、日本の若手の声を反映させるべく、Crossover21スタッフである川島吾一がリードしている「Next Economy研究会」のレポートをたたき台に、「持続可能な成長」に向けたブレーンストーミングを実施する、
② 「あなた(=社会人)は何故今の職業を選んだのか?」「あなた(=学生)はどのような想いをもって職業を選択するのか」をぶつけ合う「学生―社会人のCrossover」、が共有されました。

3.第二部 懇親会について

・冒頭では、第一部の総合司会を務めた識名由佳より、なぜ、コンサルティング会社を辞めて、NPO(Learning for All)の職員として中学校の教壇に立つことを決意したのか、Crossover21のスタッフとしての活動が、その決断にどのような影響を及ぼしたのか、といった点について語り、乾杯の音頭を取りました。

・その後、第二部より参加してくださった、バングラデシュの起業家、ロニーさんより、日本とバングラデシュのつながりについて、ユーモアたっぷりにお話いただきました。
(ロニーさんのブログはこちらです → http://www.pleiades-group.com/blog/rony/crossover21/

・第二部の最後には、これから新しいフィールドに旅立つ4人に、crossover21スタッフより花束のサプライズ・プレゼントが贈呈され、約100人の参加者皆で、集合写真を撮りました。その後、約40名が二次会に移動し、新橋の居酒屋で日付が変わるまで、語り合いました。

官民協働ネットワーク Crossover21
スタッフ代表 池田洋一郎

再発見! 世界の中の日本、日本の中の世界 ~日本の、日本人の真の強みは? 課題は? 国際社会における日本の、日本人のアイデンティティとは?~

再発見! 世界の中の日本、日本の中の世界 ~日本の、日本人の真の強みは? 課題は? 国際社会における日本の、日本人のアイデンティティとは?~

Crossover異業種ディスカッション大会

 

 

再発見! 世界の中の日本、日本の中の世界

~日本の、日本人の真の強みは?課題は?
国際社会における日本の、日本人のアイデンティティとは?~

 

 

開催報告

 

 

~スタッフ代表より全体総括~

 

1.全体を通して

「再発見!世界の中の日本、日本の中の世界」とのコンセプトの下、日本で学び、働く外国人の方々も交えて2月11日に開催した「第10回異業種ディスカッション大会」。当日は雪の降る中、約140名の方々にご参加頂きました。

参加者の職業を見ると、様々な企業で働くビジネスパーソン、NGOやNPOで活躍するスタッフ、自治体・中央省庁で働く公務員、国会議員の政策スタッフ、弁護士、医師、会計士の方、小学校の先生、ジャーナリスト、企業経営者、ソーシャル・アントレプレナー、大学の職員、技術研究所の研究員、そして学生などなど実に多彩。

参加者の年齢も、20代、30代を中心に、高校生から定年退職後も社会活動に汗を流されている60代の先輩方まで幅広い年齢層が肩を並べて語り合いました。

上記の通り、今回は、Crossover21としては初めて、在日の外国人の皆さんに参加頂くべく、広くお声掛けをしてきました。その結果、中国、韓国、ミャンマー、インドネシア、インド、タイ、アメリカ、オーストラリア、ドイツ、ルクセンブルク、ギリシャ、スイス、ルーマニア、ケニア、コートジボワール、ナイジェリアと16カ国から約40名の外国人の皆さんに参加頂くことができました。

冒頭、スタッフを代表して私からプレゼンテーションを行いました。その中で、Crossover21のビジョンとして、「政治や行政だけでなく、企業、NGO/NPO、大学、メディア、シンクタンク、そして何より個人が、協働し、競争しながら、よりよい公共サービスを提供し、そして社会問題解決の担い手となっていく「政策市場」の実現」を掲げました。

そして、これを追求するためには、一人一人が、「会社/大学/世の中/日本/世界は、どうせ変わらない…/政治・行政はけしからん」という受け身の姿勢ではなく「自分の身の回りの世界から変えてみよう」という積極的な姿勢を持ち、さらに「自分は“会社員”ではなく、“社会員”なのだ」という意識を持って、日常を変えていけるパワーや共感を得ることのできる、「非日常空間」としてのCrossover21の異業種ディスカッションの意義を強調しました。

また、プレゼンテーションでは、その後に続く議論のたたき台として、「日本の強み・弱み」について、

① 事前に参加者の皆さんからアンケートで伺ったご意見、
② 1月末のダボス会議で提示された「Global Competitiveness Report」における日本の評価、
③ 代表的な知日派知識人である、ジョセフ・ナイ、
エズラ・ボーゲル両ハーバード大学教授の指摘、

等を紹介しつつ、「日本の強み・弱みを再発見」するための素朴な疑問、例えば、

① 日本人の宗教は?
② 日本で電車が時間通り来るのはなぜ?
③ 「音姫」はなんのため?
④ なぜ、自動販売機が町中にあるの?

といった問題提起をし、参加者間のダイアローグを行いまいた。

2.第一部 ディスカッションについて

140名の参加者は、事前に頂いた希望を踏まえて、一グループ10名前後の小グループに分かれ、2時間半のグループ・ディスカッション・セッションに臨みました。

ディスカッションでは、

① 日本人・日本組織の働き方、②教育の在り方
③ 安全保障分野での貢献
④ 製品・サービスの安全・安心へのこだわり
⑤ 医療や福祉の在り方、⑥各種インフラの整備
⑦ 環境分野での貢献、

といった内容について、日本人が海外に出て日本をどのように再認識したか、外国人が日本に来て、母国との比較で、日本がどのように映ったか、という視点を交えつつ議論をしました。

日本が「失われた20年」の中にあると言われ、今後も少子高齢化やデフレーションという構造的なダウンサイジングの中にあって、その弱みや課題ばかりが強調されがちではありますが、ディスカッションの中では、

「日本では当たり前のことが、実は世界では稀有の強み・資産なのではないか」
「日本が直面している課題は、中国やインドといった新興国も含め、世界中の国々が今後直面する課題。そういう意味では、日本は「課題先進国」と言える。日本人が、外国人の知恵と手も借りながらこうした課題と真正面から向き合えば、「課題解決力」を世界に提供できるのではないか」

といった発想の転換を共有しました。その上で、

「日本が持つ資産を活かすも殺すも人材次第」、
「また、世界中の人々が「働きたい、学びたい」という国にするには、外国人の生の声に耳を傾けることが不可欠」

との問題意識で、参加者一人一人が主役となって、問題意識や問題解決のためのアプローチや発想法をぶつけ合いました。

あっという間に過ぎた2時間半のディスカッションに続き、13のグループが、壇上に立って、模造紙などを使いながら、グループでの議論の結果を共有する「3分間プレゼンテーション」を行いました。

3.第二部 懇親会について

今回は、第一部に参加された方の9割以上が懇親会にも参加されました。

懇親会の目玉は「お国自慢大会」と「日本の強み・弱みクイズ」。「お国自慢大会」では、インド人による歌と東海道五十三次の暗唱?!、ミャンマー人による故郷の歌の熱唱、中国人による太極拳の披露、オーストラリア人による気迫漲る体道、そして、日本人による剣道や合気道の披露と、大いに盛り上がりました。

その後「日本の強み・弱みクイズ」では、参加者が5名程度のグループを作り、日本の強み・弱みについて、スタッフが調べ上げたマニアックな情報を元に作ったクイズに頭を悩ませました。

懇親会は20:30に終わりましたが、その後も熱気冷めやらない約60名の参加者で、茗荷谷駅前のレストラン「バンビ」を貸切って、日付が変わるまで語り合いました。

4.総括

もっとも印象的だったのが、日本人も外国人も、参加者一人一人が、意識が極めて高く個性的でな「濃い人財」ばかりであったこと。
各分野で活躍する濃い人財があれだけの数集まり、そして時間の経過を忘れて議論するというのは、「日常を相対化し、新しい発想や意欲の源となる「非日常」に我が身を浴したい」という「渇望」を持っている人財が非常に多いということではないかと感じました。

その人財同士がつながり、人間関係を深めていけば、将来、社会を、そして一人ひとりの人生を、ポジティブな方向に変革していく上で、あるいは、思わぬ災禍に見舞われた際に、それを乗り越える上で、大きな力になるのではと思っています。

Crossover21は今後も、そんな人財たちが集い、お互いをinspireし合えるような「触媒」であり続けたいと思っています。

官民協働ネットワーク Crossover21
スタッフ代表 池田洋一郎

 

 

~各チームのグループディスカッション概要~

 

A. ここがスゴイ!ここがヘンだよ! 日本の職場・日本人の働き方
川合淳一 (ブレンド・システムズ代表)

B. 日本の大学を世界の人が学びたい!と想う場所にするには?
東慶一 (立教大学大学院生(物理学専攻))

C. 地球の未来のために、日本は伝統や先人達から何を受け継ぐべきか?
佐藤正弘 (地球サミット2012Japan、InterGreen、金融庁)

D. 日本が世界と協働して、持続可能な社会を創るには?
川嶋悟一 (持続可能な社会プロデューサー、内閣府)

E. アジア・世界の平和構築に向け日本は安全保障で何をすべきか?
川田慎也 (防衛省 (内閣府出向中))

F. 国際社会で通用する人財を創る、人財となる!には何が必要か?
池田洋一郎 (財務省)

G. 日本のインフラは世界に輸出できるのか?
大谷竜 (産業技術総合研究所)

H. 日本の医療、日本の社会保障制度の強みと弱みとは?
田中健一 (北京天衛診療所)

I. 日本人・日本社会は「安全・安心」に拘りすぎなのか?
田中宗介 (経済産業省)

J. グローバル化する日本と在日外国人の活躍・貢献について
金桂紅 (コンサルティングファーム)

K. 「来て見て分かった、出て見て分かった日本の強み、弱み、とは?」
加藤ヒゲ康広 (玉川大学脳科学研究所)

L. 「来て見て分かった、出て見て分かった日本の強み、弱み、とは?」
中野和美 (金融機関)

M. 国際社会で通用する人財を創る、人財となる!には何が必要か?
福嶋慶三 (環境省)

 


A.ここがスゴイ! ここがヘンだよ! 日本の職場・日本人の働き方

1.全体の流れ

○ まず「ここがスゴイ!」と「ここがヘン!」を各自が発言。それを日本の職場のイメージと合わせて付箋に記載。
○ 上記「スゴイ」と「ヘン」について、模造紙に原因と結果に分けてプロット。
○ その後、原因と結果を、時代の変遷と合わせて列挙。
○ 最後に全員で結論を共有・議論した後、発表。

2.「スゴイ!」で挙がった日本の職場の特長

① 品質管理の徹底さ(細部まで完成度を高める、ルールを守る、期待値よりさらに上を求める)
② 温泉文化(思いやり、ホスピタリティがある。空気を読むことを求められる)
③ 成熟さ(各自の能力が高い)

3.「ここがヘン!」で挙がった日本の職場の特長

① 部分最適 (細かいところに拘りすぎる、プレッシャーが高い、詰め込みが過ぎる)
② 保守的(和を乱すと疎ましがられる、敗者復活が難しい、男女参画の意識が薄い)
③ 非効率、遠回り、神経質(お金の話がしにくい、挨拶が過度だが、怠ると無礼だと言われることがある)
④ 幸せを感じていない(欝や自殺が多い)
⑤ コミュニケーションに問題がある(分からないことを聞かない、聞けない)

上記を原因と結果に分けながら、具体的な体験談や議論を深めた。その後、高度経済成長期から未来の予想まで、個人と社会との関係性の変化を踏まえつつ、時代の変遷と共にどのような変化があったかを議論し発表。

 


B.日本の大学を世界の人が学びたいと想う場所にするには?

1.現状分析

① 強み
(1) 日本の大学自体の強み
○ 研究レベルは高い。
○ サークル活動があり友達が作りやすい(海外は勉強が大変でサークル活動は盛んではない)
○ 時間に余裕があり、起業や活動等勉強以外のことを行う時間がある。

(2)学生のサポートの関わる社会の強み
○ アルバイト先があるので働きながら通学が可能。(アフリカ等では難しい)

② 弱み
(1) 日本大学自体の弱み
○ 学生が授業に参加しない(授業をただ聞いて90分終了。先生も質問をされても質問されることに慣れていないようで、「それは個別に」といわれてしまう)
○ 日本に留学しようと思っても、日本の大学、そしてその研究者のHPが英語になっておらず、何を学べるのかがわからない(情報発信力の欠如)
○ 学生は、日本人は日本人、留学生は留学生で集まる傾向がある
○ セメスターの時期が日本は4月開始、海外は9月開始であり、その差異により、時間のロスが発生する
○ 大学のビジネス視点の欠如
○ 日本人の海外経験が不足しており、外国人と一緒に議論しても議論にならない
○ コミュニケーション能力、プレゼン力が鍛えられない

(2) 学生のサポートに関わる日本社会の問題
○ ビザがなかなか降りない
○ 家を借りるのに日本人保証人が必要。「留学生お断り」の不動産も多い
○ サービス残業が一般的であり、夜間学校に通おうと会社を出ると睨まれる)
○ 海外の学位が昇進・給与に反映されない
○ 親の金で大学に通学している人が多く、その価値を身に沁みて感じていない

2.改善策(弱みを強みに変える)

① 大学、研究室のHPを英語にする
② 留学生のみ9月はじまりを認める(慶応大学は実施中)
③ ビザを取得しやすくする
④ 家を借りる際に、大学が保証人になる等対策を打つ
⑤ 家賃を下げる。(日本は物価はそれほど高くはなく、家賃が高い)
⑥ 大学の卒業生(外国人)を経営メンバーに加える

 


D.日本が世界と協働して、持続可能な社会を創るには?

1.自己紹介

隣同士でペアになって、自己紹介をし合い、全体で相手の方を紹介していく「他己紹介」を実施。参加者の専門は、農業、医療、アパレル、ITなど幅広く、例えば「ネオニコチノイドによる影響でミツバチが大量死」といった興味の湧く自分の知らない話等について、たくさん質問が出された。

2.なぜ、Dグループに来たのか?

参加者の関心の方向性を確認。気候変動や生物多様性といったいわゆる環境問題だけでなく、よりも幅広いアプローチでの関心があったことから、環境問題に限らない幅広い持続可能性について議論を進めていくことにした。

3.海外になくて日本にあるものは?

