皆で実践! 差異を学びに、違いを強みへと変える『ファシリテーション』

皆で実践! 差異を学びに、違いを強みへと変える『ファシリテーション』

官民協働ネットワークCrossover主催
参加型フォーラム

 

 

皆で実践!

差異を学びに、違いを強みへと変える

『ファシリテーション』

 

 

報告書

 

 

 

2018年11月10日(土)
東京医科歯科大学M&Aタワー ファカルティラウンジ

 

1 はじめに


Crossover代表:池田洋一郎(アジア開発銀行(ADB)総裁首席補佐官)の一時帰国に併せて開催した本参加型フォーラムには、100名を超える方々の参加をいただき、大盛況の内に幕を閉じました。お休みのところ、会場まで足を運んでいただき、会を盛り上げていただいた皆様、イベントの成功にご協力いただいた皆様、誠にありがとうございました。

立場や意見、あるいはバックグランドが異なる人々が協働しながら、組織や社会の問題解決や新しい価値の創造に取り組んでいくには、どんな仕組み、ツール、あるいはマインドセットが必要なのだろう?私には何が出来るだろう・・・このテーマは池田自身が、アジア開発銀行という国際機関で日々悩んでいることであり、またCrossoverを立上げ、17年間活動を継続する中で、仲間と共に考え続けてきたテーマです。
本フォーラムでは、こうした問題意識を持って、「差異を学びに、違いを強みへ」と変えていく「ファシリテーション」について、池田の経験談を肴に立場やバックグラウンドを超えて想いを共有し、学び合う時間を持ちました。

また、今回は、現在留学や仕事で海外にいるCrossover運営ファシリテーターや会員の方がオンラインで参加できるよう、医科歯科大学の会場と、ニューヨーク、ワシント、そしてシンガポールをオンラインでつなぎ、時差や距離の差をcrossoverした空間を作りました。

フォーラムの概要は以下の通りです。

 

2 第1部 参加型フォーラムの概要  14:00~16:00


(Crossover代表池田洋一郎からのメッセージ:国際機関経営の現場から)

「アジア開発銀行とかけて、クロスオーバーと解く、そのこころは:ファシリテーション」というメッセージではじめた池田からのプレゼンテーションは、
①ファシリテーションとは何か、
②立場や意見の異なる人たちが、問題解決や新しい価値の創造に取り組む上で、なぜファシリテーションが重要となるのか、
そして
③効果的にファシリテーションをしていくうえで必要なマインドセット、習慣、仕組み、ツールは何か、
と言った事柄について、アジア開発銀行の歴史やプロジェクト、そしてCrossoverでの活動を通じて池田が見聞きし、体験したことをケースに、対話形式で皆さんと議論を深めていきました。

プレゼンテーション後に設けた質疑応答の時間には、合意形成をファシリテートすることと、リーダーシップを発揮することとの違い、ファシリテーション自体は目的ではなく手段であること、「中立」であることの難しさ、日本の組織や社会におけるファシリテーター活躍の余地、地域社会や家庭といった文脈でファシリテーションを実践していく上での習慣、と言った本質的な指摘を数多くいただきました。

 

3 第2部 懇親会の概要  16:00~18:00


フォーラム終了後の懇親会では、運営ファシリテーターより、昨年秋に行った「Crossover ファシリテーション強化合宿」、今年の9月にバンコクにてASEAN諸国に駐在中の運営ファシリテーターが集って行った「Crossover ASEAN Summit」の報告が行われたほか、Crossoverの学生メンバーが来る12月に企画している「アジア開発銀行、フィリピンの開発現場を巡るスタディツアー」の予告が共有されました。
懇親会終了後、場所を御茶ノ水駅界隈の居酒屋へと移したCrossover参加者同士の議論と交流は、二次会、三次会、四次会・・・と時間の経過と共に熱量を増し、深夜二時半を回った頃、ようやく最終解散となりました(最後までお付き合いいただいた方、大変お疲れ様でした)。

 

4 終わりに (今後の予定と運営ファシリテーターからのメッセージ)


参加型フォーラムの後半に、Crossoverの最年長ファシリテーターである植木正裕、最年少の学生ファシリテーターである堀越優行から、今後Crossoverの公式なディスカッション大会の予定について以下の通り発表がありました。

○ 2019年1月5日(土) 財政を通じて考える、国と個人の関係性(仮称)
○ 2019年4月半ば 児童虐待の撲滅に向けて一人ひとりが出来ること(仮称)

参加型フォーラムの締めの挨拶で運営ファシリテーターのチョリ(服部真子)からお話をしたとおり、Crossoverは、好奇心・向上心・公共心を旨に、リーダーシップやファシリテーション力を高め、社会に貢献していきたい、という想いを持っている皆さんの、運営メンバーへの参加をお待ちしています。

運営ファシリテーターのモットーは、「やりたい人が、やりたいときに、やれるだけ、一生懸命。」
皆さん、それぞれ本業や家庭生活等、お忙しいとは思いますが、「やってみたい」「面白そう!」というご自身の心の叫びを耳にされたら、臆することなく、Crossoverの運営ファシリテーターのメンバーに手を挙げてみませんか?「壁」は思った以上に低いものですよ。

 

5 アンケート概要


別紙 [PDF]

 

一緒に立てよう! 僕のわたしの『未来に向けた行動計画』

一緒に立てよう! 僕のわたしの『未来に向けた行動計画』

官民協働ネットワークCrossover主催
ゲーム&ディスカッション大会

 

 

一緒に立てよう!

僕のわたしの『未来に向けた行動計画』

〜SDGsカードゲーム×Crossover〜

 

 

報告書

 

 

1.全体総括


2月3日(土)午前9時50分より、東京医科歯科大学にて、「一緒に立てよう!僕のわたしの[未来に向けた行動計画]SDGsカードゲーム×官民協働ネットワークCrossover」を開催しました。イベント前半で、一般社団法人イマココラボが開発した「2030SDGsカードゲーム」を体験させて頂いた後、イベント後半では2030年の理想の世界に関するグループ ワークが行われました。
今回は、当局にて事前に班分けを実施せず、参加者が会場全体を歩き周り、2030年の理想の世界に向けて目的意識を共有する仲間を探し(マッチングウォーク)、グループごとに2030年の理想の世界とその実現のためのプロジェクトを議論(プロジェクトカード作成)しました。これまでより一層参加者が会場を動き回り、全員が楽しめる企画となりました。当日のタイムラインは以下の表の通りです。

流れ 内容
SDGsカードゲーム体験
(1時間10分を予定→1時間40分で実施)
■導入プレゼン・SDGsカードゲーム体験
○SDGs概説、ゲームルールの説明
○ゲーム体験
○振り返り
○個人ワークシート記入
グループワーク
(50分を予定→40分で実施)
■マッチングウォーク
○仲間探し
■プロジェクト作成・議論
○2030年の理想の世界
○その実現のためのプロジェクト
ヒロ&ケンボーSHOW
(40分を予定→20分で実施)
■各班のプレゼンテーション
★司会:ケンボー
★コメンテーター:ヒロ(イマココラボ)
閉会
(10分)
■Crossoverファシリテーターからの挨拶
○今後の活動の案内
○アンケート記入

 

 

2.SDGsカードゲーム体験


まず、イベント企画リーダーである福嶋慶三(環境省)から、SDGs概説及びカードゲームの説明に関する導入プレゼンが行われました。SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略であり、2015年9月の国連総会で採択された、2030年までに達成するべき17の目標のことを指すそうです。
MDGsの後継にあたるSDGsは「2030年までに誰も取り残されない社会を実現しよう」という理念のもと、現役世代だけでなく将来世代まで含めた、経済・環境・社会の安定や発展を重視するようです。
福嶋は、「中国やインドにおいては現在、大気汚染が進行しており、空気清浄機を10機置いている家庭もある。」「日本においても過去に、高度経済成長期に深刻な環境破壊を経験してきた。」といった具体的なエピソードを交えて、経済・環境・社会の3つのキーワードで構成されるSDGsの重要性を熱く語りました。
次に、福嶋は、イマココラボが開発した「2030SDGsカードゲーム」の説明を行いました。会場が一つの世界であり、各テーブルはそれぞれ一つの国であるということ、各国の交渉は相手との合意によって進められるということを参加者全体で共有しました。

カードゲームは次の手順で進行していきました。参加者は初めに、このカードゲームのゴールとなる「人生のゴール」を決めます。「人生のゴール」は2文で構成されています。配布されるカードには、①「人生のゴール」を達成するための「プロジェクト」、②「プロジェクト」の実行に必要なお金や時間、③「プロジェクト」の実行によって得られるお金と時間、④経済・環境・社会の「世界の状況メーターの変化」、の4項目が記載されており、プレイヤーは、お金と時間を使ってプロジェクトを実行することで人生のゴールを達成することを目指します。プロジェクトの中には「世界の状況メーター」が一定の水準でないと実行できないものもあります。

カードゲームは、前半戦10分・後半戦15分で行い、この間プレイヤーは世界を自由に動き回り、他国との交渉やプロジェクトを行いました。福嶋は、前半戦終了時点において、その時点の「世界の状況メーター」が示す「経済―絶好調・環境ー危機・社会―分裂」という状況を具体的にイメージできるような中間発表を行いました。この時点で大半のテーブル(国)が「人生のゴール」達成を主張したことに対して、福嶋は、「人生のゴール」達成条件には2つあることに注意するよう促しました。先述の通り「人生のゴール」は2文で構成されています。1文目は、「ゲーム終了時点で、~のカードを〇枚持っている」といった各国で達成すべき個別目標であるのに対して、2文目は、「誰もが生きる意味を感じられるような豊かな世界に住んでいる」といった世界で達成すべき全体目標だったのです。

カードゲーム後半では、各国の交渉に変化が見られました。ただ単に自国の個別目標を追うのではなく、世界の全体目標達成に向けて、経済・環境・社会を改善するように各国で協働するような交渉が繰り広げられました。後半戦終了時点では、「世界の状況メーター」は「経済―絶好調・環境―良好・社会―豊潤」となり、見事、世界の全体目標が達成されました。

カードゲーム体験を通じて、参加者は、
〇自国の目標達成の土台となる経済・環境・社会の大切さ
〇自国の強み・弱みを世界に強く発信し、協働することの重要さ
といった学び・気づきを得られました。

カードゲーム終了後の振り返りにおいて、福嶋によって、①世界が繋がっているということ②自分自身も起点の1つだという2つの学び・気づきが、「安いスナック菓子が売れると地球温暖化が進む」という印象的なお話と共に会場に届けられました。普段、私たちが日常生活で行う何気ない所作が、思わぬ形で世界の状況に影響を与え得る、ということです。カードゲーム体験を通じて、参加者は楽しみながらSDGsの本質を学び、新たな気付きを得られる時間を過ごすことが出来ました。

 

3.グループワーク


参加者は、後半のグループ ワークに先駆けて、①2030年の理想の世界やゴール、②その実現のために自身がやりたいと思っていること・プロジェクト、の2点を個人ワークとして紙に書き出し、会場を歩き周り共通の目的意識を持つ仲間を探しました。

その結果、次の様な9グループが出来上がり、各グループごとに、
①2030年にグループが目指す理想の世界
②その実現のためのチームのプロジェクト
を議論し、プロジェクトカードを作成しました。グループの議論につきましては、各ファシリテーターが纏めた以下の報告書をご参照下さい。

チーム名 ファシリテーター名
AIが世界を変える 服部 真子 (NHK World)
寄せ集め 笠井 貴代 (IP Dream Inc.)
男組 堀越 優行 (東京理科大学)
ひらけー 平野 慧 (厚生労働省)
スマイルコミュニティ 多田 哲朗 (東京大学法学部)
コネクション 宮野 (エネルギー関連会社)

 

△プロジェクトカード作りディスカッション報告


チーム名
<AIが世界を変える>

ファシリテーター
服部 真子(所属:NHK World)

メンバー構成
○職 業 国家公務員:1名、地方公務員:1名、会社員:4名
○年齢層 20代:2名、30代:3名、40代:1名

グループの解答
目標番号3,8

2030年に目指すのは「みんなが、自分の人生(仕事・価値観・楽しみ方)に大満足して生きている」世界。
その実現のために「AIを活用し、様々な年代・職種の働き方をガイド&データベース化することで、理想的な働き方に結び付けるプロジェクトをする。(仕事のZOZOタウン)

具体的なプロジェクト
○ チームの構成員の目指すゴールは、大きく、働き方・生き方・価値観に注目していた。議論を進めるうちに、働き方と生き方を自由に選択できる、また自由な価値観を持つことができる、ということを望んでいた。そのためには、まず「自分で決めていい」という心構えを持つこと&持てること、持った後に選択できることが必要になることが分かった。
○ ここで、構成員のそれぞれのスキルに目を向けた。新規ビジネスに予算を割り当てができるひと、AIの開発ができる人、マッチングサイトを作れる人、アイディアがある人が揃っていた。これらを掛け合わせてプロジェクトを構成しようと考えた。
○ まず、様々な人のキャリアパスのデータベースを作る。例えば、ある企業のA社長は22歳の時にした選択、30の時、40の時、50の時など、島耕作シリーズのデータ版の様なものだと思ってほしい。多くの人のデータベースを閲覧することでユーザーが多様な生き方を選択しやすくすることが狙いだ。そして、自分の経歴のみではなく、性格や、無形の特技、やってみたいこと、情熱などをランダムに書き込むことで、それを求める企業や職種を割り出すことができるマッチングサイトを並列で構築する。これをデータベースと紐づけて自分と似たような考え方やキャリアの先輩・後輩を探すことも可能にする。

ファシリテーターの感想
○ 短い時間だったが、できうる限りチームメンバーの持ち味を生かしたプロジェクトを練り上げることができたと思う。
○ アイディアマン・技術者・資本家が揃うとプロジェクトが実現することがよく分かった。実社会でのプロジェクト構築へ向けて何ができるかあらためて考えたい。

文責 ファシリテーター
服部真子(ちょり)


チーム名
<寄せ集め>

ファシリテーター
笠井 貴代(所属:IP Dream Inc.)

メンバー構成
○職 業 国家公務員:2名、会社員:2名、弁護士:1名、学生:1名
○年齢層 20代:3名、30代:3名

グループの解答
目標番号4,7,8,16,17

2030年の理想な世界は「自己決定が最大限に尊重される世界」。
個々人の関心はそれぞれ異なっていた。美しい自然や未来のエネルギーなどの環境や、「一人一人が納得できるかを大事にする社会」や、多様性を広げること、ジェンダー等。
多様であるがゆえ、全てに共通する「自己決定が最大限に尊重される世界」が抽出された。

具体的なプロジェクト
○自己決定を支援するような教育メニューについて議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-理想の世界を目指すために、やはり教育が重要である視点が出たため、「自己決定を支援する教育メニュー」が必要という結論が出た。
○ライフスタイルの選択を支える情報番組づくりについて議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-環境に優しい社会を作るためには、消費者が物やエネルギーなどの選択をする時に、そのライフスタイルの選択について情報を知らなければ選択はできない。そのための情報を消費者が得られるようにするための番組作りを行う。

※メンバーの一人がテレビ番組ディレクターということもプロジェクトが”番組作り”となったきっかけ。

ファシリテーターの感想
○SDGsの1つのゴールに向かうチームとは異なる今回集まったチームは皆バラバラ。しかしゴールは共通していた。そこをメンバーで丁寧に確認し合いながら、目指すゴールについて話し合うことができ、とても心地よい場となった。
○メンバーそれぞれが尊重し合うけれど、自分の大事にしている考え、価値観は譲らず意見を重ねていた。前半に会場の参加者総動員でSDGsカードゲームで世界のゴールを一緒に目指した一体感もその場の温かな空気を作ったようにも思う。
○前半のSDGsカードゲームを通じて現代社会にも必要な「足りないもの、余っているものについて声を上げ合う大切さ」が、最終発表の時の「やりたいことが全部わかるプラットフォームお見合いサイト」「人と人とのつながり」など共通していたのも印象深かった。

文責 ファシリテーター
笠井 貴代(たかよ)


チーム名
<男組>

ファシリテーター
堀越 優行(所属:東京理科大学)

メンバー構成
○職 業 国家公務員:2名、会社員:1名、自営業:1名、学生:1名
○年齢層 20代:2名、30代:1名、40代:1名、60代以上:1名

グループの解答
目標番号1,8,10,16

2030年の理想な世界は「所得格差のない平和な世界」。

具体的なプロジェクト
○「国際的な人脈ネットワークの構築」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-世界平和の実現のためには、世界中の仲間と繋がり、協力する必要がある。
-国際的な大会を開催し、親睦を深める機会を設ける。(例:国際紅白歌合戦)
○「発展途上国への経済支援」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-発展途上国に暮らす人々に仮想通貨を送金する。
-仮に1日1円で暮らしている地域に日本における100円分の仮想通貨を流通させることが出来れば、100日分の生活が賄えるのではないか。
○「新規雇用の創出」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-発展途上国の技術水準等向上のために日本の優れた技術やノウハウを提供する。
-地域ごとにシングルマザーと雑多な仕事を集め、各シングルマザーに雑多な仕事を割り当てることも可能なのではないか。
○「志の重要性」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-政府や民間を活用し、国際貢献していこうとする一人一人の熱意・志・行動がやがて、「世界経済の発展」や「世界平和の実現」に繋がっていくのではないか。

ファシリテーターの感想
○私達一人一人という視点から「世界経済を発展させる」「世界平和を実現する」という2つのゴールを包括的に捉えることが出来た。
○仮想通貨の利用を進める上での課題やその解決策・説明責任等、プロジェクトの中身を詰めていくことが出来れば、より現実的で具体的な議論を展開できただろう。

文責 ファシリテーター
堀越 優行(ほりー)


チーム名
<ひらけー>

ファシリテーター
平野 慧(所属:厚生労働省)

メンバー構成
○職 業 国家公務員:1名、会社員:1名、自営業:1名、教師:2名、保育士:1名

グループの解答
目標番号1,4,5,10

2030年の理想な世界は「貧困、差別がなく、教育機会が充実した、誰もが自己実現できる社会」

具体的なプロジェクト
○大学を卒業した後就職して勤め続けるといった、“本流”と思われるようなルートから外れても戻れるような仕組みづくりが必要という議論になった。例えば以下のとおり。
-高校を卒業した段階で就職して、数年働いた後にまた大学に入る
-働きながら大学で学位をとる
-起業して失敗してもまた就職できる

○このような多様なパス、多様な生き方が認められるようになれば、マイノリティに対する差別や経歴に関する偏見などもなくなっていくと考えた。

○こういった仕組みづくりを進めていくため、教育現場等で、このような生き方も肯定する教育をしていくこと、一人ひとりの市民として多様なあり様を受容する感性を育てていくこと、世の中と自分にとって必要なものを主体的に考え、学ぶことができるよう主権者教育的なものを充実させていくこと、といったアイディアが出た。

ファシリテーターの感想
○参加者それぞれの立場で実践可能なプロジェクトを立てることができた。
○一方で、目標やプロジェクトが日本に閉じてしまった感があり、SDGsの実現という観点からはやや離れたプロジェクトになってしまった。

文責 ファシリテーター
平野 慧(ひらけー)


チーム名
<スマイルコミュニティ>

ファシリテーター
多田 哲朗(所属:東京大学法学部)

メンバー構成
○職 業 会社員:3名、NPO:2名、学生1名、監査法人1名
○年齢層 20代:1名、30代:4名、40代:1名、60代以上1名

グループの解答
目標番号17

2030年の理想な世界は「人々・企業が協力して、「貧困、不平等をなくす」などの目的を実現する」。

具体的なプロジェクト
○まず、課題は何かを共有した。私達は「SDGsの達成はマジックワードであり、各々描いているイメージが異なっている」「様々な規模での話し合いがまだ行われていないため、現場の抱える問題等潜在的な課題を発見できていない」ことを課題とした。

○その課題解決のため、「全国的に小さな規模での話し合いを始めコミュニティを作り、その小集団を統合して大規模にしていくことで大きな潮流を作る」ことが具体的に行うべきこととして挙げられた。

○貧困問題の解決など、SDGsの具体的な課題に直接アプローチするのはどうかという意見も出たが、この班のメンバー全員が課題と感じていることは「パートナーシップの不足がもたらす個別の課題解決の未達成」であったため、特に個別の課題を解決するための施策を講じる、という話にはならなかった。

ファシリテーターの感想
○似たような問題意識を持ったメンバーで集まったため、大きな齟齬がなく進んでいったのはよかった。
○けんぼーさんから尋ねられたように「具体的なプラン」を生み出すことができなかった。
ファシリとして具体的に自分たちがなにをするか、できるか話し合うようにもっていこうとしたのですが、力不足だった。
「多様な人たちによる話し合いが不足しており、それを行うことでゴールを共有する」という一般論に落ち着いてしまったのが心残り。

文責 ファシリテーター
多田 哲朗(ただっち)


チーム名
<コネクション>

ファシリテーター
宮野(所属:エネルギー関連会社)

メンバー構成
○職 業 会社員:3名、団体職員:2名、学生:1名
○年齢層 20代:2名、30代:4名

グループの解答
目標番号17

2030年の理想な世界は「もっと人とつながれる社会」

具体的なプロジェクト
○世界を変えるための17の目標のうち、参加者の目標番号として6つ(4:質の高い教育をみんなに、5:ジェンダー平等を実現しよう、10:人や国の不公平をなくそう、11:住み続けられるまちづくりを、16:平和と公正をすべての人に、17:パートナーシップで目標を達成しよう)があがっており、目標範囲が広かった。そのため、理想とする世界・社会について、参加者同士がより身近に考えられるように選択した目標をより具体的にした世界・社会に落とし込んで各自意見を出し合うこととした。以下の意見が出た。
-いろんな人とつながれる社会
-仕事を通じてみんなが幸せになれる社会
-持続可能な世界で人々が互いに協力できる社会
-紛争がない世界
-自分の好きなことができる世界
-すべての人が平等に質の高い教育を受けることができる社会
-国際交流が可能な社会
○上記の理想とする世界・社会を作るための土台には「もっと人とつながれる社会」が必要であり、それを達成するために、何かしら同じ目標を持つ人がつながりあえる場/交流できる場を作りたいとの考えに至った。具体的には、以下の通り。
-Crossoverのような団体と団体を結びつける
-一人一人が人を紹介し続ける(人の紹介で輪を広げていく)
-クロスオーバーに留学生を連れてくる、などなど。

ファシリテーターの感想
○当初参加者の達成したい目標番号の幅が広かったが、最終的には話し合う中で17:パートナーシップで目標を達成しよう、という共通目標が選択され、また、2030年の理想な世界は「もっと人とつながれる社会」に集約された。各自の持つバックグラウンドや経験知を踏まえた活発な意見交換があり、「人とつながれる社会」の実現のために、明日から実行可能なプロジェクトを計画・提案することができた。
○参加者の目線が広く、国内だけでなく海外にも目が向いた広い発想ができていた。
○SDGs実現のためには人と人とがつながることは不可欠であり、核をついた目標・プロジェクトになったと感じた。

文責 ファシリテーター
宮野(れい)

 

4.ヒロ&ケンボーSHOW


まず、各グループの代表者がグループ ワークで作成したプロジェクトカードの内容を約1分でプレゼンを行い、各グループのプロジェクトを全体で共有しました。
その後、司会進行をCrossoverファシリテーターの下村健一が、コメンテーターをイマココラボの鈴木宏和さんが担当し、会場にシェアされた各グループの「2030年における理想の世界・ゴール」と「その実現のための具体的なプロジェクト」を有機的に結びつけ、参加者全員で「2030年に向けた未来予想図」を作り上げていきました。
下村、鈴木さん、参加者間の白熱した議論で出された意見は主に以下の通りです。

○AIを活用することで子供達により多様なロールモデルの教育が出来るのではないか。
○もっと人と繋がれる社会をつくるために、人々が交流できる場・機会が必要。
○各班プロジェクト達成のために、仮想通貨は有効ではないか。

一つ一つのグループで考えたプロジェクトが繋げられて、一つの「未来予想図」が完成した様に、SDGsの17の目標においても、これらは相互に関連があり、繋がっているので、それぞれの目標を一つ一つずつ達成していくのではなく、17の目標全てを同時に達成していくことが望ましい、という学びを会場全体で共有しました。
加えて、下村は、「今後私達は、目の前の「未来予想図」に欠けているアイディアは何か、という点に思いを巡らせる必要がある」というメッセージを参加者に語りました。

 

5.アンケート集計結果


参加者アンケートの集計結果は次の様になりました。
アンケートにご協力頂いた皆様、ありがとうございました。

<情報入手経路について>

<イベント全体について>

○主な意見
・初対面の人とも協力しながら一つの世界を作り上げていくというイベントの進め方が面白かった
・多様な分野の方と交流できて楽しかった

<カードゲーム「2030SDGs」について>

○主な意見
・初対面の方と相談し、行動することでお互いに影響し合えることを体験できた
・自分の目標が達成して初めて、社会に目が向き社会貢献の意識が芽生える過程が面白かった
・最終的に、自分のチームのゴール達成と共に、経済、社会、環境のバランス均衡も達成できて良かった
・ゲームの進め方が難しかった

<プロジェクトカード作りディスカッションについて>

○主な意見
・異業種の方と「繋がる」こと、アイディアを「繋げる」ことの大切さが分かった
・ファシリテーターの人柄、議論の運び方が良かった
・時間が短かった

<ヒロ&ケンボーSHOWについて>

○主な意見
・各チームの発表が繋がっていき、アイディアの広がりを感じられた
・時間が短かった

 

6.最後に


今回、会場のご提供にご協力頂いた東京医科歯科大学並びに、SDGsカードゲーム体験にご協力頂いた一般社団法人イマココラボ、「ヒロ&ケンボーSHOW」でご活躍頂いた鈴木宏和様、そして朝早くから、当イベントにお越し頂いた皆様にこの場をお借りして厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 

共に築こう! 壁を乗り越える「Crossoverという生き方」の環

共に築こう! 壁を乗り越える「Crossoverという生き方」の環

官民協働ネットワークCrossover主催 特別企画
参加型シンポジウム

 

 

共に築こう!

壁を乗り越える「Crossoverという生き方」の環

 

 

報告書

 

 

2017年7月8日(土)
東京医科歯科大学M&Aタワー ファカルティラウンジ

 

1 全体総括


今回のイベントでは、この夏から日本を離れ、フィリピンの首都マニラに本部を置く国際機関、アジア開発銀行(ADB)に総裁首席補佐官として赴任することとなったCrossover代表、池田洋一郎の旅立ちを激励するとともに、2001年の立上げから16年目に入ったCrossoverの新たな運営体制を発表しました。
午後1時過ぎから始まったイベントは、池田からのプレゼンテーション、Crossover運営スタッフによる手作りの映像によって示されたケーススタディ、参加者同志の密な対話、そして懇親会と10時間以上に亘り、「立場や意見の異なる人々が協働しながら社会問題をともに解決していく環境を作る」というCrossoverのビジョンと、そのビジョンを実現するためツールである「対話のファシリテーション」の大切さと難しさとを学び合いました。

代表である池田洋一郎、及びCrossover双方にとっての新たな門出となる大切なイベントに、第一部シンポジウムには116名、その後の懇親会には106名、そして日付が変わるまで続いた二次会にも70名の皆さんに参加頂いたこと、心から嬉しく思います。

参加頂いた皆さん、会の成功にご協力頂いた皆さん、本当に有り難うございました。なお、当日の流れと内容、及び参加者同士の主な議論については以下をご参照下さい。

流れ 内容
1st Session Message
(50分)
■新たな旅立ちに当たってのメッセージCrossover代表池田洋一郎
「共に築こう!壁を乗り越える「Crossoverという生き方」の環」
~アジア繁栄の礎を築いたパイオニアたちの奮闘に想いを馳せながら~
2nd Session Case Study
(45分)
■事例紹介(「Crossover Global大学院 国旗騒動」VTR鑑賞)
■事例に基づくグループ・チャット
■ディベートの内容共有
■振り返り~先人達の奮闘と知恵の共有~
3rd Session Dialogue
(45分)
■官民協働ネットワークCrossover今後の運営体制のご紹介
■「壁を乗り越える“Crossoverという生き方”」について考え、共有し、実践するためのグループ・ダイアログ
Final
(20分)
■SSMを通じた学びの共有と絆作り
■Crossoverチーフ・ファシリテーター二宮聖也からのメッセージ
壮行会&懇親会
(2時間30分)
池田の壮行会も兼ねて、参加者同士の交流を深めるセッション

 

2 概要


1st セッション:メッセージ
池田から、貧困と紛争の惨禍に苛まれていた1960年代のアジア・太平洋地域において、「国々の持続的な繁栄と平和の礎を作る」という共通の意志を持った先人たちが、組織、立場、そして国境といった壁を越えて連携し、アジア開発銀行を立ち上げた物語が紹介されました。1966年の創設以来、アジア・太平洋地域の国々と共に成長してきたアジア開発銀行で、経営の中枢を担う総裁首席補佐官として赴任するに当たっての所信表明として、池田は、Crossoverの活動を通じて磨いてきた対話のファシリテーションの力をもってアジア開発銀行に貢献したい、という想いと、Credibility(不偏不党であることで得られる信頼)とCuriosity(人の話によく耳を傾け、よく質問する好奇心)を大切にし続けていく、という意志が共有されました。

2nd セッション:ケーススタディ
池田の母校であるハーバード大学ケネディースクールでの入学式で実際に起こった「台湾の国旗問題」という事件をもとに、Crossoverのファシリテーターが主演・演出・作成したドラマ映像がケーススタディの題材として共有されました。その上で、「台湾出身の大学院生の意を汲んで、台湾の国旗を大学院の公式のイベントである「お国自慢大会」で掲げるべきか、それとも中国人学生の意を汲んで国旗の掲揚は見送るべきか」というテーマについて、参加者同士で議論し、立場や意見が異なる者の対話を促進し、ともに問題解決へと導いていくファシリテーションの大切さ、難しさを学んでいきました。

参考URL : https://youtu.be/zTJyy9esTBc

ケースディでは、例えば以下のような意見が出されました。
・「お国自慢大会」という設定自体が不要な対立を煽る設定になっているのではないか。
・各学生が掲げたいものを国旗に限らず(例えば、地方自治体や元々勤務していた会社のシンボルなど)を掲げるようにできればよいのではないか。
・国旗ではなく、民族衣装や料理等、政治問題とは無縁なものを掲げるべきだ。

3rd セッション:ダイアログ
Crossoverのビジョンや、対話のファシリテーションの大切さを、参加者が一人ひとりの日常生活や仕事と関連付けながら考えるべく
・日常生活や職場で、先入観や偏見、諦めといった壁を感じたことはあるか、
・その壁を乗り越えるために何をしたか、何をすれば良かったか、
・Crossoverという生き方を実践するにあたり、明日からできることは何か、
という3つの問について参加者同士のダイアログが行われました。
・ダイアログでは例えば以下のような意見が出されました。

■最近、身近に感じた「壁」
・家族や恋人、友人への甘え、期待感等、暗黙の内に他者からの理解を一方的に求めることで発生する壁
・日本人大学生のLGBTへの理解度の低さやレッテル貼り
・アメリカでのアジア人に対する無関心や無知に対する諦め
・派遣社員が正社員のステータスに対して抱いている諦め
・知識や経験が豊富な大人が若者の意見を聞いてくれないことによる壁
・地方とグローバルのような関心事項の違いによる壁
・日本と中国の間にある様々な決め付けや偏見

■壁をどのようにして乗り越えたか
・信頼関係を築く。多様な考え方や偏見に対して「そうなんだ」と一度受け止め、相手を憎まない。笑顔を保ち続ける。
・他者に自己肯定感や自発性を感じてもらい、自身の世界観という殻にこもらないような手助けをする。
・相手に心を開いて等身大に向き合う。相手の感情に訴える。
・とにかく会って1対1で話す。相手の話をよく聞く。

■Crossoverという生き方とは?
・壁の存在は自身の認識の仕方次第で変わると気付くことがCrossoverという行き方ではないか。
・例えば、自身がやりたくないことに取り組む時に感じる困難さは壁と認識される一方で、自身が楽しんでいることやキャリア上必要だと感じる困難は、壁ではなく、成長に必要なステップと認識できる。目の前の壁が緩やかな傾斜・階段に変化する。
・あるいは、自身が楽しみながら取り組んでいるか、あるいは困難という山を登るにあたり、山頂の景色を適切に描くことができるか、によって壁の感じ方は変わる。
・他者との協働やチームビルディングにおいて、相手の自発性や内発性をいかに引き出すか、相手を受け容れることができるかが重要ではないか。
・人の話をよく聞き、多様性を受け容れていくのがCrossoverという生き方ではないか。
・人を受け容れ、自分を晒すためには自分の中の恐怖や恥という感情を乗り越えることが必要。このためには勇気が必要であり、ほんの少しの勇気を色んな場所で発揮することがcrossoverという生き方ではないか。

4th セッション:今後のCrossoverの運営体制の御紹介
Crossoverの運営メンバーは、誰かの指示で受動的に仕事をするのではなく、能動的にCrossoverというコミュニティをつくりあげていく存在であり、参加者同士の対話を場作りをファシリテートしていく存在であることが強調されました。その上で、運営メンバーの呼称については、従来の「スタッフ」から「運営ファシリテーター」へと改めることが紹介されました。

併せて、運営ファシリテーターのそれぞれの担当テーマや、運営ファシリテーターを支援するメンター及びアドバイザーについても紹介されました。
池田が日本を離れた後も、新たな体制でCrossoverの活動はより一層盛り上げていきます。
皆様どうぞ引き続きよろしくお願いいたします!