「お風呂の追い炊き機能」等、たくさんの価値観から技術まで出された。ここで得られたキーワードは、「多様性(目新しいのが好き、統一しない)」「地域性」「やるときは徹底的」「自然との共生」「自然は腐る」といったもの。また、価値観の面では、日本だけというよりも、中国や韓国にも共通した東アジアの特徴と捉えた方が良いという指摘もあった。

4.海外になくて日本にあるもののうち、世界を持続可能な社会にするのに使えそうなものはどれか?

前の質問で出てきた答えのうち、世界を持続可能な社会にするために使えそうなものをピックアップしながら、日本の強みを議論した。また、「エネルギー資源小国」「人口減少」などの課題も、地球規模では人類も近い将来ぶつかる問題であることから、日本の強みではという指摘も出された。

5.日本の人・組織は、世界を持続可能な社会にするために何ができるのか?

日本が江戸時代まで持っていた閉じた系での経済社会システムで培われた価値観、それに基づく技術力や社会の仕組みを世界に展開していくことが効果的ではないかと意見が一致。しかし、現在の日本の人・組織はその価値観を失っていることから、再発見する必要があるということで…
「えんルネッサンス」
サークルの円、貨幣の円、御縁の縁の3つの「えん」を再発見することで、日本の人・組織が世界を持続可能な社会にする!という結論に至った。

・サークルの円:輪廻転生の東洋思想で地球環境の許容範囲内で社会を営むこと。
・貨幣の円:日本の地球環境と共生するための技術力やサービス力を世界に売ること。
・御縁の縁:人と自然の御縁を大切にし、その喜びを源泉に行動すること。

 


F.国際社会で通用する人財を創る、人財となる!には何が必要か?

1. 導入 ~グループ・メンバーの顔ぶれと問題意識の共有~

○ 冒頭、12名のメンバーが隣同士でペアになり、氏名・所属・出身・問題意識を共有。
○ Fチームの顔ぶれは、職業を見ると社会企業家1名、政府職員1名、議員秘書1名、団体職員2名、会社員5名、メディア・プロデューサー1名、弁護士1名、国籍はアメリカ(1名)、スイス(1名)、中国(1名)、日本(9名)、年齢層も20代から60代までと、職業・国籍・年齢ともに多様なメンバーが集まった。
○ メンバーの顔ぶれは多彩だが、これまでのキャリアを通じて、あるいは今後のキャリアの中で、母国を飛び出してグローバルで働く経験のある、あるいはそうしたチャレンジをしたい、という想いは、メンバー間で共通していた。

2.「想いの共有」

○ 「あなたにとって、母国を飛び出して、世界で働くとはどういうことか、一言でEssenceを表現して下さい」との問題提起で、各人が「国際社会に出る」上でのモチベーションの原点を共有し、掘り下げた。主なキーワードは以下の通り。
・Freedom、開放、解放:自分自身が育った、心地の良い、慣れ親しんだ空間を抜け出すことで、新しい自分を表現できる。
・多様性とのふれあい:例えばインドのように圧倒的な多様性の中で、人々が生き抜くために自己主張を惜しまない空間に身をおくことで、「生きている」ことを実感できる。
・自己の再発見:異文化とのふれあいにより、自分自身をより良く知ることが出来、また、自分が他者によって生かされていることに気付くことが出来る。

○ 多くの日本人は、日本が「単一」であると考えるが、それは他の国々もある程度同じであるとの意見が、外国人参加者から出されたのは印象的であった。例えば、日本人にとってはグローバルの象徴的存在であるアメリカについて、
・「英語が世界言語であり、ドルが基軸通貨であるために、多くのアメリカ人は海外のことを考える必要がない。」
・「日本を含め多くの国々はアメリカに留学をしようと努力するインセンティブはあるが、アメリカ人は、優秀な外国人がアメリカに来てくれ、母国語である英語で学んでくれるから、敢えて飛び出そうというモチベーションが沸かない。」
・「米国連邦議会議員の多くがパスポートを持っていないというのも、こうしたマインドセットの現われ。隣国のカナダがどれ程アメリカと違うか、ということにすら、多くのアメリカ人は認識が薄い。」
といった指摘がアメリカ人から出された。中国やスイスについても、日本から見れば多様で熱気に溢れているように見えるが、そこで育った人間にとっては、同じような考えの人々が多いとのこと。

3.「課題の抽出」

○ 各人の想いを共有した上で、「実際にそうした想いを持って国外にで働いたり、勉強したりする上で、どのような壁にぶち当たるのか」にフォーカスを当て、
- 日本人参加者は、「日本で学び、働く外国人は、どのようなことで苦労していると思うか」
- 外国人参加者は、「日本国外で学び、働く日本人は、どのようなことで苦労していると思うか」
という問いと向き合った。

○ 外国人が日本で直面する壁について、日本人からは、「日本語ばかりであること」「複雑な政府の手続き」「不慣れな食事」「ハッキリと理由を説明しないカルチャー」といった点が挙げられた。

○ これに対し外国人参加者からは、「マンション借り入れに当たって保証人を求められる、そもそも“外国人お断り”という不動産やも多く、排他的」、「法律やルールが運用上の解釈で相当柔軟に運用されている。部内者にとっては都合が良いかもしれないが、アウトサイダーにとっては、物事の可否の基準が不明確・不透明」といった点が指摘された。

○ 上記に関連して最近話題の相撲の八百長問題がアナロジーとして挙げられた。日本社会にはそれぞれの業界に「暗黙の了解」というものがあり、その中で物事が処理されている。しかし、ひとたびその「暗黙の了解」の矛盾を外部者から指摘されたとき、多くの日本人は、物事の処理の方法が分からず混乱に陥る。

○ 日本で外国人が働く際に感じる戸惑いとして、意思決定にかかる時間の長さや、組織内Layerの多さも、外国人参加者から指摘された。日本人参加者からは、「組織内のメンバーがしっかり意見表明をすることを大切にする組織が多く、民主的な運営といえるのではないか」との反論が出された。これに対しては、「確かに日本の組織では多くの人が「発言権」を持っている。しかし「意思決定権」を誰が持っているのか、不明確な場合が多い。即ち、出された意見を取りまとめ、一つの方向として意思決定するのは誰なのかはっきりしない。」「発言した組織メンバーも、どのくらい積極的意思を持って発言しているか疑問。単に順番が回ってきたから“何となく発言しているだけ”のケースが多いのではないか」と再反論され、一同、「思い当たるところが多い」との反応。

○ 日本人が海外に出て仕事・勉強をする際に直面する壁として、外国人参加者からは如何指摘された。
-「言葉」:単に英語の発音や聞き取りが不得手というだけでなく、表現が不得手。何語であっても言語は自ら積極的に発信し、失敗をしなければ上達しない。しかし、日本人は(日本語であっても)、自己発信に消極的であり、間違ったことを述べることに慎重。これでは語学は上達しない。
-「自分だけで勝負しなければならない環境」:英語で「Swim, or sink(泳げ、さもなければ沈むだけ)」との格言があるが、グローバル社会では、自ら勝負し価値を提供しなければ生き残れない。良くも悪くも組織やグループで力を発揮する日本人には大きなチャレンジ。
-「帰国後の処遇」:せっかく国外で懸命に努力しても、国内でその頑張りが認められない、その間、国内で出世していく同期と差がついてしまう、就職や転職に生かされない傾向が強いのではないか。

4.今後の方向性

○ 日本/日本人は、そもそも、グローバルに人材を日本に呼び込むために、日本国内に存在する有形・無形の壁を取り払うことを望んでいるのか?また、日本の人材をグローバル社会に送り出す上での壁を取り払うことを望んでいるのか?

○ 最後の論点として「日本/日本人は、今、外向きなのか、内向きなのか」に焦点が当てられ、12名が3つのグループに分かれて上記論点を議論。主として以下の意見が出された。
(内向き志向が強いとする議論)
・日本は島国で日本語文化が極めて強く、もともと内向き志向になるドライブが強くかかっている。
・グローバル化の波が押し寄せていること自体は個人も企業も認識しているが、「ストライカーと向き合う“弱腰”ゴールキーパーのように」攻められると分かると腰が引ける傾向がある。
・個人的に外向きにはなりたいが、日々の仕事や生活の中で、そのきっかけがつかめない。
(外向き志向が強いとする議論)
・日本の内需が縮小傾向にあるのは明らかであり、企業は今後外に出て行かざるを得ない。
・例えばマンション・ディベロッパーや不動産業等、これまでdomestic markets onlyの産業であっても、例えば都市開発等は今後、ますます東南アジア新興国で求められる分野であることを考えれば、globalにfrontierが開かれているはず。
・今まで以上に組織よりも個人が力を持つ時代であり、個人個人を見れば、グローバルに活躍しようという意思を持ち、活躍している人が多いのではないか。例えば「青年海外協力隊」等の応募人数が、募集人数と比較して多くない、という点が指摘されるが、以前と比較して、日本の国力の増加とあいまって、募集人数自体が増えていることから、以前よりも「大勢が少ない機会に殺到している」感が和らいでいるだけではないか。

5.グループとしてのメッセージ

○ 最後、最年長(60代)の日本人参加者と、鋭いメッセージで議論を主導してきた在日経験20年のアメリカ人参加者からFグループの議論の内容とメッセージをCrossover21全体に共有した。

○ メッセージは「個人の力と想い」がエッセンスであるということ。かつて日本人は、アメリカをはじめとする外国に強い「憧れ」「好奇心」を持っていた。日本/日本人が内向きになっているとすれば、こうした「憧れ」や「好奇心」が薄らいでいることが背景にあるのではないか。
かつての日本人は「世界に学ぶ」という想いを持って努力した。この結果、今の日本人は「世界に貢献する」ことも大いに出来る。いつの時代も、世界に対して「憧れ」と「好奇心」を持って、「世界に学び、世界に貢献する」人財を応援し、育てていくことが重要、というメッセージで、プレゼンテーションを締めくくった。

 


G.日本のインフラは世界に輸出できるのか?

1.導入

○ チームGは、職種は商社1名、金融系アナリスト1名、シンクタンク・政策塾1名、自営業1名、団体職員3名(インフラ系国策会社、消防、国立系研究所)、高校生1名、国家公務員1名で、国籍の内訳はタイ(1名)、日本(8名)、年齢層も10代から40代までと様々なバックグランドからの参加者でディスカッションが行われた。

○ 冒頭にアイスブレークとして、ファシリテーターを除く8名のメンバーがとなり同士でペアになり、氏名とどんな仕事をしているのかについて自己紹介。その際、
① 自分をもっともよく表すキーワードやあだ名を紹介してもらい、ネームプレートに書いてもらうこと(その名でお互いを呼ぶこと)、
② Crossover21設立10周年ということで、・10年前自分は何をしていたか、・10年後何をしていたいか、
という2点を相手と話してもらった。

○ その上で改めてグループ全員に対して、自分のことではなくペアの相手のことを“他己紹介”してもらい、アイスブレークとした。

2.ディスカッションのアプローチ

○ 我々共通の問題意識として「日本がなくても世界はやっていけるが、世界がないと日本はやっていけない。そのため、今後のグローバル化する世界の中で、“日本がなくてはならない存在”、と世界に言ってもらえるような存在感を発揮するためにはどうしたら良いかを、インフラ輸出を通じて考えたい」、という共通認識の元、外国人の視点を交えつつ、足下にある日本のassetsを再発見してみるという視点で議論を進めることを確認した。

○ 以降120分を3つにわけ、
① 2グループに分かれて議論、10分の休憩の後、
② グループがそれぞれの発表と突っ込み、
③ プレゼンテーションのためのまとめと模造紙書き、
を行った。

○ まず4名2グループに分かれて、日本が世界に誇れるインフラとして、「何が」誇れてそれは「何故か」、そして日本が世界にとってなくてはならない国だと見られるようにするためには「如何に」世界に売り込むことか、という観点で意見を出し合った。参加者のバックグランドを反映して様々なアイディアが出てきた。ハード面としては道路、消防、鉄道、水道事業、ソフト面としては年金制度、化粧品、学校給食などが出された。

「何が」(WHAT)誇れて、それは「何故か」(WHY)、そして日本が世界にとってなくてはならない国だと見られるようにするためには「如何に」(HOW)世界に売り込むか。

○ その後のジョイントディスカッションにて内容を詰めた結果、プレゼンテーションでのわかりやすさ(と時間の短さの制約)、発表者の好みを考慮し、ソフト面とハード面から一つずつあげることにした。

3.日本が世界に誇れるハード面のインフラ

○ ハード面としては、鉄道があげられた。新幹線がこれまで一度も大きな事故を起こしたことのないことで代表される安全性、正確無比な運行技術に見られるように、その高い信頼性や安心・安全性は日本が世界に誇れるassetである。その際(他のインフラにも共通して見られたことであるが)議論に出たのは、
① こうした技術を単独で売るのではなく、他のサービスや工夫と合わせて“パッケージ”で売ること、
② 相手の国の事情や“ニーズ”に合わせた“カスタマイズ”を行うこと、
の重要性である。

○ かつて欧米に対するキャッチアップの時代においては、電化製品や自動車など、“スタンドアローン”の技術が主な輸出商品であった。こうしたスタンドアローンな製品については、使い方に国毎の違いはあまりないということもあって、自国にて品質の良いモノを大量に安く生産すればよかったので、相手国の事情を余り考えずにすんでいた。しかしインフラは文字通り生活の基盤となることから、相手の国の経済・土地事情や生活のスタイルにあわせた“テイラーメード”のものを作ることが決定的に重要となることから、相手のニーズを適切に掴むことがポイントなのではないか、いう論点が出てきた。

○ また利便性や長期の使用に伴うメンテナンス、インフラを支えるシステム(例えば鉄道で言えば発電所等)等を考えると、そうした技術“単独”ではなく、必然的に“パッケージ”として統合化された提供が重要となってくることも指摘された(そうでないと相手にとって魅力的なものにうつらないからである)。

○ これらのことは、これまでのキャッチアップの時代とは根本的に違う発想であり、最近のインフラ輸出で後塵を拝しているのは、日本企業が分野ごとやパーツごとの技術が圧倒的に高くても、それらを統合化してパッケージとして魅力ある製品として売り込むことをしないゆえに、ビジネスとして競い負けているのではないか、という点が指摘された。

○ そうした視点で考えられたのが“総合的な沿線開発をパッケージ化した「鉄道」”である。今度、発展著しいと予想されるアジアのメガシティは、人口密集の問題や地震や火山等の変動帯に位置するものもあるなど、欧米の大都市と違った構造や背景を持つ。我が国での同様な人口密集地や、自然災害も多い環境の中での鉄道開発は、アジアのメガシティと共通の要素を持つものである。そうした中、効率的な土地利用や都市開発、自然災害等を考慮しながら、鉄道線沿いに住宅地、デパート等の商業施設等を展開し、自然と調和させながら、“総合的な”開発を推進していくことは、これまでの日本の経験が活かせるパッケージとしてのインフラ展開になるのではないか、という議論がなされた。

4.日本が世界に誇れるソフト面のインフラ

○ 一方ソフト面については、唯一の外国人(タイ)参加者から“年金制度”があげられた。我が国では大いに疑義のあがっている年金制度であるが、そうした制度が存在しないアジアの視点からすると、老後に関してこうした社会保障があるのは大変安心感を持て、魅力的ですばらしい制度だという指摘がなされ、日本人参加者にとっては意外な“気付き”だった。日本の年金制度は、国内財政に余裕ができはじめた高度経済成長時代から整備されてきたとのことであるが、アジア諸国では現在丁度そうした経済成長にさしかかっているところであり、国の財政的にも、年金制度を立ち上げるのは今が絶好のチャンスであるとのこと。そこに日本のかつての経験を売り込めば、これは重要なインフラ輸出になるのではないか、という視点が提供された。

○ その際、失敗の経験も含めた日本の教訓を実例とともに体系的に示すことは、彼らにとっても貴重な情報であるはずという指摘には説得力があった。もちろん現在の破綻しかけている年金制度の失敗は大きな課題であるが、そうした問題も単に後ろ向きになったり、責任の押しつけをするのではなく、日本が課題先進国としての自覚を持って果敢に立ち向かい、解決方法や教訓を見出して、後に続くアジア諸国に示してあげれば、それはまさに、一足先に世界に先駆けて高齢化社会を迎えつつある日本の経験と蓄積を世界に還元できる貴重なassetとなることは間違いないという、昨年の英国Economist誌の日本特集”Into the unknown”を彷彿とさせる議論が行われた。

○ 但しこうした知見・知識をtransferする上では、当然日本の経験はそのままの形では適用できないので、日本の固有の経験を一般化・体系化した後、相手の国の実情や環境への翻訳という“再固有化”の作業を行わなければならず、かつ、それらがvividに伝わる形で提供されなければ、そうした教訓の貴重性や重要性(特に負の側面)が伝達されない。日本はともすると自らの経験を特殊化したり、それゆえに自虐的に考えたりしがちであるが、日本人自らが、これからの人類的課題や人類の生き方の様式の一つの指針とするために、これらの経験を昇華して一般性の高い理論として構築することが重要な課題ではないか、ということが指摘され興味深かった。

5.議論のまとめ

○ 最後にこうした議論をA0の模造紙にまとめた。発表にあたっては、会場の後ろの人にも見えやすいように、文字をできるだけ大きくし、①チーム名とディスカッションテーマを最上段に大きく書いた上で、②ハード・ソフトの代表的なインフラ一つずつについて、③上記のWHAT,WHY,HOWのそれぞれのポイントをキーワードとして書いて口頭での説明を加えた。そして事前に説明時間4分での簡単な練習も行った。

○ 説明者としては、今後の日本を背負うということで、高校生の若人に、背景といった全体要旨をまず話してもらい、ハード・ソフトの各インフラの個別の事項について、それを提案した参加者が解説を行い、最後に再び若者にまとめてもらう構成を取った。140名の満座の聴衆の中、高校生の若者にはプレッシャーでないかと心配したが、物怖じせず見事なプレゼンテーションであったことは、会場から割れんばかりの拍手がわき上がったことからうかがえた。議論の内容もさることながら、こうしたしっかりとした若者が育ってきていることは、今後の日本に大いなる期待を持てるものだという感想を持った。


H.日本の社会保障の強み・弱み

1.チームの概要

○ メンバー構成:日本人:官公庁3名、医療関係者2名、企業1名、NGO1名
外国人;企業2名(ミャンマー、中国)
○ 目的:社会保障制度について大所高所から議論し、持続可能であるべき姿を探ること。
○ 議論の前提:日常では決して考えもしないアイディアを出し合って、実現可能性を探ってみよう。
○ Hグループとしてのゴール:社会保障について他のグループにも関心を励起させるような話題で発表しよう。

2.議論の概要

① 年金について
○ 年金給付総額の増加に対して給付を圧縮するか、保険料を増額させるか?
アイディア:平均年齢以上には給付をしない(勤労者世代は負担に耐えられなくなる)。
→ 長生きに対するリスクの保険なため、「平均年齢以上から支給する」方が保険原理に合致する。
→ 長生きできない場合には掛け捨て保険になってしまうからクジで決めたらどうか?

② 医療について
○ 高騰する医療費を押さえられないだろうか?
アイディア:末期ガンに投与する抗癌剤は保険給付から外す
→ 分にあった医療、個人の死生観の確立も必要だ

③ 生活保護
○ 増加する生活保護受給者のモラルハザードをどのように防止できるか?
アイディア:給付を受けるためには就労をしなければいけない
→ 行政が抱えるには負担が大きい
→ 勤労所得より保護費が高いのは不公平感がつのる

④ その他
○ 子供のワクチンはどこで打ってもらえるのか?制度が複雑で理解が難しい

 


I.日本人・日本社会は「安全・安心」にこだわりすぎなのか?

1.メンバーの顔ぶれと関心事項の共有

○ 11名のメンバーが順番に「自己紹介」と「このディスカッションテーマを選んだ理由」をグループ内で共有。「安全・安心」については、飲料水の安全性や工事現場での通行人の安全確保から、製薬メーカーにおける過剰な品質管理まで、幅広い関心事項が各人の経験を基に話された。その中で、日本人、日本社会の安全・安心に対する意識と海外との比較を中心に議論が展開された。

○ メンバーの顔ぶれは、国籍別では、ケニア(1名)、インド(1名)、韓国(1名)、中国(1名)、日本(7名)。職業別では、コンサルタント(環境、IT等)、証券会社、メディア、会社経営者及び役員、国家公務員等。

2.議論の展開と課題の抽出

○ メンバー間の関心事項の共有によって、「オーバースペック」と「十分に果たされない説明責任」という安全・安心に関する日本人、日本社会の課題が浮かび上がった。

○ 課題の具体例として挙げたものは以下のとおり、
・外国人参加者から「工事現場の過剰な警備員の配置」
・日本人参加者からは「製薬メーカーにおける過剰な品質管理」

○ そのような事態を招いた原因として考えたものは以下のとおり、
・「安全」に関する基準が曖昧であり、誰が、どれだけ安全を確保すれば良いのかわからない。
・「安全」に関する説明責任が果たされない結果、「安心」を提供することができず、何事もオーバースペックになる。
・説明責任を果たせず、法規制など国の規制に頼るために、責任は国や法令遵守義務のあるメーカーに転嫁されている。
・日本人、日本社会自体にとって、自分自身で安全・安心を確保するという意識の希薄化を招いた。

○ このような日本の状況を海外と比較するために、IT、メディア、建築等の各種業界で共通に議論できるように、プロジェクトの上流(発注元)から下流(執行者)までをステークホルダー別にマトリックスにして、議論することを試みた。
その結果、日本では、業種別、発注企業別に関係者が系列化する垂直展開の中で、各階層のステークホルダーに安全性を求めるため、過剰な安全となりがちであるものの、システム全体としての安全性の説明責任は、発注者に一手に掛かっている。
しかしながら、海外では、ステークホルダー毎に業種横断的に水平分業されており、各ステークホルダーが安全性及びその説明責任を果たしていると考えられた。

3.日本の特異性

○ 外国人参加者から改めて、日本特有の制度、風習等について気づいた点を伺ったところ、興味深い議論が展開され、日本人だけでは気づかなかった日本人の特異性が整理された。具体的な議論は以下のとおり
・「音姫はいらない」
普段使わない外国人からは、「自分さえ必要ないと思えば使わない」という意見が出されたが、日本人からは「相手が不快に思うかも知れないから、使う」という意見が出された。そういった情緒的、他利主義的な良さが見受けられる反面、「水の節約になる」といった合理的説明を後回しにしたため、日本の良いものを海外に十分にアピールできていない。
・「住所は路線名」
日本では、自宅住所を初対面の人に説明する際に、最寄り駅を伝えずに利用路線名を伝えるなど、「曖昧さ」を残すことが特異ではないか。その理由として考えられるのは、島国であり他文化から比較的距離を置いていたことによる「他人への距離感」と、「喋らない=責任を負わない」という日本社会の状況を反映したもの。
・「『空気を読む』の意味」
日本社会が、「意見を述べること」と「行動すること」を分離しない文化であるために、「発言する=責任を負って実施する」と考えるため、議論することに慎重になり、空気を読むようになると考えた。

○ 上記議論の結果、日本人は遠回しな表現をつかったり、説明が下手であったりするが、物事を熟考し、議論をまとめやすいのではないかといった意見が出された。結果として、説明責任を十分に果たす前に、責任を回避するか、リスクを低減した商品・サービスを生み出したのではないかと考えた。

4.日本の強みと今後の方向性

○ これまでの議論を受けて日本と海外を比較すると、
・ 海外では、性悪説に立ち、物事を言葉と理論で説明できなければ、社会で受け入れられないと考えられがち。
・ 日本では、性善説に立っているため、物事の判断基準が、感情や想いに左右されがちであり、気配りのできる優しい国民性と考えた。

○ ビジネスライクな現在の経済成長至上主義の中では日本の良さは理解されにくいが、今のような成長が持続できなくなったとき、「相互理解の上で互いを信頼し、安全・安心を確保する」という日本的社会構造は世界に通じる日本の強みになると考えた。

○ 今後は、実感しないと理解されにくい日本の安心な社会構造をいかにして外国人の方々に実感してもらうかが課題だ、としてメンバーの意見がまとまったが、実感の具体的手法を提案するには至らず、議論の過程をまとめ、今後の方向性を示すに留まった。

 


J.グローバル化する日本と在日外国人の活躍・貢献について

1.チームメンバーの概要

○ 司会を入れて、全11人。内、日本人7人、外国籍日本人2人、インド人1人、中国人1人。
○ 参加者の職業は、国家公務員、国際戦略コンサルタント、教師、ソフトウェア開発、外国人材提供サービス、貿易会社経営、人材育成、高齢者介護関連、会社員等。
○ 年齢構成は、20代~50代。

2.問題意識と論点

○ 近年、日本では少子高齢化による国内市場の縮小、長年のデフレ、国際競争力の低下等が目立ち、多くの人々は、自信の無さ、内向き、閉塞感を感じている。そのような環境の中で、Jチームでは下記を議論。
- 外国人のフレッシュな視点を交えて、日本の良さ・強みを再発見することで、日本に対して自信を取り戻す。
- グローバル化の中で、日本の問題・弱みを議論し、危機意識を高め、日本の真のグローバル化のために努力する。
- 在日外国人の活躍、及びその上での問題点を議論し、日本のグローバル化に対する外国人の貢献度を高める。

3.日本の良さ・強み

○ 2011年になって、日本はGDPが世界第3位になったが、2010年まで、ずっとアメリカに次ぐ世界第2位をキープして来た。このような強い経済力は、日本の充実な社会インフラ、高い教育水準、高い医療衛生水準、安定・豊かな社会を築いて来た。現時点も、沢山の外国人が日本を第二の故郷として、日本に定着しているし、途上国の中でも日本に憧れ、日本に来る為、日本語を勉強する人々がたくさんいる。

○ 日本社会は、性善説によって成り立つ、高い信用力の社会である。結果的に、ビジネス、または普段の生活の中で、多くの場合に事前の信頼性の確認が不要で、万が一、後で問題が発生しても、お互いを信頼し、確認・協議を少なくして、問題解決が迅速に出来る。つまり、信用力が高いことによって、すべにおいて手間を省き、結果的にスピードアップ、コストダウンを実現した。現在のような世界的な激しい競争の中で、日本の信頼性による、スピードアップ、コストダウンは、他のどんな強みにも勝る大きな、貴重な強み。

○ 日本は、治安、衛生ともにとても安全な国である。夜中に、女性一人で出歩ける安全な環境は、とても便利で、コストが低く、結果的に活動力・生産性を高めることが出来る。また、日本の空気、水、食べ物、医療サービスの安全性も、私達が低コストで健康を手に入れることを可能にしている。安全を、低コストで、手軽に、日本にいる誰もが手に入れることが出来るのは、また何にも換えがたい貴重な良さ・強みである。

○ 日本は、何でもある、何でも出来る、何でも捨てる等、とても豊かな国である。日本は、情報・サービスが高度に発達し、世界の有名・希少な物でも、比較的に簡単に、速く、低コストで入手出来る。また、日本では、テレビ、冷蔵庫、車等、まだ使える物を簡単に捨てるのも、世界的には珍しい現象で、日本の豊かさの大きな象徴である。

○ 日本人は、優しく、思いやりがあり、細やかな配慮が出来る。その延長で、外国人にも優しい。

4.日本の問題・弱み、危機意識

○ 日本は、横並びの傾向が強く、優秀で、目立つ人は叩かれやすい。

○ アメリカでは、子供の教育において、ソーシャル活動を重要視するので、子供のコミュニケーション力が高い。ヨーロッパの学校では、常に意見を聞かれるので、子供の考える力が強い。反面、日本では、詰め込み、横並びなので、子供が大きくなったら、ロボットのような人間になる。結果的に、多くの日本人は、自分の意見を持たない、発信しない。グローバル化に対応する為には、日本は教育に力を入れるべき。

○ 多くの日本人は、途上国のような衣食住が保障されない大変な生活を経験していないので、ハングリ精神と、危機意識が弱い。結果的に、困難に立ち向かい、新しい世界を開拓するのが弱く、その延長で、国際競争力の低下を招く。