文責 Crossoverファシリテーター
堀越優行

 

3 アンケート概要


別紙 [PDF]

 

みんなでつくろう! 風評に負けない社会 ~食の「安全・安心」の源を探りながら~

みんなでつくろう! 風評に負けない社会 ~食の「安全・安心」の源を探りながら~

官民協働ネットワークCrossover主催
ディスカッション大会

 

 

みんなでつくろう! 風評に負けない社会

~食の「安全・安心」の源を探りながら~

 

 

 

報告書

 

 

 

 

1.全体総括と参加者アンケートの結果


6月4日(日)11:50より、東京医科歯科大学にて、異業種ダイアログイベント「みんなでつくろう!風評に負けない社会 ~食の「安全・安心」の源を探りながら~」を開催しました。

今回の「異業種ダイアログイベント」には、約90名の方々から参加いただきました。参加者の職業は、これまでのイベントと同様、教員、国家公務員、地方公務員、会社員、会社経営者、政治家秘書など、多様な分野からお集まりいただきましたが、これまでとは異なり、約20名もの大学生・高校生に参加いただき、活気溢れるイベントになりました。

今回の企画は、代表池田とスタッフの村田と押久保が、池田の高校時代からの友人の岡田英雄さん主催の福島と東京の高校生同士の食の安全・安心を巡る対話のお手伝いをするために平成29年3月に参加した、「福島スタディトリップ」でいただいたご縁や問題意識が出発点となっています。
その中で、「ふくしま食べる通信」という、福島県産の一次産品の魅力と安全性をアピールする小冊子を、食材とともに全国に配送する活動を知り、この活動を通じて風評問題と戦っている高校生との出会いがありました。

今回の「異業種ダイアログイベント」は、代表の池田からのプレゼンテーションで幕を開けました。その中では、

・ 女子高生同士の他愛もない会話が風評となり、銀行の取り付け騒ぎまで発展したという、嘘のような本当の話、
・ 福島のスタディトリップで得た気づきの共有

①福島はイメージするもの以上に広いこと(東京都6個分!)、
②福島は地域毎に特色があり、ひとまとめにはできないこと、
③福島の震災前の野菜・果物の生産量は全国でもトップクラスで、とても実り豊かな県であること、
④生産物の価格や学校給食における利用状況を見ると、まだ課題はあるものの確実に前進していること、

・ 過去の風評被害に関する事例紹介

が行われました。この後、参加者同士のダイアログへと移っていきました。

 

 

 

第1セッション (ダイアログその1「風評被害って何?」)  80分
「そもそも“風評”とは何か?」
■スタッフ代表(池田洋一郎)からのプレゼンテーション
■異業種ダイアログ(45分)
・真偽が不確かな「うわさ」や「ニュース」をうっかりシェア、拡散してしまった経験はありますか?あるいは、事実ではない「うわさ」等によって傷ついたり、被害を受けたりしたことはありますか?
・「風評」とは何でしょうか?ただの「うわさ」や「デマ」とは違うものでしょうか?
・どんな条件がそろうと、ただの「うわさ」が「風評」となって社会全体に広まり、人や組織に「被害」を与えやすくなると思いますか?

第2セッション (ケーススタディセッション)  80分
「風評問題」を自分事として考え、その核心に迫る
■事例紹介(Crossover 安全・安心物語 ドラマ鑑賞)(10分)
■事例に基づくグループ・ディベート(ロールプレイ)(60分)
①引き続き埼玉県産の野菜を学校給食の食材として購入し、児童に提供するか否か、
②上記の意思決定を、農家、保護者、そして児童にどのように伝えるか
■ディスカッションの内容共有(10分)

第3セッション (ダイアログその2「風評に負けない者かいをつくるために私たちができること」)  90分
「風評に負けない社会」をつくるために一人一人が持つべき習慣やマインドセットを学ぶ
■ゲスト・スピーカー(下村健一さん(元TBSアナウンサー、元内閣審議官、現白鴎大学教授)からのプレゼンテーション(50分)
■プレゼンテーションに基づくグループ・ディスカッション(40分)
・下村さんのお話を聞いての感想、疑問は?
・「風評に負けない社会」をつくるために、あなたが個人として、組織や社会の一員として、できることは?

紹介  10分
■福島からの特別ゲスト紹介
■Crossoverスタッフからのメッセージ

成果の確認  2分
・当日得た最大の気付き、学び、そして出会いを自問し、答えを名札の裏に書き記すセッション

懇親会  180分
・懇談を通じて、会場に集った多様な参加者同士の交流を深めるためのセッション

 

第1セッションでは、池田からのプレゼンテーションも踏まえつつ、参加者同士で風評に関する経験の共有、「風評」と「うわさ」の違いや、単なる「うわさ」が「風評」となって被害を発生させるに至る条件などについてダイアログが交わされました。

その次の第2セッションでは、マスメディアも巻き込んだ過去の風評被害事例を元にフィクションとして作成したスタッフ出演のVTRを鑑賞し、参加者同士でケーススタディセッションを行いました。参加者全員がクロスオーバー小学校の教師役になりきり、保護者や農家、児童の立場を思い浮かべながら、熱い議論を交わしました。

 

「安全安心物語~食育教師ニノの風評に苦悩の巻」

copyright Crossover 2017

 

発案:池田洋一郎  監督・編集:服部真子、アドバイザー  特別出演:下村健一
素材協力:松本純子(写真)、畠山央暖(ドローン)、しろまさのり(写真)
撮影・出演協力:クロスオーバースタッフのみんな

 

<VTRのあらすじ>
・ クロスオーバー小学校の教師ニノは、以前から食育に熱心であり、給食にも児童と訪問したS県T市の農家の野菜を使用していた。
・ しかし、S県T市の葉物野菜から工場から流出したと思われるダイオキシンが検出されたというニュースが放送され、保護者からS県T市の野菜を給食に使用することを中止するよう求める電話が殺到する。
・ 一方で、S県の平野知事はS県の野菜は安全であると会見を行った。
・ さらに、農家の松本さんからも風評に惑わされて給食への利用を中止するならば訴えるという強い意見が寄せられる。
・ このような状況の中で、学校の職員たち(参加者)は、以下の2点について職員会議で決定しなければならなくなった。

① 引き続き埼玉県産の野菜を学校給食の食材として購入し、児童に提供するか否か、
② 上記の意思決定を、農家、保護者、そして児童にどのように伝えるか

続く第3セッションでは、元TBSアナウンサーの下村健一教授から、メディアリテラシーを高める模擬講義を行っていただきました。下村教授の講義の中では、とても分かりやすい例え話や事例を踏まえながら、我々が情報を受け取る時、情報を発信する時のそれぞれの注意点を学ぶことができました。下村教授の講義中、会場は沢山の笑いと深い頷きで満たされていました。
その後、これまでのセッションを踏まえて、「風評に負けない社会」をつくるために、参加者一人一人が個人として、組織や社会の一員としてできることについて、ダイアログを行いました。

参考文献:『想像力のスイッチを入れよう(講談社)』、『10代からの情報キャッチボール入門(岩波書店)』

参加された皆さんにご記入いただいたアンケートについては、こちらに取りまとめましておりますので、併せてご覧下さい。

 

アンケート結果

 

最後に締めくくりとして、「議論や講義を通じて得た最大の気付き、学び、出会い」について静かに自問し、それぞれの答えを名札の裏側に書き込みました。 会の冒頭で名札の上半分に書き刻んだ「目的意識」と、会の終わりに下半分に記した「成果」は、参加者一人ひとりの日常を変える、小さくとも確かなヒントとして、参加者の皆様に持ち帰っていただきました。

続く懇親会にも約80名の方に参加いただき、また、その後の会場を移して行われた二次会にも沢山の方がいらっしゃってくださいました。最後に解散したのは23時過ぎで、今回のイベントは約11時間に及びました!今回のイベントをともに盛り上げてくださった参加者の皆様に、心よりお礼を申し上げます。

ありがとうございました!

 

2.ダイアログ、ケーススタディセッション報告


チーム1 トマト

ファシリテーター
池田 洋一郎(所属:Crossoverスタッフ/財務省)

メンバー構成
(ダイアログその1、ケーススタディセッション)
○職 業 国家公務員:2名、会社員:1名、公認会計士:1名、管理栄養士:1名、企業経営:1名、大学生:1名、高校生:1名
○年齢層 10代:1名、20代:2名、30代:3名、40代:1名、60代以上:1名

(ダイアログその2)
○職 業 国家公務員:1名、地方公務員:2名、会社員:1名、団体職員:3名、大学生:2名
○年齢層 20代:4名、30代:2名、40代:3名

主な議論
(ダイアログその1)
テーマ:「風評被害って何?」

○ まず、真偽が不確かな噂やニュースをうっかりシェアしてしまった経験や、逆に噂等によって被害を受けた経験について自己紹介を兼ねてシェア。
・「巨大な東海地震が近々発生する」との専門家らしき人の見解に戸惑った。
・ 学校内での噂は、皆が関心のある恋愛話を中心に、SNSで拡散され易い。
・「スムージー飲むとやせる」という噂が身の回りで広がっていた。
・ 調べればすぐ嘘だと分かるのに、「パナマ文書(脱税に関与したとされる者のリスト)」に財務省幹部の名前が含まれているという噂がネット上で拡散された。
・「飛行機雲は企業が散布する毒物」という話を、冗談で友人に伝えてしまった。
・ 企業財務を見ていると、公式見解ではない噂が実は正しいと感じることがある。
○ 次に、「風評」と「デマ」との違いや、ただの「うわさ」が「風評」となって社会全体に広まる条件等について議論。「事件」、「権威」、「意図」、「感情」の4つがキーワードとして浮かび上がった。
・ 事件:英語で「Collateral Damage(巻き添え被害)」と呼ぶ風評被害は、噂(=Rumor)と異なり、実際に何か起きていることが多い。また、事件により物事の負の側面にばかりに注目が集まる、あるいは「情報をシェアしたい!」との焦りが生じることで、全体像や本質に注意が向き難くなる。
・ 意図:デマは何らかの悪意がある。他方、風評は無意識のうちに、あるいは「大切な何かを守りたい」という善意をもって広がるのではないか。
・ 権威:風評が広まる背景には、専門家、資格保持者、及び政府高官等の権威ある人への依存、あるいは反発、嫉妬があるのではないか。
・ 感情:一度風評が広まると、如何に細かく検査をし、その結果をどんなに丁寧に説明しても、例えば子供を守りたいと思う母親は納得してくれない。
○ その他、議論を通じて出された興味深い意見は以下の通り。
・ 風評は健全な社会にとって必要なのではないか。風評が全く存在しない社会は全体主義的な監視社会であるように思え、違和感がある。
・ 情報の真偽を見分けられるよう、なるべく一次情報に触れる、「ただの風評だった過去の事例」を蓄積する等を通じ、自らのセンサーを磨くことが肝要。

(ケーススタディセッション)
○ ダイオキシン汚染の疑いが報道されたS県T市の葉物野菜を明日からも学校給食の食材として児童に提供するか否かを決定する小学校の職員会議。なおT市農家とは、長年の食育を通じて学校との直接のつながりがある前提。
○ 冒頭各自の賛否を確認した上で議論。その上で多数決を実施。結果、T市産野菜の給食での提供を停止する旨決定。なお、議論を通じて4人が意見を変更。
[野菜使用賛成派の主な意見(議論前2人→採決時2人)]
・ 農家や県庁が安全宣言を出しているにもかかわらず使用を中断すれば「野菜が危険である」根拠を学校側が説明する責任が生じる。
・ 限られた不確かな情報しか得られていない段階で学校が野菜使用中断の意思決定をすれば、風評被害に拍車をかける。
・ 長年培ってきた農家との信頼関係が大きく傷つく。購入再開の目途も立たない。
[野菜使用反対派の主な意見(議論前5人→採決時5人)]
・ 農家や食育に対する情は理解できるが、事実関係や安全性が不確かな中では、学校として、不安に駆られた保護者を納得させることは困難。また、報道が真実であった場合、全責任が学校に生じることにも要留意。
・ 学校の給食の内容を考える際、最優先すべきは、子供の健康・安全ではないか。
○ 次に、上記意思決定の農家、保護者、児童への伝え方について議論し以下を提案。保護者や農家よりも、子供への伝え方を工夫すべきとの意見が目立った。
・ S県T市の野菜“全て”が汚染されているとは限らないことから、食育で関わった農家の野菜の安全性を農家とともに検査する。その際「危険かもしれないから」ではなく「早く食べられるよう一緒に確認する」といった言葉を使い、農家や子供の感情に配慮。そのうえで、サイエンス・リテラシーを高める機会として本件を活かす。

(ダイアログその2)
テーマ:「風評に負けない社会をつくるために私たちができること」

○ ゲストスピーカーのお話しを受けた感想や疑問を手掛かりに、「風評に負けない社会」をつくるために、参加者一人一人が、個人として、組織や社会の一員として出来ることについて対話。主な意見は次の通り。
・「四つのギモンとジモン」は、情報リテラシーを高めるためだけでなく、社会で生きていくための力として大切。
・ 情報の周囲を見ることの重要性を「D」を使って示されたことが印象的だった。
・ 情報リテラシーを高める教員の育成が重要。その際、政府やメディアへの不信を煽るのではなく、視野をより広く、よりカラフルにすることが目的、という前向きなメッセージを示すことが必要。
・ 意見を持ち、発信するときは、様々な考えに思いを馳せる想像力が大切。想像力は学校教育や企業研修等、できる限り早めに伸ばすことが望ましい。
・ 不確実な情勢の中「即断しない」でいるには不安と戦う「胆力」が必要。これを高めたい。
・「即断しない」は重要だが、限られた情報の中で先延ばしにせず決断し、説明する力も実社会では重要。ただし「今日の自分の意見に束縛されない」「多様な情報源に当たる」「今明らかなことと、不明なことを峻別する」ことが必要。
・ これからの情報社会に求められるのは、一つの情報に明確な白黒をつけることではなく、一つの情報を分解し「どこからどこまでは合っていて、どこからどこまでは間違っている」という判断ができる人ではないか。

スタッフの感想
○食に限らず風評被害そのものは、完全になくすことができないものなのかも知れない。しかし、情報を送受信する際に「4つの疑問と自問」をこの社会に生きる人々一人一人が意識をすることで、風評の被害に負けない社会をつくることもできるはずだ。Crossoverスタッフとして、自分自身が風評の炎に水をかける人間へ進化すると共に、周りに伝播していくことで、そのような人間を増やしていきたい。

文責Crossoverスタッフ
堀越 優行

 


チーム2 じゃがいも

ファシリテーター
斎川 貴代(所属:Crossover、IP Dream Inc.)

メンバー構成
(ダイアログその1、ケーススタディセッション)
○職 業 国家公務員:3名、会社員:3名、団体職員:2名、大学生:1名
○年齢層 20代:3名、30代:4名、40代:1名、50代:1名

(ダイアログその2)
○職 業 国家公務員:1名、会社員:6名、大学生:1名、高校生:1名、
○年齢層 10代:1名、20代:2名、30代:3名、40代:1名、50代:1名、60代:1名

主な議論
(ダイアログその1)
テーマ:「風評被害って何?」

○ 真偽が不確かな「うわさ」や「ニュース」をうっかりシェア、拡散してしまった経験等に議論された。詳細は以下の通り。
・ 震災時に有害物質の情報が流れてきて周りにシェアしたら後日デマであることがわかった。
・ ブログを立ち上げたことにより、真偽の不明な内容は「わからない」と記載することにしており、良い結果が生まれている。
・ 仕事で事実を握りつぶす(黒を白という)仕事をしていたことがあった。
・ どこまでが事実でという切り分けが難しいが、「知識」とそれに基づく「判断」というプロセスがある。

○ 次に「風評」とは何か、その特徴について議論した。出された意見は以下の通り。
・ 笑って済ませられないもの
・ 信じてそうかもしれないと思うもの。
・ 経済的損失ではあるが、それには心理的損失も含む。(福島出身者へのいじめ等)

○ 最後に、どのような条件が揃うと、単なる「うわさ」ではなく、「風評」となって被害を及ぼすことになるか、について議論した。出された意見は以下のとおり。
・ 恐怖を感じさせるもの
・ 影響力のある人の声
・ 嫉妬等(つぶされた人がいる)

(ケーススタディセッション)
○ S県T市の野菜を今後も給食に使用し続けるかどうか、そしてその結論をどのように保護者、農家、児童に伝えるか、議論した。これに対し、使用し続けるかに対する回答としては8人中7人は「検査結果が出るまではT市の野菜は使用中止」というものであり、詳細は以下のとおり。

1.T市の野菜を給食に利用するか否か
[中止派の意見]
・ 農家には判断できない。(検証不可)わからないものは出さない。
・ 2週間〜1ヶ月の中止という期間は設定する。

(中止派の懸念点)
・ 一旦中止した後に再開できるのか。(保護者を納得させられるのか)
・ 食べたくない人はお弁当を持ってきてもらう案もあるが、明日からいきなりお弁当は難しい。
・ 給食自体は教育上良いので(配膳をチームで行う等)継続が望ましい。
[継続派の意見]
・ お弁当を持ってきてもらう等、各自で選択可能とする。
・ 明日からNoというのは農家が納得しない。
・ 訴訟になる。

2.保護者、農家、児童にどう伝えるか。
(1)保護者
・ 安全性を担保するために一旦差し控える。
・ しかし、あのニュース1つでこれまで子供たちも食育を深め学んでいたことを止めるのは断腸の思い。(農家の方へ話す姿勢とはある意味逆の姿勢とし「ニュース1つで不安が不安を呼ぶ状態には凛とした姿勢で臨む)

(2)農家
・ 農家との信頼が厚いニノ先生が対応。
・「農家を信じており、問題ないと思っているが、未来を担う子供の健康を一番に考え、2週間〜1ヶ月提供を差し控える。今回の件は農家の責任範囲を大きく超えており農家のためにも一旦時間をおいて状況を見させてほしい」と伝える。
(3)児童
・ やんわりした言い方にし不安を感じさせるものはNG.
・「諸事情によりT市の野菜が食べられないかもしれない。先生も頑張るからみんな待っていてね」

(ダイアログその2)
テーマ:「風評に負けない社会をつくるために私たちができること」

○ 下村教授の模擬授業の後、風評に負けない社会をつくるために自分たちができることについて議論した。報道関係者や若い世代から人生の先輩の視点等縦横無尽に活発に議論が展開された。主な内容は以下の通り。
・ 情報源に偏るのはよくない。
・ 受け手の立場、発信者の立場両方について考えたが、やはり発信者としては表現に気をつける必要があると思った。
・ 学校教育でも担任が言ったことが子供一人一人にそれぞれ別の伝わり方があるため、先生から聞いた話も議論したり、吟味が必要。
・ 意見の違う人と話すのは良い方法。また、少数派であることも恐れないでいることも多様な意見を共有しあうことができるので良い。
・ 若い世代はTwitter等結論を瞬時に反応してしまう傾向にあるので、反応せずに待ち、他の情報を様々調べたりする必要があると思った。(20代の方の発言)
・ 報道機関に勤めていると、社説と記事が違うと統一してほしいという視聴者の意見も来る。しかし、論説委員もそれぞれ異なる意見を持っており、違いを楽しむという姿勢は大事。
・ 本によく内容が調査され、精査された上で出版されることが多く、本を読むことも1つ。

ファシリテーターの感想
○ 自分が問題意識を持っている事件について現在世間では風評被害とも思える事象が起きており、メディアリテラシーの必要性を強く感じていたので、本当にタイムリなー企画だった。メディアリテラシーは今後の世界の状況を大きく左右するものでもあるので(米国の大統領選挙しかり)、大人も子供も共通の備えておくべきものだと改めて感じる。
○ 福島からの高校生のスピーチの「生産者の努力を消費者の皆さんも見てほしい。安いから買うというのも選択だが、安いという視点だけでない視点からもぜひ見て、行動をしてほしい」というコメント、また下村健一さんもおっしゃっていた視点の1つ「その発言は相手を傷つけていないか?」というコメントから、いかに周りの人、環境に想いを馳せ、配慮しながら共同体として生きていくということが問われていると感じた。

文責 Crossoverスタッフ
斎川 貴代

 


チーム3 レタス

ファシリテーター
新関 康平(所属:流離)

メンバー構成
(ダイアログその1、ケーススタディセッション)
○職 業 学生:2名、会社員:2名、団体職員:1名、自営業:1名、公務員:2名
○年齢層 不明

(ダイアログその2)
○職 業  公務員:1名、会社員:3名、学生:1名、自営業:1名、団体職員:1名
○年齢層 不明

主な議論
(ダイアログその1)
テーマ:「風評被害って何?」

◆冒頭の「福島トリップ」での気付きを受けて、次の3点について議論。主な意見は次の通り。
○ 真偽が不確かな「うわさ」や「ニュース」をうっかりシェア、拡散してしまった経験や、事実ではない「うわさ」等によって傷ついたり、被害を受けた経験について。
・ 会社内における「社内恋愛」等の不確かな噂。
・「大学を辞める」と冗談で友達に話した際、本気と受け取られ、気付かぬうちに他の友人にも拡散。
・ facebookに投稿された嘘の写真を何も考えず面白半分でシェア。
・ 福島県郡山市における「メンタルヘルス」に関する風評被害の事例。
○ 「風評」とは何か?ただの「うわさ」や「デマ」との違いは?
・ 「うわさ」や「デマ」は、身内のみに通じる他の人に知らせたい情報。
・ 風評は、科学的根拠に基づかない人々が何となく気分で拡散してしまう情報。
○ どんな条件が揃うと、ただの「うわさ」が「風評」となって社会全体に広まり、人や組織に「被害」を与えやすくなるか?
・ 科学的リテラシーが欠如した層が多数派を占める社会の場合に発生する。
・「福島」といった漠然としている一方、強力な影響を与えるキーワードが独り歩きし始めると社会全体に風評が広がっていく。

(ケーススタディセッション)
◆S県T市の野菜を今後も給食に使用し続けるかどうか、そしてその結論をどのように保護者、農家、児童に伝えるか、議論した。これに対する参加者の意見は一致して「検査結果が出るまでは使用中止」というものであった。保護者、児童、農家に対する対応は以下のとおり。
【保護者】教頭とニノ先生が、「児童の安全を第一とした上で、上の通り事実が判明し安全を確認するまでは一時的に使用を停止する。本決定は、当校において食育の取り組みをしてきたことについては、 否定するものではない」と体育館にて緊急保護者会を開き、報告する。
【児童】ニノ先生が、児童に対して、直接「安全かどうかわからないから、みんなで育てた野菜を食べることをちょっと控えましょうね。」と伝える。
【農家】校長、教頭、ニノ先生、農家との契約担当教諭と共に、直接農家を訪れ、「児童の安全を第一とした上で、上の通り事実が判明し安全を確認するまでは一時的に使用を停止する。勿論、安全であることが判明すれば、契約を再開するので、申し訳ないが、検査結果が出るまで待ってほしい。」と報告する。

(ダイアログその2)
テーマ:「風評に負けない社会をつくるために私たちができること」

◆下村先生の講義を受けて、風評に負けない社会を創る為に参加者一人一人が持つべき習慣やマインドセットついて議論。出されたアイデアは次の通り。
・「下村先生がおっしゃったことは実行すべきであるが、言うは易し、行うは難し。」という意見が殆どを占めた。

ファシリテーターの感想
○ 1stセッション(風評についてのダイアログ)では、具体的事例を各人がシェアする場で、各人が伝聞情報のみを発言していたことから、「風評」を自分事として捉え、考えたことがある者はいなかったように思う。その後の、「風評」の定義や発生メカニズムを考える際にも、定義やメカニズムの議論よりも、福島の事例の現況を第三者的視点で論じることに皆の関心が集まっていた。
○ ケーススタディでは、特に議論をせず、満場一致で一つの結論に到達したため、ケースの題材をより精査する必要があったと思われる。結論を導く議論よりも、各人の所属組織に沿った実務的な対応を発表する事の方が盛り上がっていた。
○ 最後のセッションでは、実際に下村先生の教えを実行することについて疑問を持つ者が殆どであった。
○ 予想以上に表面的過ぎる対話が展開されていた。今まで考えたことが無かったテーマだけに、本テーマについて深く考えている一部の者との壁を感じていた参加者が殆どであったように思う。この場で私が痛感した日本におけるリスクリテラシーの低さが「風評」を生じさせる一つの要因であることは言うまでもない。
○ ケーススタディには、より議論を活性化させる希望の光を感じた。

文責 Crossoverスタッフ
新関 康平

 


チーム4 ほうれん草

ファシリテーター
平野 慧(所属:Crossover、厚生労働省)

メンバー構成
(ダイアログその1、ケーススタディセッション)
○職 業 国家公務員:3名、会社員:3名、大学生:2名
○年齢層 20代:3名、30代:1名、40代:3名、50代:1名

(ダイアログその2)
○職 業 国家公務員:2名、自営業:1名、会社員:1名、大学生:1名
○年齢層 20代:3名、30代:1名、40代:1名

主な議論
(ダイアログその1)
テーマ:「風評被害って何?」

○ これまで自分が関わったことがある「風評」について議論した。これについては、
-ある女子大がモテ力を上げる講座を開設するという噂を聞き、教育に関わる友人間でシェアしたが、後日嘘だと発覚した。
-地元宮崎県で口蹄疫が発生し、宮崎県産の牛肉に風評被害が発生した。
-噂によってイメージが勝手に形作られ、それが原因でいじめに遭った。
-当時はtwitterが全盛期だったが、東日本大震災時に、自分もパニックになっていたこともあって、震災に関する様々な情報を事実確認することなくretweetしてしまっていた。
といったエピソードがシェアされた。
○ その後、シェアされた「風評」に関するエピソードを参考にしながら、「風評」とは何か、その特徴について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-その情報が意図して仕組まれたものかどうかは一つの特徴になるのではないか。多くの場合、風評は悪意なく広まる。
-一つの事象を実際よりもoverに捉えているかどうか、事実に基づいているか否かが特徴ではないか。
○ 最後に、これらの特徴を踏まえながら、どのような条件が揃うと、単なる「うわさ」ではなく、「風評」となって被害を及ぼすことになるか、について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-何らかの問題について、知らない、あるいは知識がない場合に、新たな情報に接するとすぐに飛びついてしまう。
-「安全」であることがデータに基づいて示されていても、「安心」できないことがある。これは行政に対する不信も関わっているかもしれない。
-自分が何かについて「知らない」状態であり、また、行政に対する不信が存在するという状況では、自分の「直感」を信じることができなくなる。ゆえに、データを求め、もっともらしい情報に踊らされることになる。

(ケーススタディセッション)
○ S県T市の野菜を今後も給食に使用し続けるかどうか、そしてその結論をどのように保護者、農家、児童に伝えるか、議論した。これに対する参加者の意見は一致して「検査結果が出るまでは使用中止」というものであり、この結論に関して想定される懸念点に対するグループの考え方は以下のとおり。また、下線部は農家、児童に対して行う説明案の概要。
Q.知事は安全だと言っているが。
A.何の根拠も示されていない。ゆえに、安全かどうか、分からない状態であり、このような状況においては、我々にとって最も優先度が高い顧客である保護者、児童の利益を最優先に考えるべき。
Q.このような決定は、農家の方の心情的に納得させることができるだろうか。
A.ビジネスである以上、心情的なものは関係ない。安全であると言うならば、それを証明すればよく、その説明責任は農家にある。我々としてすべきことは、調査の結果安全が確認されれば、給食への使用を再開するとともに、安全であることを共にアピールしますというコミットメント、歩み寄りの姿勢を示すことだと思う。
Q.これまで食育を進めてきたにもかかわらずこのような決定をすることは、児童に対して、我々大人たちが情報に振り回されているという印象を与えるのではないか。
A.我々の意思決定理由とその経緯を共有することで、むしろ情報リテラシーを高める教育になりうる。
Q.我々の決定が、周辺の小学校や他の家庭にも影響を与え、風評被害の片棒を担ぐことにならないか。
A.仮にそうなってしまっても、悪いのはNステーションである。前述のような状況なので、一小学校としては、この決定以外に適切な判断はない。

(ダイアログその2)
テーマ:「風評に負けない社会をつくるために私たちができること」

○ 下村教授の模擬授業の後、風評に負けない社会をつくるために自分たちができることについて議論した。それぞれ職業や立場は異なるメンバーだったが、報道関係者や政府関係者などを中心とし、情報の発信側になることを意識した議論が展開された。
さらに、風評とは異なる部分があるが、政治家の発言をきっかけにしたいわゆる「炎上」が最近増えているのでは、という話になり、その原因としては、政府や政治家に対する不信が根底にあるのではないか、という議論になった。この「政府に対する信頼の欠如」は、奇しくも風評が広がる一つの要因としても考えることができ、風評と炎上の共通点について気づきがあった。

ファシリテーターの感想
○ ケーススタディセッションで、学校としては野菜の使用は中止せざるを得ないが、個人としてはS県の野菜を購入し続けることも選択肢である、という意見があった。個人単位での選択は、選択に伴うリスクが自分自身に限定されているのに対して、組織としての選択の場合、そのリスクは組織全体や顧客など広範囲に及ぶ可能性があるため、自ずと意思決定が異なる。
○ このため、風評が広がっていくことを防止するために必要な行動も、個人単位で考える場合と組織単位で考える場合で、異なってくるだろうと感じた。今回のイベントでは個人としてできることにフォーカスを当てた議論が中心となったが、今後、組織として守らなければならない利益も考慮に入れながら、組織として、風評の広がりを抑えるためにできること、すべきことを考えていきたいと感じた。

文責 Crossoverスタッフ
平野 慧

 


チーム6 人参

ファシリテーター
石山 喜章(所属:株式会社CCO)
馬見新 真理(所属:会社員)

メンバー構成
(ダイアログその1、ケーススタディセッション)
○職 業 地方公務員:2名、会社員:3名、自営業:1名、学生:2名
○年齢層 10代:2名、20代:1名、30代:2名、40代:3名

(ダイアログその2)
○職 業 国家公務員:2名、会社員:3名、学生:3名
○年齢層 10代:2名、20代:4名、30代:1名、40代:1名、50代:1名

主な議論
(ダイアログその1)
テーマ:「風評被害って何?」

◆冒頭の「福島トリップ」での気付きを受けて、次の3点について議論。主な意見は次の通り。
○ 真偽が不確かな「うわさ」や「ニュース」をうっかりシェア、拡散してしまった経験や、事実ではない「うわさ」等によって傷ついたり、被害を受けた経験について。
-北朝鮮のミサイル発射に関するニュース(一市民の対応策)をFacebookで拡散したが実際には発射されなかった。
-年明けに「2017年の予言」をシェアして友達に注意された。
-ライブドア事件のときマスコミの力を思い知った。
○ 「風評」とは何か?ただの「うわさ」や「デマ」との違いは?
-人を傷つけたり、商売に悪影響を与えるのが風評。そこまで行かないのがうわさ。
-あとになって真偽が判明したものが「デマ」と呼ばれる。判明前は「うわさ」
○ どんな条件が揃うと、ただの「うわさ」が「風評」となって社会全体に広まり、人や組織に「被害」を与えやすくなるか?
-そのニュース・事実が「大切な人を守りたい」と願う愛情を刺激したとき広まるのでは。人物批判と違って、「良かれ」と思う情報提供に遠慮はない。

(ケーススタディセッション)
◆映像を見た後の「ケーススタディ」に関しては、食材としての使用反対が6名、継続使用に賛成が2名と賛否が分かれた。主な意見は次の通り。

(反対派)
-情報不足で真偽は不明だが、健康リスクを考えて給食への使用は中止する。
-保護者対策や賠償リスクも考えて期間限定でも契約を打ち切るべき。
-汚染の事実は関係ない、保護者がどう認識しているか?で判断すべき。
-これが私立の学校なら転校する人が増えて売上にも影響する。
-平野市長の安全宣言には根拠が示されていない。
-今の段階では情報不足。だったら安全策をとるべき。

(賛成派)
-市場に流通しているということは安全であることの証。
-契約農家も安全だと言っている。
-どこからダイオキシンが検出されたのか不明。TV報道でも池田教授は「仮に検出されたら」と言っている。まだ検出されていないのが事実。
-万が一、本当に安全だった場合、契約農家への損害賠償額が膨らむ。
-契約打切りはできても再開は簡単ではない(保護者の手前)
-教師として、事実確認ができないのに、人の意見に左右されて判断を間違える大人の姿勢を子供たちに見せて良いのか?
-これまで実践してきた食育と子供達の感動体験をすべて否定することになる。

(結論と伝達方法)
-事実確認が取れるまでの期間限定で給食への使用を一時中止。安全が認められれば給食への使用を再開する。
-保護者と児童には説明会を開催して学校としての意思を表明する。
-食の安心安全に強い拘りのある保護者は、任意で(実費負担で)契約農家を訪れて現地確認ができるようスタディトリップを実施する。
-契約農家への伝達は、保護者同伴の上で校長から説明。三者で話し合い、事実を確認することが、不要な妄想や憶測を排除し、地域や保護者間でのうわさ撲滅に寄与する。また、晴れて安全が認められた場合は、このスタディトリップや保護者の対話の姿勢が児童への食育の一環となる。

(ダイアログその2)
テーマ:「風評に負けない社会をつくるために私たちができること」

◆下村先生の講義を受けて、風評に負けない社会を創る為に参加者一人一人が持つべき習慣やマインドセットついて議論。主な意見は次の通り。
-不要な情報を仕入れないようにテレビを見ない
-付き合う人を選んで、うわさを流すような人とは関わらなければいい。
-しかし事を成すには人の協力が必要。どう他者と協力関係を築くべきか?
-まず下村先生に教わった4つの疑問、自問を使おう。
-人の評判について第三者の視点を入れてはどうか?
-確かに。私からは「この部長、なんでこのポジションにいるんだろう?」と思うけど、きっと登用した理由があるハズなので、部長の上司に聞いてみる。
-相手の話や異なる価値観を受け入れる、受容する態度が重要。
-消費者としては、情報の裏を取る癖をつける。
-消費=投票なので、嘘ニュースサイトを見ない・クリックしないこと

ファシリテーターの感想
○ 現職が教員、農業の方もいらっしゃったので、ケーススタディの後に「実際の職員会議でもこういう風に議論できたら・・」、「福島産のお米だと消費者には売れないので、おにぎりなど加工食品に使われている」などリアルな現場の話を伺うことができたのが興味深かった。また、今回は東京と福島の高校生が参加してくれたので、大人の議論がどのように映るのか?素朴な疑問として何を感じているのか?など、新鮮な気持ちに戻れたうえ、須賀川市とは縁があるので改めて垣根を越えた出会いに価値を感じた。
○ ケーススタディの結論が、近くの3チームとも同じだったことを受けて、クロスオーバー参加者の判断基準が極めて近いことを実感。本当に枠を越えるには、ここに参加しない人に、どう参加して貰うか?を考える必要がある。また、下村先生の講義後に「偏った人や情報との関係を切る、離れる、見ない、近寄らない、関わらない」といった感想が出されたことも残念。SNS等で「自分と意見が合わない人をフォローする」ことの重要性を再確認させられた。
○ ファシリテーターに強い意見は必要ないかも知れないが、Crossoverの目的に沿ってガイド・ 指導するならば「今の発言は、先程の内容を無視しているのではないか?」など、教育的な観点でファシリすることも今後は必要かも知れないと感じた。このスタンスは一定の参加者を減らすことに繋がるが、その気付きを受け止めてくれる人の成長には繋がる。どちらを優先するか、次のスタッフMTGで議論したい。

文責 Crossoverスタッフ
石山 喜章

 


チーム7 きゅうり

ファシリテーター
川合 淳一(所属:株式会社ブレンドシステムズ)

メンバー構成
(ダイアログその1、ケーススタディセッション)
○職 業 公務員:2名、会社員:3名、団体職員:1名、自営業:1名
○年齢層 20代:3名、30代:5名

(ダイアログその2)
○職 業  公務員:1名、会社員:3名、学生:1名、その他:3名
○年齢層 10代:1名、20代:1名、30代:4名、40代:2名、50代:1名

主な議論
(ダイアログその1)
テーマ:「風評被害って何?」

◆冒頭の「福島トリップ」での気付きを受けて、次の3点について議論。主な意見は次の通り。
○ 真偽が不確かな「うわさ」や「ニュース」をうっかりシェア、拡散してしまった経験や、事実ではない「うわさ」等によって傷ついたり、被害を受けた経験について。
・ アメリカ留学先で、クラスメイトから、福島出身だからという理由で距離を置くように 親から言われたと聞かされて傷ついてしまった。
・ スーパーで買い物中、テレビのニュース番組で汚染の疑いを見聞きした地域産の野菜や魚があった場合は、そうでない地域を選ぶことがある。ひとりひとりの選択が積り重なることで、大きな経済的な影響が起こりうる。
・ ある企業への損害を目的として、違法性が確実だとの情報を得て、匿名のオンライン掲示板を通して情報を拡散したことがある。
○ 「風評」とは何か?ただの「うわさ」や「デマ」との違いは?
・ 「うわさ」や「デマ」はと異なり、風評とは、経済的な被害をもたらすイメージ。
・ 良いブランドイメージであっても、間接的にそうでないものへの影響がある。
○ どんな条件が揃うと、ただの「うわさ」が「風評」となって社会全体に広まり、人や組織に「被害」を与えやすくなるか?
・ 「風評」の成り立ちは「いじめ」に似ている。「いじめ」は、 レッテルを貼ることからはじまり、「いじめられるのは仕方ない」といった自己正当性をもたらし、発展すると社会的に排除するといった定着・固定化 で被害が拡大していく。
・ 風評は、脅威への防御反応や正義感での善意によるもので拡散していく。風評の対象が身近でない場合に、知識がなかったり誤解が生じたりすることで、被害が拡大しやすい。

(ケーススタディセッション)
◆映像を見た後の「ケーススタディ」で、当該野菜を給食の食材に利用するかどうかの意思決定のために、まず誰の何に考慮する必要があるか、指標を検討した。

(指標)
・ 児童を安全に守る
・ 公教育業務の遂行のため、教職員の責任や負担を最小限にする
・ 近隣の飲食店や他の地域の機関が判断する事例となるため、農家への経済的な悪影響を最小限にする

結果として「保護者からの電話と報道を根拠とし、一時的に当該野菜の給食での利用を停止するが、保健所等の第三者機関の判断で安全だと確認できた上で、使用を再開する」
とのコンセンサスを得て、給食の食材は利用しない結論を出した。
保護者・児童・農家への、短期・中長期での対応は以下の通り。

(短期間での対応)
【保護者へ】「児童の安全を第一とした上で、上の通り事実が判明し安全を確認するまでは一時的に使用を停止する。本決定は、当校において食育の取り組みをしてきたことについては、 否定するものではない」と添える。
【児童へ】質問があった際には、 結論を出すのではなく「分からない状況」と答える。
【農家へ】「これまでの食育の取り組みに感謝しており、是非野菜を使いたいが、事実が分からないため停止しなければならない」と、学校の責任を回避しつつ人間関係を壊さないよう伝える

(中長期での対応)
【保護者へ】農政課、専門家、農家などステークホルダを交えたダイアログを開催する。
【児童へ】食育の時間に、大学生を招いて問題を一緒に考える場を設ける。
【農家へ】食育の時間に、指導員として招聘し、日当を支払う。

(ダイアログその2)
テーマ:「風評に負けない社会をつくるために私たちができること」

◆下村先生の講義を受けて、風評に負けない社会を創る為に参加者一人一人が持つべき習慣やマインドセットついて議論。出されたアイデア は次の通り。
・ 安全確保のために、すぐに判断して回避行動をとった場合であっても、常に最新情報を確認して、過去の決定にとらわれずに判断を改める
・ 情報を拡散することで、他人に被害を与えないように注意する。真相が明らかでない場合は、そのように指摘をする。
・ 良いブランドイメージのものであっても、言及した場合の影響については注意する(「無農薬野菜」や「遺伝子組み換え」など)
・ 情報を受信する場合でも発信する場合でも、確実ではないことは前提とする
・ 個人が判断できるように、あるいは他者の判断理由を検証できるように、情報開示を求める
・ 講義にあった「4つの注意」を日頃から意識して、火に油を注ぐのではなく、火を消す側になるように努力する

ファシリテーターの感想
○ グループでの議論では、業務で何らかの情報を扱って発信する経験がある人の発言が多かった一方で、業務経験の浅い立場の人が議論についていけずに、途中で説明をしなければならない場面が、他のテーマでの議論のときより多かったように感じる。ある立場では当然の前提となっていることが、別の立場では全く異なっていることが、話し合いを阻害する要因であることが現れた結果となったと理解している。
○ ケーススタディでは、別の結論となったグループが見受けられなかったことを内省しなければならない。公教育のケースだったことで同じ結論になることは当然と考えられる一方で、公益部門に責任が集中してしまうことで柔軟性や多様性が欠けていないだろうか、一人ひとりが自分自身で判断できるだろうか、協力し合って助け合うような能力が欠落していないだろうか、といった懸念が残る。ケースと異なり、現実では 発信源や不確実な情報が錯綜する中で、短期間で判断することが迫られる。それは余りに多くの責任が伴うため、一人ひとりが判断できるよう、責任を公に分担する上でも情報公開は積極的に推進すべきものだと思う。
○ 今回のテーマでは「メディアと個人」のコミュニケーションに注目したが、これは「行政と国民」「企業対個人」「個人対個人」といった置き換えが無数に考えられると同時に、そのまま適用できる教訓も含んでいると思う。グループワークでは、学校や会社での体験を共有してもらうことができたので、普段の生活で役立つ場面も多くあったと思う。あらゆる評判やイメージは誰かの意図があって当然であり、自身で冷静に論理的に見極めることが「安心・安全」を作る上で欠かせないと思う。私自身も何かWebシステムで実現できると良いなと考えている。

文責 Crossoverスタッフ
川合 淳一

 


チーム8 セロリ

ファシリテーター
二宮聖也(所属:Crossover/農林水産省)

メンバー構成
(ダイアログその1、ケーススタディ)
○職 業 国家公務員:2名、会社員:3名、学生2名(大学生1名、高校生1名)、その他1名
○年齢層 10代:1名、20代:3名、30代:3名、40代:1名

(ダイアログその2)
○職 業 国家公務員:1名、地方公務員:1名、会社員:4名、学生2名
○年齢層 10代:1名、20代:4名、30代:3名

主な議論
(ダイアログその1)
テーマ:「風評被害って何?」

・ 風評被害の加害者・被害者になった例とそのきっかけとして、人事異動の噂などの身近なことへの「興味・関心」、チェーンメールやデマなどに対する「不安感」、震災後の放射能汚染を懸念して水道水からペットボトル水に切り替えた「我が子を守り思う気持ち」などが挙げられた。
・ 自身が安全と感じるか、信頼・共感できるかなどの「主観」が共通項であった。必ずしも悪意はなく、無意識・癖、善意によることも多い。
・ 人の行動に変容をもたらしたり、ネガティブな噂が社会レベルの規模感に達したときに、ただの噂が風評と言う言葉に変わり始める。その引き金となり得る要素として、①情報アクセス・発信者との関係:情報不足や情報過多、情報の非対称、行政やメディア等の権威に対する信頼、
②情報の受信者(個人・組織):専門用語へのリテラシー、情報の受け取り方(共感できる一部の情報を意図的に切り取って解釈していないか)、情報を受け取り消化するプロセスにおける納得感、他の事象との比較可能性(前例)などが挙げられた。

(ケーススタディセッション)
・ 子どもの安全確保が学校にとっての優先順位であること、説明責任の回避からゼロリスク(絶対安全論)を尊重し慎重であるべきなど、「明日からの提供」に対しては反対意見が多かった。
・ 一方、今回の判断に子ども達が納得感と当事者意識を持つことが、子ども達の将来の価値判断に影響を与え、風評被害に「負けない」社会を作るために重要であることから、児童に解決に向けた問いかけを行い、総合学習における安全性調査などを通じて一緒に体験し、考えていくこと、モニタリングを通じて定期的に関係者とコミュニケーションを取ることで心の準備の時間を与えること、子ども達に選択肢(給食選択の自由)を与えることなど、前向きな意見が多く挙げられた。
・ しかし、実際に何をどこまで説明するかという議論になった時に、給食への野菜提供に対するスタンスを学校は取らないこと、不確実なことや期待・不安を仰ぐことは言わないなどの保身的な意見が多かった。
・ 他人事化した意見や保身の態度が現れた点で、現実ケースでも起こりえそうな結果となった。「利害関係者にどう伝えるか(HOW)」について、各参加者が最後に校長先生になりきって説明するという設定にしておけば、一言ずつ言葉を丁寧に選び、伝え方を工夫する議論ができたと思われる。

(ダイアログその2)
テーマ:「風評に負けない社会をつくるために私たちができること」

・ 安心へのキーワードは「信頼」であり、自身が信頼できる人脈やネットワークを築いておくことがリテラシーを高める一方、それにより思考停止に陥らずに、外に広がる景色を求めて日々実践していく心の持ち方の重要性を再認識することができた。
・ 世の中では物事が二項対立で議論されることが多いが、実は多様な視点が隠れていたり、本質的な目的・ゴールが同じでアプローチが異なるだけで対立していることもある。その場合、相手を批難する姿勢は相互のレッテル張りという戦いの油に火を注ぐことになる。「罪を憎んで人を憎まず」―ヒトと意見を切り離して批判的・建設的に対話することで、皆で風評に負けない社会を創りあげることができるのではないか。

ファシリテーターの感想
○ 風評被害が気の毒な他人事ではなく、身近な日々の生活のなかで意図せず起こりうること、そして風評被害に対してファクトや権力を振りかざして「勝とう」とするのではなく、各々が明日から実践できる行動によって風評被害に「負けない」社会を皆で作りあげることの重要性について、全体を通じて学ぶことができたと思われる。
○ ケーススタディは当事者意識・自分事化を促すことが難しく、現実のケースでも同じような状況になりうると感じた。「参加者一人一人が説明責任者となり、ステークホルダーに説明する」という点をロールプレイングのゴールにすることで、感情面も加味した自分事化に繋がると感じた。

文責 Crossoverスタッフ
二宮 聖也

 


チーム9 ブロッコリー

ファシリテーター
服部 真子(所属:Crossover、NHK World)

メンバー構成
(ダイアログその1、ケーススタディセッション)
○職 業 国家公務員:2名、会社員:2名、団体職員:1名、大学生:3名
○年齢層 20代:3名、30代:3名、40代:1名、50代以上:1名

(ダイアログその2)
○職 業 国家公務員:1名、会社員:6名、大学生:1名、高校生:1名、
○年齢層 10代:1名、20代:2名、30代:3名、40代:1名、50代:1名、60代:1名

主な議論
(ダイアログその1)
テーマ:「風評被害って何?」

○ 真偽が不確かな「うわさ」や「ニュース」をうっかりシェア、拡散してしまった経験等に議論された。詳細は以下の通り。
・ 震災報道に関わっていたからこそ、3.11の時は何が安全なのか全くわからなくなっていた。友人から送られてきた黒い雨が降るから危ないという情報を自分の大切な友達にも伝えた。
・ 阪神大震災の時に、朝鮮人が井戸に毒を盛ったという噂が流れて朝鮮人の方が攻撃されていたのをみた。これは定かではないが、状況が不安定な中政府が、仮想敵をつくるために流したデマではないかと考えている。
・ 仕事柄、事実とわからないことは発信しないようにしている。(意見を持たない言わない)
・ ラジオ番組で「口裂け女」が話題になり、多くの若者が信じて恐れていた。

○ 次に「風評」とは何か、その特徴について議論した。出された意見は以下の通り。
・ 風評が、噂やデマと違うのは、何か事件や事故などの事実が震源地としてあるということ。
・ 噂には、良い噂と悪い噂がある。風評は・・・?(答え出ず)
・ 風評に悪意はあるのか、ないのか?(答え出ず)
・ デマには悪意はありそうだ。

○ 最後に、どのような条件が揃うと、単なる「うわさ」ではなく、「風評」となって被害を及ぼすことになるか、について議論した。出された意見は以下のとおり。
・ 事件や事故の真相がわからず、また、解決策も見つからないまま事件や事故が未解決の期間が長引き、人々の間に不安が蔓延している時、一定の答えになりそうな現象が現れると盲目的に飛びついて判断しまうことで生まれるのが風評被害ではないか?
・ キーワードは見えない不安。

(ケーススタディセッション)
○ S県T市の野菜を今後も給食に使用し続けるかどうか、そしてその結論をどのように保護者、農家、児童に伝えるか、議論した。これに対し、使用し続けるかに対する回答として、最初は8人中4人は「検査結果が出るまではT市の野菜は使用中止」、話し合いの末、8人中6人が、使用中止となった。

1.T市の野菜を給食に利用するか否か
【議論前の中止派の意見】
・ 事実関係が確認できるまでは出せない

【議論前の継続派の意見】
・ 事実関係がわからないので、給食には出し続ける。(S県T市の農家というだけで、学校が直接契約している農家の野菜というわけではないから。)

【議題に挙がった懸案事項】
・ 優先順位の第一は子どもの命、健康である。
・ データが、①Nステ、②知事、③農家の証言と混在しているため判断できない。→第三者機関による再調査と、データの見比べが必要
・ 二人三脚で子どもの食育に関わってきてくれた農家の人との信頼関係をどう保つか
・ Nステの報道、知事の発言はそれぞれ、ある程度は責任感を持っているはずである。その時、誰の言葉を信じるのか?
・ 第三者ではなく、自分たちの目で耳で判断するためにはどうしたらいいのか?徹夜でダイオキシン検査を一つ一つの食材に対してやろう。(でも知識も技術もないから無理だ)
・ 昨日まで仲良くしていた人の評価を、全く関係のない第三者の発言でいとも簡単に変える姿を子どもに見せていいのか?人格形成に影響しないか?
・ また、一報道で右往左往していては、保護者も学校は今までよく調査もしないで、食育を農家と行っていたのか不安になるのではないか?
・ 安全のため。大義名分は揃ったが一番大事なのは伝え方、誠意の見せ方ではないか。
・ 一度やめる、ということは再開するには3倍の労力がかかる。

2.保護者、農家、児童にどう伝えるか。

事実としての結論:子どもの命の安全を第一に考え、安全性が100パーセント確保されるまでは、S県T市の野菜は使わない。第三者機関に調査を依頼すると共に、子どもと一緒に事実確認をする学習の時間をもつ。

(1)保護者
・ S県T市の野菜からダイオキシンが検出された問題について、学校としては、子どもの安全を第一に考え、「一旦」差し控えます。
・ 今まで、学校として取り組んできたS県T市の農家の野菜はキチンと安全が確保されていたし、食育推進の活動は、間違っていなかったと自負している。
・ 一報道で、差し止めなければいけないのは断腸の思いです。子どもにもみだりに農家や学校の悪口を言わないでほしい。
・ 情報の信憑性を確かめる教材としてこの事件を扱い子どもと一緒に真相解明につとめます。
・ 安全が確認できたら今まで通り、S県T市の農家との提携を再開します。

(2)農家
・ 差し止めをすることになり、本当に本当に申し訳なくおもっております。
・ 農家のことは信じているし、今まで協力してきてくださったことに感謝しています。子どもの安全を第一に考え抜いた結果、ダイオキシンという見えない物質に対し、データが混在しているなか、絶対に1ミリの不安もなく食べさせることができるのかと問われれば、難しいという判断になりました。
・ 農家の方と子どもの信頼関係も保ちたいので、これを機会と捉え、実際にダイオキシンが出ていないという調査を一緒にさせていただけないでしょうか。

(3)児童
・ みんな、S県の農家の方にはいつもお世話になっているよね?美味しい野菜を届けてもらってみんなの元気を支えてもらっているね。
・ みんなも、もしかしたらお母さんお父さんから聞いているかもしれないけど、「ダイオキシン」という物質が、工場のゴミ処理施設から排出されて、お野菜にくっついちゃったかもしれないんだ。この「かもしれない」というのがとても重要で、先生たちは、誰も「ダイオキシン」の専門家ではなかったから、本当についているのかついていないのか、今わからない状態です。いつもお世話になっている農家さんが悪いわけでは絶対ないのだけど、万が一これから大きくなるみんなの体に影響がでてはいけない。その可能性は限りなく0パーセントにしなくてはいけないから、本当に残念なんだけど、「絶対安全」と言えるまでS県の農家さんからのお野菜は学校給食では食べられないことになりました。
・ 見えない、わからない不安があった時に、どうやってその真相を確かめたらいいか、学校のみんなで調査しようと思うんだ。みんな協力してくれるかな?

(ダイアログその2)
テーマ:「風評に負けない社会をつくるために私たちができること」

○ 下村教授の模擬授業の後、風評に負けない社会をつくるために自分たちができることについて議論した。高校生から報道関係者、人生の先輩の視点等縦横無尽に活発に議論が展開された。主な内容は以下の通り。
・ 情報の受け取り方、発信の仕方にもっと慎重になろうと思った。
・ 自分が、水質調査を仕事でしているので、ちゃんとしたデータに基づかず発信する人の気持ちがわからなかった。しかし同時に、データを専門用語と一緒に使うのではなく、わかりやすく伝えることの重要性にも気がついた。
・ 仕事柄、事実を伝えることに徹底していたが、本来はそこにある人の気持ちに寄り添った伝え方が大事だと気がついた。

ファシリテーターの感想
○ 何が起こっているのかの事実をしっかり確認することと、その事実によって影響を受ける人の気持ちに寄り添った表現力を磨くことがとても大事だと感じました。
○ 議論を深めるために、スタッフミーティングを重ねてきたことが活きたのが嬉しかったです。同調圧力を打破するのは悪魔の弁護人の役目である。これからもその力を磨いていきたい。みんなで一緒に考えて作るそんな社会を実現したいと思いました。

文責 Crossoverスタッフ
服部真子(ちょり)

 


チーム10 大根

ファシリテーター
田中 里沙(所属:Crossoverスタッフ/総務省)、
丸山 剛(所属:Crossoverスタッフ/株式会社クリックネット)

メンバー構成
(ダイアログその1、ケーススタディセッション)
○職 業 国家公務員:2名、会社員:3名、大学関係者1名、大学生:1名、高校生:1名
○年齢層 10代:1名、20代:3名、30代:1名、40代:3名

(ダイアログその2)
○職 業 国家公務員:1名、地方公務員:1名、会社員:4名、大学関係者:1名、公認会計士:1名、大学生:1名

主な議論
(ダイアログその1)
テーマ:「風評被害って何?」

○   まず、アイスブレイキングとして自己紹介、今日ここに参加した問題意識、趣味等を全体で共有。
○ 次に、「風評」と「うわさ」との違いや、ただの「うわさ」が「風評」となって社会全体に広まる条件等について、ペアを組んで議論。「風評」と「うわさ」との違いは、いかに相手に分かりやすく伝えるかという点を重視し、″小学校5年生に伝えるにはどう説明する″という視点で議論。

【「風評」と「うわさ」との違い】
○ うわさ
「○○ちゃんと××君が付き合っているみたい」
事実は不明
個人の問題

○ 風評
「この小学校は万引きする生徒が多い→この小学校に入るのをやめよう→小学校が経営難」
事実は不明だが、何等か実害が生じているもの
社会の問題

など。

普段「風評」と「うわさ」の違いを意識していなかったという参加者の声もあり、より意識して自分ごととして捉えて考えることで、普段の景色の見え方が変わってくるという声もあった。

【「うわさ」が「風評」となって社会全体に広まる条件等】
○ 権威性
権威がありそうな人(NHKが言っている、朝日新聞が書いている、○○教授が言っているなど)の発言は、事実確認をせずにも真実と捉えがちで、マスにシェアをしてしまいがち。
○ 距離
距離が近い(身近に感じる話)ほど、第一報のニュースとして捉え、検証せずに受け止めがち。
など。

(ケーススタディセッション)
■野菜の使用継続についての意思決定
○ 冒頭各自の賛否を確認し、賛成派・反対派に分かれ理由(意見)を確認。その上で賛成派と反対派に分かれて意見を交換(議論)。議論の中では、賛成派の教師においては自分の子どもが学校に通っているというシチュエーション、反対派の教師においては親戚がこの野菜を出荷している農家というシチュエーションを追加してもなお意見が変わらないか、その理由は何かを掘り下げて議論。そして最後に多数決を実施。
○ 結果、T市産野菜の給食での提供を一時停止し、安全性の検証を行った上で再度判断する旨を決定。なお、議論を通じて2人が意見を変更したが、新たな気付きによる意見変更というよりは、学校として明日からの給食をどうするかという意思決定をする必要があるという条件下において、協力して問題を解決しようという意識の基、少数派が多数派に意見を合わせた形となった。

【野菜使用賛成派の主な意見(議論前2人→採決時0人)】
・ 県知事が安全と表明しているのは、最大限努力して確認を行った上で表明しているはずなので、野菜の使用を続けても問題がない。
・ 食育を実施している学校の教師という立場として、速報のニュースだけをもって使用を止めるという判断はできないのではないか。
・ 一方で、学校として何等かの安全性の確認は必要。
・ とはいえ、保護者や児童の中で不安に思う人がいるであろうから、葉物野菜を使った献立をチェックし、希望者はお弁当を認めることとするか。

【野菜使用反対派の主な意見(議論前5人→採決時7人)】
・ ダイオキシンが検知されたというニュースがあり、その原因や規模感が判明していない中では、給食の野菜が安全か判断できないので、使用は停止すべき。
・ 知事の検査の詳細も不明。
・ 安全だとしても安心できない。
・ 子どもが明日以降も野菜を食べて何かあってからでは遅い。
・ 改めて原因等の調査を行い、その結果が分かるまで(安全の確認が取れるまで)は停止すべきではないか。

■野菜の使用停止を関係者に伝える方法についての意思決定
○ 次に、上記意思決定の農家・保護者・児童への伝え方について、対象者ごとにグループを分けて議論。以下を提案。
→農家
・ 個別に説明に行く。
・ 学校としては安全だけでなく安心も大事と考えているので、保護者や児童が安心と感じられるまで、不安を取り除くために一旦停止をさせてほしいと説明する。
・ 安心の確認が取れたらまた再開する旨はちゃんと提示する。
→保護者
・ 保護者会を開く。現時点で行われている検査の状況を説明する。
・ 保護者が感じている不安、聞いている情報を聞く。
→児童
・ 全校集会を開き、分かりやすく書いたプリントを配布して説明する。
・ 別途、児童にとっては担任の先生が最も身近で指針を示す人なので、ホームルームで食育を意識した説明を行う。例えば青信号を渡る際に、車が来ていないか一回立ち止まって左右を確認して渡ると安心。不安を取り除くために一度立ち止まって確認をすることの重要性を伝える。
○ 議論の過程では、それぞれの立場を想って、どういう手段でどのように伝えることで一番納得が得られるかを重視していた。

(ダイアログその2)
テーマ:「風評に負けない社会をつくるために私たちができること」

○ ゲストスピーカーのお話しを受けた感想や疑問を手掛かりに、「風評に負けない社会」をつくるために、参加者一人一人が、個人として、組織や社会の一員として出来ることについて対話。主な意見は次の通り。
・ 「そ・う・か・な」を含めて、情報を受け止めるスタンスの見直しをしたいと思った。
・ 色々な見方、価値観が風評のベースとなっているが、幅広い情報をフラットな姿勢で受け留めるかが大切。
・ 情報発信の仕方に最新の注意を払うべきということを改めて実感。人の特性を変えることは難しいが、まずは自分と自身の周りから変化させていきたい。
など。

ファシリテーターの感想
○ 初めて「風評」及びその影響〈被害〉について正面から議論したが、参加者各自がもつイメージ・前提の知識・考え方によって、情報の受け止め方やその後の情報発信・行動が変わってくることを、自身含め参加者各自が実感したことは、今後の行動を変えていくことにつながると確信。
○ 1人1人が、4つの疑問「そ・う・か・な」を意識して情報を見る・取ることで、今回のテーマである「風評の被害に負けない社会をつくる」ことにつながると思うとともに、1次情報の取り方、自身での検証の方法については、改めて考察してみたいと実感。

文責 Crossoverスタッフ
田中 里沙

 

みんなで語ろう! これからを「生きる力」 ~こどもを取り巻く環境から公教育の役割を考える~

みんなで語ろう! これからを「生きる力」 ~こどもを取り巻く環境から公教育の役割を考える~

官民協働ネットワークCrossover主催
教育ダイアログ

 

 

みんなで語ろう! これからを「生きる力」
~こどもを取り巻く環境から公教育の役割を考える~

 

 

 

報告書

 

 

 

1.全体総括と参加者アンケートの結果


4月22日(土)13:00より、東京医科歯科大学にて、教育ダイアログイベント「みんなで語ろう!これからを「生きる力」- こどもを取り巻く環境から公教育の役割を考える -」を開催しました。

当初80名を定員としていましたが、締切一週間前で既に定員に達してしまったため、急遽、スタッフの体制を強化し、当日は第一部、第二部を合わせて100名を超える方にお越しいただきました。

参加者の顔触れも、Crossoverならではの多様性溢れるものになっており、若きは17歳の高校生から、上は70代の人生の先輩方まで、お越しいただきました。
また、職業を見ると、文科省をはじめとする中央省庁職員、地方自治体職員、学校の先生方、多彩な業種で活躍するビジネス・パーソン、そしてメディアやNPO職員の皆さんや大学生など、参加者の圧倒的に彩り豊かなバックグラウンドに印象付けられました。
さらに、首都圏からだけでなく、青森県、栃木県、大阪府、三重県等からご参加頂いた方々もいらっしゃいました!

本企画は、教員として学校教育の現場で子供たちと、研究者として様々なデータと、そしてNPO活動を通じて子供たちを取り巻く環境と向き合いながら、教育問題に長年取り組んできたCrossoverスタッフである識名由佳と丸山剛が企画リーダーとして他のスタッフを巻き込みながら実現したものです。

当日、両企画リーダーによる「プチ講座」に続くダイアログでは、日常生活や仕事だけをしていたのでは出会うことがなかったであろう多彩な参加者が、スタッフが幾度となく議論し、熟慮の上で提起した3つの発問と向き合いました。

 

1時間目

ダイアログその1では、まず日本の教育を取り巻く様々な課題や現状について、識名、丸山による「プチ講座」により共有しました。
中でも参加者の関心を集めたのは、「40年ギャップ」という考え方です。
これは、今の大人がこれからの教育を考えるとき、①(思考の前提とするであろう)自分が受けた教育は20年前のものであること、②これから教育を受ける子どもが大人になるのは20年後であること、という二つの20年のギャップ、すなわち「40年ギャップ」を念頭に置いて、教育のあり方を考えなければいけない、というものです。
さらに、成績の評価方法、授業時間数などが変わってきていること、進学率や貧困率の最近の傾向など、日本の教育を取り巻く様々な課題や現状について共有しました。

その上で、参加者同士で

★ これからの時代を「生きる力」を身につけるために、今、あなたが小学生だったら、学校で一番学びたいことはなんですか?

をテーマに対話しました。

 

2時間目

ダイアログその2でも、識名、丸山による「プチ講座」を行いました。
新しい学習指導要領においてもこれまでの教育とは異なった能力や、意欲を育てていくことが重視されているという話が共有されるとともに、所得による進学率、習い事の有無などの違いを示すデータが紹介されました。その上で、参加者同士で

★ 今、こどもたちを取り巻く環境には「“格差”がある」と思いますか?それは、あなたにとって身近で解決しなければならないと感じる課題ですか?

をテーマに対話しました。

 

3時間目

ダイアログその3では、一旦グループのメンバーを総入れ替えした上で、「プチ講座」により海外の教育環境を紹介するとともに、会場全体で「大空小学校」を紹介するドキュメンタリーを観ました。
大阪市南住吉区にあるごく普通の公立の学校である「大空小学校」は、別な小学校では、様々な事情を抱えて不登校となってしまった子供たちや、「問題児」とされて溶け込むことのできなかった子供たちを含む全ての子供たちが、居場所を見つけ、生き生きと、元気に過ごせるようになる学校として有名です。
「大空小学校」は新指導要領が目指すビジョンを体現する小学校のモデルの一つでもあり、この学校の日常を描いた「みんなの学校」という映画は、全国で自主上映会が開催され続け注目を集めています。

今回のイベントで共有したドキュメンタリーは、映画「みんなの学校」のエッセンスの一部分のみが感じられる、わずか10分ほどの映像でしたが、その後の参加者同士のダイアログに大きな示唆がありました。
そして、これまでのダイアログと大空小学校の映像等を踏まえた上で、

★ おかれた環境に関わらず、こどもたちみんなが、“これからの時代を生きる力”を身につけるために、小中学校はどうあるべきでしょうか?また、私たち一人一人は子供たちとどうかかわるべきでしょうか?