○ 日本政府には長期ビジョン、リーダーシップ、戦略がない。

○ 日本の政治、国家の運営には、リアリティーがない。例えば、アメリカ、フランス等では、政権が変わると役人も変わるので、リアルな(本物の)変革が起きる。

○ 日本企業は、Cashはあるけど、マネージメント力が弱く、国際ビジネスの中で、失敗が多い。日本のグローバル化のレベルは、ゼロ以下のマイナスである。

5.日本のグローバル化の身近な現象

○ トヨタのプリウスは、アメリカのLAでは、お金持ちの象徴として、富裕層が購入している。

○ 何十年前は、金髪女性が電車に乗ると、「髪を触ってみていいですか?」と聞かれたが、今はスーパー、コンビニーで外人に会っても驚かない。

○ 国際結婚により、家族に外国人が入った。

○ インターネット経由で、フィリピンの人から英語を学んだ。

○ 趣味で、Facebookを利用して、外国人と話す。

○ 日本国内市場の縮小から、海外市場への展開(企業のグローバル化)は、ビジネスでは避けられない環境になった。

6.在日外国人の活躍・貢献について

○ 海外展開において、日本の成功モデルは、外国では通用しない。その為、自国の言語、文化、習慣を知る在日外国人は日本と外国の貴重な架け橋で、日本のグローバル化には欠かせない存在である。特に、永住権をもっている在日外国人を有効に活用すべき。

○ 日本では、労働人口が減少し、研究、生産現場でも、若い外国人材は有力な担い手である。

○ 日本の介護の現場でも、外国人人材がもっと必要だと理解する。

○ しかし、日本社会は、異物を受け入れないので、外国人は優秀であっても、差別され、企業・社会の中で認められず、起用されないので、人材の有効利用が出来ない。さらに、外国人材の定着率が低い。

○ 外国人は、日本で信用されないので、家、事務所を借りるのも難しい。

○ 日本のグローバル化の為には、外国人の受け入れ体制を整える必要がある。

7.まとめ

○ グローバル化の波は、津波のように、強い勢いで、急速で広がっている。島国の日本にも例外なく。

○ グローバル化はチャンスであり、危機でもある。日本の強みを生かすと、グローバル化はチャンスになり、反面、日本の弱みを克服出来ないと、グローバル化は大きな危機になる。

○ 日本のグローバル化において、在日外国人は、多くの日本人が世界を知り、日本を世界に繋げる架け橋である。在日外国人との協働、在日外国人の活躍・貢献こそが、日本の真のグローバル化の第一歩である。

参加者からのメッセージ

・少子化や選挙の問題等、「世界で最初に日が沈む国」だと思って、この会に参加していました。そんな中、日本の思いやりや、文化は非常に魅力的と、話を聞きました。4月に花見をしながらお酒を飲むのはとても楽しい、漫画やアニメ等のサブカルチャーがたくさんあるという話から、おもいやりによって気持ち良く生活出来る、高い信用力によって取引のコストが少なくて済むと言うビジネスに生かせる強みの話まで、様々な角度から意見が飛び交いました。
・特に「日本が良くなければ、日本にいない」という言葉が刺さりました。在日外国人は実際の行動で、自分の感じていることを実行している訳だから、それ以上の言葉はないなと。
・日本は、たくさんの問題を抱えているけど、そんな日本に魅力を感じてくれる人は、世界中にたくさんいて、魅力を感じてくれる。
・これからは、自信をもって、文化的な魅力を伝える、在日外国人を受け入れる環境を作る、魅力ある成長力で経済発展する等の三点に関して、身近なことから何かしようと改めて感じました。

 


K.来て見て分かった、出て見て分かった、日本の強み、弱み、とは?

1.チームの概要

○ 参加者:8名(日本人7名、アメリカ人1名)
○ 参加者構成:国家公務員2名、自営業2名、学生1名、企業2名、大学1名
○ 議論の目的:特に、“来て見て”、“出て見て”わかる、日本の強みと弱みについて議論し、まとめること。

2.議論の概要

○ 自己紹介と各自が考える強みと弱みの説明
・概ね一人あたり3~5分で自己紹介と、各自が考える強みと弱みを説明。
・ポストイットに強み弱みを色別に列挙。

○ 強み弱みの仕分け
・ 2つのグループに分け、全参加者からの強み弱みの意見から1)で取り上げられなかった点を拾い出し。
・“来て見て”-“出て見て”ד強み”-“弱み”の2行2列で分類。
・ さらに、強みと弱みの両面を有する点を分類。

○ 強みと弱みの関係性を議論
・ 強み弱みの関係性を議論。
・ 特に、どの強みを活かすことで、ある弱みを解決し得るかを議論。
・ また、列挙された強みで解決できない弱みは何か、またそれを解決できるような強みがあるかを議論。

3. まとめ

・ 議論された強み弱みは一見分散しているように見えたが、その根源は“多様性”にあるとまとめ。
・ 多様性とは、ヒト・モノ・文化などいろいろなものを受け入れる、送り出す(発信)という考えと行動を指す。
・ また、個人一人一人がこのような多様性を有し、強化することは、様々な政策を許容する受け皿(個人→国、国→個人)となり得ることを示唆。

 


L.来て見て分かった、出て見て分かった 日本の強み、弱みとは?

1.導入

○ 職業、国籍、性別、年齢ともに多様なメンバー11名が集まり、自己紹介の後、日本の強み、弱みとは、というテーマでディスカッションを行った。

○ 広いテーマであり、意見を集約することはしなかったが、「より多くの外国人にとって日本が魅力的な仕事先、留学先になるには何が必要か」「参加者それぞれが、国際社会で活躍できる「人財」となるために何が必要か」といったことを考えてゆく参考になれば、ということで、
①日本の強み、弱みとそれらを生む背景、
②外国人からみて日本に期待することと、
③それを受け日本人がどうしていきたいと考えているか、
という三部構成でディスカッションを進めた。

2.日本の強み、弱みとそれらを生む背景について

○ そもそも強みと弱みは表裏一体であり、弱さは強みにもなるし、逆もしかりであること、また、例えばグループで群れるのは昔の人の話で今の若い人は一人でも活動するなど、若い世代では特性も変わってきており、年齢層によって異なっている、という指摘があった。

+)思いやりの心があり、誠実で、親切で丁寧である。礼儀正しく、人に対する関心もある。
-)本音と建前があり、仲が良くなっても本音がわからない。親切だということと、優しいということは違う。

+)日本人はルールを守る。ルールは軸であり、守るべきものであると考えている。
-)ルールを守りすぎて、融通が利かない。
目に見えないルールが多く、日本人のみで通用する距離感がある。言わなくてもわかる、という暗黙の了解がある。距離感がわからない。
←多様性に欠けており、これまで説明する必要がなかった。

+)海外からみて信頼されている。日本、に対して悪い印象は少ない。
-)日本は大国として世界をリードする役割、責任があるはずだが、そのような意識がなくアンフェアである。
←戦後教育の影響が大きいのではないか。加害者意識があるので、積極的に行動出来ない。敗戦国であることによる。

+)団体の意志を重視している。
-)閉鎖的な思考である。身内で固まる傾向が強い。留学しても他の国籍の友人と交流がない、日本人だけのグループ行動を取る傾向。外部の人間と関わりたがらない。海外では自分から積極的に行くのが当たり前。
責任を取らない。集団は「無責任」につながっている。
個と集団での意識が違う。
場を選ぶ。

+)生活水準が高い。サービスレベルが高い。
ウォッシュレットは日本ならではの商品。今では米国でも評価が出ている。そういう新しいものを生みだす素地はある。
+)水がある

-)ルーツ(根)がない。
-)説明能力が低い。恥ずかしがり屋である。

3.日本に期待すること、今後の課題(主に外国人参加者の視点)

○ グローバル化、ガラパゴス化など、どういう方向に行くのか、方向性を決めて欲しい。
→ グローバル化とガラパゴスの両方を取るのは不可能かもしれず、どちらがいいのかはよくわからないが、両立させる中で国を進展させる道が開けるかもしれない。
グローバル化、であれば、給料水準他も(他と)あってくる(下がってくる)ことに覚悟が必要。
→ 日本にとっての重要性を考えると、特にアジアとの関係でグローバル化を進める必要がある。
→ ガラパゴスであること、他と違いがあることは大切である。日本らしさをなくして、他と同じようなことをすると、良さ、魅力が失われてしまう。
→ 政治への意識を高める必要がある。
→ もっと個性を強めるべきである。

○ 日本で働きたいという外国人にチャンスを与えるべき。語学学校ではなく日本の大学を卒業しなくてはならないなど、現状ではビザの取得は非常に困難で、就職活動も大変。
→ 日本人でも新卒で入る以外のキャリアパスに限りがあり、根底には労働市場に流動性がなく、ルートが決まってしまっている、という共通の問題がある。

○ 外国人が家を借りるのに保証人が必要だが、本来の趣旨に鑑みて他の手段で代替することが可能と思われることも、他の手段を考えないので、解決できないことが多い。
→ ルールがあること自体はOKだが、その理由が説明出来る必要があり、それが出来ないルールは現状に即して変えるべきである。ルールを当たり前と捉えていて、何が問題なのか気づかないことが多いので、見直すためにも気づくきっかけを作る必要があるのではないか。
→ ルールよりはガイドラインにして、柔軟性、「遊び」の部分をもったほうが良いのではないか。ルールを守りすぎているので、慣習にとらわれ過ぎずに、時にはルールを破ったり、適当にしたりする方がいいこともあるのではないか。なぜ、どうしてそのルールがあるのか知るべきである。柔軟性が大切だと思う。
○ 外国と交流したり、異質な、他者との交流を深める機会を持ったりした方が良い。色々なことを知ると、比較できるようになる。多角的に世の中を見る必要がある。

○ 説明能力を高めるべきである。相手を説得するための説明力をつける必要がある。

○ 自由時間を増やした方が良い。No残業を徹底した方が良い。上司が帰らないと帰りにくい風土や、残業するのを頑張っているとみなす傾向があるが、本来残業するのは仕事が出来ない、ということでもある。趣味を持った方が良い。

4.今後の課題、「こうなりたい、こうしたい」(日本人参加者より)

○ 「何故ルールがあるのか、理由を考える必要がある」など、外国人の視点は参考になった。慣習となっていたことや、これまで当たり前と考えていたことについて、異なる文化、思想を持つ人々に対してきちんと説明出来る必要があり、説明能力を高めねばならない。また、そもそもその「ルール」の必要性について再考し、現状に即して見直していくようにしたい。

○ ビザの問題や賃貸保証人の件等、外国人の受け入れ態勢に問題があることを認識した。外資や外国人を受け入れる体制を今後整備してゆく必要がある。

○ 他世代、他国の人々が集まり話すことで、様々な課題がみえてくる。このような機会を活かして課題をみつけ、自発的に改善のために動けるようになりたい。

○ 自分の意見を突きとおせるようになりたい。そのためには説明能力を高めてゆく必要がある。

○ 日本の弱点とされることも、強みとなりえる。個性を強めるべきで、ガラパゴスであることは悪くない。日本らしくバランスを取りながら、グローバル社会に適応したい。

 


M.国際社会で通用する人財を創る、人財となる!には何が必要か?

1.テーマからの疑問点

○ 国際社会で成功するとは、
– 自分というブランドでの個人としての成功?
– バックに“日本”というブランドを持っての成功?

○ そもそも国際社会で通用する人財とは
– 日本のため?
– 世界のため?

2.日本の強み

○ 日本の製造業は海外進出出来る。
○ 日本文化や美意識を海外へ発信出来る。
○ 場の雰囲気を大事にし、その場にいる人や空気をうまく治めようとすることが出来るといった心遣いは優れている。

3.日本の弱みと課題

○ 教育の目的が、生産を拡大することになっている。
→ 戦略・交渉の出来る目的(人材を創る)となっていない。
→“口説く力”:ディベート力、ディスカッション、臨機応変に適応・対応
を磨ける教育をすることが大事。

○ 現場力が足りないので、養うべき。
→ 苦労話等、本から学べたとしても、追い詰められる状況を体験しているわけではない。また、誰かが教えてくれるといった安心感を持ってしまっているのも問題である。

○ 自分の意見を言う・議論をするといった場合、発言を間違えてはいけない、とか、正しいことをいわなくては!といった考え方の人が増えているため、自己主張が出来ていない。

○ 若手の意見に発言権を与える場が少ない。高度成長期のような、右肩上がりの仕組みが変わっていない。

○ 気配りがない。(利己主義である)
(一方で、気配りがあるというのも強みとしてあげられているため、例をあげると)
車の渋滞が発生するのは、譲らないからである。

○ 国家を考える意識が弱い。
→中国は国家が生き残るために世界に出て行こうと積極的。

4.改善が必要な仕組み

○ 教育する立場の人間が社会人経験をせずに教員になっていること。
→ここの仕組み作りが必要なのでは?
→優秀な人材が教育に流れる仕組み作りを!

○ 日本から海外に出た留学生達の就職問題。
→戻ってきても安心という国の制度を作るといいのでは?
積極的に海外へ行って学んできたものを日本で生かそうと考える人間が増える。

○ 将来安定のために、偏差値の高い学校へ入らなくてはいけないといった考えは正しくない。
→人格を形成していく仕組み作りが必要なのではないだろうか?

5.結論

○ “個人”が自立することは“国”が自立するということ。そして、“日本のため”が“世界のため”に繋がる。

日本の成長戦略を考える

日本の成長戦略を考える

Crossover異業種ディスカッション大会

 

 

 

日本の成長戦略を考える

 

 

 

開催報告

 

 

 

~スタッフ代表による振り返り~

 

4月3日、“絶好の花見日和”の中、ベルサール西新宿の会議室にて開催致しました「第8回異業種ディスカッション大会」は大盛況のうちに終わりました。今回は「日本の成長戦略を考える」との大テーマの下で、「対外発信力」「福祉力」「働き力」「環境力」の4つの「成長の源泉」に着目し、約150名の参加者が15のグループに分かれてアツイ、そして様々な角度からのグループディス・カッションの時間を創り上げました。様々なフィールドで活躍する「人財」達が、それぞれの問題意識をぶつけ合い、議論の過程を模造紙に表現していくプロセスは、思考や気付きの過程を「見える化」する協働作業でありました。

また、議論の結果を共有するプレゼンテーション・セッションでは、会場全体に対してプレゼンテーションをする従来のやり方を変え、同じテーマで議論したチーム同士で、ディスカッションの結果を共有する形式をとった結果、より長く、そして深いQ&Aの時間を持つことができました。ディスカッション大会に続く「懇親会」では、集まった皆さんの交流を促進するため、スタッフが「捨て身の覚悟」のコスチュームで、「成長戦略クイズ大会」を実施し大いに盛り上がりました。

ディスカッション大会に続く「懇親会」では、集まった皆さんの交流を促進するため、スタッフが「捨て身の覚悟」のコスチュームで、「成長戦略クイズ大会」を実施し大いに盛り上がりました。多様な分野で活躍される会員の皆さんが、休日、そして「お花見返上」で会場に集ってくれたからこそ、こうした素晴らしい時間を創ることができました。スタッフを代表して、改めて皆さんにお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました!