をテーマに参加者同士で対話しました。

これらの対話を通じて、教育という身近だが正解のないテーマについて率直な意見や見識が示され、学びに満ちた時間・空間を参加者全員で創ることが出来ました。
またデータ等に基づく抽象論ではなく、参加者の具体的な経験や試行錯誤に基づく実践的なアイディアが出されたことも収穫でありました。

さらに、今回のダイアログその1~3の対話に当たっては、

・「みんな平等の立場で参加する」
・「人の意見を遮らず最後まで耳を傾ける」
・「できるだけ自分の経験に基づいて話す」

というシンプルなルールを共有するとともに、「話す人は小さな花束をもち、話し終わったら、次に話したそうな顔をしている人に花束をプレゼントする」という工夫をcrossoverとしては初めて取り入れました。
恥ずかしさや戸惑いがあることも予想されていましたが、当日の会場はリラックスした笑顔溢れる雰囲気となり、対話は深く、示唆深いものとなったと、スタッフ一同感じました。

また、参加された皆さんにご記入頂いたアンケートについては、こちらに取りまとめましておりますので、併せてご覧下さい。

 

アンケート結果

 

ダイアログ終了後は懇親会、そして場所を近隣の居酒屋に移しての二次会と続き、参加者皆で教育談義に花を咲かせました。
イベントが幕を閉じたのは、開会のあいさつ(13時)の10時間半後!終電間際となっていました。

文責 : 平野
Crossoverスタッフ

 

2.ダイアログ報告


チーム1 えんぴつ
ファシリテーター 平野 慧(所属:Crossover、厚生労働省)
馬見新 真理(所属:Crossover、会社員)

メンバー構成
(ダイアログその1、その2)
○職  業 国家公務員:2名、地方公務員:1名、会社員:2名、大学:1名、NPO:1名、学生:1名
○年齢層 20代:3名、30代:2名、40代:3名、50代:1名
○教育関係者(過去含む) 5名

(ダイアログその3)
○職 業 国家公務員:2名、地方公務員:1名、会社員:3名、大学:1名、、NPO:1名、学生:1名
○年齢層 20代:4名、30代:3名、40代:1名、50代:1名
○教育関係者(過去含む) 5名

主な議論
○「これからの時代を『生きる力』を身につけるために、今、自分が小学生だったら、学校で一番学びたいこと」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-「英語」「他人を巻き込み結果を出す経験」「問題解決力」「情報を受け取る力」「経営的な経験」「コミュニケーションをとる力」など、現代の社会がどうなっているかを前提・背景とした上で、必要になってくる力や能力、経験。
-また、「夢を見つけ、叶える力」「他人に貢献し、感謝される経験(『モテ方』を知る)」といった生きる姿勢に関係するような事項。
-さらに、「お金の稼ぎ方」などの非常に現実的な意見。

○その後、「今、こどもたちを取り巻く環境には、『”格差”がある』と思うか否か、それは自分にとって身近で解決しなければならないと感じる課題か否か」について議論した。
まず、『”格差”がある』と思うか否かについては、「収入によって大学に行けない」「家庭環境によっては義務教育を受けていてもそこから得るものが違ってくる」「教師の質に差がある」など、「格差はある」という意見が多かったものの、その差の程度については、「義務教育が無料であることや努力次第で乗り越えることができる」など「相対的には小さい」という認識が共有された。
次に「それは自分にとって身近で解決しなければならないと感じる課題か否か」について議論したが、その中では、
-「差があることによって競争が生まれたり、マイノリティの経験が強いリーダーシップにつながったりするなど、あってよい格差もある」といった意見
-「そもそも、塾に行けるかどうかよりも、子どもにとっては周りにいる大人が褒めてくれるかどうか、愛を感じられるかどうかの方がよっぽど重要なんじゃないか。」といった意見が出された。

○最後に、グループ換えをした上で、「小中学校はどうあるべきか。そして自分たち一人一人は子ども達とどのように関わるべきか」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-公教育のありかたとセットで、親からの教育、家庭教育についても考えていく必要があると思う。
-自分が子どもの頃、同級生からいじめられたり、成績が悪ければそれだけで評価されなかったり、自己肯定感を持つことができないことが多かった。成績以外の評価や肯定の仕方を考えていくべきではないか。
-周りの大人が子どもの存在を認め、子どもが愛されていること、大事にされていることを実感できるような環境を作り、子どもが自己肯定感を得られるような世の中にしていくべきではないか。
-そのためには多様な主体を巻き込んでいくことが大事。先生には先生の、親には親の役割があり、それに応じた評価軸ができてしまう。多様な主体が巻き込まれていけば、その分だけ評価軸は多様になり、子どもが評価、肯定されるあり方、子どもにとっての「理想」が増えることになる。
-そのためには、地域の力を生かしていくことも必要。しかし、PTA会長が逮捕されるなど、このような時代なので、何らかの媒体が無いと地域の大人が学校に関わることはできないのではないか。
-たしかに、都心部において学校と関わる方法は思い浮かばない。
-地域のNPOが、地域の大人と学校を仲介する事例がある。先生もたくさんの業務があり、先生に仲介を求めることは困難。こういったNPOを媒体として地域の学校への関わりを促進していくのがよいのではないか。

ファシリテーターの感想
○「これからの公教育はどうあるべきか」をテーマに議論するというときに、その議論は、今後の社会の在り方や世界の動向を踏まえて、IT教育とか、プレゼン力とか、そういったものになると想定していた。実際、ダイアログその1では、そういった力がこれからの子どもたちには必要だという意見が多く、自分もその意見に対して特段の違和感はなかった。
○しかし、ダイアログその2や大空小学校の映像を視聴した後で行われたダイアログその3では、子どもたちにとって一番必要なのは、「子どもたちが愛されていると実感できること」、「成績以外にも多様な軸で評価、肯定されることで、自己肯定感を持てること」であるという意見が多くみられ、これからの社会や世界の在り方に応じた能力等が挙げられるだろうという当初の予想と反して、時代や国・地域を問わない普遍的な要素を重視する議論になっていった。
○このように議論が展開されたのは、参加者の方それぞれが、プチ講座の内容や他の参加者の経験に基づく発言を虚心坦懐に受け止め、自らの経験に照らして子どもにとって真に必要なものは何か、真剣に考えてくださったことによるものだと感じている。

文責 Crossoverスタッフ
平野 慧

チーム2 チューリップ
ファシリテーター 池田洋一郎(所属:Crossoverスタッフ、財務省)

メンバー構成
(ダイアログその1、その2)
○職  業 国家公務員:2名、地方公務員:1名、会社員:1名、NPO:1名、学生:1名、大学職員:1名
○年齢層 20代:4名、30代:1名、40代:1名、50代:1名
○教育関係者(過去含む) 3名

(ダイアログその3)
○職 業 国家公務員:2名、地方公務員:1名、会社員:3名、NPO:1名、学生:1名
○年齢層 20代:3名、30代:3名、40代:2名
○教育関係者(過去含む) 4名

主な議論
○「これからの時代を「生きる力」を身につけるために、今、あなたが小学生だったら、学校で一番学びたいことはなんですか?」をテーマに20分間の対話をした。出された意見は以下のとおり。
- 「人と人とのつながりの大切さを知る力」「人と学びあえる力」:AIやロボット等が大きな役割を果たす社会において、人間にしか果たすことが出来ない、人のメンタル面に対応する仕事に取り組むために必要な力を身につけたい。
-「人生の目的意識を持つ力」:様々な難題と向き合う、あるいは純粋な喜びを感じる機会を楽しみながら、自分の個性、能力を発揮しながら取り組むことが出来るテーマは何かを見つける力を身につけたい。自分の意見を言える場を用意してほしい。
-「本を楽しく読む力」「失敗しても大丈夫と思える力」
-「身の回りにある世界がすべてではないと知る力」
-「学び続けることができる力」:自分が何を知らないかを知り、問を立て、答えを探す手段や人からの意見を効果的に咀嚼を取得し、そして、得られた答えを次の問へとつなげていくプロセスや習慣を習得しておきたい。

○「今、こどもたちを取り巻く環境には「“格差”がある」と思いますか?それは、あなたにとって身近で解決しなければならないと感じる課題ですか?」をテーマに50分間の対話をした。出された意見は以下のとおり。
(「“格差”はあり、それは身近で解決が必要な問題だ」とする意見)
- 大学生の留学支援の仕事をしていると、家庭に経済的余裕があれば海外留学の選択肢を手に出来る一方、そうでない家庭の子どもたちは、能力があってもこれを手にすることが出来ない、という状況を目にする。奨学金を紹介する等、手助けをしているが、それでもなお機会を手に出来ない若者がいる。
- 身の回りに「信頼できる、認めてくれる、心が折れそうなとき応援してくれる大人」がいるか否か、という意味での格差がある。いわゆる「愛情不足」は子供の将来に大きな負の影響を与える。
- お金がすべてではないが、「お金の余裕」は「心の余裕」を生む。またお金は選択肢を生むことから、家庭の経済的格差は子供の学力、学歴の格差につながる。
-「目の前にいる子どもたちを幸福にしたい」と願う一教師として、子供が経済的理由で本来手に出来る選択肢を手に出来ないのは、実にもったいないことと思う。

(上記以外の意見)
- “格差”と呼ぶから何か問題があるように見える。単純に“差”であると考えれば、それは人間社会にあたりまえに存在することであり、それ自体はただの現象。特に公立学校には、色々な“差”のある児童が集まるという意味で社会の縮図であるといえ、それが公立校の良さでもある。
- 自分は母子家庭に生まれて経済的に決して楽ではなかった。しかし「あの子うちは母子家庭だから…」とレッテルを張られるのが悔しくて努力でき一流校に進学できた。だから、所得格差が学力格差を生むとは限らない。
- 何の“格差”と定義するか、どの程度の差なのか、等よって問題か否かが変わってくるので正直よく分からない。
- 「格差」があるとは思わないし、この言葉は使わないほうがよい。「留学に行けない」、「相談できる大人がいない」という「ある水準、状況が満たされていないこと」が原因であるなら、シンプルにそう伝えれば問題解決に向けた対話もスムーズであるはず。「格差」という言葉を使うから、本当に困っている人の助けにならない非生産的な議論が展開されることになる。
- これまでメディア等で紹介されるデータを見て「格差は問題」と思っていたが、「身近で、解決しなければならない問題か?」と問われ、自分事として捉えていない自分を発見してしまった。

○「おかれた環境に関わらず、こどもたちみんなが、“これからの時代を生きる力”を身につけるために、小中学校はどうあるべきでしょうか?また、私たち一人一人は子供たちとどうかかわるべきでしょうか?」をテーマに40分間対話した。出された意見は以下のとおり。
(「これからを生きる力」についての意見)
-「人生の目的意識を持つ力」、「自分にとって何が幸せかを知ることが出来る力」、「自らの生き方を選択できる力」等

(公教育の役割についての意見)
- 自分が小1から小4まで通っていた茨城県内の公立小学校と、小5、小6で通った神奈川県内の公立小学校では、中学受験をはじめ学習への意欲に大きな差があった。振り返って両者共通することは、学習意欲についての保護者や児童間の「同調圧力」が強く、それぞれが主体的に「進学校」進学や「手に職をつけること」を選択しているようには思えなかった。「同調圧力」を生まず、自らの将来を自分で考え選択できる雰囲気を先生だけでつくるのには限界があるのではないか。
-「自分の生き方」を模索でき、「自分で考える力」を身につけるために、公教育からは否定される機会をなくすことが必要。また、大人がやり過ぎず、出来る限り子どもたちが自らやるよう心がける必要。
- 自分の高校では、月に一度、生徒の父親をゲストスピーカーとして招き、仕事の内容や想いを語ってもらう機会があった。こうした機会を設けることで、生徒と保護者、保護者と先生、保護者同士の絆を深めることが出来るのではないか。
- 「学習指導要領」等の制度をつくるだけでは現場は変わらない。地域の力、人の息遣いが社会を変える。こうした観点から現在、過疎地の学校の空き教室を、地域の老若男女が集う場へと変え、児童と地域の人々が自然に交流できる「スクールカフェ構想」を推進している。「スクールカフェ」に年金相談員や子育て相談員を定期的に配置することで、教育-介護-子育て等の悩みにワンストップで応じるとともに、相乗効果を高めることも期待できる。

ファシリテーターの感想
○教育という身近だが正解のないテーマについて、各人の経験に基づく率直な意見や見識が示され、学びの多い時間となった。また机上の空論ではなく、現場で実現できそうな実践的なアイディアが出されたことも収穫だった。

文責 Crossoverスタッフ
池田洋一郎

チーム3 バスケットボール

ファシリテーター 丸山(所属: 株式会社クリックネット)

メンバー構成
(ダイアログその1、その2)
○職  業 国家公務員:3名、地方公務員:1名、会社員:1名、その他:4名
○教育関係者(過去含む) 5名

(ダイアログその3)
○職  業 国家公務員:1名、地方公務員:1名、会社員:1名、その他:4名
○教育関係者(過去含む) 3名

主な議論
○「今小学生だったら身につけたい力」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-お金について知っておきたい。金融、経済。人、アイディア、モノはお金に集まる。
-移民や国際化に備え、フランス語など英語以外の言語も。バリアを外して異文化への対応する力。
-AIの影響から逃れられない。コミュニケーション&イノベーション力。仕事を奪われる人をどうやって守るか。
-そもそも公教育に期待していない。
-大人と出会いたい。
-スクールカフェのようなものをつくり、地域の人が集まり交流力を磨く。

○「教育格差」や「問題意識」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-格差と差では大きく違う。差はあっていい。
-格差とはそもそも何なのか? 劣等感?
-地域にもよる。ロールモデルがいないのが問題。比較できない面も多い。
-選べる世の中になることが必要。
-評価を変えていかないと、能力は測れない時代に。
-職業に対する偏見があるから、格差が生まれやすい。
-人間であることに価値があるという風潮になればいい。
-差をきちんと認識する必要がある。

○すべての子どもが生きる力を獲得できる「公教育の役割」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-何を学ぶのか、どうして学ぶのかをきちんと伝える
-コミュニティでどう生きるか、サバイバル力を教える
-成功体験をさせる
-挨拶礼儀などを教える
-斜めの関係が大切
-かっこいい大人との出会いを提供
-社会、地域、親が先生をサポート
-競争させることも必要、居場所は家でいい
-親の愛情が足りない子をどうすべきか。そこを考える必要がある。

ファシリテーターの感想
○身につけたい力について、学力や暗記などのテクニックが無かったのが今らしい。
○「自立とは依存先をたくさん持っていること」という湯浅誠氏の言葉を紹介してもらったが、とても印象的だった。
○全体として、競争や受験という話があまり出なかったのが、時代の変化を感じさせてくれた。

文責 Crossoverスタッフ
丸山 剛

チーム4 コンパス

ファシリテーター 服部 真子(所属:Crossoverスタッフ、NHK World勤務)

メンバー構成
(ダイアログその1、その2)
○職  業 国家公務員:3名、地方公務員:0名、会社員:2.5名、NPO:0.5名、学生:1名
○年齢層 20代:4名、30代:3名
○教育関係者(過去含む) 3名

(ダイアログその3)
○職  業 国家公務員:2名、地方公務員:1名、会社員:3名、NPO:1名、学生:1名
○年齢層 20代:3名、30代:3名、40代:2名
○教育関係者(過去含む) 4名

主な議論
○「これからの時代を「生きる力」を身につけるために、今、あなたが小学生だったら、学校で一番学びたいことはなんですか?」をテーマに20分間の対話をした。出された意見は以下のとおり。
-「自分で考えて自分の意見を発信し、相手の意見をうけとり理解する力。」
インプットの教育は多くてもアウトプットは中々習わなかった。(公立出身30代)
-「社会にでて必要とされるスキルを見越しての提案を作る力、アイディアを作る力。」
社会にでて必要とされる力と学校で習った知識にギャップを感じる。(30代)
-「プログラミングの基礎やメディアリテラシー」今必要な力。(20代)
-「主体性のもち方」自分自身は親から教わった気がする。(20代)
-「答えがない課題に対する想像力」社会では答えがないことの方が多い。(20代)
-「教養」社会に出ての利益に直結しない深い課題に取り組みたい。積極的にアウトプットが必要な教育を受けることができた。(私立出身20代)

○「今、こどもたちを取り巻く環境には「“格差”がある」と思いますか?それは、あなたにとって身近で解決しなければならないと感じる課題ですか?」をテーマに50分間の対話をした。出された意見は以下のとおり。
(「“格差”はあり、それは身近で解決が必要な問題だ」とする意見)
-親の貧困によってそれにとらわれてしまう子がいる。生活設計の仕方を身につけないとそこから抜け出せず、そのための支援が必要である。
- 養護施設の子供は18で施設をでなければならない。その後フリーターになる子が圧倒的に多い。自分で会社を立ち上げた例も見たことがあるが、それは本当に一握り。大きな社会課題の一つだと感じる。
-情報の量は東京と地方では大きな差がある。政府の留学支援の情報なども、東京の方が入って来やすい。
-急に家庭の事情で経済状況が悪化した場合、周りからの支援がなければ、その家庭の子供は困窮する。
(上記以外の意見)
-公立学校では、色々な“差”のある児童が集まっていた。学力が全てという風潮にはしたくない。
-識字率においては格差はない。あるとすれば、大学進学の時の受験料金・授業料金を払えないから諦める子がいることだと思う。
-本人の努力や意欲はどの程度人生に影響を与えるのだろうか。差を均すことを目的にしている人が多いが、一体それは本質的に何をしたいのか疑問に思う。

○「おかれた環境に関わらず、こどもたちみんなが、“これからの時代を生きる力”を身につけるために、小中学校はどうあるべきでしょうか?また、私たち一人一人は子供たちとどうかかわるべきでしょうか?」をテーマに40分間対話した。出された意見は以下のとおり。
(「これからを生きる力」についての意見)
-「自分も人も大切にする力」、「情報をうけとる力」、「世界にでていきたいと思える力」、「いい人生だったなと思える力」、「主体性」等
(公教育の役割についての意見)
-社会に開かれた学校をつくる。より民間の人が出入りできるような。(殺人・誘拐事件を防ぐ仕組みもとても重要ではあるが)
-自分の居場所だと思える学校。自分は大切な存在だと思える学校。
-成功体験をたくさんつめる学校。

ファシリテーターの感想
○世の中の「差」をなくすことを、仕事や活動の目的においている方々に出会い、いったいそれはどういう世界なのか、どの程度「差」がなくなればいいのか。多様性が叫ばれる社会において、何を人類は目指すのか興味深く感じた。

文責 Crossoverスタッフ
服部 真子(ちょり)

チーム5 ノート

ファシリテーター 二宮 聖也(所属:Crossover、農林水産省)

メンバー構成
(ダイアログその1、その2)
○職  業 国家公務員:2名、会社員:4名、大学関係1名、学生1名
○年齢層 20代:4名、30代:3名、40代:1名
○教育関係者(過去含む) 4名

(ダイアログその3)
○職  業 国家公務員:2名、会社員:4名、教師1名、学生1名
○年齢層 20代:3名、30代:2名、40代:1名、60代以上:2名
○教育関係者(過去含む) 2名

主な議論
【ダイアログその1:今、あなたが小学生だったら、小学校で何を一番学びたいですか? ?「これからの時代を生きる力」を身につけるために~】
・社会との関わり方、解を出す力、成功体験、実験、理数系のトレーニング、かぶりついて学ぶ姿勢、物事の背景に心を馳せる力、感じる力など。
・不確実な未来に対し、普遍的に求められる力として、「自分で調べる力」「自分で問う力(Why)」など。
・世界が広いことを知れば、いじめへの悩みも減るのではないか。学校という子どもの社会で小さな成功体験を見つけること(勉強、足が速い)が自信と成長の糧になる。一方で、「目立つ」という意味で日の目が当たりにくい能力(絵が上手い、芸術の才能など)もあり、家庭や学校でもそのような能力を見つけ、褒め、伸ばしていくことの重要性も指摘された。
・英語やITスキルなどの「知識」や「ハードスキル」は、その時代や社会情勢に応じて求められるものが変わりうる。だからこそ、生きる力を考える重要性が再認識された。

【ダイアログその2:今、こどもたちを取り巻く環境には、「〝格差”がある」と思いますか?それは、あなたにとって身近で、解決しなければならないと感じる課題ですか?】
・子どもの教育機会は経済・教育面で家庭の影響を大きく受け、その後の子どもの人生にも続いていく「社会的相続」が存在。両親が公務員で、公務員宿舎に住んでいた子どもたちは、同じ学校の他の子どもたちと比較して、進学や就職先に恵まれていた。家庭環境による「差」は事実であるが、「差」によって「機会の多さ」が変わることが格差の原因となる。
・そもそも「格差」という言葉のベースにある価値観に向き合うことが必要。人生に正解はない。地元非行を働いていた友人たちが高校卒業後に就職して地元で幸せで暮らすことは格差ではない。また、地域性や文化によって、教育・人生に対する価値観の違いがある。誰もが自分の生活を肯定するし、精一杯生きている。
・生活保護や無償の義務教育など、制度上、社会は平等。また、無料オンライン教育サービスなど、機会は開かれている。しかし、制度で越えられない壁がある。なぜなら、そこに「アクセス」できないから。金銭的・精神的余裕、情報、人脈がないから。
・だとすれば、教育格差の原因の一つは「情報格差」。社会の制度や機会に「アクセスする力、見つける力、つながる力」が必要。これらの力が、上流階級の一部の人間の特権となり、階級間の移動が容易でないのであれば、格差は自己責任論で解決できない。
・一方で、資本主義における成長と分配の公平性という構造上の課題、社会のセーフティネット(職業訓練、失敗の許容)、成果主義によるプロセスや努力の軽視等の評価制度のあり方など、包括的に取り組むことが重要。

【ダイアログその3:こどもたち”みんな”が、おかれた環境にかかわらず「これからの時代を生きる力」を身につけるために、小中学校はどうあるべきでしょうか?また、私たち一人一人は子ども達とどう関わるべきでしょうか?】
・やってはいけないことを学ぶこと、違いを受け入れること、現場の先生への自由度を与えること、子ども・先生にルールを押し付けないこと、多様性と適応力を学ぶ環境などが挙げられた。
・「学校のあり方」について議論するなか、小学校の教師をしている参加者から、「教育は学校だけが担っているのか?大人や保護者は教育を他人事化していないか?本来、家庭環境が子どもの教育や成長に与える影響が大きいのに、大人が子どもの見本になっていないのではいか?」と問題提起があった。学校で教えられているルール(挨拶、マナーなど)を大人は現実社会で守っているか。大人の言う「べき論」やキレイゴトは、教育を他人事化した議論。
・教育現場で起こっているのは、「教育を他人事化する保護者」への対策として「子どもたちに差や優劣を感じさせないように平等に扱わなければならない」ことが多い。意識の高い大人がきれい事を言えば言うほど、教育現場は疲弊する。一人一人が教育を自分事化しなければ、何も変わらない。
・上記を踏まえ、「私たち一人一人が明日から何をできるか」の決意を新たにした。よい聴き手になる、人としての倫理やマナーともう一度向き合う、シルバー人材として社会に関わる、子どもや社会から信頼され、見本となるような大人になる、やり抜く力を身につけるなどが挙げられた。

ファシリテーターの感想
○個人の経験を振り返り、多様な意見をテーブルに載せて共有するにあたり、ダイアログ方式を採用することで参加者の緊張感を解し、終始和やかな空気で対話ができた。
○誰もが何かしらの格差や機会の不平等が存在すると感じていた。しかし、それが身近に解決するべき課題か、という問いに対しては明確な解はでなかった。「教育格差」という事実の是非よりは、格差の種類・程度・原因を多様な視点から捉え、より根本的な課題とそれを乗り越えるために身につけるべき力を議論したことは有意義であった。
○社会や学校に解決策を求める他人事化の姿勢でなく、「教育の自分事化」を意識し、一人一人ができるこwとを考える議論ができた。一方で、問題意識を行動に移すためのきっかけや最初の一歩を踏み出すヒントが欲しいという声もあり、対話の向こう側にある協働を見据えた企画を求める声もあった。

文責 Crossoverスタッフ
二宮 聖也

チーム6 パレット

ファシリテーター 中江 遼太郎(所属:Crossover、公務員)

メンバー構成
(ダイアログその1、その2)
○職  業 国家公務員:2名、地方公務員:1名、会社員:3名、団体職員:1名
○教育関係者(過去含む) 4名

(ダイアログその3)
○職  業 国家公務員:2名、地方公務員:1名、会社員:4名、学生:1名
○教育関係者(過去含む) 5名

主な議論
○「これからの時代を『生きる力』を身につけるために、今、自分が小学生だったら、学校で一番学びたいこと」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-モチベーションをもって何かをやり抜く力。
-学校での勉強は「答えのある勉強」ばかり。色んな考え方(説)があるということが学べるとよい。
-創る力を学びたい。

○その後、「今、こどもたちを取り巻く環境には、『”格差”がある』と思うか否か、それは自分にとって身近で解決しなければならないと感じる課題か否か」について議論した。「“格差”がある」と思うか否かについては、
-「地域の違い」はあるが、それぞれの地域でそれぞれよいところがあり、格差というべきではないのではないか(※ここでいう地域は都会と地方等、大きな観点)。
-ミクロに見れば、学区によって、親の職業や地域の雰囲気が異なり、結果として格差が生まれている。
というふうに、どのような違いに注目するかで、それを「格差」と表現すべきかどうか変わってくるという認識を共有することが出来た。そのため、違いがあること自体が問題という訳ではなく(「なんでも教えてくれる・与えられることが当たり前だと思ってはいけない」)、コミュニケーション能力等の基礎的な力をみんなが身につけられることや何をしたいのか、子どもたちが考える機会を与えることが重要という考えが示された。

○最後に、グループ換えをした上で、「小中学校はどうあるべきか。そして自分たち一人一人は子ども達とどのように関わるべきか」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-小中学校は、やりたいことをみつける場であるべき。将来どんなことができるのかを見せたり、やりたいことがあった時に大人が伴走してくれたりする場であるとよい。
-小中学校は、もう少しマイノリティ経験が出来る場であるべき。大空小学校の映像を見たが、支援が必要な子どもに対しても、腫れ物のように扱うのではなく、叱ったりしてもよいということを先生が他の子どもに見せている点がよかった。
-子どもと関わる機会が少なく、どう関わっていくのがよいかという点は難しい。
-子どもだけではなく、地域単位の関わりに参加するとか、あるいは、甥っ子などに話をしてみるとか。斜めの関係の大人の言うことだと、単に親・教師に言われるより、子どもにきっかけを与えられる可能性もある。

ファシリテーターの感想
○教育をテーマに議論をしたが、ダイアログ形式で、議論をするメンバーの経験を踏まえて話すことで、どういった視点からどういう意見があるのか、否定し合わずに議論することができた。
○教育は身近で意見が言いやすいテーマで、クロスオーバー以外でも、議論を聞く機会は多い。他方、一旦社会に出ると、教育業界以外の人に「自分事」するのが難しいテーマと感じて、個人的にはこれまでは議論を避けてきたテーマだった。
○その点、今回のダイアログでは、参加していただいた方と、最後に「自分たち一人一人は子ども達とどのように関わるべきか」しっかり議論できたのが、大きな収穫だった。参加者のみなさま、ありがとうございました。

文責 Crossoverスタッフ
中江 遼太郎

チーム7 消しゴム

ファシリテーター  川合 淳一 (所属:Crossover、株式会社ブレンドシステムズ)
西村 公典 (所属:Crossover、にしむら治療院))

メンバー構成
(ダイアログその1、その2)
○職  業 公務員:1名、会社員:1名、自営業:3名、学生:2名、その他:2名
○教育関係者(過去含む) 4名

(ダイアログその3)
○職  業 公務員:2名、 会社員:2名、団体職員:1名、自営業:2名、学生:1名
○教育関係者(過去含む) 5名

主な議論
Q1: 今、あなたが小学生だったら、小学校で何を一番学びたいですか? ~「これからの時代を生きる力」を身につけるために~について対話した。これについて出された意見は以下のとおり。

・読み書き算盤と同様に、相手を尊重し協力できる力も必要
・シンガポールでは、海外に出て学ぶことで たくましく帰ってくる。そのような経験
・学ぶことが楽しいと思える体験で、学ぶ意欲

Q2: 今、こどもたちを取り巻く環境には、「〝格差”がある」と思いますか?それは、あなたにとって身近で、解決しなければならないと感じる課題ですか?について対話した。これについて出された意見は以下のとおり。

<ある、とした意見>
・貧困で自尊心が欠如している。学習指導を受けている人に自信がない。
・格差は必ず存在するが“環境格差”よりも“情報格差”が問題で解決が必要
・裕福な人が有利な状況は変わらない。親は選べない。是正が必要

<ない、とした意見>
・日本には絶対的貧困はない。男女の機会均等のような、是正すべきものではない
・社会には強い人から弱い人への順位付けがある。我が子には底辺にいてほしくない。
・昔は能力差でいじめはなかった。差はあって当たり前

<総論>
・若年時の格差が生涯の格差であってはならない。再チャレンジできなければならない。
・「格差」の定義、程度、範囲、といった切り口によって解消すべきか異なってくる
・学習意欲や基礎s学力で、チャレンジの土壤に乗れないのは解消しなければならない

Q3:こどもたち”みんな”が、おかれた環境にかかわらず「これからの時代を生きる力」を身につけるために、小中学校はどうあるべきでしょうか?について対話
した。これについて出された意見は以下のとおり。
・生きる力とは、他の人を尊敬して認めることだが、資本市場では生産性で判断されがち
・学校に通えない「不登校」の状態で通える場が県に一つくらいは必要
・職場や地域で学校を助ける、といった形は馴染まないのではないか

ファシリテーターの感想
多様なバックグランドを持ちながら、互いを尊重して率直に話せる場を目指していたが、参加者の良識のおかげで概ね達成できたと思う。
教育については正論を語りやすく、安易な結論に陥りやすいため、格差問題ではあえて自身の本音・本質を突き詰められるような時間を心がけた。どのような環境で育ち、教育を受けてきたか、今どのように関わっているか、といった個人の尊厳・自己承認に密接に関わるため、言葉は慎重に選び、相手の立場を考慮しなければならないと感じた。その姿勢で、参加者の価値観や生い立ちについて聞けたことがとても良かった。
学校教育がどうあるべきかについては、参加者に、過疎地の学校や障害者福祉、不登校といった多様な取り組みをしている人がいたため、良い意味で視野が広がり一概に言えない結果となった。これまでの議論で十分に自分ごととして捉えていただいたためか、 難しく考える場になってしまったので、 より感情的な部分を共有できれば、さらに良かった。
学校教育は大切な一方で、何度でも学び直して再チャレンジし、それが評価されるようになったら良いなと、強く感じた。自分でも何か取り組んでいきたいと思う。

文責 Crossoverスタッフ
川合 淳一

チーム8 バケツ

ファシリテーター 新関康平(所属:なし(流離人))

メンバー構成
(ダイアログその1、その2)
○職  業 会社社員:4名、小学校勤務:1名、団体職員:1名
○教育関係者(過去含む) 2名
(ダイアログその3)
○職 業 会社員:4名、学生:1名、団体職員:1名
○教育関係者(過去含む) 1名

主な議論
○「これからの時代を「生きる力」を身につけるために、今、あなたが小学生だったら、学校で一番学びたいことはなんですか?」をテーマに20分間の対話をした。出された意見は以下のとおり。
-「自分で必要な情報を探し、自ら取りに行く力」
-「コミュニティを学校以外に見つけ、あらゆる者と関わる力」
-「思考力」
-「英語等を用いたコミュニケーション力」
-「自発的に行動し社会を変える力」
-「他者と討論を通じて、意見を交わす力」
-「心理学的知見に基づいた他者理解力」
-「手に職を付ける」
-「物事を正確に記憶する力」
-「一つの物事に集中して取り組む力」
-「性に関する事項の知識の習得(恋愛学等)」
-「無人島で一人となったときでも行く抜くことができるサバイバル力」
-「戦時中、相手から攻撃を受けた際に防衛或いは相手を打ち負かせる力」
-「そもそも、起業して金を稼ぐ力を習得していれば、小学校は不要」

○「今、こどもたちを取り巻く環境には「“格差”がある」と思いますか?それは、あなたにとって身近で解決しなければならないと感じる課題ですか?」をテーマに50分間の対話をした。出された意見は以下のとおり。
(「“格差”はあり、それは身近で解決が必要な問題だ」とする意見)
- 小学校で勤務をしていると、親の所得が多くなればなるほど、学力が高い子供であることを痛感する。親の経済格差が学力格差を生んでいることは問題であり、いわゆる底辺層に対して、行動規範や知能の習得を社会全体でサポートすることが必要。ただし、それに対して、学校がどれほど介入できるかについては議論を要する。
- 小学校を対象にプログラミング教育の導入を支援する事業を行う身として、地域間の情報格差・先生の意識における格差を感じている。特に、地方の小学校の先生は、社会の動きに疎く、プログラミングの重要性を唱えても、全く理解されない。一方で、都市部の先生は勉強熱心である方が多く、将来を見据えて子供たちにどのような教育を提供すべきかを真剣に考えている。自分で仕事を創り出していかないと淘汰される時代を生きてゆく子供たちに新たな教育コンテンツを何とかして届けたい。
- 親の意識によって、大学に進学するか、高校までの進学で良いとするかが決定されている。身の回りで高卒で働いている人は、高卒であることを後悔している者が目立っており、再チャレンジできる機会を保障する必要があると感じている。
- 親の意識の格差や地域間格差の解消は困難であるが、教師によって子供たちに与える影響や提供する知識、知恵の質に格差があることについては是正することが必要。
- 能力、やる気はあるが、経済的理由で大学に進学できない人が増えている印象がある。日本の知の衰退を防ぐため、大学を無償化する方向に舵を切って良いのではないだろうか。
(上記以外の意見)
- 日本では、高校或いは大学卒業後に職業をどうするか、家庭をどのように築いていくかについて全く学校が教えない。それらの部分をどれだけ詳しく教えてもらえるかは親の意識や知見に左右されている。結果的に、子供の人生に対するモチベーションも親の意識や知見に左右されることになる。
- そもそも、公教育の目的が、各セクター(文科省、現場の教師、親等)によって、コンセンサスが取れていないため、誰が何をすればよいかについてのアイディアに齟齬が生じるのではないだろうか。
- 「格差」がある物事を変える必要は無く、一つの物差でしかを評価しない教育方針や学校に行く以外の人生の選択肢が少ないことを変える必要があると思う。
- 学校が何らかの思想を無理やり学生に植え付ける教育は即刻廃止すべきである。なぜその思想が社会で生きる際に必要なのかを論理的に説明できる先生がいない。

○「おかれた環境に関わらず、こどもたちみんなが、“これからの時代を生きる力”を身につけるために、小中学校はどうあるべきでしょうか?また、私たち一人一人は子供たちとどうかかわるべきでしょうか?」をテーマに40分間対話した。出された意見は以下のとおり。
(公教育の役割についての意見)
- 地方から東京に出てきて思うことは、東京で出逢う人の価値観等が均質化されていることである。大空小学校に関するドキュメンタリーを見て、とある友人が偏差値65以上だけの人々に囲まれて生活したいと言っていたことを思い出した。中学校まで色んな家庭環境の人に囲まれ、高校では俗にいう優秀な人に囲まれていた自分が仮に大空小学校の生徒だとしたら、とある目立つ者に対しても気遣う必要が生じてくるため、面倒な思いをしそうだと感じた。
- 人生で著しく偏差値が低い人と出会ったことがない私は、学力格差がある公教育が人生において必要かどうかの答えは出せない。確かに、自分と同じような偏差値の人は、自分と同様の価値観や視点をもっているため、コミュニケーションを取る際に、摩擦は少ないため、楽をしているとも捉えられる。
- これからの公教育の役割は、ドイツの教育制度のようにそれぞれの生徒に適切な進路選択ができるように先生があらゆる選択肢を示して、生徒の目指す方向に導いてあげることが重要だと思う。
- なるべく早いうちに海外での生活を経験させ、日本の常識に囚われずに広い視野で物事を考えさせることが重要となってくる。
- そもそも、ルールは何のためにあるのか、障害をもつ人とどのように接するのが望ましいか等、「そもそも」論を考えることを公教育で実施するべき。

ファシリテーターの感想
○ダイアログという形式で、各人が忌憚なく自分の主張したいことを主張できていたので、進行がスムーズに行えた。
〇各人が「公教育」に対してあるべき姿や確固たる意見を持っていたため、教育というテーマにおける切口の多様性を感じた。

文責 Crossoverスタッフ
新関 康平

 

 

 

みんなで考えよう! 日本の農業 ~何を守り、変えていくべきか~

みんなで考えよう! 日本の農業 ~何を守り、変えていくべきか~

官民協働ネットワークCrossover主催
異業種ディスカッション大会

 

 

みんなで考えよう! 日本の農業

~何を守り、変えていくべきか~

 

 

報告書

 

 

 

 

1.全体総括と参加者アンケートの結果


今回の企画は、「みんなで考えよう!日本の農業 〜何を守り、変えていくべきか〜 」というテーマで行いました。

今回のディスカッション大会がこのテーマに至った背景には、「農業はいったい誰のものなのか?」という問題意識がありました。
世の中の農業に関する議論の多くが「農業政策」や「農家保護」といった視点で行われており、農業に携わる一部の人たちだけで農業のことを議論していないか?「消費者」の視点が抜けて落ちているのではないか?そのような想いから、多くの方に農業を自分ごと化してもらい、そして「みんなで」日本の農業について議論することを目的に本ディスカッション大会を開催しました。

今回の「異業種ディスカッション大会」には、年末の忙しい時期にも関わらず、約70名の方々から申込みを頂き、当日、62名の方に実際に参加頂きました。参加者の職業は農業関係者のみならず、教員、国家公務員、地方公務員、会社員、会社経営者、政治家秘書など多様な分野からお集まりいただきました。

そして、今回の「異業種ディスカッション大会」は、この企画のリーダーであり、また、普段は農林水産省の職員であるCrossoverスタッフの二宮聖也(通称にの)のプレゼンテーションで幕を開けました。

冒頭のプレゼンテーションでは、ディスカッションを通じて得られる「気づき」のきっかけとなるよう、特に以下の2点について問題提起がされました。

① 農業は、消費者、農家、そして社会や地域のために存在する「みんなのもの」。だからこそ、農業がどうあるべきかについては、みんなで考える必要があること。
② 農業を考える視点には「合理性だけでは測れない多様な視点がある」こと。 産業としての合理化や競争化は当然必要であるが、農業について考えるということは、農業を取り巻く農村の暮らしや非農家を含む社会への影響、私たち日本人を作り上げた歴史・伝統・文化について考えること。

これらの点を、二宮が農林水産省で勤務し始めた頃の問題意識や、2年間の山形県の農村勤務、米国の留学経験を経た問題意識の変遷を通じて説明した上で、議論の前提となる日本の農業の現状について共有を行いました。

農林水産省入省直後の二宮は、農業に競争原理を導入することで、日本の農業を合理的で競争力の高い産業にしたいと考えていました。しかしながら、その後の農村での勤務を経て、農業には合理性では測れない多様な価値が存在することに気づきました。過度な効率重視の政策によって、日本の農家の約7割を占める兼業農家が市場から退出することになれば、それは農村の文化・伝統や暮らしの担い手を退出させることと同じであり、必ずしも地域の農業と農業を取り巻く農村が良くなるとは限らないという気づきを得たそうです。

また、海外留学を通じてアメリカやヨーロッパと日本の農業の違いを実感し、農業には各国の風土や歴史に根付いた発展の仕方があり、各国・各地域の違いをお互いが認識したうえで、各々の農業のあり方について考えなければならない、ということが説明されました。

そして、農業が営まれ続けることによって国土保全等の価値が社会に提供され、また日本人のアイデンティティの原点とも言える場を農村が提供しているとすれば、「農業」は農家だけのものでも、農業政策の観点のみから考えればよいものでもなく、私たち消費者を含めた「みんな」で考えなければならないものだ、という考えに至り、そしてその問題意識は、このディスカッション大会の開催へとつながっていきます。

この他、

・日本の農業を取り巻く現状と課題
・歴史的・地理的な違いに基づく日本と欧米諸国の農業形態及び農業保護政策の違い
・JA改革やTPPなどの農業に関するホットトピックについての簡単な解説等を紹介した上で、参加者同士のディスカッションへと移っていきました。

第一セッションでは、「日本の米農業の何を守り、何を変えていくべきか」をテーマに参加者同士で議論を行いました。まず、このディスカッション大会のテーマである「みんなで考えよう!日本の農業」の「みんな」とは具体的に誰なのか、参加者同士で洗い出しの作業を行いました。その上で、それぞれの主体にとって望ましい米農業のあり方を話し合い、そのために何を変え、何を守るべきかについて議論を行いました。

第二セッションでは、「国産の食材に拘るか?食料自給率の低下は問題か?」をテーマに議論を行いました。今回、参加申し込みに当たって、「国産の食材に拘るか否か」、「食料自給率の低下は問題と思うか否か」のアンケートに回答いただいていました。それぞれの問について、参加者同士で立場と理由を最初に共有していただいた上で、

・参加者同士で立場に違いがあった場合は、その違いは何故生まれたのか、どのようにして埋めるべきなのか
・二つの問に対する答えの間にギャップがあった場合(例:国産にはこだわる一方で食糧自給率の低下は問題と思わない)、そのギャップは何故生まれたのか、どのようにして埋めるべきなのか

について参加者同士で議論を行いました。

なお、各グループの議論の詳細はファシリテーターがまとめたサマリーをご参照ください。

また、参加された皆さんにご記入頂いたアンケートについては、こちらに取りまとめましておりますので、併せてご覧下さい。

 

アンケート結果

 

グループディスカッションに続くSSM(Super Speed Meeting)では、参加者全員に席を立っていただき、まだ話したことが無い人とペアになって、「今日一番の気づきと学び」を5分間で共有しました。多くの参加者が、農業に従事した経験や強い関心が無かったにもかかわらず、参加者の間で沢山の気づきが共有され、会場は大盛り上がりでした。

ここまでの締めくくりに、「議論やSSMを通じて得た最大の気付き、学び、出会い」について静かに自問し、それぞれの答えを名札の裏側に書き込みました。

会の冒頭で名札の上半分に書き刻んだ「目的意識」と、会の終わりに下半分に記した「成果」は、参加者一人ひとりの日常を変える、小さくとも確かなヒントとして、参加者の皆様に持ち帰って頂きました。

約50名が参加した懇親会では、群馬県の採れたての野菜を巡るじゃんけん大会が開催されたり、お寿司やおにぎり、各地方厳選の酒や農林水産物を皆で味わったりするなど、農業をテーマにしたディスカッション大会にふさわしい懇親会となりました。

懇親会終了後も、会場を近隣の居酒屋に移して懇親は続き、約10時間にわたる「異業種ディスカッション大会」をともに盛り上げてくださった参加者の皆様に、心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました!

文責 : 平野
Crossoverスタッフ

 

2.ディスカッション報告


チーム1 インゲン

ファシリテーター
池田洋一郎(所属:Crossoverスタッフ、財務省職員)

【第一セッション:日本の米農業の何を守り、何を変えていくべきか】

メンバー構成
○職 業 国家公務員:2名、会社員:3名、税理士:1名、農業従事者:1名
○年齢層 20代:2名、30代:3名、40代:2名

議論の概要
○ 最初に、日本の米農業を取り巻くステークホルダーをチームメンバーそれぞれの立場も踏まえて列挙。次にチームを3つのグループに分け、上記ステークホルダーそれぞれが何を求め、何を求めていないかを議論。出されたアイディアは以下の通り。

 

ステークホルダー 求めていること
兼業農家(大半が零細農家) 農地の継承、所得の安定的な増加、激変のない外部環境、住民
参加型の農業(CSA)の普及
農業に従事者以外の農村住民 住民参加型の農業(CSA)への参加
農家の所得向上による地域経済の活性化
意識の高い消費者(自らの健康や米作のあり方に問題意識を持つ) 健康で文化的な生活を維持するに十分な質と量の米供給
意識の低い消費者(外食が中心で米作についても特に意見を持たない) 米の供給量、品質、価格の面で、安心して無関心を続けることのできる状況
メディア(大手新聞社等) 読者の関心を引く「対立」や「新たな動き」
選挙区に農業従事者を抱える政治家 継続的な当選とこれを可能にする得票
農機具メーカー 利益確保と顧客満足(米作だけに頼らない商品の多角化、利用者ニーズに応える商品開発(自動運転化、化石燃料に頼らない機器の開発等))
地域農協 安定的な販路の確保、農家の所得向上
生産性向上等を支援するシステムを開発するエンジニア 農業の全自動化、無人化の実現
(歴史・文化を共有する運命共同体の一員としての)国民 日本人としての「舌」と「心」とを満足させる日本米の安全且つ安定的な供給

 

○ 上記を踏まえて、ステークホルダーがwin-winとなるために、米農業の何を守り、何を変えていくべきかを議論。メンバーから出された主な意見は以下の通り。
-多くのステークホルダーが「安定(現状維持)」を求めている。米をはじめ農業は新しいことを試し失敗すれば、その年の所得が丸ごと失われるというリスクと背中合わせであることから、本質的に保守的な姿勢となるのは無理がない。

-地域農協の組合員は農業従事者であるため、農協と農家の利害が相反することはないのではないか。
-「意識の低い消費者」は、現状に満足しているからこそ無関心なのであり、仮に価格等の安定供給が崩れれば、「意識の高い消費者」へと変化する可能性がある。
-「意識の高い消費者」は、公共心・利他心から米農業のありように問題意識を持っている訳では必ずしもなく、健康的な食生活を維持したいと願い行動しているに過ぎないのではないか。その意味でも「意識の低い消費者」と「意識の高い消費者」とを隔てる壁は薄いのではないか。
-米農家の零細化や高齢化を踏まえると「安定(現状維持)」が困難となる可能性。この問題を解決する上で、技術革新による生産性向上や物流網の効率化に貢献できるシステムエンジニア、起業家等の新しいステークホルダーの巻き込みが重要。
-マスメディアだけで無く、規模は小さくとも現場の新たな動きをキャッチし発信出来るalternative mediaの果たす役割も重要。

【第二セッション:国産の食材に拘るか?食料自給率の低下は問題か?】

メンバー構成
○職 業 国家公務員:1名、地方公務員:2名、会社員:1名、学生:2名、農業従事者:1名
○年齢層 20代:2名、30代:3名、40代:2名

議論の概要
○ 冒頭「一消費者として、日常的な買い物や外食の場で国産の食料品に拘るか否か」を理由と併せて一人ひとりがグループ全体と共有。主な意見は以下の通り。

(拘る理由)
-国産品のほうが作物の出自が明らかであり安心感がある。
-同じ食材であれば遠く外国から輸入されたものよりも近場の国内で生産されたものを消費したほうが、輸送時に発生するCO2削減や化石燃料消費の節約にも繋がる。
-消費者が国産に拘らなければ、農作物の国内生産を動機付けることはできず、結果として安定的な食糧供給が損なわれる惧れがある。

(拘らない理由)
-拘っても知識が無いので安全や品質について確認できない。
-日々の消費行動でそこまで拘る時間的・精神的余裕が無い。
-国産に拘っていては、豊富な食材を楽しむことが出来ない。
-輸入品であっても検疫等を通過しているため国産品と比して安全性に劣るとみなす必要はない。
○ 興味深い事に「国産に拘らない」と回答したメンバーの多くは「車であれば国産に拘る」と回答。理由は、安全・価格・性能面での日本車の競争力が高く選択肢も幅広いこと、食材と比べて日々購入するものではないことから、じっくりと性能等を見極める時間を確保できる等の理由が挙げられた。
○ 続いて「食料自給率の低下は問題か」をグループ全体で議論。主な意見は以下の通り。

(問題であるとする意見)
-既に主要国と比較して低い水準にあることから、これ以上の低下は問題。
-戦争や自然災害等により突然海外からの供給が途絶えるリスクに備えるべき。
-「日本国民の胃袋は日本の農家が満たす」との農家の矜持に応えるべき。
-農地や農業技術は一度劣化・喪失すると簡単に取り戻すことはできないから、これ以上の自給率低下は問題。
-農地は食糧供給以外にも、防災や景観保持等、多面的な機能を担っている。農業と農村を一体として考えるべき。

(問題ではないとする意見)
-戦争等で食糧供給が途絶える時にはエネルギーの輸入も止まっているはず。こうした事態は無論問題だが、食料の自前調達で対処すべき話ではなく、他国からの安定供給が持続する国際政治・経済環境をつくることにリソースを注ぐべき。
-日本の天災発生のリスクは世界でも相当高いことから、国内生産に拘れば、むしろ安定供給を損なう可能性すらある。調達先の多様化が重要。
-食料自給率低下への警鐘は、既存の農業や農政を変えないことの言い訳に使われている印象。これにより日本の農業がジリ貧の一途を辿るほうがむしろ問題。
○ 以上を踏まえ、これからの日本の農業のあるべき姿について、各メンバーがセッション1のグループで特に印象に残った意見を紹介しながら議論。

ファシリテーターの感想
○農業に関する経験値、問題意識、及び考え方も様々なメンバーでの議論であったが、「現状では立ち行かなくなるので何かを変えなければならない」と考えている一方「安定的供給を損なう訳にはいかない」という点においては一致しているよう見えた。「変化」と「安定」のジレンマの中での新しいバランスを見つけ出すうえで、システムエンジニアや起業家等の新しいステークホルダーに光が当たったことも興味深かった。
○田舎の農家では、農協職員が高齢の農家に代わって預金通帳を預かりお金の引き下ろしまで担っているということ、農機具については、「他も買っているから私も」という動機で購入されている例も多いといった現場ならではのストーリーを聞くことが出来たことも印象的であった。

文責 Crossoverスタッフ
池田洋一郎

 


チーム2  ニンジン・カカロット

ファシリテーター
斎川貴代(所属:Crossoverスタッフ、IT企業勤務)

【第一セッション:日本の米農業の何を守り、何を変えていくべきか】

メンバー構成
○職 業 地方公務員:1名、会社員:4名、自営業:1名、学生:2名
○年齢層 20代:4名、30代:4名

主な議論
○はじめに、日本の米農業を取り巻くステークホルダーを挙げ、次にそのステークホルダーにとって望ましい米農業は何かのアイディアを出し、議論を進めた。出てきたアイデアは以下の通り。

 

ステークホルダー 求めていること
行政機関(農水省、外務省、地方自治体等) 食料自給率をあげること。農業従事者が多いこと。
銀行、VC(ベンチャーキャピタル) 農業の発展
農家 後継者がいて農業が続けられること。安定したルールがある。生産者の生活を守ること(安定した収入があること等)。参入障壁を 高くすること。農業の効率を上げること。災害時の補償
農機具業者 質の高い製品、農機具が売れること。農業が発展すること。
農地保有者 農業の継続
土、種苗業者、肥料、農薬メーカー 高く売れる、低コストで生産、販売ルート
JA 販路
加工業者 信頼できる生産者、品質がよく価格の安いものを仕入れること、用途にあった品種、農作 物の安定供給
流通業者(飲食店、コンビニ等) 安定した販路
消費者 安心安全、安さ、美味しさ。いつでも食べれる。
地域住民 農業を通じて豊かな生活(精神的な、風景含め)、農業がきっかけで地域が元気になる。

 

-また各ステークホルダー全てにおいて「生活を守ること」(農家であれば安定した農業収入、消費者であれば生活できる価格で安全な食料が入手できる)は共通している。
-余計なルールがあるとそれぞれのステークホルダーで困ってしまうので、安定した
国のルールがあると良い。
-農業の効率が上がれば、農家の収入向上、効率により農業生産物の価格は低下し
消費者が購入しやすくなる。
-消費者が求めているもの(品質、味、価格)を可視化することで、農家、消費者双方で合理的なマッチングを行うことができる。

【第一セッション:国産の食材に拘るか?食料自給率の低下は問題か?】

メンバー構成
○職 業 地方公務員:1名、会社員:5名、学生:1名
○年齢層 20代:1名、30代:5名、50代:1名

議論の概要
○「消費者として、国産の食料品にこだわるか否か」について、一人ひとりがグループ全体に理由を添えて共有。主な意見は以下の通り。

(こだわる理由)
-国産なら雇用も日本で創出され、国産を買えば税金も日本のもの。
-生産地が近いので鮮度が良く、結果美味しい。
-添加物や農薬が外国製は心配だから。(衛生や倫理観等日本人の方が信用できる)
-日本の文化も含め維持していくため。

(こだらない理由)
-産地にはこだわるが、国産にはこだわらない。なぜなら作物にはそれぞれの土地に適したものがあるので日本以外で作った方が美味しいならそれで良い。
-安全面で言っても、国外の方が安全基準が高い。(外国では許可されない添加物を日本は使用しているケースも実際ある)
-高すぎると購入できない。
-存在しないものは買えなくなるから(バナナ等日本では育ちにくい果物等もありそれにこだわっていては食べられなくなる。)
-国産、外国産に限らず、良質なものであればOK。(皮をむいて食べれる等をすると回避できるのでは)

○ 議論を進めるにつれて、「一番の問題は、良質であるという基準が確固たるものがないことではないか」という結論に行き着いた。良質であるということがわかれば、外国産でも安心なものもあるし、国産であっても、利益のために添加物をたくさん使っている食品業者があればそれを回避できたりする。「国産」というより「品質」という意見に一同納得。

○続いて「食料自給率の低下は問題か」をグループ全体で議論。主な意見は以下の通り。

(問題であるとする意見)
-有事の際に国内で十分な食料を確保しておくべきである。
-国産のものが減るのは海外の生産力に依存することになるので危険である。
-もし大地震で港が全部潰れたら、輸入も止まってしまう。
-何かあった時に交渉の材料にされてしまう。
-「農業」は地方を支える産業の1つであり、その核となる食文化を支える必要があるため。

(問題ではないとする意見)
-その作物(植物)が育ちやすい環境、気候の国で育て、需要のある場所・国に売るのが一番良い。
-日本の外交がうまくいっている間は輸入すればよい。
-輸入のルートを作っておけば、日本で作物が育たない場合(気候変動や放射能等)のリスクヘッジにもなる。米不足の時に最初に輸入スキルが低かったため、タイ人も食べないような低品質のタイ米が輸入されたことがある。それから月日を経て、良い米が入手できるようになった。いきなりルートは作れないものである。
-食料自給率は基準が不明確なので FACTとして捉えられない。

(その他)
-そもそも石油等のエネルギーがなければ農産物生産は難しいので、農産物の生産地が国内か、国外かで議論した方が良いと思う。

○以上を踏まえ、これからの日本の農業のあるべき姿について、各メンバーがセッション1のグループで印象に残った意見とともに議論。「品質に関する基準が明確にあると良い」というのは改めて提示された。

ファシリテーターの感想
○当初「国産派」だった人が「盲目的に国産を選ぶのはちょっと安直」と考え直す人もいたことが印象的。確かに野菜に農家の人の写真がついていればそれだけで安心しているが、実際にその人が基準を守っているかどうかは直接見たわけではないのでわからないといえばわからない、ので安易に「国産だから疑わずに選ぶ」というより「品質で選びたい」というのも納得。

○また同様に当初「国産絶対」と語っていた人が「バナナは国産ですか?」と質問された時に一同言葉が出なかった状況があり、目からウロコでした。(国産派と言っても、 食べたいものであれば外国産を選んでいたりするもの)

○流通に携わる方もいたため、「実際に品質を担保する指標が明確にない」実情の共有や、国内で製造している納豆は輸入が大半。その大豆が輸入時に大量の農薬がかけられていたという情報等、それぞれの参加者の実体験に基づく内容の濃いものとなり、多様な視点で物事を見ることの大切さ、Crossoverの原点を改めて考えさせられるイベントとなりました。

【第二セッション:国産の食材に拘るか?食料自給率の低下は問題か?】

メンバー構成
○職 業 国家公務員:1名、地方公務員:2名、会社員:1名、学生:2名、農業従事者:1名
○年齢層 20代:2名、30代:3名、40代:2名

議論の概要
○ 冒頭「一消費者として、日常的な買い物や外食の場で国産の食料品に拘るか否か」を理由と併せて一人ひとりがグループ全体と共有。主な意見は以下の通り。

(拘る理由)
-国産品のほうが作物の出自が明らかであり安心感がある。
-同じ食材であれば遠く外国から輸入されたものよりも近場の国内で生産されたものを消費したほうが、輸送時に発生するCO2削減や化石燃料消費の節約にも繋がる。
-消費者が国産に拘らなければ、農作物の国内生産を動機付けることはできず、結果として安定的な食糧供給が損なわれる惧れがある。

(拘らない理由)
-拘っても知識が無いので安全や品質について確認できない。
-日々の消費行動でそこまで拘る時間的・精神的余裕が無い。
-国産に拘っていては、豊富な食材を楽しむことが出来ない。
-輸入品であっても検疫等を通過しているため国産品と比して安全性に劣るとみなす必要はない。
○ 興味深い事に「国産に拘らない」と回答したメンバーの多くは「車であれば国産に拘る」と回答。理由は、安全・価格・性能面での日本車の競争力が高く選択肢も幅広いこと、食材と比べて日々購入するものではないことから、じっくりと性能等を見極める時間を確保できる等の理由が挙げられた。
○ 続いて「食料自給率の低下は問題か」をグループ全体で議論。主な意見は以下の通り。

(問題であるとする意見)
-既に主要国と比較して低い水準にあることから、これ以上の低下は問題。
-戦争や自然災害等により突然海外からの供給が途絶えるリスクに備えるべき。
-「日本国民の胃袋は日本の農家が満たす」との農家の矜持に応えるべき。
-農地や農業技術は一度劣化・喪失すると簡単に取り戻すことはできないから、これ以上の自給率低下は問題。
-農地は食糧供給以外にも、防災や景観保持等、多面的な機能を担っている。農業と農村を一体として考えるべき。

(問題ではないとする意見)
-戦争等で食糧供給が途絶える時にはエネルギーの輸入も止まっているはず。こうした事態は無論問題だが、食料の自前調達で対処すべき話ではなく、他国からの安定供給が持続する国際政治・経済環境をつくることにリソースを注ぐべき。
-日本の天災発生のリスクは世界でも相当高いことから、国内生産に拘れば、むしろ安定供給を損なう可能性すらある。調達先の多様化が重要。
-食料自給率低下への警鐘は、既存の農業や農政を変えないことの言い訳に使われている印象。これにより日本の農業がジリ貧の一途を辿るほうがむしろ問題。
○以上を踏まえ、これからの日本の農業のあるべき姿について、各メンバーがセッション1のグループで特に印象に残った意見を紹介しながら議論。

ファシリテーターの感想
○農業に関する経験値、問題意識、及び考え方も様々なメンバーでの議論であったが、「現状では立ち行かなくなるので何かを変えなければならない」と考えている一方「安定的供給を損なう訳にはいかない」という点においては一致しているよう見えた。「変化」と「安定」のジレンマの中での新しいバランスを見つけ出すうえで、システムエンジニアや起業家等の新しいステークホルダーに光が当たったことも興味深かった。
○田舎の農家では、農協職員が高齢の農家に代わって預金通帳を預かりお金の引き下ろしまで担っているということ、農機具については、「他も買っているから私も」という動機で購入されている例も多いといった現場ならではのストーリーを聞くことが出来たことも印象的であった。

文責 Crossoverスタッフ
斎川貴代

 


チーム3 サクランボ

ファシリテーター
斉藤あおい(所属:Crossoverスタッフ、民間金融関係)

【第一セッション:日本の米農業の何を守り、何を変えていくべきか】

メンバー構成
○職 業 農業事業者1名、地方公務員2名、民間会社員3名、大学生1名

議論の概要
(1)農業にかかわる関係者をリストアップ
①農業従事者、
②消費者
③農業関係で仕事をしている人
金融:農協
支える:流通業者、農機具、農薬、肥料、種
売る:加工メーカー、市場、小売、スーパーチェーン、飲食店、通販業者
④日本の役所
⑤政治家
⑥新規参入希望者
⑦海外の消費者
海外の農業関係者

(2)各ステークホルダーの見解を上げていく
①農業従事者
・美味しいものを作りたい
・一生懸命作っても高く売れないので経営が大変
・後継者がいない
・農業をすることで土地を守りたい
・補助金や助成金が使いにくい
・農協の組織への不満
・消費者が見えない
②消費者
・安全でおいしいものを安く買いたい
・農業の情報を知りたい
・いいものとわかっても高いと買えない
・産地から遠く作り手の顔が見えない
③農業の関連業者
・農業がなくなると自分たちの仕事がなくなるので困る
・農業の制度が変わると影響があるので現状を変えられたくない
④役所
・改革が必要とわかっても人手や人材の問題で難しい
・現場では法律や権限でできることに限りがある
・大枠を考えないといけないので末端の要望がわからないし、個別対応はできない
⑤政治家
・農業関係者は選挙の支援者なので意に反することはできない
⑥新規就農希望者
・やる気のある人が参入しにくい(農村の体質、業界体質が旧い)
・支援制度が薄い(行政に支援してほしい)
・経営として考えた時に厳しい
⑦海外の消費者
・日本の安全で高品質な農産物を食べたい
・自国の農産物を圧迫されたくないが安いのは歓迎
⑧海外の農業関係者
・日本の農産物に負けたくない
・流通を整えて日本の農産物でニーズのある人に商いをしたい

(3)各ステークホルダーの意見を共有したうえで、「守るもの、変えるもの」につきディスカッション
・コメは味が大事。1番は味、2番はコストなので、美味しくて安いなら国産でなくていい
・各ステークホルダーの共通認識:農業が衰退すると困る、安全性を確保してほしい
・農業は日本の文化であり、環境保護にもつながる
・海外の消費者も安全で経済的な日本の農産物を歓迎
・ライバルとなる海外の農業関係者:日本農産物に負けたくない、日本に売り込みたいので衰退しても構わない

(4)ディスカッションの転換点
・農業保護の方向へ情緒的に一致した流れになったところ、途中から参加した一般消費者から「311以降、食料の安全性がクローズアップされたので自分は日本にこだわらない」という意見が出た。まさに価値感がクロスオーバーした瞬間で、そこから出た意見は以下の通り
・安全性の確保されない食べ物しかなくなったら日本に住めない
・住まなくてもいいのかもしれない
・安全性の定義とは?
・海外の農産物の安全性はどう考える?
・コストと安全性のバランスをとるためにできることはあるのか

【第二セッション:国産の食材に拘るか?食料自給率の低下は問題か?】

メンバー構成
○職 業 地方公務員1名、民間会社員3名(将来継ぎたい人含む)、農業関係者1名、大学生1名

議論の概要
① あなたは国産にこだわるか
・大学生:こだわらない。国産は高いから。食自体に重きを置いていない。・地方公務員:こだわるように意識しているが外食は無理
・民間会社員(男性):気になるが値段含め難しい。なるべくという感じ
・民間会社員(女性20代):こだわりたいが値段が厳しい。安ければいいのにと思う
・民間会社員(女性40代):農家のつてで野菜をもらえるし品質と味で農産物は国産にこだわるが、畜産物は高くて手が出ないので海外産を買っている
・農業従事者:自分のところでとれるものはいいが、加工品や外食は気にできない
② 食料自給率の低下は問題と思うか
・民間会社員(男性):問題だと思うが、イメージがわかない。じゃあコメを食べればいいのかというと食生活は文化なので自給率のために変えられない気がする。
・民間会社員(女性):すでに日本の食文化は海外からの食材なしには成立しなくなっている。国産小麦のパンやうどんでは、消費者の求める品質は維持できない(グルテンが弱いため)
・農業従事者:地方で農業をやっていると自給率低下で戦争や困るのは都会人だけなので関係ないと思っている
・民間会社員(女性):問題かと言われたらそうだといわされる感じがするので、質問が乱暴な気がする、マスコミや政府報道の裏の意図を考えてしまう
・大学生:祖父母も戦争世代ではないのでピンと来ないが、理屈で考えると外交政策として大きな問題と考える。自給率が高いほうが交渉時に有利
・民間会社員(男性):実際問題、海外の諸国と友好関係を築く方が自給率上昇より重要ではないかと考えている、いつまで円が強いかはわからないというリスクはあるが
③ 両者のギャップを乗り越えるためにどのように私たちは変わっていけばいいのか、何を守り、変えていけばいいか
・民間会社員(男女とも):消費者の目線では個人の生活と国の政策がまったくつながっているように感じられない。遠い国の話のようである。ギャップがあるとも思えないほどに実感がない
・農業従事者:産業としての農業は壊滅的であると感じているが、国に対して期待はしていない。実際に自分の兼業であるがいざというときに農業は自分の守るべき陣地と思っている。都会の人や消費者は見えないのであまり考えたことがない。兼業でも農業をやめないことしかできない。手ごたえや明るい展望はあまり見ていない。
・大学生:農業に関して勉強中なのでまず知ることが大切ではないかと思ってここに参加した
・地方公務員:ギャップを埋めたくてもやりたかがわからずもどかしく、板挟みになっているのでここにきてなにかを得たいと考えていた。具体的には全くわからない。行政の人間として自分は何もできない、できていないという悔しさやむなしさがある。葛藤している。

ファシリテーターの感想
ディスカッションの中で日本の農業で残すべきもの、としては「安全性」だけがゆるぎないテーマとなった。
国産の米に関しては、20代は経済的な問題が最優先で味については食べられればという意見で安全性は大丈夫だろうという感覚、30代後半以降は経済問題よりも健康への意識が高まり安全性が大事という傾向がみられ、世代間の経済的な格差と優先順位の違いがみられた。
農業従事者や農業の専門家がいなかったこともあり、議論の方向性がまとまらなかった。
さまざまな意見をぶつけたいと思っても、ファシリ含めた参加者に農業の基礎知識やビジョンのない状態では「なんとなくのイメージ」でしか話せなかった。
参加者の属性として「農業になんとなく興味があるので詳しい人に教わりたい、知識を得たい」という人が多く、農業を抗したい、いまの農業が問題だという意識を持っていたのは地方公務員や将来農業を継ぎたいという意識の会社員だけだった。
まさに一般消費者の目線ともいえるので、この感覚を生産者サイドや改革派に共有できると問題解決に役立つかもしれないと感じた

第2テーマは非常に難しく、参加者に閉塞感といら立ちが見えました。「行くべき方向を見せてくれ」という渇望が渦巻き、自分たちが当事者として問題点をあぶり出し、ビジョンを描くことなどできない、という無力感が、ファシリ、参加者ともにあり、ディスカッションの継続があやうかった。
ファシリとして感じたのは、専門外でうまく場を回せないというあせりです。ここ数年、自分の専門分野であればどんな球が来ても打ち返せていたので、久々に挫折感を味わった。
参加者にも素人なので意見など聞かれても困る、だから勉強に来たんだという戸惑いがあった。
農業に関して自分の思いを熱く語る人やビジョンを描ける人、実例をたくさん持っている人が欲しかったが、いたら意識がそちらへ流れてしまうので、自分がなにもいえない、わからないことが一番の問題として認識できなかった。
もっと勉強しなければいけない、自分は何もわかってない、という危機感が参加者とファシリに共通した感覚だった。
現場を見たい、詳しい人に会いにいって話をききたいと感じた。