14:00からスタートしたにも拘わらず、20:30からの「北の家族」での2次会に、会場に入り切らない程の大勢の皆さんが参加されたことは、ディスカッション大会・懇親会と時間を共有するにつれ、日常生活や日々のビジネスをしていたのでは決して触れ合うことのない参加者の皆さんとスタッフとの間で、一体感と共感が生まれた証であると強く感じました。

 

アンケート結果

 

同時に、Crossover21は手作りの会でもあるため、当日、あるいは準備の過程で、会員の皆様にご不便をおかけしたこともあるかと思います。この点は、スタッフのボランティア精神、及び、学生服・セーラー服という捨て身のコスチュームで会場を盛り上げた、チャレンジ精神?(笑)に免じてご寛恕頂ければ幸いです。会場でも申し上げましたが、今から8年前の2002年4月3日は、Crossover21主催「第1回」ディスカッション大会が主催された日でありました。

それ以来丸8年が経過し、当時ようやく社会に出て1年が経とうとしていたCrossover21創設スタッフも、この4月から社会人10年目に突入しました。色々な事がありつつも、これまで丸8年間、Crossover21の活動を継続し続けてこれたこと、そして思考錯誤しながらも、少しずつその活動の範囲や質を高めてこれたのも、会員の皆さんとスタッフとの間の共感と共汗の輪のおかげだと思っています。今後も、「官民協働ネットワークCrossover21」を5年、10年…頭に白髪が混じり始めてもなお、継続していけるよう、引き続き皆さんのご支援を頂ければ幸いです。

という訳で、今後もよりよい社会、そして日本を創り上げていくべく、皆さんと「好奇心」「向上心」「公共心」を胸に、協働していければと思っています。ありがとうございました!!

官民協働ネットワーク Crossover21
スタッフ代表 池田洋一郎

 

 

~グループ・ディスカッション リスト~

 

グループ①

テーマ:日本を売り込め!日本の「対外発信力」を高めるには?

Aチーム 日本企業の対外発信力強化を中心に議論

Bチーム 日本メーカー等の海外市場での発信力強化を中心に議論

Cチーム 日本企業・日本人の対外発信力強化を中心に議論

Dチーム グローバルなルールメイキングへの参画等を中心に議論

 

グループ②

テーマ:安心あっての成長!日本の「福祉力」を高めるには?

Eチーム 「子供手当て」に代わる子育て政策について議論

Fチーム 日本の「福祉力」向上について議論

Gチーム 成長産業としての医療産業について議論

Hチーム 日本の「福祉力」向上について議論

 

グループ③

テーマ:人財を活かそう!日本の「働き力」を高めるには?

Iチーム バブル期と現在の個人・組織・日本の「働き力」の違い等を中心に議論

Jチーム 人と組織の関係性の見直しを中心に議論

Kチーム モチベーション・アップの方法等について議論

Lチーム 個人・組織・国にとっての「働き力」の源について議論

 

グループ④

テーマ:持続可能な成長に向けて、日本の「環境力」を高めるには?

Mチーム バックキャスティング”マーケティングで描く持続可能な未来予想図について議論

Nチーム 日本の「環境力」向上について議論

Oチーム 「環境」をキーワードとした「成長戦略」について

 

~グループ・ディスカッション まとめ~

 

以下は、有志のファシリテーターが、チーム・メンバーの協力を得つつ、
当日のグループ・ディスカッションでの議論の模様をまとめたものです。

普段生活や仕事をしていたのでは恐らく出会うことのなかった、
様々な業種から集ったチーム・メンバーとの議論の過程は、
時に方向観なく拡散したり、価値観の違いが浮き彫りになることがありました。

しかし、そういう思考の過程そのもののが、
新しいものの見方や考え方に光を当てる「気付き」のプロセスではないかと思います。

当日の写真と共に熱気あふれるCrossosver21の雰囲気を感じ取って頂ければ幸いです。

 


Team B

グループ・ディスカッションのポイント
~日本を売り込め!日本の対外発信力を高めるには?~

○ アイスブレイクで「名前・所属など自己紹介」「なぜこのテーマを選んだか」「好きな食べ物」を2人に分かれて行い、その後他己紹介で全体共有。ここで話がかなり盛り上がり、グループ内の雰囲気も打ち解けることができた。

○ ファシリテーターの問題意識に基づき、「日本メーカーの海外市場でのインフラビジネスの苦戦」「国際規格を日本勢に有利にしていくことの重要性」についての記事を配布。

○ 2つのグループに分かれて議論し全体での共有を行った。その際、最初の記事の内容に拘らず、自身の経験に基づいた議論を行うよう努めた。議論を深め日本に足りない発信力をグループ内で共有した。

○ ポストイットに「日本に足りないもの(=課題)」、「その対策」を一人ずつ書き込み、その後に各論を開始。そこでは「対外発信力を高めるには?」の問いに対する答えとして、「官民の連携が取れていない」「相手国にわかってもらう努力をしていない」「英語が不得意で言語力がない」といった具体論が挙げられたが、それに留まらず、「日本は豊かなはずなのに、なぜこんなに自信がないのか?」など、根本的な問題や抽象論についても自由な議論が行われた。

 


Team C

グループ・ディスカッションのポイント
~日本を売り込め!日本の対外発信力を高めるには?~

1.ディスカッションのキーワード

「対外発信の必要性」、「国の役割」、「個人でやるべきこと」、「日本の普遍性を発信」、「合コン」

2.導入

○ 自己紹介。名前、職業、及びディスカッション参加に当たっての問題意識を共有。
○ Cチームには、メディア(1名)、コンサルタント(3名)、国家公務員(2名)、メーカー(1名)、
弁護士(1名)、投資銀行(1名)と多彩な分野で活躍する9名が集まった。
○ 職業は多様である一方、それぞれが海外留学や普段のビジネスを通し、対外発信の必要性に関して、「日本人個人」「日本という国」の両面の視点から課題を感じていた。
○ 参考として別紙の「日本人にまつわるジョーク例」をファシリテーターから配布し、「外国人が感じる日本人のイメージ」を共有した。

3.課題の洗い出し

1:日本という国
○ 日本に「広報戦略」というものが感じられない。
○ 海外に「日本=ものづくり、メーカー」のイメージがついたのは、日本の技術力と同時に各企業が海外で多くの宣伝を行ってきたから。そのため、国をあげて世界に情報を発信しなくても、日本の知名度はそれなりにあがっていった。
○ 外国で大きな案件を受注するには「BtoB」のコミュニケーションだけではなく、「BtoG(overnment)」そして、「GtoG」のコミュニケーションが必要。「GtoG」面では、日本は他国に大きく遅れを取っている。
○ 日本はやはりメーカーで持っている国。メーカーが海外に出て行けなければ、日本人は絶対に食っていけなくなる。
○ 「海外進出する日本企業」の議論はあるが、「海外企業を日本に呼び込む」という議論は少ない。もっと、海外企業を国内に呼び込んでいくべき。

2:日本人個人
○ 対外発信していくにあたって、発信ターゲット(国別、性別、世代別、目的別)を明確にし、それを知ることがまず重要。相手を知らないのに情報を発信しても、相手に刺さることは無い。
○ 相手を知ると同時に、自分のことも知らなければならない。自国のことを知らないと、対外発信ができるわけが無い。日本人が日本のことをもっと知る必要がある。
○ 日本人が日本で楽しそうにしていない。そのコミュニティにいる人が楽しそうにしていないところに、人が集まるわけがない。
○ 日本人の若い世代を中心に、「外へ出て行く」という意識が低くなったように感じる。海外に行かず日本で留まっていても生きていくには事足りるから?

4.論点整理

1:国家レベルでのアプローチ
○ 昨年末のUAEの原発建造案件での日本の失注、韓国の受注をうけて、鳩山政権が日本企業の海外進出支援を前向きに検討することになった。今後の取組みが期待できる。
○ 日本という国は「ルール」に合わせて結果を出すのが得意。ただ、ルールの変更があると対応できない。経済でもスポーツでもその結果は明らか。日本がイニシアチブを取って、国際ルールを作っていくことが必要。ISOや排気ガス規制など、国際的ルールは全てビジネスチャンスになる。国内でも同様のことが言える。
○ 国は国内外での企業活動が円滑に行える基盤整備が一番必要

2:個人レベルでのアプローチ
○ 日本人は議論や交渉が下手。でも、そんな引っ込み思案、個人を主張しない日本人の性格を日本人は好きだし、美徳としているところもある。ただ、それでは国際競争に勝てないから、議論交渉のプロフェッショナルを育てる。
○ 日本の公教育(特に子ども)は上を目指すものではなく、底辺をしっかり上げる教育なので、エリートを育てる環境にない。また、企業に入ってからの教育には限界があり、そこから育てようとしても難しい。

3:合コン
○ 合コンも国際交渉の場と同じ。合コン相手と自分のメンツの特徴を自分自身が掴んでおかないと、目的は達成されないし、男性は特に合コンに目的意識が希薄。女性は男性よりも圧倒的に準備、覚悟ができている。
○ 「インターナショナルな合コンで日本男性は勝てるか?」と言ったら、絶対に勝てない。まず、失敗することを恐れるので喋らない。イタリア人の積極性を垣間見ても「イタリア人だから仕方ない」と、諦める。不測の事態がおこると、絶対に混乱してしまう。要は、自分の土俵で戦えない。
○ 一方、「インターナショナルな合コンで日本女性は勝てるか?」と言ったら必ず勝てる。喋らずとも「日本の女性は奥ゆかしくて素晴らしい」という世界基準が既に出来上がっているため、必ず外国人男性は食いつく。
○ 日本人男性が勝つためには、自分の土俵をその場に持ち込む必要がある。女性を口説くことに長けているイタリア人をメンバーに入れない、日本語ができるメンバーで行う、「私の沈黙は「貴方を愛している」という意味だ」ということを早い段階で女性に伝えておく、など合コンの場を自分の土俵にしてしまうことが必須。

5.結論

○ 「国」は、日本人に有利になるような国際ルールを作っていく必要がある。他国にルールを設定された場合は、今までどおりルール内で結果を出していく。ただし、ルールの変更は最大限食い止める。変更がなされたら、早い段階で方針転換する。
○ 「個人」は、国際交渉の場を自分の土俵に持ち込めるようにする。そして、相手に合わせず、自分が慌てたり動揺することの無く、心地よく議論できる環境を作る。

日本人にまつわるジョーク例

①:会社から帰ったら妻が男と浮気!どうする!?
アメリカ人なら銃で射殺!
ドイツ人なら法的処置!
フランス人なら自分も服を脱いだ
日本人なら、正式に紹介されるまで名刺を手にもっていた

②:レストランで出てきたスープにハエが入っていたら?
イギリス人は皮肉を言って店を出る。
中国人は問題なくハエを食べる。
ロシア人は酔っぱらっていて気づかない。
アメリカ人は裁判沙汰(ざた)に。
日本人は周りを見回し自分の皿だけなのを確認し、そっとボーイを呼ぶ。

③:国際的な学会の場で遅刻してしまったために、発表の持ち時間が半分になってしまった場合、各国の人々はどうするだろうか。
【アメリカ人】内容を薄めて時間内に収める。
【イギリス人】普段どおりのペースで喋り、途中で止める。
【フランス人】普段通りのペースで喋り、次の発言者の時間に食い込んでも止めない。
【ドイツ人】普段の二倍のペースで喋る。
【イタリア人】普段の雑談をカットすれば、時間内に収まる。
【日本人】遅刻はありえない。

④:ある船に火災が発生した。船長は、乗客をスムーズに海へ飛び込ませるために、
イギリス人には 「紳士はこういうときに飛び込むものです」
ドイツ人には 「規則では海に飛び込むことになっています」
イタリア人には 「さっき美女が飛び込みました」
アメリカ人には 「海に飛び込んだらヒーローになれますよ」
ロシア人には 「ウオッカのビンが流されてしまいました、今追えば間に合います」
フランス人には 「海に飛び込まないで下さい」
日本人には 「みんなもう飛び込みましたよ」
大阪人には 「阪神が優勝しましたよ」と伝えた。

⑤:大富豪:「もしも青いキリンを私に見せてくれるなら、莫大な賞金を出そう」
イギリス人は、そんな生物が本当にいるのかどうか、徹底的に議論を重ねた。
ドイツ人は、そんな生物が本当にいるのかどうか、図書館へ行って文献を調べた。
アメリカ人は、軍を出動させ、世界中に派遣して探し回った。
日本人は、品種改良の研究を昼夜を問わず重ねて、青いキリンを作った。
中国人は青いペンキを買いにいった。

 


Team D

グループ・ディスカッションのポイント
~日本を売り込め!日本の対外発信力を高めるには?~

1.事前準備

○ 事務局から送付があったグループメンバーのメール宛に、挨拶をかねて・当日はジョゼフ・ナイ著「ソフトパワー」の日本言及部分について配布・配布はしないが、2010年2月25日に行われた経済産業省 産業競争力部会第一回の資料を説明予定と連絡。

http://www.meti.go.jp/committee/materials2/data/g100225aj.html

2.当日の進行(前半:論点整理)

○ まず、全体の2時間という持ち時間の配分を説明。
3分で全体の配分説明、15分程度で9名の自己紹介、5分ほどかけて「ソフトパワー」「産業競争力部会資料」を説明したのちに、残りの70分(発表準備20分のぞく)を35分ずつに分けて、前半:議論の拡散タイム、後半:議論の収縮タイムを議論。