今回の参加してディスカッションを経た後の感想「自分はなにもわからないからフィールドワークへ行ってみたい」
参加者及びスタッフに、農業フィールドトリップの企画参加へつながる素地はできた、と思う。

文責 Crossoverスタッフ
斉藤あおい

 


チーム5 ゴボウ

ファシリテーター
新関 康平(所属:Crossoverスタッフ、金融機関)

【第一セッション:日本の米農業の何を守り、何を変えていくべきか】

メンバー構成
○職 業 国家公務員:2名、会社員:3名、NPO(農業精通者):1名

議論の概要
○ 最初に、日本の米農業を取り巻くステークホルダーを列挙。次にステークホルダーそれぞれが何を求めているかを議論。出されたアイディアは以下の通り。

 

ステークホルダー  求めていること
消費者 安心、安全、美味しさ、安価
農業関連企業 利益、低コスト、国際競争力、土地や文化を守る。
加工流通企業 利益、低コスト、国際競争力
国家 食糧安全保障

 

○ 上記を踏まえて、ステークホルダーがwin-winとなるために、米農業の何を守り、何を変えていくべきかを議論。メンバーから出された主な意見は以下の通り。
-家庭菜園や農業体験等を通じて、消費者と生産者の距離を縮め、お互いの立場を理解し合う必要がある。
-加工流通業者が、農業従事者に対して、過剰な品質を要求することを止める事で、農業従事者の負担を減らすことができる。同時に、食品廃棄を減らすことを意識し、過剰な供給量を齎さないようにしなければならない。
-消費者は、食に対するリテラシーの向上が必要である。
-農業従事者は、安心安全な食を消費者に提供するという意識付けが求められる。

【第二セッション:国産の食材に拘るか?食料自給率の低下は問題か?】

メンバー構成
○職 業 国家公務員:2名、会社員:3名、その他: 1名

議論の概要
○冒頭「一消費者として、日常的な買い物や外食の場で国産の食料品に拘るか否か」を理由と併せて一人ひとりがグループ全体と共有。主な意見は以下の通り。

(拘る理由)
-国内の経済を潤すため。
-安心安全な気がするため。輸入物についての知識が無いため、怖い印象。
-日本人農家を応援したいため。

(拘らない理由)
-安価で高品質であれば、国産に拘る必要は無い。
-国産の安全性の基準が過剰であるため、わざわざ国産である必要は無い。
-輸入品であっても検疫等を通過しているため国産品と比して安全性に劣るとみなす必要はない。
○続いて「食料自給率の低下は問題か」をグループ全体で議論。主な意見は以下の通り。

(問題であるとする意見)
-ビジネスチャンスを活かしていないため。
-有事の際に、食糧が足りなくなる惧れがあるため。
-農地や農業技術は一度劣化・喪失すると簡単に取り戻すことはできないから、これ以上の自給率低下は問題。

(問題ではないとする意見)
-エネルギー共有のように、一国だけで食料を調達するのではなく、あらゆる国から輸入することで、食糧難のリスクを分散させた方が良いと思われる。
-安定供給されていれば、国産であろうが外国産であろうが特に問題はない。食料自給力が低いことは問題である。
○以上を踏まえ、これからの日本の農業のあるべき姿について、各メンバーがセッション1のグループで特に印象に残った意見を紹介しながら議論。

ファシリテーターの感想
○セッション1では、各ステークホルダー間で認識の共有がなされていないことに参加者が気付いたため、ステークホルダー間のギャップを埋めるという目標を達成したと思われる。
○セッション2では、一見すると、矛盾する自身の価値観を発見できたことで、個人として、国家として農業はどうあるべきかを考えることができたため、参加者の満足度が高かったようであった。
〇本当は考えなければならないのに、全く考える機会が無かったテーマでしたとの感想を抱いていた参加者が多かったので、きっかけ提供という視点からは有意義なイベントであったと思う。

文責 Crossoverスタッフ
新関康平

 


チーム6 レンコン

ファシリテーター
服部真子(ちょり) (所属:Crossoverスタッフ、NHK World)

【第一セッション:日本の米農業の何を守り、何を変えていくべきか】

メンバー構成
○職 業 国家公務員:2名、会社員:5名、農業従事者:1名
○年齢層 20代:1名、30代:5名、40代:1名、60代以上:1名

議論の概要
○最初に、日本の米農業を取り巻くステークホルダーをチームメンバーそれぞれの立場も踏まえて列挙しました。

大まかに書き出しましたが写真の実物の通り大小様々な関係者がいることが洗い出されました。

 

参加者の「農業」との関わりは様々なので、ステークホルダーをあげる目線も多様でした。
次に農業に関わるそれぞれの人がどのような要望を抱えているかを話していきました。
議論が噛み合うということを度外視し、関係者それぞれがどんなことを考えているのかということを挙げいきました。ここでは主に対立した欲求を紹介します。

<農家の要望>VS<政治家や日本国民>
自分の子どもに継がせたい=よそ者には渡したくない農家と、日本の米産業を守りたい政治家?日本国民?
自分の土地は、知らない人にはあげたくない、と思う農家、都市部の若者や外国人にも担い手になってもらい農業人口を増やしていきたいという大きな民意(?)
○そもそも①農業人口が減る事は問題なのか、②日本の農業を守らなければいけないのか、③政治家は農家の味方ではないのか?などの疑問は置き去りで、様々なレベルでの視点の違いがでてきて、この対立ひとつとっても議論をかみ合わせることがとても難しかったです。

【第二セッション:国産の食材に拘るか?食料自給率の低下は問題か?】

メンバー構成
○職 業 国家公務員:2名、会社員:4名、農業従事者:1名
○年齢層 20代:1名、30代:4名、40代:1名、50代:1名

議論の概要
○ まず「一消費者として、日常的な買い物や外食の場で国産の食料品に拘るか否か」を理由と併せて一人ひとりがグループ全体と共有しました。主な意見は以下の通り。

(拘る理由)
-品質に安心感が持てるから。農薬の使用量や、加工過程での透明度が高い
-鮮度がいい。外国産で鮮度がよさそうに見えるものは怖い。

(拘らない理由)
-拘っても知識が無いので安全や品質について確認できない。
-日々の消費行動でそこまで拘る時間的・精神的余裕が無い。
○ 消費者にとって分かりやすく流通経路が透明化され、消費者に選択される農業になっていけばよいという結論へ。
○ 続いて「食料自給率の低下は問題か」をグループ全体で議論。
→漠然と問題である気がするが、なぜそれが問題なのか煮詰まらず。上記の結論と同様、農業の透明化がもっと必要という声が多かった。また、消費者がもっと農業に興味を持つことが必要という議論に集約しました。

ファシリテーターの感想
○国民がより農業に興味を持つようするには、という話題の時にフランスやイタリアでは「味覚の教育」が小学校などでされるという例があげられ興味深かったです。
○食に関する感覚は家庭環境に大きく左右されると感じているので、母親・父親・コミュニティー・学校などを巻き込んでの食育を行うことができればよいのではないかと感じた。

文責 Crossoverスタッフ
服部 真子(ちょり)

 


チーム7 バナナ

ファシリテーター
平野 慧(所属:厚生労働省)、川合淳一(所属:自営業)

【第一セッション:日本の米農業の何を守り、何を変えていくべきか】

メンバー構成
○職 業 会社員:2名、自営業:2名、財団法人:1名、国家公務員:1名、その他:1名
○年齢層 20代:1名、30代:2名、40代:2名、50代以上:2名

主な議論
○前半のディスカッションでは、
・「農業」は誰のものなのか、
・それぞれにとって望ましい農業のあり方はどのような姿か、
・何を変え、何を守るべきか、
について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。

-農業に関わる主体については、消費者、生産者といった代表的なものに加えて、そのサブカテゴリーとして、消費者については子ども、学校、病院などが、生産者については都市部の生産者、地方の生産者、専業農家、兼業農家、農業研究者などが挙げられた。
-それぞれにとって望ましい農業については、まず消費者にとっては、安心・安全であること、安定供給がなされること、品質(栄養価など)が高いこと、美味しいこと、そして安いことが挙げられた。その一方で、生産者にとっては、地方の生産者にとっては親族や身内の中で世代交代が出来ること、潜在的な農家にとっては土地の賃貸や法人参入の柔軟化などにより容易に参入可能であることが挙げられた。
-最後に何を変え、何を守るべきかについて議論した。まず消費者については、短期的な視点のみに基づいて農産物について消費行動をする場合、どうしても価格だけに着目して意思決定をしてしまう。そうではなく、農村・国土の保全や長期的な健康面に対する影響、食糧自給率の維持など、価格以外の要素も意思決定時の考慮要素に加えていくべき、という意見になった。
-一方で生産者については、生産効率の改善ができる環境が必要という意見になった。つまり、現状としては、現在の価格を維持、あるいは低下させながらもより高品質な農産物を生産することも可能であるのに、様々な規制や農協の存在等がそれを妨げているのではないか、という意見。
(第一セッションの様子)

【第二セッション:国産の食材に拘るか?食料自給率の低下は問題か?】

メンバー構成
○職 業 会社員:1名、自営業:1名、地方公務員:1名、教師:1名、国家公務員:2名、その他:1名
○年齢層 20代:1名、30代:4名、40代:2名、

議論の概要
○後半のディスカッションでは、国産にこだわるか否か、食糧自給率の低下は問題だと思うか否か、をまず参加者同士で共有した。その結果、大半の人は国産にこだわり、食糧自給率の低下は問題である、との回答であった。ただ、「野菜を買う時はこだわるが、外食の時はこだわらない。」といった限定付きの意見が多かった。何故国産にこだわるのか、掘り下げて理由を聞いてみたところ、以下のとおりの意見であった。
-安全性が国産のものが高いから。(輸入物は生産から消費までに時間がかかるため、防腐剤等が使用されている。)
-日本の農業や食糧自給率の向上に貢献できるから。

○一方で、国産であることにはこだわらず、食糧自給率の低下についても問題とは思わないという意見については、食糧自給率の低下が問題になるような国際情勢ではないと思うし、吉野屋なども安いので普通に利用しているというのが理由であった。

○ここまでの議論から、国産物にこだわる人たちは、日本の農業への貢献や高い安全性のために、通常よりも高い価格を受忍して農産物を購入しているということが分かった。しかし、それは決して日本全体のマジョリティではなく、日本全体のマジョリティは価格が安いことが最も大きな意思決定要素ではないか、このマジョリティの意識を変えない限り、日本の農村は守れないし、食糧自給率も低下していくのではないか、ということで、この意識の差をどのようにして埋めるかについて、議論した。出された意見、結論は以下のとおり。
-多くの消費者にとっては、「価格」が最も大きな意思決定要素だが、安全や生産地などのそれ以外の意思決定要素については、情報が入手しづらいのも事実。
-このため、生産地や生産者の顔が見えるような形での表示や、保存料や農薬の使用量などの表示規制を行うことで、「価格」以外の意思決定要素をより見える化するという案が考えられる。
-このようにすれば、安全に気を配って、より高品質な農産物を作っている農家が、市場においてその努力の対価を得ることができるようになるのではないか。
-一方で農家・生産者側については、集約化等の効率化や個々の創意工夫による改善が求められるが、農協の存在や規制によってそれが妨げられているという意見があった。
-しかし、農協の存在が何故農業の効率化や農産物の高品質化を妨げるのか、詳細や真意が不明であるため、スタディトリップでは農協ヒアリングを実施するのが意義深いのでは、という結論となった。

ファシリテーターの感想
○農業をテーマとして、様々な観点から議論がなされた。
○まず一つ目の感想として、今回の参加者の方々は、食べる物を選択する際に、価格以外の品質や安全性にかなり気を配られており、世の中のマジョリティとはやや相違しているのではないか、という点を感じた。実際には、ファーストフードの広がりを見て分かるとおり、世の中の大半の人はそこまで品質や安全性は気にしていないと思われることから、世の中の実態を踏まえて議論を行う必要性を感じた。
○ 二つ目の感想としては、現場のことが分からないと地に足の付いた議論ができないということを改めて感じた。今回の議論の中で、農協は創意工夫やイノベーションを妨げる「悪者」という位置づけで議論がなされることが多く、また、現在の報道や政治の動きの中でも、そのような位置づけにされている。しかし、農協が守っている利益や価値は、大小や多寡は不明であるが確実に存在するはずであり、それを踏まえないまま議論を行うことは危険であると感じつつ、それが何なのかは自分自身も見当がつかなかった。このようなことから、いかにして当事者・現場不在の議論を避け、実りある議論にしていくかが、今後の自分の課題として認識した。

文責 Crossoverスタッフ
平野 慧

 

セクターの壁を越えて活躍できるリーダーを目指して~ 求む! 行政とnpoの人材交流のパイオニア~

Crossover&NPO法人CROSS FIELDS・新公益連盟 共催企画

 

 

 

セクターの壁を越えて活躍できるリーダーを目指して

~求む! 行政とnpoの人材交流のパイオニア~

 

 

報告書

 

 

 

1.全体総括と参加者アンケートの結果


今回の企画は、“立場や価値観の違いを乗り越えて社会課題を担える人材を育て、つなげたい!”という共通の想いを胸に

・官民協働ネットワークCrossover
・特定非営利活動法人CROSS FIELDS http://crossfields.jp/
・新公益連盟 http://www1.shinkoren.org/

の3団体の共同で開催されました。

グローバル化や少子高齢化の進展、価値観の多様化などの様々な潮流の中で、我々が直面する課題はより一層複雑化していき、政府だけで課題解決を担うことができる範囲は縮小の一途を辿っていくことが予想されます。

そのような中で、「企業、行政、NPOの3つのセクターを越えて、共に働き、共に動いていく」、そんなムーブメントを起こすべく、今回の企画が立ち上がりました。

今回の企画は、申し込み期限まで1週間以上を残して、申し込みの定員が埋まり、当日も約100名の方にご参加いただきました!

 

パネルディスカッション  70分
池田洋一郎(Crossover代表)、藤沢烈様(一社RCF代表)、森位友貴様(留職経験者)の3名をパネラーとして、セクターを越えた経験についてディスカッション

パネルディスカッション総括  15分
駒崎様(新公益連盟代表・NPO Florence代表)、宮城様(NPO ETIC.)から、新公益連盟立ち上げの趣旨やセクターを越えて協働する意義についてプレゼン

SSM① (Super Speed meeting)  10分
これまでの内容で最も「胸に刺さった発言」やこれから各団体から聞いてみたいことを参加者同士で共有

各団体プレゼンテーション  60分
山口様(NPO Florence人事担当者)、今村様(NPOカタリバ事業部)、藤沢様(一社RCF代表)、○○様(NPO ETIC.)の4名から各団体についてプレゼン

グループディスカッション  65分
セクターを越えて活躍できるリーダーを目指すこと、育てることの、個人、組織、そして社会にとっての意義や、自分が明日からできることをテーマに参加者同士でディスカッション

SSM②  8分
企画全体を通じて得た気付き・学びを、参加者同士で共有するためのセッション

成果の確認  2分
企画全体を通じて得た最大の気付き、学び、そして出会いを自問し、答えを名札の裏に書き記すセッション

懇親会  2時間

 

最初のパネルディスカッションでは、CROSS FIELDS代表の小沼様がモデレーターを務め、池田洋一郎(Crossover代表)、藤沢烈様(一社RCF代表)、森位友貴様(留職経験者)の3名による、セクターを越えた経験についてディスカッションが行われました。

3名それぞれがどのような思いでセクターを越える決断をしたのか、セクターを越えた結果として待っていた苦労はいかなるものだったのか、その苦労を乗り越えた先で得た学びや出会いはどんな意義を持っていたのかなどなど、多様な観点から「セクターを越えること」について議論が行われました。

その後、認定NPO法人フローレンス代表・新公益連盟代表の駒崎様と特定非営利活動法人ETIC.代表の宮城様から、現場で起こっている小さなイノベーションをより大きな集合的なイノベーションにするためには政治や行政との連携がより一層求められていることや、それゆえにセクターの壁を越えて同じ目線と同じ志を持って協働していくことの意義等についてお話しいただきました。

さらに各団体からも、それぞれが考える政府や民間企業からの人材がNPOに来て働くことの意義や求める人物像、今後社会に対して与えていきたいインパクト等について、度々笑いも交えながら、熱く語っていただきました。

最後の参加者同士のグループディスカッションでは、セクターを越えて働くことがどのような意義やリスクを持っているのかについて、個人の視点、社会全体の視点のそれぞれを織り交ぜながら、議論を行いました。企画開始以降の長い時間、様々な方から熱くセクターを越えることの意義についてお話があった後だけに、参加者同士のディスカッションも大変な盛り上がりを見せ、あっという間に時間が来てしまいました!

第2部の懇親会は、会場を移動し、オシャレなカフェで行いました!大多数の方が参加し、大いに盛り上がるとともに、ある意味でのセクターを越える交流が色々なところで湧き起っていたように感じます。その後も二次会は続き、解散時間は「未明」ということで、あっという間の時間でした!

参加された皆様お一人お一人にとって、今回のイベントが「セクターを越えること」のきっかけとなっていれば、スタッフとして大変嬉しく思います。Crossoverのイベントでまた皆さんと再会できることをスタッフ一同、楽しみにしております。

 

2.パネルディスカッション


登壇者
・官民協働ネットワークCrossover代表 池田 洋一郎
財務省 → 世界銀行バングラデシュ現地事務所 → 世界銀行ワシントン本部

・一般社団法人RCF代表理事 藤沢 烈
一社RCF → 復興庁政務調査官

・留職経験者 森位 友貴
民間企業 → 海外NGO(YCAB Foundation)

・モデレーター 特定非営利活動法人CROSS FIELDS代表 小沼 大地

主な議論
まずそれぞれの方がどのような「セクターを越える」経験をしたのか、紹介いただきました。
当団体代表の池田からは、先進国から最貧国へ、日本の国家公務員から国際機関の公務員へというクロスオーバーをし、世界銀行でのプロジェクトの管理手法として、世界銀行がファシリテートをしつつNPOが現地政府をチェックするという新たなモデルの導入をしたことについて話しました。
そのクロスオーバーに当たっては、財務省から世界銀行への出向自体の前例はあるものの、現地事務所のスタッフとしての出向は前例がなく、省の大先輩に背中を押してもらい実現したことなども紹介がありました。

森位様は、日本の会計事務所で人事コンサルタントとして働いていますが、CROSS FIELDSの留職プログラムで、基礎教育や職業訓練を通して青少年の就職支援を行うインドネシアジャカルタのNGO(YCAB Foundation)に行かれました。これまでの仕事とは全く違った環境で、全く違ったことをすることになるため、どうやって自分の価値を出していくのか悩み、探したのが最初の1週間だったとのことです。しかし、セクターこそ変わっても、それまでに身に着けたスキルはポータブルであるということに気づき、また、利益を原動力とする企業と社会課題の解決を原動力とするNGOの違いや、使う脳の部分の違いなどに気づき、適応していったということでした。

藤沢様からは、復興庁での勤務のご経験をお話しいただきました。役所では「仕事」について、「宿題」であるとか「降ってくる」、という表現がありますが、NPOで働く人間にとっては「宿題」ではなく「課題」であり、「降ってくる」ものではなく「見つけ、解決するもの」であるという部分で、セクターを越えた際に違いを感じたということでした。

次に、池田と森井様から、セクターを越えた際の失敗談、苦労談についてお話しいただきました。

池田からは、世界銀行に来たばかりの時は、「非正規」の「1年目職員」であったゆえに、自分がいた財務省では部下である係員がやるような仕事ばかりをやることとなり、世界で活躍する同期との比較上、嫉妬や後悔といった負の感情に苦しんだとのことです。しかしある同僚から、「目的語を自分ではなくしてみてはどうか」と言われ、これまで「自分のキャリアアップ」や「自分の活躍」などばかりを考えていたことに気づき、自分ではなく、クライアントであるバングラデシュや出向先の世界銀行のために何ができるかを考え、動くようにしていったとのことです。
そのようにして、世界銀行やバングラデシュ政府の考え方について深い理解をした上で、積極的な改善の提案を続け、政府、NPO、世界銀行の3者が連携した開発プロジェクトのリーダーを任されるまでになっていったということでした。

森井様からは、同一の価値観の企業内では、論理や数理といった左脳ばかりを使っていれば仕事を十分に進めることができていた一方で、現地NPOに来てみて、他者を心から共感させるような、右脳の部分は使っていなかったことに気づいたとのことです。また、自分が主体的に動くということもできていないと感じたとのことです。
そこで、自ら街に繰り出し、現地の日本人に相談を繰り返す中で、徐々に右脳的な仕事の進め方をできるようになり、また、そういった「自分ではなく組織のために努力をする」姿は、「異分子」が周りからの信頼を勝ち取っていくことにつながっていったとのことです。

最後に、再度元の場所に戻っていった際に感じたことについてそれぞれお話しいただきました。

藤沢様からは、NPOだけで社会の課題を解決することには限界があり、民間や行政の仕事の進め方、論理となるものを知ることが大事と感じたとのことです。また、行政の「立案」自体は優れているものの、「実行」の部分では、その政策の細部を現地で実行する主体の体制が十分に整っていない場合があるなど、弱い部分があるため、成果や評価を見切ってしっかりと政策が実現するようにしていく必要があると感じたとのことです。

森井様からは、現在進行形の悩みとして、現地NPOで左脳のみならず右脳も使った仕事の仕方を覚えたものの、ご自身の企業では右脳的な部分の必要性、重要性が十分に浸透していないため、ある意味で浮いてしまう部分があり、また、必要性等を言語化して伝えることにも苦労されているとのことでした。

池田からは、自分が生涯をかけてやりたいことは、途上国開発なのか、日本の官僚としての仕事なのか、その部分に揺らぎを感じたとのことです。しかし最終的には、自分が何に対して忠誠を持ちたいかを考えた際には、やはり日本という場に対して将来に渡って説明責任を持ちたいと思い、認識を明確にされたということでした。

 

3.プレゼンテーション報告


参加者
新公益連盟代表・認定NPO法人 Florence代表 駒崎様
特定非営利活動法人ETIC. 宮城様

駒崎様からは、まず、現場で起こっている小さなイノベーションをより大きな集合的なイノベーションにするためには政治や行政との連携がより一層求められていることをお話いただきました。現場では、日々色々な主体が頑張っており、イノベーションを起こし続けているものの、まだまだ小さく、弱々しいものであるため、そういった小さな一部分でのイノベーションを政治や行政につなげ、集合的なイノベーションとしていきたいとのことです。

そのために解決しなければならない課題として、イノベーションを阻害するルールや規制の存在に対して、現場の経験を持って、改革をしていくことができる行政職員が求められていることを熱くお話いただきました。

最後には、来たる2050年に備えて、政府だけではなく、民間からも社会的課題に気づき、解決していくことで、子どもや孫たちに恥ずかしくない社会を作っていこうと、プレゼンテーションを終えられました。

宮城様からは、週末の土曜日の時間にこの場に来ているような人は「きっと数年後、じっとしていられなくなるはず」とプレゼンテーションを始められました。宮城様は、人事院の研修で継続して講師を務められていますが、毎年の感触としても、行政の感覚自体も変わり始めていると実感しているとのことです。
行政とNPOは、仕事のスタイルや決まり事こそ違うものの、出向などの人事交流を通して、同じ志を持って、同じ目線でこの社会のために働いていくことができれば良いとお話されていました。

 

4.ディスカッション報告


チーム 子(ねずみ)

ファシリテーター
池田 洋一郎(Crossover、財務省職員)、
大原 学(CROSS FIELDS)

メンバー構成
○職 業 国家公務員:2名、会社員:1名、NPO:1名、専業主婦:1名、自営業:1名
○年齢層 20代:3名、30代:2名、70代:1名

主な議論
○議論の開始に当たり、自己紹介を兼ねて、自身がこれまでとは異なるセクターで働いた経験及びそこで得た問題意識を、未だそうした経験がない参加者については、今後の希望をそれぞれ共有。
○行政、NPO、企業等、異なるセクターを渡り歩きながらスキルを高め、組織・社会に貢献していくキャリアを歩む「越境経験」について、個人にとって、そして社会にとっての意義とリスクをグループで議論。出された主な意見は以下のとおり。
・個人にとっての意義:
-「自分個人が提供できる価値」と「組織の肩書が提供してくれている価値」の二つを区別することが出来るようになり、また各々の源泉を見極めることが出来るようになる。
- 立場や価値観の異なる人と協働するためのコミュニケーション能力を高めることが出来るようになる。
・社会にとっての意義:
- 行政と企業・NPOとの間を行き来する人が増えれば、政策やサービスのデザインに「サービス(政策)の提供側-受け手」、「規制を実施する立場-規制される立場」といった異なる視点がインプットされ、よりバランスの取れた、効果的なアウトプットとなることが期待できる。
- 行政、企業、NPO、それぞれの強みを活かした連携を通じた社会問題の解決がし易くなる。
・個人にとってのリスク:
- 孤独を味わい精神的不安に苛まれる。
- 根無し草で中途半端なキャリアとなる惧れ。
- 出向の場合「お客様」扱いされ重要な仕事を任せられない一方、派遣元との「コネクション」ばかりを期待される。
・社会にとってのリスク
- 行政と企業、あるいはNPOとの間で、責任の所在が不明確な「もたれ合い」プロジェクトが量産される可能性。
- いわゆる「天下り」や、業者と行政との癒着が野放しになり、汚職や談合が増える可能性。
○以上の議論より、「組織の看板背負い、組織の利害を実現するための越境」と「個人の志を背負い、社会の利益を高めるための越境」をうまく区別し、後者を主流化するための仕組み作りが必要である、との結論に至った。

ファシリテーターの感想
○既に定年退職をされてなお活動的な70代と、今年社会人になったばかりの20代、そしてある程度の社会人経験を積んだ30代という多彩なメンバーで「越境」をキーワードに、その光と影を個人と社会の両面からバランスよく議論することで、1時間という短い時間であったが、深みのある議論が出来た。
○フルタイムのビジネスパーソンが、結婚・出産を機に専業主婦(主夫)として家庭・地域で過ごす時間も、個人そして社会にとってインパクトの大きな「越境体験」であることが経験者から語られたことが印象的であった。

文責 Crossoverスタッフ
池田 洋一郎

 


チーム 丑(うし)

ファシリテーター
田中 里沙(Crossover、総務省)

メンバー構成
○職 業 国家公務員:4名、会社員:2名、NPO:1名
○年齢層 20代:4名、30代:4名

主な議論
○他己紹介:他セクターへの興味
‐NPO法人から民間にセクターに転身:民間と行政がセクターを越えた関わりをどのように行うのか、その関わり方に興味がある。
‐民間勤務2~3年目:業務内容が省庁と関わるが、行政とのセクターを越えた関わり方のイメージがないので、どういう関わり方になるのか興味がある。
‐民間からNPO法人に転身:民間の経験や知見を活かせると思いNPOに転身。NPOでは課題について国境を越えて取り組むこともあるので、国を越えた経験や視点も必要だと思っている。
‐国家公務員2年目:省庁の業務は特殊な面もあり、民間から出向で来た人にとっては、1年という限られた期間では能力を最大限活かすことは難しい。
‐国家公務員1年目:学生時代にベンチャー企業で活動をしていたが、行政とは費用対効果への考え方が違うことを感じている。これから経験を積んでいくに当たっては、NPOの現場の声を肌で感じたい。


①セクターを越える意義(メリット)・リスク(デメリット)及び②意義を活かす工夫・リスクを克服する工夫について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
①セクターを越える意義(メリット)・リスク(デメリット)
‐社会的課題の中には、自分の今までの経験だけでは対処できない課題もあり、セクターを越えた経験でないと解決できない課題もある。
‐一方で、セクターを越えるに当たっての身近な壁(期間限定の出向の場合は自分が出向中の後任者の有無等)がある。
‐そもそもゲームルールが違う他のセクターにいった場合に、自分の能力を活かせるのかが分からない。
②意義を活かす工夫・リスクを克服する工夫
‐フルタイムで難しい場合、並行して1日6時間民間の業務、2時間NPOの業務という形で、他セクターのことを知っていく工夫をしてはどうか。
‐国家公務員の人事異動の中でも、パブリックというセクターは同じではあるが、他の組織に身を置き、1~2年という短期間で付加価値を出すことが求められるが、ゲームルールが違うフィールドでは、お互いがお互いの特性・バックグラウンド・能力をよく知り合うことでベストパフォーマンスを出すことができると思う。

ファシリテーターの感想
○7人中4人が国家公務員ということもあり、行政とNPO、又は行政と民間というセクター間の関わり方について、意義(メリット)やリスク(デメリット)について、現在の自分の業務に照らして議論を深めることができた。
○一方で、他セクターの強みや自分のセクターの強みについて実感を持って理解していないがゆえに、セクターを越えて働く意義を自分事として捉えられないという意見もあり、そもそもお互いを知ることも重要と気付いた。
○今回の参加型シンポジウムが、他セクターに興味を持ち、何をするために他セクターに行くのか、参加者自身が自分の事として捉える1つのきっかけとなればと願う。

文責 Crossoverスタッフ
田中 里沙

 


チーム 寅(とら)

ファシリテーター
砂田 薫(Crossover)

メンバー構成
○職 業 国家公務員:2名、会社員:2名、地方公務員:1名 団体職員:1名
その他:2名

主な議論
“他己紹介”の後、自分の属するセクターからどこに越境したいか、それは自分にとって、また社会にとってどんな意味があるかを順に発表し、それぞれフィードバックした。次に本日第1部の議論や「寅」チームの対話を踏まえ、今後セクターの壁を超えるため、どう活動していくかを各々表明した。主な決意や意見は以下の通り。
○幸運にも企業セクターからNPOに「越境」して帰還したので、その経験者達のネットワク構築により、継続的・恒久的なアウトカム創出とその発展を目指している。また、もう一度越境したい気持ちが強い。
○トライセクターでも一番越境しにくいのが、実は依然他セクターから「官」「行政」の異動ではないか。まだまだ絶対数が少ない。外部の「なんとか委員」より、「官」の一員として、スピード感を持って影響力ある法案や方針に関わることができればよいのだが。
○地方自治体に出向が決まったが、やりたいことがより明確になり、想いの実現に向け、努力したい。
○「官」の世界からNPOに越境して、現場からワークライフ・バランスの実現に貢献し、自分自身や既存組織の視野を広くしたい。
○関心あるテーマに関心ある人々が集まって意見交換、それだけで参加した甲斐があった。

ファシリテーターの感想
○SSM時で気付かされたが、転職による官民移籍は、本人の覚悟が明確で、問題なく歓迎すべきだが、1年・2年などの一定期間の制度としての「官⇒民異動」が、「指定席」「枠」「ルーティーン」になってしまうと、学びが少ないといこと。あくまで「制度」が先に来るのではなく、「想い」を支える「仕組み」があるという考え方が大事と感じた。これが官民異動の導入リスクかもしれない。あくまで本人が、まず主体的に手掛けたい内容・構想の絵を描き、受入機関と成果のイメージを共有することが肝要だろう。

文責 Crossoverスタッフ
砂田 薫

 


チーム 卯(うさぎ)

ファシリテーター
小沼大地(CROSS FIELDS 代表)
大岩新(CROSS FIELDS 学生インターン)

メンバー構成
○職 業 国家公務員:2名、会社員:3名、NPO:3名、自営業1名

主な議論
○流れ:
“個人or社会全体”のクロスオーバーの影響について、グループで半分に分かれて、その後グループ全体でシェア。

○個人について
‣越境のメリット
・緊急時に越境の経験が役立つ可能性がある。
Ex) 環境省にいるが、熊本震災の際に避難所にペットを持ち込むことによる苦情に対し、県庁だけでは手が回らないので自治体などをコーディネートすることが求められた。NPOで人を巻き込むなどを経験できれば違う仕事を求められた時に力になる。一方で普段の仕事において使わないという意味で非効率、デメリットになる。

今の日本が全体的に危ないから、そういった緊急時に使える能力・トライセクター間の交流が求められているのでは?

‣越境のデメリット
・ルールないことをやるのは責任が伴う。ある程度完成されたシステムがないと全員やりたがらない。日本は特にそういった風潮がある。

2枚目の名刺のようにパラレルという選択肢もある。ただ現実的にはそれがなかなか難しいという現状がある。

○社会全体について
‣越境のメリット
・越境が多く起こることで、それぞれのセクターでの当事者意識を持つことができる。それによってセクター間の過度な批判を減少させることができる。

‣越境のデメリット
・癒着が考えれられる。しかし行政→企業があるから、そこまで障害にならないかも?

フローレンス・駒崎さんの話を聞いて違和感を覚えた節がある。行政→NPO出向で法律変更が促進されたとして、果たしてそれは日本全体にとってwin-winなのだろうか。声の大きいNPOだけに有利に働く恐れがある。数少ないNPOの声のみに耳を傾け、それを国全体に関わる制度変更に落とし込むわけにはいかない。

どれだけNPOが正当性を持つかにかかっていると思う。現場と密に接しているNPOだからこそ市民の声を反映しなくてはならない。しかし最近は事業収益型NPOも増えてきて、利害関係も発生する。そうなると癒着も十分に考えられる。新公連はだからこそ多くのNPOと連携していくことで、この問題を解決しなければならないと思う。また、そういった癒着を監視できるような中立機関があればいいかもしれない。加えて行政の方はNPO1団体の交流にとどまらず、様々な人たちと関係を構築することで視点を広げる必要がある。

ファシリテーターの感想
○今回のディスカッションを通して、そもそも行政とは?、NPOとは?といったような質問がいくつか見られた。当たり前かもしれないが、他セクターのことをあまり理解していない証拠。上記にもあるが、例えば行政の方の出向なら、より現場に近づくことで改善意識が増すのではないか。

文責 クロスフィールズ代表
小沼 大地

 


チーム 辰(たつ)

ファシリテーター
平野 慧(Crossover、厚生労働省)

メンバー構成
○職 業 国家公務員:4名、会社員:2名、NPO:1名

主な議論
○「個人のキャリア・成長という観点からの意義(メリット)・リスク(デメリット)」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-メリットとしては、パネルディスカッションでも紹介されたように、いわば「安全地帯」から抜け出せるということが上げられた。同じ組織にいることは、楽である部分も多いし、安心ではあるが、自分自身の成長という観点からは、「安全地帯」から抜け出て、自分ひとりで戦うという経験が有意義なのではないか、という意見。
-一方で、それが組織にとってメリットがあるのかと言えば、必ずしも明確ではない部分があり、個人のメリットだけを考えるのではなく、送り出してくれる組織にとってどういうメリットがあるのかを考える必要があるという意見も出された。
○「社会全体を見たときの意義(メリット)・リスク(デメリット)」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-国会公務員の出向については、社会全体にとってのメリットが求められるが、特定業界や企業への出向になってしまうため、その点が難しいという意見があった。
-特定業界や企業にとっての利益ではなく、社会全体にとって利益があると思われるようになればよいという意見もあった。

ファシリテーターの感想
○パネルディスカッション等を通じて、個人の成長にとって多様なフィールドでの経験がいかに役立つか、については、参加者の中でも相当な納得感があるように見受けられた。
○一方で、実際に多様なフィールドで経験を積むためには、転職か出向ということになると思われるが、転職についてはリスクがあり、出向については自らが所属する組織にとってのメリットを説明する必要がある。また、国家公務員が出向する場合には、これに加えて、社会にとってのメリットを説明する必要がある。
○今後は、こういったハードルの存在についても意識しつつ、多様なフィールドで経験を積む機会を探っていきたいと感じた。

文責 Crossoverスタッフ
平野 慧

 


チーム 巳(み)

ファシリテーター
しろ まさのり(Crossover)

メンバー構成
○職 業 国家公務員:2名、会社員:3名、地方公務員:1名 団体職員:1名 士業:1名
○年 齢 不明

主な議論
・二人一組での他己紹介の後、2グループに分かれてセクター移動のメリットとデメリットを議論した。メリットとしては「知見が広がる」「人脈ができる」「多様性がある」といったもの、デメリットとしては「給料が下がる可能性が高い」「組織から見ると、戻らずにやめてしまうリスクがある」といった意見が出た。
・参加者がセクター間移動経験者と未経験者に分かれ、最初から「自分が出て行くとしたらどうするか」「自分の経験はどうだったか」という視点での議論を好んだので、その方向性を重視した。
・「周到な根回しが必要」「退職か出向以外の多様な選択肢がほしい」「人材育成に対する意識が社員・職員とマネジメント側で乖離している」「本人の意志なく上からの命令で異動させられる」「利益誘導のための出向しかない」「十分に大きな思い入れがないと行くべきではない」「NPOへ行くのはリスクが怖い」「職が不安定になればより少子化が進みかねないため、移動した先の給与を安定化する必要がある」などの意見があった。
・「国家公務員として働くメリットが感じられない、このまま続けていたらつぶしがきかなくなりそう」という省庁若手職員の吐露よって盛り上がった。「公務員の強みは仕事のスキルではなく人脈」「転職業界においては元公務員というのは使えない人材の筆頭格」「選択肢は広く持った方が良い」「人脈だけならCrossoverのような団体のスタッフをやればいい」といった意見が出た。

ファシリテーターの感想
・グループ内の立場の違いがバランスよく、意識の高いメンバーたちが自律的に議論を進めたため、ファシリテーションにあまり苦労がなかった。
・特に人生経験豊富なメンバーに若いメンバーが積極的に質問し、双方が話す機会は一定程度得られたと思う。
・池田氏の「忠誠心」という話は心に残った。色々やってみないと自分が本当にやりたいよりどころは分からないと思う。
・マクロに見ると社会における「スペシャリスト」と「ゼネラリスト」の割合を、どう最適化するかの問題だと感じた。今後安穏としたルーチンワークが機械に置き換えられるにしたがって、多様な見方をもつゼネラリストが求められてくる。セクタ間移動は、そのための一方策であろう。

文責 crossoverスタッフ

 


チーム 午(うま)

ファシリテーター
服部 真子(ちょり) (Crossover、NHK World)、
井ノ口さん (CROSS FIELDS)

メンバー構成
○職 業 国家公務員:2名、会社員:3名、NPO:3名、自営業1名

主な議論
○アイスブレーキングに、ペアになってもらい他己紹介。
○異なるセクターに行くことの「メリット」を考えるチームと「デメリット」を考えるチームに分かれて議論→シェア

メリット:視野が広がり人生設計に役に立つ。
デメリット:帰ってきたときに浮いてしまいその経験が活かせない。やめたくなる。等

○自分が「越境」してみたいかアンケート。→半々に分かれた。
越境してみたいという人は、自分の専門や今後やりたいことが明確に決まっている傾向にあり、分からないという人は、まだ自分の中核となりうるキャリアが決まっていない人が多かった。
○違う人とペアになってもらい、現職におけるスキルを紹介しあい、それが自分の職場ではどんな役割の人になるか考えてもらい、発表。(狙い:スキルを他業種の人に発表することで、自己認識をしてもらい、かつそれがどのように他業種で、活かすことが出来そうか想像するきっかけづくり)
NPO職員-官僚、外資系コンサル-官僚、商社-自営業、NPO-NPO、のペアになり、スキルと個人の特性を紹介しあいマッチングをしてみた。それぞれが自分の中に新たな可能性を感じられた模様。(時間切れで詳しくシェアできず)

ファシリテーターの感想
○越境したキャリアを築きたいかどうかは①自分がどのような人生を歩みたいのか内省し、②他者(特に全く違う世界に生きている人)に話すことにより客観視してみることで見えてくるということが分かった。
○自分では大した事がないと思っているスキルや知識や性質が他の人にとっては宝だということが多々ある。一人ひとりの力を最大化する社会にしていきたい。
○パンを食べていたカタリバの今村さんに声をかけたら気さくに議論の輪に入ってくださり嬉しかったです!今村さんは絵の才能があり、そこから視覚的に効果があるプレゼンテーション資料を作るのが上手いということが発見されました。

文責 Crossoverスタッフ
服部 真子(ちょり)

 


チーム 未(ひつじ)

ファシリテーター
工藤 大輝(Accenture/Crossover)

メンバー構成
○職 業 国家公務員:2名、会社員:3名、団体職員:1名、自営業1名

主な議論
議論の初めにアイスブレイクとして、隣の人とペアになっていただき、「他己紹介」を実施。紹介の中で、越境経験がある方には「どんな越境を経験したか」を、越境経験がない方には「異なるセクターに越境する場合はどこに行きたいか」を話していただいた。
その後、ディスカッションの時間の前半で「個人のキャリア・成長」の視点からのメリット・デメリットを、後半で「社会全体」の視点からのメリット・デメリットについて議論した。これらについて出された意見は以下のとおり。

○国家公務員の立場では、日常の業務に忙殺され、現場の経験を積むことは難しい。他セクターへの出向は現場を知る良い経験になると思う。
○パネルディスカッションでもあった「issueを見つける」ためにはNPOのような現場での経験が生かされると思う。
○企業レベルの交流は組織の利益を踏まえて行っているものと思う。個人のキャリアという点への関連は薄いのではないか。天下り等も企業の利益にはつながっているかもしれないが、個人のキャリアという視点からはメリットが少ないと感じる。
○経験則であるが、それぞれのセクターを知ることにより、業界特有のお作法を学ぶ等、長い目で見たときに仕事が早くなるといったメリットがある。
○官民の人事交流というと響きは良いが、その効果が検証されていない。官が関わる以上、税金が投入されていることを鑑み、KPI等を用いてしっかり効果を検証する必要があると思う。また、検証の結果として、効果が認められるものは省庁を超えて横展開していくなど、効果を上げる工夫が必要。
○補助金の情報とはじめとして、官が出している情報は膨大であり、民がそもそも知らないことも多い。セクター間の越境を経験し、視野を広げることがそのような情報を知るきっかけとなるのではないか。
○若い人が出向する機会が増えることが、社会が変わっていくきっかけになるのではないかと思う。

ファシリテーターの感想
○多様なセクターからの参加者が集っており、また越境の経験者と未経験者のバランスがよく、よい議論ができたと思います。他セクターとの越境については、前向きな意見が多く、その上で本当にメリットがあるのか?といった視点から深く議論ができたと思います。
○議論の終盤で「官→NPOへ出向したとして『戻ってきてそれで終わり』では意味がない」という意見が出ていたことが印象的でした。越境を経験し、その経験を「どう生かしていくのか」という視点から議論できていたことが、本イベントの開催目的のひとつ(現在前例がないNPOと行政の人材交流について、その促進の必要性の認識を深め、参加者一人一人がムーブメントを作り出す主役となる意欲を高める)と重なり嬉しく思えた。
○本イベントで共有した想いをこの場で終わりにせず、次なるムーブメントを作り出すべく、引続き活動していきたいと思います!

文責 Crossoverスタッフ
工藤 大輝

 


チーム 申(さる)

ファシリテーター
石山 喜章(Crossover)
原田 悠子(CROSS FIELDS)

メンバー構成
○職 業 国家公務員:2名、会社員:4名、NPO:1名
○年齢層 20代:3名、30代:3名、40代:1名

主な議論
○「個人のキャリア・成長という観点からの意義(メリット)・リスク(デメリット)」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。

メリット(意義):
-セクターを超えなければスキルや業界人脈は蓄積される
-その組織における立場も上になっていくので予算を執行する権限も得られる
-結果的に本来やりたかった仕事を全うすることができる
-セクターを超えてゆけば様々な業界のことやそれぞれの立場を理解できる
-視野が広がり社会の全体像を知ることができる

デメリット(リスク):
-セクターを超えた場合、スキルや人脈の蓄積がリセットされる
-1から信頼関係を構築しなおすのに手間と時間が掛かる
-全体像が見えてやりたいことが決まっても権限がない立場になりうる
-個人のキャリアとしては潰しが利かなくなる恐れがある

○「社会全体を見たときの意義(メリット)・リスク(デメリット)」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。

メリット(意義):
-環境や立場を変えてみることで社会における各組織のつながりを理解できる
-それぞれの観点をつなげて両組織の無駄を削減することができる
-広い視野を持った人材が増えることでスピードよく社会変革が進むのでは
-官民NPOに大学なども加われば、より社会問題の解決が進む

デメリット(リスク):
-余暇でNPOに関わる会社員は本業がおろそかになるのではないか
-自社への利益誘導を目的とした人材交流は不祥事の温床になる
-ちょこちょこ人が抜けて行くと組織が回らないのではないか

○「明日からどう行動することで自分のトランスセクターリーダーシップが意義あるものになるか」を共有した。これについて出された意見は以下のとおり。
-明日、私が上司に企画書を提出します!
-NPOから行政へ行ってみたいので、この後皆さんと交流したいです。
-環境とアートを融合させた分野を創造してみたい
-明日以降も個別に会って話を聞いてみたい
-こういう、いろんな場に出て話を聞いてみます。

ファシリテーターの感想
今回のテーマに限らず自由に議論をする中で、参加者の方から出た次の問いと、その答えが印象に残っています。
○ クロスセクターを経験した方に「決断したときの条件・状況は?」と尋ねた方がいて、答えが「過去のイメージから判断するのではなく、未来を描いてそこから出発すること」と「素直に自分の心が喜んでいるかどうか」だったのが印象的でした。
○ ある参加者から「社会的な問題をどう発見すればよいか?」という問いに対して「様々な分野の人と交流してみること、そして素直な心で話を聞くことが必要」とおっしゃった方の在り方がにじみでているように感じ、言語外で伝わるものの大切さと、こういったリアルな場の価値を改めて感じることができました。
○ 「みなさんの事業の成功のモノサシはなんですか?」という問いが印象的で、企業<NPO<行政の順にスパンが長くなり、対象の範囲が広がる気がしました。また国家経営も行政、NPO、企業の経営も“事業”の観点から見ると共通項が多いことにも気付かされました。こうした参加者が持つ問題意識(問い)を通じて、お互いの知見や観点を出し合いながら学び、視野を広げることができる場の価値を改めて実感させて頂けたのはスタッフ冥利に尽きます。

文責 Crossoverスタッフ
石山 喜章

 


チーム 酉(とり)

ファシリテーター
新関 康平(Crossover)

メンバー構成
○職 業 国家公務員:2名、会社員:4名、団体職員:2名

主な議論
第一部前半の内容を踏まえ、「セクターの壁を超えて活動する」というテーマから、どのような問いが考えられるかについて意見を交換した。提示された意見は以下の通りである。
○民間企業に属する者において、営利追求マインドと社会課題解決マインドの兼合いをどのように考えるべきか。
○パラレルキャリア等、働き方が多様化しているが、自己実現を図るためには、どのような働き方が適切か。
○官民連携による事業を成功させるためにはどうすればよいか。
○セクターを跨いで活動をする際に、どのようにモチベーションを保てばよいのか。
○複数の組織で活動する際、熟すべきタスクをどのように遣り繰りすればよいのか。

ファシリテーターの感想
○多様なセクターからの参加者が集っていたため、各人が発言者に対して、真剣に耳を傾けていた。
○ディスカッション後、参加者が積極的に異なるセクターの者との相互理解を深めようとしていた。これこそが、セクターの壁を超えるための一歩であると思った。
○セクターの壁を超えるべきか否かを左脳で考えず、好奇心や直感を司る右脳による信号を信じ、まずは行動しなければならないことを痛感した。

文責 crossoverスタッフ
新関 康平

 


チーム 戌(いぬ)

ファシリテーター
識名 由佳(民間企業)

メンバー構成
○職 業 国家公務員:1名、会社員:5名、NPO:1名
○年齢層 20代:2名、30代:3名、40代:2名

主な議論
○セクターをクロスオーバーする「個人のキャリアにとってのメリット/デメリット」、「社会全体にとってのメリット/デメリット」について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。

個人のキャリアにとってのメリット/デメリット
・他者の視点に無理やり立つ経験は、多角的な視点を手に入れる上で重要
・「納得解」にたどり着く力が身につく
・クロスオーバーしなくても副業でいろんなチャレンジができる
・クロスオーバー前のスキルを忘れるかもしれない
・アイデンティティが揺らぐのでは
→軸があれば良いのでは?
→役割としての自分と本当の自分を分けて入れば大丈夫だと思う
・新しい環境に飛び込むのはストレスフル

社会全体にとってのメリット/デメリット
・様々なステークホルダーの立場に立ち、問題解決することができる人が増える
・新しいものを生み出す必要のある会社には多角的な視点を持った人物が必要
・会社の経営を長期視点で考えると外に出すのは良いこと
・勤続年数が長い会社でないと経営資源のロスになる
・NPOと本業の利益が相反することもある
→行政の下請け的なNPOもあれば、行政へ厳しい指摘をするNPOもある
→業界は同じで立場が違う場合と全然違う業界に行く場合で違うのでは
・うちの会社(商社)は一度転職して戻る人も多いが、外の世界を知って更に活躍している
・パッションがなく無理やりクロスオーバーされると自信をなくすのではないか
・クロスオーバーする人が増えるとクロスオーバーできないような人がますますポジションを失い苦労してしまうのでは

ファシリテーターの感想
・個人としてクロスオーバーすることの意義はすでに感じている方が多数でした。
そのため、そのような個人が増えることによる社会的な意義や、経営者や組織のトップをどのように説得するかに議論の時間が割かれました。
・個人的には、組織の外に飛び出して活躍したい個人に機会を与えることを、従来の事業拡大のための投資と捉えると、①買収や新規設立よりもコストが低い②辞められて競合になるリスクヘッジになるという意見になるほどと思いました。
・既に意義を感じている参加者の方が、今後そのようにセクターを超えて活躍されるのかとても楽しみです。

文責 Crossoverスタッフ
識名 由佳

 


チーム 亥(いのしし)

ファシリテーター
川合 淳一(株式会社ブレンドシステムズ、合同会社ドリームオン)

メンバー構成
○職 業 国家公務員:3名、会社員:2名、団体職員:1名、自営業:2名

主な議論
セクターの壁を超えることについて、第一部の話を踏まえて個別具体的な個人/社会、両面のメリットとデメリットを考えた
○各自の経験からの想いや意見を共有した。国家公務員として民間企業に出向している例が上がった他、大企業からベンチャー企業へ転職した例、課外活動の例、独立した例、就職して公務員になった例、などから、セクター間の移動に近い経験は既に幅広くなされているという認識を共有した。
○個人へのメリットとして、組織の文化や常識の違いがわかること、コミュニケーションの方法を体得すること、コーディネーション能力が高まること、の効果が挙げられた。
○社会的なメリットとして、出向先での不足している専門性が補えること、組織での変革が進むこと、活躍の場が増えること、が挙げられた
○デメリットとして、戻った後で必ずしも学んだ経験を活かした役割が与えられることではないこと、年次のあがった人材に抵抗があるという事実、終身雇用を前提としなければ成り立たないこと、が挙げられた。
○出向は、出向先のためでもあり、個人の能力開発でもあり、元の組織のためでもある、という意見があった。デメリットに対しては、上司が説明を十分にすること、社会的に人材の流動性を高めること、どんなことでも学ぶ姿勢を持つこと、という指摘があった。

ファシリテーターの感想
○セクター間の移動について、今回の出席者に異議を唱える人はいないことを想定し、疑問を投じて形で議論を深めた。参加者は苦い想いをしたかもしれない。
○大切なことは視野を広げ、多様な人と協働して課題解決できること。セクター間の移動は手段として有効だと確認できた。今回のイベントのように、多様な人と話ができたり、一緒に仕事をしたりすることも有意義だと思う。
○所属している組織や役割から無意識に生じている思い込みやレッテルという「内なる壁」を取り払うことが必要。

文責 crossoverスタッフ
川合 淳一

 

組織・社会に『多様性』は必要か? ~社会と私の立場から~

組織・社会に『多様性』は必要か? ~社会と私の立場から~

官民協働ネットワーク「Crossover」
厚生労働省若手グループ「NHLW」共催
異業種ディスカッション大会

 

 

組織・社会に『多様性』は必要か?

~社会と私の立場から~

 

 

 

開催報告

 

 

 

 

1.全体総括と参加者アンケートの結果


今回初の試みとなった官民協働ネットワークCrossoverと厚生労働省若手有志グループNHLWによる共催企画は、これまでそれぞれ活動を展開してきた両団体のスタッフが対話を重ねる中で得られた共通の目的意識が出発点となり、また目指すゴールとなりました。

それは、日常を変えるような

『出会い』 : 「またこの人と話してみたい!」「何かを一緒にやってみたい」と思えるような出会い

『気づき』 : 立場によってものの見方や考え方に相違があることや、社会の諸課題や政策と自分自身の生活や仕事との間に密接な繋がりがあることへの気付き

『行動』 : 社会問題を「他人事」ではなく「自分事」として捉え、その解決の力となるべく自ら動こうという意志

を得ることのできる非日常空間を創りたい、という想いです。

今回の「異業種ディスカッション大会」には、こうしたスタッフの想いに共鳴して下さった112名の方々から申込みを頂き、当日、113名の方に実際に参加頂きました。
参加者の年齢層は小学校6年生から70歳を越えた大先輩まで、職業は学生、主婦、教員、国家公務員、地方公務員、会社員、会社経営者、病院・介護・保育施設で働かれている方々、NPO職員、政治家秘書など実に多彩。首都圏からだけでなく関西や北陸など、遠方からも参加を頂きました。

ディスカッション大会は、「多様性溢れる参加者と“多様性”について議論することを通じ、『出会い』、『気付き』、『行動』を掴み取る非日常空間を創りたい!」というスタッフからのメッセージで幕を開けました。
そして、一人一人が参加した目的を自問するための時間を2分とり、自分なりの答えを名札の裏に書き込んだうえで、以下のような多様な方法で「多様性」について議論を深めていきました。

 

流れ 内容
セッション1 「多様性」というキーワードについて理解を深めるセッション
セッション2 「移民受入」、「ワークライフバランスの確保」等、多様性をめぐる個別テーマについて議論するセッション
SSM
(Super Speed meeting)
セッション1、2を通じて得た気付き・学びを、参加者同士で共有するためのセッション
成果の確認 セッション1、2、そしてSSMを通じて得た最大の気付き、学び、そして出会いを自問し、答えを名札の裏に書き記すセッション
懇親会 「多様性人材借りヒト競争!」や懇談を通じて、会場に集った多様な参加者同士の交流を深めるためのセッション

 

セッション1では、「多様性とは何か?」というそもそもの疑問と向き合いました。具体的には、日常生活や仕事だけをしていたのでは出会うこと、話すことがなかったであろう、全く異なる分野で活躍している参加者同士で、「自分の所属する組織に多様性がある(欠ける)と感じた瞬間はどんな時か?」といった身近な問いを投げかけあうこと通じて、「多様性」という言葉が持つ多彩な意味合いや、「多様性」を認め広げていくことに伴う社会、そして組織にとってのコストについて、認識を深めていきました。

セッション2では、セッション1とは異なるメンバーで、参加申込にあたって選択した定年退職、介護、ワークライフバランス等、厚生労働行政に関連する個別テーマ(以下の表をご覧下さい)について、「多様性」をキーワードに議論しました。
議論を深めるほど論点が百出したチームばかりで、あっという間に2時間が過ぎました。日本の将来にとって重要で、私たちの仕事や日常生活と深い関係のある、避けて通れない課題について、様々な立場の参加者が、肩書きや役職を越えて、率直に価値観や意見をぶつけ合いながら議論をすることで、多くの気付きや学びが得られたと感じています。
なお、各グループの議論の詳細はファシリテーターがまとめたサマリーをご参照ください。また、参加された皆さんにご記入頂いたアンケートについては、こちらに取りまとめましておりますので、併せてご覧下さい。

 

アンケート結果

 

グループディスカッションに続くSSM(Super Speed Meeting)では、参加者全員に席を立っていただき、まだ話したことが無い人とペアになって、「今日一番の気づきと学び」を5分間で共有しました。参加者が、それぞれの言葉で今得たばかりのほやほやの気づきや学びを共有するSSMを3回繰り返す中で、会場の熱気はますます高まっていきました。

第一部ディスカッションの締めくくりに、「議論やSSMを通じて得た最大の気付き、学び、出会い」について静かに自問し、それぞれの答えを名札の裏側に書き込みました。会の冒頭で名札の上半分に書き刻んだ「目的意識」と、会の終わりに下半分に記した「成果」は、参加者一人ひとりの日常を変える、小さくとも確かなヒントとして、参加者の皆様に持ち帰って頂きました。

約80名が参加した懇親会は、「多様性」をテーマとした「借りヒト競争」でスタートしました。これは「家族の介護をしたことがある人」、「第1回東京オリンピックを直接見た人」、「実は“孤独”を感じている人」、「般若心境を唱えられる人」などなど、様々な特徴を持つ人を会場の中から捜し当て、その人数をチームごとに競い合うゲームです。
優勝したチームには、霞ヶ関・永田町界隈でしか手に入らない、豪華商品・賞金!がプレゼントされました。般若心経の暗唱!で幕を閉じた全員参加の「借り人競争ゲーム」は大いに会場を沸かせ、懇親会における参加者同士の交流に弾みをつけました。

懇親会終了後も、多くの参加者が会場を近隣の居酒屋に移して議論や懇親は深夜まで続き、13:00からスタートした「異業種ディスカッション大会」が関東一本締めで幕を閉じたのは23:30!10時間半にわたるマラソン・イベントをともに盛り上げてくださった参加者の皆様に、心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました!

参加された皆様お一人お一人が、今回のイベントを通して、日常を変える「出会い」「気づき」「行動」を得られたのであれば、スタッフとしてとても嬉しく思います。
そして、Crossover、NHLW主催のイベントで皆さんと再会できるのをスタッフ一同、楽しみにしております。

最後に、今回の企画は、「Crossover」と「NHLW」という二つの団体のスタッフが、それぞれの強みを活かしながら、一つのチームになって日々議論を重ね、ゼロから創り上げたものであることに改めて強調したいと思います。
その協働の過程は、今回のイベントの目的である「出会い」「気づき」「行動」に満ちたものでした。本業忙しい中、それぞれの持ち味を活かして、素晴らしいディスカッション大会をともに創ってくれたスタッフのみんなにもお礼を伝えたいと思います。

「みんな最高でした!ありがとうございました!!」

文責:平野(NHLWスタッフ)
宮野(Crossoverスタッフ)

 

2.ディスカッション報告


グループ 子

ファシリテーター
平野 慧(所属:NHLW/厚生労働省)
宮野 玲(所属:crossover/エネルギー)
新関 康平(所属:crossover/金融)

セッション1
多様性とは何か?多様性を認め、受け容れていくことの利点とコストは何か?

メンバー構成
職業 学生:2名、国家公務員:2名、会社員:3名、教員:1名、団体職員:2名
年齢層 20代:4名、30代:4名、40代:2名

主な議論
○ 「多様性」の持つ意味を多様な角度から理解すべく、冒頭「自分が今所属している組織やコミュニティの中で「多様性がある」と感じる瞬間はいつか?あるいは、多様性に欠けると感じたときはいつか?」について経験を共有した。出された意見は以下のとおり。
-「大きな木を切り倒すと光が差し込み植生上の多様性が生まれるように、多様性が生まれる時は、決まりきった秩序にインパクトが与えられた時」といった多様性が生まれる要因についての意見
-「ネットで自分が好きな情報を取れるようになっており、価値観がバラバラになっていると感じる。」、「労働者の考え方も多様になっており、労働争議に発展することも少なくない。」といった考え方の多様性が増しているという意見
-「特に中等教育までの学校教育の場では、LGBTやハーフの子など、受入が中々難しい部分はある。」といった場面によっては多様性を認めていくことは困難であるという意見

○ その次に、「多様性を認めることが組織や社会にとってどんな意味合いがあるか?具体的には、多様性を認めることのメリット、デメリットは何か?」について議論を行った。以下のような、単なるメリット・デメリットに止まらない議論が展開された。
-「人の能力を上げる場では、多様性を認めない方が良い。人としての知性を育てる段階では、多様性は関係ない。その後の自由な発想を認める時には、多様性を認めるべき。」、「労働の場面では、一組織内で多様性を保ち続けることはコストであり、無理な部分もあるため、選択の段階で多様性を確保すればいいのではないか。」といったどういった場面で「多様性」を認めるべきかに関する議論
-「例えば『何故結婚しないのか』など、少数派が常に説明を求められる形になっているが、多数派が説明することもあって然るべき。」といった「多様性」を認めるとは具体的にはどういうことなのかに関する議論
-「高度経済成長期は、数字を増やすことが良いことだという単一の価値基準に依っていたが、これからは多様な価値基準が必要であり、それを認めるような世の中になっていかなくてはいけない。」といった「多様性」を認めることの必要性に関する議論
-その他、働き方の多様性を認めることが組織効率に与える影響、労務管理上の課題等についても議論

セッション2
定年退職は必要か?~職場における年齢の多様性について考える~

メンバー構成
職業 国家公務員:1名、会社員:2名、自営業:4名、医療従事者:1名、団体職員:3名
年齢層 20代:3名、30代:4名、40代:1名、50代:1名、60代以上:2名

主な議論
○ 最初に、「定年退職制度」のメリット・デメリットについて上げてもらい、制度の功罪について以下のような議論を行った。
-「定年退職制度」は正規雇用や終身雇用、年功序列制度と密接に結びついているため、単独では議論できない。
-その上で議論すれば、定年まで雇用が保障されているゆえに、退職後にどう生きていくか考えることができないし、働く意欲と能力がない人が定年まで勤めあげることとなる。40歳定年とすれば、そういった認識も変わるのではないか。
-労働市場における強者の意見であり、そのようにできない人に対するセーフティネットが必要。アメリカの方が日本よりも厳しいイメージがあるが、アメリカでは就業における年齢差別が徹底して禁止されており、再度のチャレンジが許されているという意味では温かい。

○ その後、日本では労働人口減少の問題もあり、年齢に区別なく働けるようにしていかなければならないという前提に立ち、定年や終身雇用、年功序列など、労働法制全般としてどのようにしていくべきか、以下のような議論を行った。
-高齢者は体力面では若年層には敵わないが、知力・経験の面では勝る点がある。労働時間法制としても、時間ではなく、成果・付加価値で労働を評価したり、多様な働き方が許されるようにしていかないといけない。
-関連して、そのように付加価値で労働を評価しないから、日本人は仕事以外の部分でのストレスを職場で多く抱えることとなるし、組織への従属を生む。忠誠心や同族性ではなく、付加価値で評価されるようになるべき。
-一方で、そのような評価体系では十分な賃金・就労機会を得られない労働者も多数いると思うが、それについてはどう考えるべきか。
-非正規雇用の方々は、正規雇用者の雇用と年功序列型賃金を守るために犠牲になっているともいうことができ、全体として付加価値で評価されるようにしつつ、国家が保険制度なり税金なりで対処すればいいのでは。

○ 最後に、自分が望むような「老後」を過ごすために、企業や政府は何をすべきか、あるいは自分は何ができるか、考えてみたところ、以下のとおりとなった。
-「老後」という言葉自体が、男性・正規・終身雇用を前提としている。死ぬまで社会の役に立てるように、年齢に関わりなく起業・就労の機会を得られるようにするべき。
-事例として、農業関係では年配の方の意見が活かされ、うまくいっているケースがある。高齢者の意見や考えをいかに取り入れるかも重要。

ファシリテーターの感想
・「高齢者雇用」という一つのテーマについて考える際には、現役世代の雇用のあり方が議論の前提となるため、「高齢者雇用」単独で議論するのではなく、より広い視野を持って労働法制全般について考える必要がることを感じた。
・一方で、そのように労働法制全般で考える際は、労働市場には強者と弱者が存在するため、特定の層に著しく不利益が生じないような制度を構築し、国民全体の納得を得ることがいかに困難かを感じた。
・さらに、多様性が許容されるためには、他者の深い思想背景の理解が不可欠であることや、自分の身近な人以外と接することで自分の置かれた立場を客観的に理解することが必要だと感じた。

文責 平野 慧
NHLWスタッフ

 


グループ 丑

ファシリテーター
城 まさのり(所属:crossover/研究職)、淺野 優歩(所属:NHLW/厚生労働省)

セッション1
多様性とは何か? 多様性を認め、受け容れていくことの利点とコストは何か?

メンバー構成
職業 学生:2名、国家公務員:1名、会社員:2名、自営業:2名、団体職員:3名

主な議論
○ 冒頭、自己紹介の前に、直感で「多様性と聞いて良いイメージを持つか悪いイメージを持つか」を選択。全員良いイメージと回答。それをふまえ自己紹介として、1人1分で「名前、Session2のテーブル、多様性と聞いて何を思い浮かべたか」を含めて話していただいた。
○ 多様性の良い面悪い面を付箋に書き出し、模造紙に貼って分類。
○ 良い面は個人についてのものが多く、悪い面は社会についてのものが多い点に気づき、共有。
○ 出された意見は以下のとおり。
-良い点:個人の尊重(マイノリティの尊重、選択肢の拡大、他者からの多様な意見の摂取、イノベーション、解釈の幅を拡げられる、ありのままの自分を受け入れてもらえる)、争いが減る(無用な争いを避けられる)、新しい労働・人財(新しい労働力確保)、新しい発想(人としての成長、人生が楽しくなる)
-悪い点:共通概念の崩壊(移民問題、差別、伝統を守れなくなる、一番になれない、フリーライダーの増加)、規則や政策の混乱(悪用する人が多くなる、政策を作るのが大変、組織をまとめづらい、評価軸の混乱)

セッション2 私たちは「親の老い」、「自分の老い」とどう向き合っていきたいか?~多様な老後の、多様な支え方・支えられ方について考える~

メンバー構成
職 業 学生:2名、国家公務員:2名、地方公務員:1名、自営業:1名、団体職員:3名、その他:1名

主な議論
○ 冒頭、簡単なテーマの説明の後、隣同士ペアになって①名前、②このテーマを選んだ理由、③ペアの共通点、④自分が理想とする老後を項目として自己紹介を実施。その後、ペアの相手を全体に紹介。
○ セッションの前提として、「要介護5」を仮定することを共有した後、まず、親の介護をどうするのかについて参加者の体験談を共有。(実際の要介護5の体験談等)
○ その後、自分が老後になったときどうしたいのかについて参加者の意見を共有。出された意見等は以下のとおり。
-地域包括ケアが重要
-介護は専門性が高いのにそれが認識されていない。「家族介護」という語はおかしい。
-海外でケアするなどの発想は環境を変えるのでストレスが大きい。あくまで環境を変えないでどうするかが問題。
-サービスがないこととサービスを知らないことは別問題。普及活動が必要。
-老後において他人に迷惑を掛けることはしかたないことだという社会認識が必要。
-介護と看護の切り分けが曖昧である。
-介護事業者の負担が大きく補助無しには経営が難しい。自由市場としては成立していない。
-介護と保育は似た問題を抱えている。
-ITを駆使した新しいケアの方法を考えたい。

ファシリテーターの感想
・厚労省職員と内定者が3名いて専門性の高いチームとなった。
・親の介護、自分の介護の在り方については、多様性がありこれを認めていくことを共有できた。今後の課題として、この多様性を担保できるよう時代に応じて制度を見直すとともに、この制度に対する国民の理解を深めていくことが必要。

文責 城 まさのり
Crossoverスタッフ

淺野 優歩
NHLWスタッフ

 


グループ 寅

ファシリテーター
池田 洋一郎 (所属:Crossover/財務省)

セッション1
多様性とは何か? 多様性を認め、受け容れていくことの利点とコストは何か?