○ 前半、参加者から出された主な意見は以下の通り。
① 日本の製品にはまだまだ対外発信力がある。南米などでは家電が信頼・憧れとなっている
② 日本人が国際的なコミュニケーション力をつける必要がある。教育の中に、1年間海外に行かせる制度を入れるべきではないか。
③ 日本人全員に対外発信力が必要と思えない。高度成長期は商社マンが、職人が作った高度な製品を海外に売った。
④ 21世紀もどこかが音頭をとって「チームで」対外発信力・海外進出力を実現していくべき(教育で対外発信力を、といったときに想定されるのは公教育であり、その効果に段差や差は生まれ得る。同時に全国民に導入した場合のコストは非現実的)
⑤ 国際規格づくりに参画したくても、官庁も総合職も、1-2年でどんどん部署が変わり続け、継続的にルール作りの国際会議や議論に参加できていない。戦略的な人事制度が官民同時に必要。日本は自分たちが作った製品を結局欧米のルールで封じ込められている。
⑥ 日本の中小企業は、殆どが部品をつくっており、下請という体質から、グローバルに発信していくようなメンタリティを持っていない。日本の企業の97%が中小企業であり、雇用の70%を担っている。中小企業の対外発信力やあり方について考えていきたい。
★ 昨今、大手企業の製品の殆どは中小企業が作ったもの、OEMしたものを巨大な営業力・ブランド・販売網で売る、という形になっている。また最近では日本の大企業の製品を実質的にアジア各国の工場で生産していることも多い。こういう構造の中で、日本の対外発信力ということを考えたい。
⑦ (経産省資料を見る限り)海外の競争入札で負け続けているようであれば、国や政府・産業界がリーダーシップを発揮して海外進出をとりまとめるチームを作るべきではないか。

3.当日の進行(後半:提言検討)

○ 後半、上記より、特に議論を深めたい内容として、⑤に着目し議論。最終的に、以下の3つをDチームの結論とし、最後の発表時間に発信を行った。

Ⅰ:国際規格・ルール決めのテーブルに着くための戦略的人事制度の官民導入

Ⅱ:対外発信重点産業には、傾斜した予算配分より、人材育成・業界保存投資を(対外発信力があるアニメや職人などの業界は極めて収入が少なく、人材を保存できない状態。産業別に単年度・3ヵ年などのお金をつけて様子を見るのではなく、選定企業20社の正社員●●名に10年間支給、など、業界の人材確保のための教育投資にお金を出すこと。

Ⅲ:文化発信のために、日本の規格や文化や製品を、セットで販売していく
(例:南米では地デジのシステムをそのまま輸出しての導入に成功している)

 


Team E

グループ・ディスカッションのポイント
~安心あっての成長!日本の「福祉力」を高めるには?~

1.着眼点 :「子ども手当廃止後の子ども・子育て政策は?」

○ 今年度からスタートする子ども手当について、メンバーから、「必ずしも子ども・子育て対策として適切ではないのではないか?」「薄く広く配るのでは効果は薄いのではないか?それよりも、本当に必要としているところに集中的にお金を投下する方法はどうか?」という声が比較的多くあがった。そこで、子ども手当を廃止し、その財源を使ってもっと効果的な政策が打てないかについての議論を行った。

2. 政策その1:待機児童対策 ⇒「子育て“疎開”」

○ 最近、子供を持つ夫婦が共に働きに出、勤務時間帯には子どもを保育園等に預けるというライフスタイルが主流になりつつある。この場合、働くために子どもを保育園等に預ける必要がある。一方、都市部を中心に保育所の定員が足りず、いわゆる待機児童問題が深刻となっている。そこで、共働き・勤務時間帯には子どもを預ける必要がある育て方を前提として、この待機児童問題の解決のための施策を議論した。はじめに出てきたアイディアは以下の3つである。

・事業所内保育所の充実
:企業に対する助成を積極的に行い、企業が自主的に保育所を整備するよう誘導。

・保育ママ制度の充実
:都心部できちんとした設備をもった保育園を数多く整備するには、多くの財源が必要。むしろ、子育て経験を持つ主婦層が積極的に貢献してはどうか。

・幼稚園と保育園との制度一体化(幼保一体化)
:現在、保育園は定員が一杯で待機児童が発生している一方、幼稚園は定員割れが発
生しているところもある。そこで、幼稚園の設備の余裕があるところで保育の機能を持たせ、待機児童の減少につなげる方法があると考えられる。

○ これらのアイディアは、既に制度として存在するものもあれば、現時点で検討がなされているものもある。これらをさらに促進させると言うことで異論は出なかったが、Eチームが考案した最もユニークな待機児童対策は、ずばり「子育て『疎開』」である。

・「子育て『疎開』」
:都市部で両親が共働きの状況で子育てをする、ということを一旦諦め、子育ては子育て、労働は労働、と両者の機能を分けるという全く新しい発想のもとに生まれた政策。
具体的には、待機児童が発生しておらず、過疎化が進んでいる地方部に、保育機能を持った施設を新たに整備し、子供はここに預けられる。両親は子育てに従事することなく、平日は普通にフルタイムで勤務する。結果的に、平日には子どもは両親と離れて暮らす(=疎開)ことになり、週末のみ一緒に過ごすことになる。
もちろん、これは極端なケースであって、例えば週に半日だけ、1日だけ…という形でこの制度を利用することが現実的かも知れないし、また、仕事の忙しい時期のみ集中的に利用するようなことがあっても良い。子どもは集団生活の中、豊かな自然環境で伸び伸びと育つことができるであろうし、両親は仕事に集中することができる。過疎化に悩む地方部においては新たな雇用の発生や、地域住民と子どもとの交流によるコミュニティの活性化といった効果も期待できる。

3. 政策その2:「子育てRevolution」

○ 議論が進むにつれて、子供を多くの時間、他者に預けるのではなく、やはり子どもは両親が育てるという、「基本」に帰る姿勢が必要なのではないかという意見が出てきた(子育て「疎開」の議論と真逆の発想)。
○ もっとも、子育てのあり方はすなわちライフスタイルの問題であるから、子どもを持つ親に対し強制をすることは出来ず、親が自然とそのようなライフスタイルを取ろうという気にさせるようなインセンティブを持つための政策が必要となる。そのための方法論としてどのようなものがあるかを議論し、ユニークなアイディアを出すことができた。

・育児のための講習の充実(特に父親向け)
:現在、自治体などが実施している育児のための講習は、母親向けに比べ、父親向けのものは充実しているとは言い難い(日数が少ないなど)状況である。そもそも講習を受ける父親が少ないこともあるかもしれないが、こうした講習の充実を図るための助成があっても良いのではないか。

・二世代・三世代住宅手当の創設
:両親による子育ての際に、祖父母や曾祖父母の手助けがあれば、負担が軽減されるというケースもあるかと思われる。そこで、二世代・三世代がともに暮らせるような住宅を建設する者に対しては、住宅ローンの大幅な減税などが、子ども・子育て対策の観点から認められても良いのではないか。

・「在宅勤務型賃貸住宅」の建設
子育てと仕事を両立し易くするための有力な方法が、在宅勤務(テレワーク)である。しかし、在宅勤務の制度はできつつあるものの、それを利用している人は極めて少ないのが現状。在宅勤務を促進させるため、国が在宅勤務のためのIT設備が完備した賃貸マンションを建設してはどうかというアイディアが出た。マンションの1F部分は産婦人科・小児科を併設するようにすればなお良い。
また、現在、数十年前に建設されたニュータウンの集合住宅の建て替えが課題となっているが、その際に一部こうしたマンションを建設するというアイディアがあっても良いのではないか。

・男性の育児休業取得率を劇的上昇に向けた、給与補償(アメ)+罰則(ムチ)
:男性の育児休業取得率はわずか1%程度という現状から抜け出すために、取得した父親の給与の半分程度を国が補償することとし、一方で、取得しなかった企業や父親に対して何らかの罰則を科すような制度を設けることにより、男性の育児休業取得率を劇的にアップさせる。これによって、両親揃った子育てが容易になるのではないか。

4.最後に

○ 議論を無理に集約しようとしなかったことが良かったのか、既存の政策の枠にとらわれない、自由かつユニーク(あるものは荒唐無稽??)な施策を提案することが出来たと思う。

○ もっとも、ユニークである分、実現可能性についてもう少し詰めた議論が出来ればさらに良かったが、2時間という時間の制約の中では難しかった。ただし、子ども手当は現行の子ども1人あたり月13,000円支給を前提にしても、約2.5兆円の財源を必要とする。仮に、この2.5兆円もの財源を他の子ども・子育て政策に充てられるとするならば、今回の議論で出されたアイディアの一部を実現すること自体は、あながち不可能とは言えないのではないだろうか。

 


Team G

グループ・ディスカッションのポイント
~安心あっての成長!日本の「福祉力」を高めるには?~

1.着眼点 :「成長産業としての医療産業」~ 医療分野を成長産業へと変えるには?

○ 医療といえば医療費削減の議論になることが多いように思うすが、チームGではむしろ医療分野を有力な成長産業として捉えてみてはどうかという議論になった。

2.問題の特定

○少子高齢化の進む現在の日本においては、今の制度下では増加し続ける医療費 を賄いきれなくなる。
○医療費が膨らむと問題視されているにも関わらず、必ずしも医療環境が十分でないとされる要因についてメンバーから出された意見は以下の通り。

・美容外科医等、一部の医者は高所得である一方、長時間重労働にも関らず応分の待遇を受けられていない医者が多いと感じる
・赤字経営病院が多い
・医療訴訟リスクや利益率の違いにより、専門とする科に偏りが出る
・医療がリスクを伴うことを理解してもらえない
・医療をサービスではなく当然与えられるべき権利との考えを持った患者も多い
・予防努力を怠った患者に対しても均等に支給されている
・(医師が儲かっているという刷り込みがある。また、医療費をまだまだ削れるという刷り込みもある。)
・国民医療費合計32兆円に対し、65才以上の国民医療費は18兆円(全体の52%)
・慢性期医療(症状等は比較的落ち着いているが、長期にわたり療養が必要な医療)費の割合が高く、医療供給側、特に医師が割かなければならない時間も多い。

(注1)急性期医療とは重点的かつ高密度な医療のことを指し、重度の急性疾患(心筋梗塞、脳動脈瘤破裂等)や、悪性腫瘍、高度な専門的手術・治療等も含まれる医療である。
亜急性期医療とは、急性期を過ぎて重点的・高密度な医療は必要なくなっているが、入院等適切な診療を必要とする医療である。慢性期とは、症状等は比較的落ち着いているが、長期に亘り療養が必要な医療のことを表している。
(注2)日本の総医療費の対GDP比(%)は8.1%と先進国の中でも低い(OECD加盟国30ヶ国中21位)

3.解決の方向性

○上記要因や背景への解決の方向性について、メンバーからは、「医療分野の成長産業化」が提案された。少子高齢化の進む現在の日本では、今の制度下では増加し続ける医療費を賄いきれなくなることは必至であり、改善する必要があることは自明である。不必要(非効率)な医療費については適切に削減することはもちろん必要だが、それだけではなく医療分野が産業として成長することで、医療サービスが活性化し、様々な医療問題の解決に繋がるとともに雇用の受け皿となるのではないか。又、高い技術を持っており需要の増大が確実な医療分野は、日本が経済成長するにあたり必要な新しい成長フィールドとしても魅力的である。
○グローバル化と省力化で、従来の製造業等では雇用吸収力がなくなってきている。これをむしろプラスと捉えて、今後我々の社会が必要とする介護、医療等の福祉に雇用を回すことで、雇用と社会的な効用の向上が図れるのではないか。そのためには、福祉に金が回る必要がある。
○ これに対して、以下の懸念が提示された。
・医療従事者には高い専門性が必要であり、習得に時間がかかる
・産業化し市場規模の拡大を目指すと、患者に必要な箇所ではなく利益率の高い箇所ばかりが活性化するのではないか、
○ 従って、たとえ産業化したとしても政府の適切な介入が必要。

4.具体的な対応策

○ 政府による福祉産業としての適切なコントロールを前提に、<医療分野を成長産業化する>具体的な方法について出された意見は以下の通り。
・良い医療には納得して応分の負担をする意識を国民が持つよう意識改革させる。また、制度としても負担を求める。
・慢性期において、一定の医師の関与の下で、常用の薬の処方や、経過観測等の簡単な医療行為を行うことのできる資格を新規設立(既存の資格に階層をつくることも含む。)や薬剤師の役割強化を行う(診療待ち時間の短縮)
・日本の医療技術の中で世界でも評価の高い部分について、対外発信し自由診療の外国人患者を誘致する
・予防行為を奨励する(病気になってからの西洋医療中心⇒病気にならない常に健康を維持していくための東洋的な医療、統合医療の推進)
・テレビ電話等を使用した遠隔診察を奨励する
・防の努力に応じて医療費の自己負担率を変える
(過度の肥満、過度の飲酒喫煙等、明らかに不健康な生活習慣が原因の場合には、負担率をあげる等)
・医療分野における各種規制の緩和
(医師と看護師・医師と薬剤師等の役割分担、医療器具認証の面での薬事法の改正、医療保障に関しての国のバックアップ等)

※高い国民貯蓄率(個人金融資産)を有する日本において、今後、医療分野の成長を期す局面で、このお金を有効活用すること、すなわち、「世の中のお金の流れを変える」ことがポイント。

○ 特に「日本の医療技術の中で世界でも評価の高い部分について、対外発信し自由診療の外国人患者を誘致する」アイディアについては、
・品質の高い日本の健康診断と温泉や観光施設めぐりを組み合わせた「☆日本健康診断ツアー☆」を奨励してはどうか、
・診断後のアフターフォローに遠隔診察を利用してはどうか、
等より具体的な案となった。

5.プレゼンテーションでの質疑応答

○ プレゼンテーションでは、<医療分野を成長産業化する>構想について、また具体的なアイディアについて発表。その際に出された主な質疑は以下の通り。

・外国からの患者を誘致すると、ただでさえ医師不足で患者の待ち時間が長いのに更に待ち時間が増えてしまうのではないか?
→すぐに医師を増やすことは難しく、今の医療制度のままでただ患者数を増やすだけであればご指摘の通り医師不足がひどくなる。
医療行為の難易度に応じて新たに資格を設立して医師の仕事の肩代わりをできるようにする等、医療サービス供給側の対策と組み合わせることが必要である。
従来型の産業の雇用吸収力は落ちているが、このような分野においては雇用を新たにつくることができる。

・「☆日本健康診断ツアー☆」について、せっかく日本で精密な診断を受け早期に病気を発見できたとしても、日本は臓器移植等について規制が厳しく、最先端の治療を提供できないことも多いのではないか?
→確かに診断結果に対して、分野によってはアメリカ等が強い場合もある。その場合にはアメリカ等に行ってもらえばよい。しかしこのアイディアは、まず日本の医療技術の中で現在評価の高い分野について、外国からの顧客を誘致しようというアイディア。診断後の医療行為について(日本国外での治療も含め)アドバイスする等、診断後の治療行為ではなく健康診断そのものの質を価値として売り出す。

 


Team I

グループ・ディスカッションのポイント
~人財を活かそう!日本の働き力を高めるには?~

1.ディスカッションのキーワード

「人や社会とのつながり」、「自己実現」、「中高年に生きがいを、若者に働く場を提供するための雇用の流動化」、「社会と社外の居場所の確保」、「リゲイン♪24時間戦えますか?♪」

2.導入

○ 隣と人とペアになり、3分間で名前、職業、及びディスカッション参加に当たっての問題意識を共有。その後、自分のペアを他己紹介する形式で、メンバーの顔ぶれと問題意識をチーム全体で共有。
○ チームIには、民間企業勤務(3名)、大学講師(1名)、国家公務員(2名)、独立行政法人勤務(1名)、フリーの経営コンサルタント(1名)、プライベート・コンシェルジェ経営者(1名)、NPO職員(1名)と多彩な分野で活躍する10名が集まった。
○ 職業は多様である一方、それぞれ、
・企業の採用担当者として、
・メーカーでの人事、組織人事コンサルティング等の担当者として、
・官庁の福利厚生制度の担当者として、
・所属省の「働き方の見直し」に向けたプロジェクト・チームのメンバーとして、
・非正規雇用の見直しの影響を大きく受ける物流の現場で働く者として、
・懸命に働いた結果、体調を崩し現在休業中であるとの経験を持つものとして、
「働き力」のテーマに対する共通した強い問題意識が見られた。

3.「働き力」の源泉の把握 ~個人の視点から~

○ 「あなたの成長を高める上で、最も重要な働き力の源泉は?」という質問に対して、各自の答えを付箋に記入。
○ 概ね共通する事柄として、「他者に認められること」、「社会の役に立っているという実感」、「人とのつながりを保てること」が挙げられた。また、小学校3年生の時に母親から「人は貢献する生き物だ。世の中の役に立つ道を探せ」と諭されことを胸に、それ以来「使命感」を持って独立することを前提に仕事に取り組んできた、とのエピソードも紹介された。
○ 続いて、「自分の身の回りで働く人々を見た時に、上記「働き力」の源泉が十分に保たれているか」、との質問に対して、約半数が「どちらかと言えば保たれていない」と回答。理由として、職場での人的つながりの希薄化、マスコミによる公務員バッシングによる士気の低下、現在の仕事に取組む意義を自己の中ではっきり見出せていないこと、等が挙げられた。

4.「働き力」の源泉の把握 ~組織の視点から~

○ 「組織の成長を高める上で、最も重要な働き力の源泉は?」という質問に対して、各自の答えを付箋に記入。「チーム・ワーク」、「優秀な若手の採用」、「優秀な人材を雇うための継続的な利益計上」、「社員・職員の高いモチベーション」等の共通事項に加え、「社内だけでなく社外での居場所を提供すること」との考え方が提示された。
○ 現在、多くの企業や官庁に、バブル期以前に採用された中高年社員・職員の割合が増える一方で、経営や経済環境の悪化から新規採用が絞られたことにより、組織が「逆三角形」なる現象が見られることが挙げられた。組織が「逆三角形」になることで組織の活力が失われ、人件費も高止まりする等の問題が発生する、との意見が示された。
○ このことを統計的に裏付ける資料が提示された。厚生労働白書の統計によれば、景気後退期に「新規採用」の割合が落ち込む一方で、「退職者」の割合があまり落ちこんでおらず、しわ寄せが若手に来ていることが見て取れる。
○ この統計資料に対して、外資系企業で採用担当をしているメンバーの一人から、「退職率が高い時期でも3%という数字は自分の感覚では低すぎる。この統計の対象が概ね日本企業だからではないか。外資系企業では雇用が流動的であるため、離職率は高く、組織が逆三角形になる問題は発生しづらい」との見方が提示された。
○ このことから、「組織」と「個人」の働き力の源を高める上で、「流動的な雇用体系(労働市場)」の必要性が提起された。
○ 他方、雇用を流動化しても、国全体の成長が確保されない中では、「いすの数が減り続ける中で“椅子取りゲーム”をするようなもの」であり、個人は疲弊してしまう。椅子、つまり雇用を増やすために経営者が力をつけることが必要であり、若手経営者を指南するために、経験豊富な中高年層が、長年勤めてきた企業にしがみつくのではなく、ベンチャー企業等にアドバイザー役として転職することで、個人にとっても、企業にとっても望ましい結果が生み出せるのではないか、とのアイディアが出された。
○ また、「流動的な雇用・労働市場」と言っても、人は急に変化に対応することは出来ない。実際、終身雇用・年功序列を前提とした組織・社会の中でこれまで何十年間も働き、現在は、住宅ローンや高校生・大学生の子供を抱える40-50代の働く者が、急に「流動化」を求められても対応できるはずがなく、抵抗する。
○ こうした問題を解決するために、「労働時間の短縮化・柔軟化」のアイディアが提示された。つまり、正規雇用の立場を維持しつつ、働く時間と給与を8割にし、残った時間を社外での活動(資格取得など自己研鑽、NPO・ボランティア活動、副業等)に振り向けることを奨励すれば、一つの組織にしがみつくインセンティブが薄められ、「流動化」した労働市場や雇用慣行に対応しやすくなるのではないか。
○ あわせて、「流動的な労働市場・雇用慣行」を求めるのであれば、失業の際のセーフティネットの提供により、働く者の安心を確保することも重要であるとの意見も出された。

5.「働き力」の源泉の把握 ~国全体の視点から~

○ 最後に、「日本の成長を高める上で、最も重要な働き力の源泉は?」との課題を考えた。その際の材料として、バブル絶頂期の平成元年に登場し一世を風靡したリゲインのCMのテーマソング「勇気のしるし」の歌詞を共有。
○ メンバーの中からは「懐かしい!」という声が上がる一方、「こんなCMを知らない」という若手もおり、メンバー間の世代間ギャップが明らかに。
○ このCMの歌詞は当時の世相やバブル期の日本の「働き力」を端的に表現したものが含まれているのではないか、との問題意識の元、
1) 「リゲイン」のCMにはあって、今は失われてしまっている日本の「働き力は?」
2) 「リゲイン」のCMにはあるものの、むしろ今、「働き力」を低めることになり得る要素は?
という二つの質問について、それぞれの考え方を付箋に記入。
○ 結果、1)については、「年収アップ」「海外に打って出る発想」「外人にYESと言わせる交渉力」が挙げられた一方、2)については、「有給休暇が夢のまた夢」等が挙げられた。
○ 意見の分かれた要素として「24時間戦う」とのフレーズ。違和感を覚える立場からは「育児・介護等、ライフとの両立が出来ない」「24時間仕事をやるのは非効率」「アタマが硬くなる」等の意見が出された一方、「ワークをツライものととらえ、ライフを癒しと捉える現在の風潮自体が、働き力を弱めることになる」「ワークは人生を豊かにするものである」「ライフ・ワークという言葉があるように、ワーク=ライフと捉えれば、24時間働くのは自然。何故遭えて、ワイフとワークを分けて考えるのか」との反対意見も出された。
○ 両者の対立を調和させる上では、「何のために働くのか」という目的意識が重要ではないか、との見方が示された。即ち「リゲイン」の時代は、我が家にファミコンも冷蔵庫もなく、懸命に24時間働き年収がアップした結果、「欲しい物が買える」用になることが目的意識として共有されていた。しかし現在は、殆ど人が欲しい物を既に持っている。こうした中で、24時間働くことは一体何の意味があるのか。目的意識が人によって異なる時代の文脈で考え直すことが必要ではないか、との意見が出された。

6.チーム・メンバーの感想 ~アンケートのフィード・バックから~

(1) テーマ設定について
○ 「個人」⇒「組織」⇒「日本」というまとめ方をする上で、単純にはいかない難しさを感じた。
○ 少し広いと感じたが、興味のあるテーマではあったので多様な意見を聞くことができ、とてもよい刺激になった。
○ 複数の相互に関連のある適切なテーマ設定と感じた。
○ テーマ設定が広すぎて、議論が深まらない。
○ テーマがやや広かった。「働き力」「日本の成長」をどこに置くかの定義に個人差あり。
○ 「成長」と言うところに論点があるのかもしれないと思った。
○ 話を始めるにあたって、多様な入り口(論点)があり、丁度よいサイズであった。
○ 現在関わっている業務に関連し、また誰もが当事者となり考えさせられる内容であったため、非常に良いテーマ設定だった。

(2) ディスカッションの進め方について
○ 活発な意見が本音ベースで飛び交い、非常に刺激になった。
○ ファシリテーターが介入しすぎず、コントロールしすぎず、バランスよくガイドしたと感じた。
○ 短い時間ではあったが、特定の人に偏ることなく議論が出来た。
○ ファシリテーターに誘導され過ぎている感じがした。
○ 付箋や資料が効果的だった。他己紹介もよかった。
○ バランスよく皆が話していた。
○ ファシリテーターの事前の案内を含めた準備が充実していたので滞りがなかった。
○ ファシリテーターが様々な意見を集約して、随時、テーマの方向性を確認しつつ、進めたため、非常に有意義だった。

(3) ディスカッションの内容について
○ メンバー間の価値観が様々であり勉強になった。
○ 普段は類似したマインドやカルチャーの人と対話することが多いが、立場の違う方の意見は参考になった。
○ 異質な人の意見を聞けるということ、自分の意見に対して、感想や意見・異見を聞けることが気付きにつながった。
○ 様々な立場の方々の意見や見解・経験をお聞きできてよかった。やや論点が広く拡散してしまった印象もある。
○ 議論の前提、共通認識があれば、立ち上がりが早かったのではないか。
○ 色々な形態で働く人の意見に触れることが出来、有意義だった。
○ まとめようとしなかったのがよかった。皆の意見が聞けた。
○ 中盤で出たキーワード「雇用の流動化」があまりに大きすぎて、深めることが出来なかった。
○ 世代や職場環境の異なる方々との議論によって、知見が広まった。

 


Team J

グループ・ディスカッションのポイント
~人財を活かそう!日本の働き力を高めるには?~

1.チーム・メンバーと問題意識

○ チームJでは、職種はIT企業、国家公務員、地方公務員、メーカー、銀行、商社、研究者など、年代層も20代から60代(50代を除く)からの様々なバックグランドからの参加者でディスカッションが行われた。
○ 冒頭に自己紹介をかねて、特にこの“人財を活かそう!日本の「働き力」を高めるには?”に興味を持った理由を、現在や過去の職業経験から語ってもらった。その後、日本の成長のため、自分にとって重要な働き力、組織あるいは日本にとって重要な働き力は何かを各人挙げてもらい、その理由を各人の具体的な体験を元に説明してもらいながら、議論を展開していった。

2.論点の絞り込み

○ 最初、本トピックの幅広さと参加者の多様さから、果てしなく議論が発散してしまうのではないかと思われたが、議論を進めている内に、ある共通した問題意識が浮かび上がってきた。
○ 即ち、あらゆる職種において、一人一人が業務に求められる内容が複雑化、高度化、細分化、爆発的増加をしている反面、そのためのトレーニングをする時間、あるいは仕事の内容や意義を振り返って内省する機会が、組織的・OJT(On the Job Training)的にもなくなっている。
○ そのため、組織においては、失敗や批判を恐れる余り、細かな点に過度に神経質になったり、マニュアルの背後にある本来の意味を理解せず、形式的(表面的)な順守を求める風潮からの逸脱を恐れる風潮が跋扈している。また、個人においても防衛的に仕事領域を非常に狭く限定したり、目の前の仕事以外全く無関心になってしまうといったことが現場で見られることが報告された。
○ 結果として、大きく変化する環境に十分適用できない、硬直化した、ストレスフルで非効率的な今の社会が顕現しているのではないか、というイメージが共有されてきた。
○ 体現の仕方こそ違え、その背後に、これまでの日本の働きのあり方の疲労があるのではないか、と言った議論がなされた。即ち、工業化社会にあっては、欧米のやり方のキャッチアップとして、質の良い仕事が出来ていたものが、特にバブル前後の社会と時代の大きな変容に対して、イノベーティブな仕組みを“自らが”創り、適応していくことがうまくできていなく、過去のやり方にとらわれ、新たな一歩を踏み出せていないというものである。
○ こうした「働き力」の時代への適応不順が、日本の成長を妨げているのではないか、という点がグループにおける一つの共通認識になったのではないか、と思われる。

3.対応案

○ 個人においては「まずはいろいろとやってみること」、そのためにも「余りあくせく働かないようにする」、今の仕事に対して気づきを醸成するために「自分の仕事を外から見る機会を作ること(海外へ行ったり、留学生と接する等といった外国関係だけでなく、同じ職場でも例えば異なる部署で働くこと)が重要。
○ 組織においては、「リーダーシップを持ったトップの導入」、「皆が共有できるビジョンの醸成」、「そうして醸成されたビジョンを各人が自分に落とし込んで理解する」、「個人が組織全体を意識して仕事の仕方を考えさせるような機会や仕組みを組織的に導入すること」、「現場がある程度の裁量を持って仕事を進めていけるような体制(特にミドルマネジメントクラス)の整備」、そして国レベルでは、「雇用流動性の確保」やそのための「同一労働、同一賃金の実現」など、参加者それぞれの体験や視点から様々な提案がなされた。
○ 今後の分科会として、「働き力」のフォローアップや、「CSR」「新しい公共」「ソーシャルビジネス」「やる気分科会(モチベーション分科会)」等の分科会の要望があった。

 


Team K

グループ・ディスカッションのポイント
~人財を活かそう!日本の働き力を高めるには?~

○冒頭、自己紹介を兼ねて、このテーマを選んだキッカケや想いを語り合った。複数の企業での経験がある人、大きな組織にいる人、人材育成に関わる人、多様なメンバーが結集していると誰もが感じた。

○続いて、ファシリテーターより、モチベーション3.0(ワクワク感)、2.0(信賞必罰)、1.0(生物的な動機)が紹介され、「あなたの仕事への取組姿勢は?」との問いかけに、メンバーが熱く語り出した。全員がモチベーション3.0、自己超越の概念により4.0を目指すという議論さえ飛び出した。

○話題は、モチベーションを上げるには?どうする?との議論に移り、次々に出されたアイディアが、ポストイットに書き込まれ、あっという間に模造紙いっぱいに広がった。

○多種多様な概念が入り混じり、混沌としたアイディアの散らばりが、キレのあるメンバーたちによって次々に整理されて行った。まず、モチベーション3.0、2.0、1.0の階層別の仕分け、自分の意識改革によるものをWHY、人の喜びのために働くことの再認識をWHAT、やる気を引き出す制度・仕組みを構築するものをHOW TOに分類することができることを、メンバー全員で発見。

○これらの仕分けを体系的に整理して、模造紙に表現する場面では、逆三角形をモチーフにしてビジュアル的にまとめることができた。

○最後に、日本の成長戦略と働き力、モチベーションの向上がどう結びつくのか、この理論体系を整理するなど、ブレゼンテーション後の想定問答を準備。

○これらの活動を通して、ここに結集したメンバーは皆、なんて協力的で前向きな人たちなんだ!と、全員が感じられたのではないか。

 


Team L

グループ・ディスカッションのポイント
~人財を活かそう!日本の働き力を高めるには?~

1.チーム・メンバーと問題意識

○転職経験者、NPO活動を本職とする者、本職を他に持ちながらNPO活動する者、職場の制度を利用して留学した者、同これから留学する予定の者など、働き力グループにふさわしい背景を持つメンバー構成となった。
○『東洋経済』に掲載されていた特集「新しいやる気のかたち モチベーション3.0」を紹介。生物的な動機をモチベーション1.0、与えられた動機をモチベーション2.0、自発的な動機をモチベーション3.0と位置付け、これからはモチベーション3.0が重要になるとのこと。
○また、会社と社員の関係についても、戦後からバブル経済までを親子関係(忠誠心の時代)、バブル経済崩壊からこれまでを主従関係(責任ある約束の時代)と表現し、これからは婚約関係(絆の時代)になると予想している。

2.議論のポイント

○まず「あなたにとって一番大切な“働き力”の源は何だと思いますか?」という主題について、メンバー各々が考えを述べた。「本人の意欲」「上司・同僚の存在」「お客さんの反応」「仕事と生活の調和」など、やはりモチベーション3.0(自発的な動機)に通ずるものが多かった。また、転職経験者が多かったことから、「前の職が嫌だったから転職するのか、次にやりたい職があるから転職するのか」という点についても話が及んだ。
○続いて「あなたが所属する組織にとって一番大切な“働き力”の源は何だと思いますか?」について、最後に「日本にとって一番大切な“働き力”の源は何だと思いますか?」について議論する予定であったが、すでに1つ目を終えたときには7割方の時間が過ぎてしまったため、これらをまとめて主題とすることに急遽変更。
○組織・日本レベルの働き力について、国内視点では、「本人がやりがいを持てる仕事を探せる環境が必要なのではないか。具体例を挙げてみると、ベーシックインカム(最低限所得保障)のような制度で求職活動を支える仕組みを整えるのはどうだろうか。もちろん本当にギリギリ最小限の金額で」という意見が出る一方、「ギリギリ最小限でもモラルハザード(道徳崩壊)が起きてしまうのではないか。かなりの額になるであろう費用の財源をどうするのか」といった懸念も示された。
○国際視点では、「国内の状況が厳しいならば、海外へも打って出るべきではないか。そのための国際ルールを備えた人材育成も重要だ」という意見や、原子力発電所の受注において日本企業が韓国企業に負けた事例から「日本企業は連携が弱い(独立性が強すぎる)」「海外での国家プロジェクト級の商談には日本政府の支援も必要だ」という意見が出された。

(その他)

Lチームでは、議論を通して気付き(新しいものの見方や考え方)を得ることに主眼を置き、結論をまとめない進行とした。

 


Team M

グループ・ディスカッションのポイント
~持続可能な成長に向けて、日本の「環境力」を高めるには?~

1.Mチームのミッション

“バックキャスティング”マーケティングで描く持続可能な未来予想図”
(詳細は、参考資料を参照。)
○ グループMでは、“バックキャスティング”によって10年後の「持続可能な未来予想図」を描き、そこに到達するための「成長戦略」を立案する、というミッションを課した。
○ “バックキャスティング”とは、未来を始点として、資源やエネルギーの制約を勘案しつつ、そこに至るための道筋を考えようとする手法で、スウェーデンの環境NGO「ナチュラル・ステップ」の創始者が考案したもの。最近では企業のマーケティングにも応用されているそうで、今回は、10年後の社会ニーズをマーケティングするというコンセプトに応用。
○ ディスカッションでは、最初に10年後の社会を予測してもらうことから始めた。その際、抽象的に社会像を考えるのではなく、「自宅で家族だんらん」「友人たちと旅行・レジャー」「グローバルな仕事現場」「地域コミュニティで街づくり活動」など、生活の具体的なシーンを思い浮かべて、いきいきとした未来予想図を考えてもらうようにした。
○ 例えば「自宅で家族だんらん」というシーン一つとっても、どこで買い物するのか?食事は誰がどのように作るのか?その時のエネルギーはどこから?男女関係や親子関係などの家族観はどうなっている?育児や介護は?ゲームやメディアは?・・・など、様々な社会問題と結びつけて考える事ができる。
○ ただし、各シーンとも、以下の条件が満たされていることを前提とした。
条件A:「自然環境と調和していること」
条件B:「全人類が人間らしい最低限度の生活を保障されていること」
条件C:「個々人の心が満ち足りていること」
条件D:「日本が世界との経済競争に負けないこと
○ その後、各シーンに共通するコンセプトを皆で抽出し、未来予想図の全体像を構築してもらい、最後に、そうした未来予想図を実現するための道筋(成長戦略)を考えた。

2.ディスカッションの結果

(1)皆が予想した2020年の生活シーン
<シーン1:家庭>
・核家族化に向かっていた家族観が逆転し(脱核家族化)、数世代・数家族が固まって住むようになる(コーポラティブハウスのようなもの?)。
・住宅は200年使えるものを、数世代に渡って使い継いでいく。・太陽光や風力などの自然エネルギーを、共同体のみんなで”地産地消”。スマートグリッド。
・共同体のおじいさん、おばあさんが、子どもたちに自然との遊び方やつきあい方を教える(共同体での環境教育、世代間の触れ合い)。
・車などの交通手段も、乗り合いのような形で共同体の人々が共有し、ゆずりあう。

<シーン2:職場>
・会社と労働者との距離感の取り方が変わってくる。
・10年後は子育てをしているので、近所の中小企業で働く。通勤はない。
・通勤がないので、環境にも優しい。
・インターネットの活用により、中小企業どうしが連携し、大企業でなくても勝てる。・社会保障が充実し、非正規であってもよい。フレキシブルな働き方で生産性を上げる。
・労働時間は短く、心の病気はない。
・組織の縦割りがなくなる。
・労働時間は短く、生産性が向上し、成長につながる。

<シーン3:地域社会>
・貨幣経済偏重の価値観を捨てる。食べものと暖かいところがあればよい。
・地域で、小学校から有権者教育をする。
・人からお金をもらうだけでなく、自分自身が自立する。自営業や自営農が増え、会社に頼らなくてもダイレクトに収入が得られる。
・都市の人々は、地方の生活や田舎の役割をもっと理解する。都市と地方の関係の再構築。
・高齢者が元気。高齢者だけでもやっていける環境。・映画「崖の上のポニョ」のように、老人が子どもたちと触れ合う。皆元気。(グループホームと保育所の統合)

3.ディスカッションの結果

「幸せな経済2020」 GDPで負けてもよい!笑顔や幸せで勝っていればよい!
<各論>
・地域や家族の共同(協働)
・資源制約
・価値観の転換(貨幣的価値→笑、食、快)(ケチがかっこいい、省エネがかっこいい)
・多様性を認める(個人を尊重、自立、主体性。ただし、一方でリテラシー必要)

<「幸せな経済2020」を実現する道筋(成長戦略)>
・“かっこいい”と思えるやり方を民主導で提示する(ロールモデル、モデルケース)
・環境税や排出量取引など政府による強制
・教育・学習(不便を我慢することの習得など)
・有権者教育(自立、関心、自分で考える)

チームM・グループワークの進め方(案)
~“バックキャスティング”マーケティングで描く持続可能な未来予想図~

(出展)「ナチュラル・ステップ」ホームページより

1.スケジュール

・自己紹介 (10分)
(お名前、所属、10年後の自分はどうなっていたいか、その他)
・ファシリテーターからの説明 (5分)
・工程1:小グループに分かれて、“バックキャスティング”マーケティング(20分)
・工程2:全体で、キーコンセプトの議論 (20分)
・工程3:全体で、「成長戦略」の議論 (45分)
・工程4:作品づくり (20分)

2.チームMのミッション

“バックキャスティング”マーケティングの手法を用いて、「持続可能な未来予想図」を描き、そこに到達するための「成長戦略」を立案する。

“フォアキャスティング”・・・現在を始点として、経済や社会、技術がどのように変化するか、消費者や市場はどう動くかを予測しようとする手法。
“バックキャスティング”・・・未来を始点として、資源やエネルギーの制約を勘案しつつ、そこに至るための道筋を考えようとする手法。スウェーデンの環境NGO「ナチュラル・ステップ」の創始者カール・ヘンリク・ロベール氏が考案。

3.グループワークの進め方(詳細)

工程1:小グループに分かれて、“バックキャスティング”マーケティング (20分)

<シーン例>
・自宅で家族だんらん
・友人たちと旅行・レジャー
・グローバルな仕事現場
・地域コミュニティで街づくり活動

※ただし、各シーンとも、以下の条件を満たしていること!!
条件A:「自然環境と調和していること」
条件B:「全人類が人間らしい最低限度の生活を保障されていること」
条件C:「個々人の心が満ち足りていること」条件D:「日本が世界との経済競争に負けないこと」

工程2:全体で、キーコンセプトの議論 (20分)

○各グループの工程1のマーケティング結果を発表して下さい。
○次に、全員で全てのマーケティング結果を概観し、私たちの「持続可能な未来予想図」に共通するキーコンセプトを見つけましょう!

工程3:全体で、「成長戦略」の議論 (45分)

○私たちの「持続可能な未来予想図」を実現するための「成長戦略」を議論しましょう!

工程4:作品づくり (20分)

○これまで議論してきた、
・「持続可能な未来予想図」(シーン別のマーケティング結果、キーコンセプト)
・そこに至るための「成長戦略」
を、模造紙に表現しましょう!

(参考資料)
・「日経ビジネス」2010年3月1日号『環境後進国ニッポン』より
・「地球温暖化対策基本法案の概要」(環境省)
・「地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ(議論のたたき台)(案)」(環境省)
・国連開発計画(UNDP)「人間開発報告書1998」(プレスリリース、本文図表)

 


Team O

グループ・ディスカッションのポイント
~持続可能な成長に向けて、日本の「環境力」を高めるには?~

ディスカッションのキーワード

「成熟」、「マズロー」、「GNH」、「教育」、「技術力」、「農林業」

0.大会前のお知らせ

○本大会の大テーマ「日本の成長戦略を考える」を議論の機軸とする
○キーワードは「成長」、「環境」、「エネルギー」としたい
○とは言っても、基本的に皆さんの興味ある事を議論して欲しい
そこで、
○具体的に議論したいトピックを事前にお知らせ下さい
○そもそも何を持って「成長」と定義するか…考えてみて下さい

1.導入

○自己紹介:名前、抱負、興味対象。
○チームOには、民間企業勤務(6名)、NPO職員(1名)、その他(1名)の合計8名が集まった。
○メンバーの興味対象は大別して3種類に分かれた
・ 特定のセクターに対する興味
– 森林・農村(食の安全)
– 地方・地域
– 産業のあり方
・ 「成長とは?」という問いに対する興味
– 成長に対する実感が乏しい
– GDPの代替指標が必要、例えばGNH
・ その他
– 環境の大切さの伝え方
– 自分の基軸を見直したい

2.「成長」とは?(全体議論)

○何をもってして「成長」と定義するか、一人ずつコメントを求めた。
○全体的な共通意見は、
– 一般的には成長=GDPアップ、しかし、それだけでは無いand/orそれは違う気がする…
– 目指すべきは「成熟」であって、「成長」ではない!
○最後の一人は、
– そうは言ってもGDPが増加しなければ不幸せになると思う…自分は「成長」とはGDPの増加だと思うし、それを目指すべきだと思う

3.「成熟戦略」もしくは「成長戦略」を考える(班別議論)

○2班に分かれて「環境」をキーワードとし、「成長戦略」もしくは「成熟戦略」を考えてもらった。(ファシリテーターは順番に各班の議論に参加)
○1班の議論
– 環境に問題意識を持てるのは生活に余裕のある人のみ!どうすればより多くの人が問題意識を持てるようになる?
– 企業は結局利益になる事しかやらない
– プリウスの販売台数が伸びている様に、トップランナー方式で環境対策は進む
…ここでファシリテーターは別班へ
○ 2班の議論
…ファシリテーター途中から議論に参加
– 「成熟」とはどういう社会?
– 全体としては経済成長していなくても、その内部では人やものが循環しているイメージ…
– マズローの5段階欲求階層説のうち、下位3段階(生理的、安全・安定性、所属)欲求は「成長」社会に求められるもので、上位2段階(尊敬、自己実現)は「成熟」社会に求められる
– 下位欲求が満たされなければ上位欲求も満たされない…従って、「成熟」も必要だが、「成長」も必要 → 木が生長するためには根がしっかりしていなければならない!

4.まとめ(全体議論)

○ 2班の議論内容を共有した後、チームの「成熟戦略」もしくは「成長戦略」を取りまとめた(ファシリテーターはパシリテーター化し、取りまとめはメンバーのみで実施)
○ 成長しながら成熟していく戦略が必要
○ わくわく・ドキドキ感が幸福度upにつながる
○ 戦略は、
– 教育:日本全体の底力を向上!
– 農林業:国土の60%を占める山林を有効活用すべき!
– 技術力:日本の技術力を海外移転し、得た利益を国内で分配!
○ 「環境力」とは、
– 持続可能な社会
– 循環型社会
– 生物多様性
– 多面的機能
– ESD…