メンバー構成
職業 学生:3名、国家公務員:2名、会社員:3名、教員:1名、自営業:1名
年齢層 20代:5名、30代:2名、40代:2名

主な議論
○ 冒頭「自分が今所属している組織やコミュニティの中で「多様性がある」と感じる瞬間はいつか?」について経験を共有し「多様性」の持つ意味を多彩な角度から理解。出された意見は以下のとおり。
- 会社に設けられているマッサージコーナーで働く視覚障がいを持つ人と触れ合う
- 様々な組織や仕事で、多様なスキルを持つ人たちと仕事をしてきた
- 学校教育の現場で、一般的に「障がい」と捉えられやすい特徴を持つ子供たちを、他の子供たちが受け入れていける雰囲気づくりやコミュニケーションのあり方に悩んでいる
- 外資系企業や国際機関で時差・祝日の違い、言語の違いがある中、プロジェクトを進めねばならない
- 留学先の寄宿殆どの学生がLGBT(Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender)で、むしろ自分がマイノリティであると感じた

○ 次に「多様性に欠けると感じたとき」を共有し、以下の意見・経験が共有された。
- 国際会議で日本政府代表団だけが全員男性であるのを目の当たりにした
- 同級生の就職先が総じて安定志向で幅がないことを認識した
- マイノリティや障がいを持つ人に対する抑圧的・差別的言動を見聞きする
- 上意下達、統一行動、保秘、身内重視といった特徴を持つ組織に身を置く
- 長時間労働が常態化し、それを正す動機付けが生まれない組織で働いた
- メンバー同士の会話や議論に広がりが感じられない

○ 続いて、多様性を認め、受け容れていくことによる利点とコストについて議論
-「利点」:個々人が取り得る選択肢が広がり、誰もが生きやすい世の中になる。
長時間労働が減り、結婚・出産がし易くなる。
組織・社会に活力が生まれ、新たなアイディアやアプローチが生まれる。
-「コスト」:組織の規律・コンプライアンスや、業務実施上の保秘、機能性、安定性、効率性を保つために投じなければならないマネジメント・コストが増加する。
-総論では「多様性推進賛成」ながら、各論や自分事となると途端に難色を示す人が少なくない。
(例1:LGBTを認める人は、自分の息子・娘のパートナーが同性であることを受け容れられるか?)
(例2:フランスのように婚外子を許容する制度に賛成できるか?)

○ 最後に議論を終えての感想をシェア。出された意見は以下のとおり。
-「多様性」にも多様な見方がある。
-「多様性」を受け容れるのならば、「非寛容な姿勢に対して寛容であること」を求められるのか?
-LGBT、婚外子、夫婦別姓、いずれも日本では古くから存在し認められてきた。明治維新以後の制度や習慣だけをもって「日本の伝統・文化」とすることに違和感を覚える。
-組織の規律と個人の多様性許容とのバランスを如何にとるか、悩ましい。
-日本社会には「こうあるべき」という目に見えない括りが存在すると再認識した。

セッション2
日本は人種の多様性を受け容れられるか? ① ~移民受入れについて考える~

メンバー構成
職業 学生:2名、国家公務員:1名、地方公務員:1名、会社員:6名、自営業:1名
年齢層 20代:5名、30代:4名、40代:1名、70代:1名

主な議論
○ 冒頭「移民」の定義について、「自分は移民と思うか(思わないか)?」「それは何故か?」「身近な人に移民と思う人はいるか?」「何故その人を移民と思うのか?」について各々の見解を共有。「移民」か「日本人」かを区別する際のキーワードとして以下の事柄が提示された。
-日本国籍保持者か?/生まれ・育ちが日本か?/日本の教育を受けているか?/日本に帰属意識があるか?/祖先のルーツが日本か?/日本で居心地の良さを感じられるか(しっくりくるか)?/留学生か?/出稼ぎ労働者か?/自分が日本人であるというアイデンティティを持っているか?/政治的・経済的理由から母国で住めなくなった難民か?/肌の色・見かけが日本人らしいか?/日本にルール・習慣に馴染めるか?

○ そのうえで、政府見解や法律上も「移民」の統一的な定義は存在しないこと、及び、政府統計によると平成26年現在で日本に在留している外国人が約210万人(約1.7%)いること、及びその資格別、国籍別の内訳を確認。

○ 上記プロセスを通じて一言で「移民」といってもそのイメージは人それぞれであることを認識したうえで、「日本への移民更なる受け入れ」について「賛成」・「反対」それぞれの立場から以下のような意見を提示。

(賛成)
国境を超えてヒト・モノ・カネ・情報が自由に移動する世界の変化に日本が適応し生き残っていくためには、自らの風習や行動様式を、他者も受け入れて不断に見直し、進化させていくことが必要。
少子高齢化で建設業、介護・医療等、様々な分野で深刻化する人手不足を緩和できる。
色々な文化がある社会のほうが面白い。
人口減少が進む中で日本国内の消費の減少を食い止めることが出来る。

(反対)
治安の悪化、感染症の流行が心配。
永住外国人に与えられるさまざまな特権の濫用が目に余る。
貧困の下にある母子家庭や独居のお年寄り、うつ病で悩む人々等、現状の日本は、日本人ですら満足に幸せにできておらず、国内に格差や亀裂が広がっている。このような状態で外国人を受け入れる余地や余裕はないはず。まずは日本人を幸せにすることを最優先に考えるべき。

○ さらに思考を深めるべく、日本の基礎自治体の中で最も外国人比率の高い群馬県邑楽郡大泉町(人口4万人のうち約14%が外国人(大半は製造業の工場で働くブラジル人)をケースに議論。具体的には、1990年以降約10年続いてきた「サンバパレード」がゴミ問題、費用負担問題、犯罪増加、日本人町民間のブラジル人町民への不審の高まりといった理由から中止になった経緯を確認し、「もしあなたが大泉町民だったらサンバパレード再開に賛成か反対か」を議論。出された理由は以下のとおり。

(賛成)
観光業をはじめ町おこしの起爆剤としてのポテンシャルが高い
日本人とブラジル人がつながるきっかけとなる。
増えたとされる犯罪やごみは本当にブラジル人町民が原因なのか、うわさや偏見の可能性はないか、事実関係をしっかり確認すれば、相互不信は解ける。

(慎重)
相互不信があり、コミュニケーションギャップがある中、大規模な祭り再開を強行すれば一層溝が広がってしまいかねない。小規模な交流イベントを重ねつつ信頼関係を構築する時間を持つべき。
ブラジル人も巻き込んで丁寧にルールを作り、これを日本人もブラジル人も尊重する対話を重ねた上で慎重に再開をするべき。
巡回や警備の強化、対話の機会の用意等に必要なコストはだれが負担するのか見えない。

ファシリテーターの感想
・参加者から頂いた「多様性受入れには覚悟と寛容さの両方が必要」、「多様性を議論する際には、マネージャーの視点とプレイヤーの視点のバランスが重要」の二つが特に本質を突く重要な指摘として印象に残った。
・セッション2は議論が白熱し、尻切れトンボに終わってしまったことが反省点。チームメンバーの意欲も高いことから、移民受入問題についてさらに深く議論できるフォローアップイベントを企画したい。

文責 池田 洋一郎
Crossoverスタッフ

 


グループ 卯

ファシリテーター
笠井 南芳 (所属:HNLW/法務省(厚労省から出向中))

セッション1
多様性とは何か?多様性を認め、受け容れていくことの利点とコストは何か?

メンバー構成
職業 公務員:2名、会社員:5名、自営業:1名

主な議論
○ 冒頭「自分が今所属している組織やコミュニティの中で「多様性がある」又は「多様性がない」と感じる瞬間はいつか?」について経験を共有し「多様性」の持つ意味を多彩な角度から理解。出された意見は以下のとおり。
- 以前の職場では、価値観が統一されていて、窮屈だと感じた。現在インターナショナルスクールで働いており、帰国生や外国籍の子など多様にいるため、むしろグループが作れない環境にいる。
- 現在サッカーをしているが、それは障害者だけのチーム。一方で子どもの頃車いすテニスの選手と一緒に練習しており、そこには障害車とそうでない者の垣根がなかったと感じている。
- 保健師の仕事で乳幼児検診などをしていると、母乳/ミルクの与え方ひとつをとっても、年代・地域・国籍で多様。それは文化や土地柄、風習と呼ばれるものだと思う。
- 色々な会社と仕事をしているが、会社ごとに風習が異なる。
- 政治の世界では、政党ごとに考え方が異なっている。
- 介護の現場で働いているが、かつては福祉のマインドによって多様なことが出来たが、介護事業が民営化されたことにより、却って利益重視という方向性を目指すことにより、多様性が失われたと感じる。

○ 次に、多様性は受入れるべきか、受入れるために何をすべきかを議論した。
- 日本はこれまで単一の民族、単一の価値観(和の精神)で成長してきたが、日本の経済が逼迫し、生きづらさを感じる人が増えている。ブレイクスルーのために多様性を受入れることが必要とされている。
- 多様性が認められる社会においては、「障害」なんていうカテゴリーはいらないのかも知れないが、「障害」というカテゴリーを付けることにより、社会福祉を受けることができるなど、生きやすくなる。
- 「障害」の中も多様化しているのが現在の教育界。発達障害でも様々な形があり、どういう子はどういうところを伸ばしてあげるといいか、という考え方が進んでいる。
- 多様性と個性は異なる。多様性としてどこまでを容認すべきなのか。
- 多様性への対応は、民ができるところは民の力で対応していくべき。
- 子どものこと、普通学級と特別学級に分けられたり、様々にカテゴライズされたものが、社会でまた一緒になると、どう対応していいか分からないのでは。子どもの頃に多様を感じられることが大事。
- カテゴライズも階層によって見方が異なる。例えばあるカテゴリーで男女と分けられた人も、別のカテゴリーで障害とくくれば、違うカテゴリーに一緒に入ることもある。どの階層で自分をくくるかという見方によって実は多様な自分のカテゴリーが見える。
- 日本は“わび・さび”という、完璧なものよりも少し崩れたところを味と考えられる文化があり、実は多様性を受入れ易いのでは。
- 会社で決められた作業工程や法律を、「自分は多様だから」という理由で守れない人が出てきてしまってはいけない。多様性の範囲は一定の中で許容されるべき。
- ルールがあるだけでは、多様な人がそれを守るのが当然だということにはならない。何故そのルールを守らなければいけないか、そこからディスカッションをしていくことが必要。
- 「受入れる」という考え方は、自分をマジョリティと感じている立場からの発言。そこから変えるべきではないか。
- 自分にも受容できないところは必ずある。それは何故かということを一人一人が深彫りしていくことが必要ではないか。

セッション2
日本は人種の多様性を受け容れられるか? ② ~移民受入れについて考える~

メンバー構成
職業 公務員:6名、会社員:2名、医療従事者:1名

主な議論
○ 冒頭「移民」の定義について、「自分は移民と思うか(思わないか)?」「それは何故か?」について各々の見解を共有。「移民」か「日本人」かを区別する際のキーワードとして以下の事柄が提示された。
-市民権を保有しているか?/期間の長短ではないか?/家を買ったら移民ではないか?/生まれ・育ちが日本か?/一世、二世で異なるのではないか?/移民かどうかは受入れ側の価値観ではないか?/自分が日本人であるというアイデンティティを持っているか?/政治的・経済的理由から母国で住めなくなった難民か?/日本にルール・習慣に馴染めるか?/一定の義務を果たし、権利を得ることではないか?

○ 上記プロセスを通じて一言で「移民」といってもそのイメージは人それぞれであることを認識したうえで、「日本への移民更なる受け入れ」について「賛成」・「反対」それぞれの立場から以下のような意見を提示。
(賛成)
外国人にも日本人と同じ権利を与えられるよう、20年30年先を見据えて、今から取り組むべき。
経済難民が生じている中で、人道的観点から受入れを行いたい。
正式に受入れないと、イリーガルな組織に資金が流れる恐れがある。
日本人が移民となったときに、海外で受入れて欲しいと思うので、日本も同じように受入れられる国でありたい。
(反対)
現在の環境で受入れても、受入れ側も受入れられた側も幸せになれない。
現在の日本には、富裕層や高度な専門性を有する外国人が来るような魅力はなく、来るとしたらジャパニーズ・ドリームを追いかけるアジア等からの外国人だと想定すると、受入れによって日本経済が良くなるコストと受入れに伴い発生するコストを比較すると、受入れに伴うコストの方が大きく、経済面から見てもマイナス効果ではないか。
すでに日本に来ている外国からの“移民”を何とかするべきであり、新たな受入れは反対。
受入を進めると、日本人がマジョリティでなくなることに懸念。

○ 賛成/反対の議論においては、双方において①現状においては受入れの体制が整っていないこと、②受入れには一定のコストがかかること、についての認識が共有されたため、①を解消するために②のコスト負担をすべきかどうかについて、また①の受入れ体制の整備のために必要なこと、出来ることについて更に議論を進めた。
日本人は良い意味でも悪い意味でも日本人としてのアイデンティティに対する認識がゆるいところがあり、まず自分たちは何者なのかということをしっかり認識することが必要。
日本が世界に開かれた国になるために、コストの負担はしていくべき。
違いを認めながら乗り越えていくためには、根本的に心から相手を理解することが必要。
多様な人を認めるには、多様な経験値を持つ必要があるが、個人レベルで子どもに多様性を伝えられる大人が少ない。
日本社会になじめないことによる暴力・犯罪等の問題については、子ども教育が重要。コストは全てにかけられないので、外国人を含めた教育の現場にお金をかけるべき。

ファシリテーターの感想
・セッション1においては、多様性を受入れるための方策について、ルールがある場所でも、そもそもそのルールをなぜ守る必要があるのか議論することが重要であるなど、当たり前に見える「相手とコミュニケーションをする」という手段の重要性と、出来ているようで出来ていないことだということが印象的でした。
また、自分をマジョリティだと思わないことや、何層ものカテゴリーで分け、ある階層におけるカテゴリーの中に人を閉じ込めないようにすることなど、自分一人でもすぐに実践できる多様性の受入れ方のノウハウも共有することができた。
・セッション2においては、参加者の経験を共有することにより、移民の定義について具体的に考えることができた。
また、移民の受入れに係るコストに対しての冷静な議論と、それでもコストを負担すべきという、日本の現状を認識した上での覚悟ある市民としての議論が展開されたことに日本という国の希望を感じた。

文責 笠井 南芳
NHLWスタッフ

 


グループ 辰

ファシリテーター
田中 健一 (所属:Crossover/北京天衛診療所)

セッション1
多様性とは何か?多様性を認め、受け容れていくことの利点とコストは何か?

メンバー構成
職業 学生:0名、国家公務員:2名、会社員:5名、自営業:2名
年齢層 20代:2名、30代:4名、40代:2名、50代:1名

主な議論
○ 冒頭「自分が今所属している組織やコミュニティの中で「多様性がある」と感じる瞬間はいつか?」について出された意見。
- 同じ仕事をしていても勤務体系が異なっている。
-聴覚・視覚障害の人と同じ仕事をしている。
-大学卒業後の進路が人それぞれである。

○ 次に「多様性に欠けると感じたとき」はどのような時か。
- 就職の一括採用、その後のキャリアパスがほとんど同じ。
- 障害者の視線にたった町づくりがなされていない。
- 製品開発においてブレイクスルーに値するものがだされない。

○ 多様性はどこまで認められるかについて議論
-画一化された教育の中で育っていた日本人には無理なのではないか。
-良質な製品を作っていくために多様性は邪魔になるのではないか。
-異質な考えを受け入れられる土壌が育っていない
-労働者として移民を受け入れざるをえない中では否応にも多様性は身に付く

○ 最後に議論を終えての感想をシェア。
-「多様性」の定義から考えるべき。
-「多様性」と「秩序」はどこで共存できるのだろう。
-世代によっても受け止め方は異なるのではないか。
-多様性を認めることが非正規社員を増やすことを認める流れになることを危惧する。

セッション2
日本は人種の多様性を受け容れられるか?③ ~移民受入れについて考える~

メンバー構成
職業 学生:1名、国家公務員:1名、地方公務員:1名、会社員:4名、自営業:3名
年齢層 20代:2名、30代:3名、40代:3名、50代:1名  長期に海外で生活したことのある人数:3名

主な議論
○ 冒頭「移民」に会ったことがあるか?
-アメリカでは誰が移民なのかわからない(学校内に白人系は皆無だった)
-居住する自治体によっても移民に対するイメージが異なるはず。

○ 「日本への移民更なる受け入れ」についての賛否。
賛成:-労働力のためには必要。
賛成:- 環境変化により日本も応分の責任をはたすべき。
賛成:- 高度な技術の開発は日本だけでは無理。

反対:-このままでもなんとかなるのでは。
反対:-明文化されない習慣が多い日本では摩擦の方が大きい。
反対:-教育環境を整えない中での受け入れは反発をよぶ。

ファシリテーターの感想
・日本人の中でも多様性が様々で戸惑うことが多いのに、より多様性のある外国籍を受け入れる土壌がまだ日本には育っていないかもしれない。
・総じて若年層は反対の意見が多く、40代以降は賛成の意見が多かった。1名、高校1年生で参加した佐藤君は移民受け入れ反対の議論を1人で引っぱりみんなびっくり!スーパー高校生として名をはせた。

文責 田中 健一
Crossoverスタッフ

 


グループ 巳

ファシリテーター
岩本 友規(所属:Crossover/株式会社Lenovo)
中江 遼太郎(所属:NHLW/厚生労働省)

セッション1
多様性とは何か?多様性を認め、受け容れていくことの利点とコストは何か?

メンバー構成
職業 自営業:4名、会社員:3名、公務員:1名、学生:1名(公務員内定者)、士業:1名
年齢層 20代:4名、30代:2名、40代:1名、50代:3名

主な議論
○ 冒頭「自分が今所属している組織やコミュニティの中で「多様性がある」または「多様性に欠ける」と感じる瞬間はいつか?」について経験を共有し「多様性」の持つ意味を議論。出された意見は以下の通り。
- アメリカでレストランを経営したが、人種・経歴等、まさに多様だった。いわゆる「サラダボウル」といった感じだったが、結局お互いわかりあうというより、排除しないといった感じ。
- セネガルで働いていたが、現地は黒人ばかり。日本人的なやりかたが通用しない場面もあった。
- 日本国内でも、関西と関東で食文化が違う等、地域による多様性もあるのではないか?
- 個人的には、選択の自由が保障されている状態が多様性を確保できるというのだと思う。
- インターネットの普及によって、それを使いこなせていない年代が生まれる等、年齢によるギャップもある。

○ 続いて「社会・組織に多様性を認める必要があるか」について議論
- 基本的に、多様性がなくてもいい、という人はいないのではないか。
- ケースバイケースで、工場で働くのであれば、多様性はないほうがいい。
- 経営者としては、確かに標準的なほうがありがたいが、多様な働き方を認めないと、小さな企業では人材に簡単に代えがきかない。多様な働き方を認め合うことで会社としても人材が確保できる。
- キャリア教育で変わってくる面もあると思う。
- システムに関する職務等、技術的な業務であれば、外国人も受け容れやすい。職種によって、認めるコストは異なってくるのではないか。
- 時代が変わっていく中で、単純労働が必要になり、多様性が求められるようになった、ということではないか。日本全体で多様性を確保して「一億総活躍」を進める必要がある。
- 必ずしも「一億総活躍」できるとは限らない。社会にとって必要な多様性だけを考えても不十分で、実際にはとりのこされる人もいるのではないか。
- 老人だからだめ、というのではなくて、元々置かれている社会の状況が違うだけで、本質は同じでは?
- 多様性を保つことは「保険」と考えたらどうか。ずっとかわらないならみんな一緒でいいが、流動的な状況であれば、変化を受け容れられるよう、多様性を確保する必要がある。
- 工場だってどんな場所でも変化はあるし、変化を受け容れられることは大事。まして社会では多様性が必要なのではないか。

セッション2
障がい者の雇用義務付けは必要か? ~本当に障壁のない、多様な仕事場について考える~

メンバー構成
職業 会社員:4名、自営業:3名、国家公務員:1名、医療従事者:2名、小学生:1名、その他:1名
年齢層 10代:1名、20代:2名、30代:6名、40代:2名、50代:1名

主な議論
○ 冒頭で障害者雇用の現状や障害の定義、進め方について共有した上で、自己紹介を実施。

※ 自己紹介は、名前・所属・このテーマを選んだ理由、似ていると思う動物について

○ その後、3つの問いについて議論。出された意見は次の通り。

○ 問い①「これまで障害のある方と過ごした経験はありますか?」
小グループにわかれて、参加者それぞれの身近な経験についてシェアしていただいた。
- 元々働いていた会社に障害者として復帰したが、周囲から障害者として特別扱いをされることはなく、普通に働いている。障害者だからといって特別扱いしすぎるのは良くないと思う。
- 小学校に通っているが、私立だと障害を持っている人は試験で落ちる。
- 公立の小学校では、特別支援学級でわけて教えているが、少しかわいそうな気がする。
- 障害のある患者を受け容れるにあたっては、全体の空間デザインに工夫して、落ち着きやすいようにしている。
- 障害を持つ方とスポーツをしたことがあるが、競技によって障害を包摂できるものと独自のルールが要るものがある。そうしたギャップに、自分自身の学びがあった。
- 雇用を支援する立場におり、障害者雇用の環境が依然より労使とも徐々に良くなってきているのを感じる。
- 日々さまざまな分野の障害者・支援者と接しているが、若い世代の障害理解は進んでいる。

○ 問い②「今の制度・社会のあり方についてどう思いますか?」
引き続き小グループにわかれて、上の問いに関する
- 障害者を特別な場所に分けて働かせると効率的だという考えがあるが、他の人と一緒に働くことで社会参加に繋がる、という視点もあるのではないか。
- 経営者の立場からいえば、コストを払うのは避けたい、という気持ちがある。どういうメリットがあるのか、丁寧に説明してわかってもらうことが必要。
- 身体障害者は、施設の整備で対応できる側面が大きい(環境を整備すれば障害は乗り越えられる)。高齢化社会の中でバリアフリーはいずれにせよ求められるので、高齢者雇用と障害者雇用を一括して進めていくという考え方もあるのではないか。
- そもそも障害者が働くのは「権利」とも言える。もっと権利を主張しやすい空気を作ることは大事で、女性の社会進出や有休、育休・産休などは好事例ではないか。そういう意味で、今の制度(雇用義務付け)には意味がある。
- 雇用義務付けは悲しいことだが、それにより生まれるチャンスも確かにあることには大きな意味がある。
- 障害有無に関わらず、不得意な部分を補い合い強いところを活かす相互関係へ考え方を変えていくことが大事で、制度変更によるアプローチが急務。
- 日本人は「気を回す」ということができない。社会的無関心の問題にもっと切り込むべき。→良い行いを、社会ぐるみで「ほめる」文化の醸成が大事→企業体質を変えられる政策・名誉(を与える)制度もつくっていくべき
- (片方のグループで出た意見を)整理すると、切り口には制度(雇用制度・社内のキャリアアップ制度)の問題、一緒に働く人(マネジメント側、身近に働く人の無関心)の問題、当事者の意識の問題に分類できそう。
○ 問い③「あなたにとって理想的な職場、多様性を認め合う働き方とは何ですか?」
上記の問いに対する答えをひとりひとり画用紙に書いて発表。以下の意見が出た。
- みんなが生き生きできる社会をつくることで、障害者にとっても暮らしやすい社会になるのではないか(一億総修造社会)
- まずはそれぞれが違うということを認識するのが大事。その上で、でもそんな違いたいしたことないよね、と違うことを認め合うことができればいいと思う。
- 人それぞれ違うことを受け容れ認め合うことは大事だが、無理にわかり合う必要はない。ある程度現実的になってもいいのではないか。
- 障害は環境によって解決できることもある。眼鏡ができて、目が悪いという病気が克服できるようになったのと同じ。障害を固定的なものとしてみないようにしたい。
- 障害者の抱える問題とその他のいわゆる社会的弱者の抱える問題に共通点がありうることを強く認識。自分の身の回りの小さな気づきを解決することで、障害者も含めて社会全体を良くしていけるのでは。

ファシリテーターの感想
・普段の生活でこうしたファシリテーションの機会がないので、進行役の立場を維持するだけで精一杯でした。同じ障害者雇用・活用というテーマでもこれだけ多様な価値観や立場、切り口があることがわかり、翌日からの自分の考え方やアクションにさっそくいい影響が出ています。改めて「対話」の持つ可能性を感じた1日でした。ありがとうございました! (岩本)

・明日以降に生かせる指摘として「多様性を無理にわかりあうのではなく、その存在を受け容れ、排除しないことがまずは大事なのではないか」、「障害者に限らず、色々な特性をもった人全体を受け容れる社会にする一環として障害者も位置付けるべきでは」という意見が特に刺激的でした。そういった意味では、多様性に関わる問題につては、難しく考えすぎることなく、日常的なところから問題解決にあたるべきなのではと感じています。なお、障害当事者の方にも多くご参加いただきましたが、みなさま「特別扱いしてほしい」という意見ではなく、いわゆる社会の思い込みとのギャップも感じました。 (中江)

文責 岩本 友規
Crossoverスタッフ

中江 遼太郎
NHLWスタッフ

 


グループ 午

ファシリテーター
工藤 大輝(所属:Crossover/コンサル ※Session1, Session2)
福嶋 敬三(所属:Crossover/国家公務員 ※Session2)

セッション1
多様性とは何か?多様性を認め、受け容れていくことの利点とコストは何か?

メンバー構成
職業 学生:1名、会社員:5名、自営業:3名(男性 8名、女性 1名)
年齢層 20代 3名、他不明

主な議論
○ 初めに、Session1の目的を簡単に説明。自己紹介
→ 名前・職業・ディスカッションのチームとそのテーマに関心をもった理由。併せて、自分が所属する組織で「多様性」を感じることはあるかを話して頂く。
-他部署の人との共同で作業をするときに部署の其々の独自色を感じる。
-若い世代の人(若手)と話しをするときにギャップを感じる。
-介護の仕事をしており、常に個々人の違いを実感する場にいる。
-自営業をしており、現場で多様さを感じる機会は殆どない。
-保育の現場で働いているため、幼児の多様さを実感している。

○ 初めの自己紹介・テーマ選定の理由を伺い、グループメンバの中でのある意味“ぶっ飛んだ”個性を持つ人・積極的に発言をする参加者が不在。自己紹介の内容(問題意識・所属組織)を踏まえて、工藤が質問を投げかける形で進行。

○ 「多様性」というより、Session2での議論を目当てに参加している印象が強かったため、身の回りにある「多様性」への気づきを得、Session2でより多様な側面からディスカッションすることが可能になるよう、視野広げることを目的として進めた。

○ Session1のグループで中心となった多様性のトピックは「障がい者」と「世代間」。

○ 以下ディスカッションの中で出た意見。
-多様性=良いことのような風潮があるが、実際にメリットを享受している場面に出会わない。
-日本社会では、多様性に出会う機会が少ない。特に教育現場では健常児と障がい児が一緒に学ぶクラスが
-なく、社会に出るまでそのような環境に慣れていない。
-多様性を促進しようとしても現場レベル(バックオフィス・管理職)に対応した経験がないためにどうしたらよいかわからない。
-多様性を受け入れることで、人材の確保という側面では採用の幅が広がり、リソースの確保が容易になる。
-海外の人材が多様性として注目されているように感じるが、日本の中にも多様性はある。
-女性の活用、障がい者の雇用などはそれ自体がCSR的な側面が強いと感じるが、彼らが不満なく働くことのできる現場は、男性、健常者にとっても働き易い場である。アファーマティブアクション的に進めるのではなく、全体にとってメリットがあることをもっと強調すべき。

セッション2 あなたの考えるワークライフバランスとは?① ~多様なライフステージにあわせた、多様な働き方について考える~

メンバー構成
職業 地方公務員:1名、会社員:5名、自営業:2名、教育関係者:1名
年齢層 20代:1名、30代:4名、40代:4名

主な議論

○ 最初に再度、本企画の趣旨(『出会い×気づき×行動』)を再確認した後、自己紹介を実施。名前・所属・テーマ選定理由について共有して頂いた。

○ 自己紹介後、自身の労働環境についてアンケートを実施(ブラックだと思う人は挙手)。ファシリテーター2名を除く参加者全員が自分の置かれている環境は“ブラックではない”と回答。
→ 何が“ブラック”の環境を作るのかについての議論が中心となった。

○ 議論は経営者の目線から行われることが多かった。
-企業が上場することで株主からの短期的な結果を求められることが原因となっているのではないか。日本の投資家は短期的な利益を求めすぎている。欧州では株主が長期的な視点を持ってくれるので、労働者へのしわ寄せが少ない。
-残業をした方が残業代によって給料が高くなるので、早く帰る同期付けが弱くなる。
-経営者目線では、雇用を正規にするメリットがあまりない。制度設計が、非正規雇用を増やす方向に働きがちである。
-欧州で採用されているワークシェアリングなどは従業員の負担を減らすことはできるが、雇用者目線では1人でできていた労働を2人で実施するため、雇用保険の点など福利厚生の面から雇用者にとっては負担となることが多い。
-株式会社ワークライフバランスの小室さんは、ワークライフバランスはキャリアのフェーズによって変化するものなので、各フェーズに合わせてワークとライフを「マネジメント」するワークライフマネジメントという考え方が必要。
→ そもそも何をもってブラックとするかは人によって異なる。
→ キャリア形成の相談をこれまでは女性から受けていたが、最近では若手(20代)の男性社員からの相談も受けるようになった。
-ワークライフをマネジメントするには、ある程度自身に裁量があるか、上司の考え方による。
-専門的な知識が求められる業務では、自分の役割を他のメンバーに引き継ぐことが難しく、負荷の分配が図りにくい。結果として、ワークの量をマネジメントすることが困難であるこが多い。
-消費者の意識も“ブラック”な環境を作る一因となっているのではないか。過剰なサービスを求めることが労働環境を過酷なものにしているように思える。
ex.)すき屋のワンオペ、Amazonのprimeサービスによる流通業への負荷、格安ツアーetc.

ファシリテーターの感想
・Session1については抽象的なテーマであったこともあり、Session2につなげるためにざっくばらんに議論ができればよいと考えていました。実際は想像していたよりも議論が広がらず、参加者の意見を広げていくファシリに苦労しました。最終的には何とか発言のバランスを崩さずに終えることができたと思います。
・Session2では、Session1で議論をしていたこともあり、開始早々から議論が盛り上がった。一方で発言者に偏りがでてしまった点が反省。全体的に「多様性」というテーマに沿った議論はできたと思う。

文責 工藤 大輝
Crossoverスタッフ

 


グループ 未

ファシリテーター
安部 愛子 (所属:HNLW/内閣官房(厚労省から出向中))

セッション1
多様性とは何か?多様性を認め、受け容れていくことの利点とコストは何か?

メンバー構成
職業 学生:1名、国家公務員:2名、地方公務員:1名、会社員:3名、自営業:1名
年齢層 20代:4名、30代:1名、40代:1名、50代:1名、60代:1名

主な議論
◯ 最初に、以下のようにそれぞれの多様性に対する関心を表明。
・自身の職場を多様性のあるものに変えていきたい。
・人口減少下で、移民をどう考えるかという点から多様性に関心。
・家族介護に偏ると行き詰まるため、介護が社会化・多様化すべきと思っている。

◯ 次に、それぞれの関心についてどうしたら多様性が確保できるか議論。
・一つの組織にとどまると組織が人を変えてしまう、40歳定年制や新卒一括採用の見直しなどで人の出入りが活発化すれば、多様性が生まれるのでは。
・職場での多様性については、人口減少下では合理的な働き方の環境でないと人材を確保できないため、今後は多様な働き方や多様な人の活用が自然にできるようになるのでは。
・移民問題や国際紛争を考えた時に、一方的な情報だけで判断されていることがあるのではないか。情報格差が解消されることが必要。
・介護の社会化・多様化では人材不足が問題になるが、ロボットなどの技術革新で対応できる面もあるのではないか。

◯ ここで語られている「多様性」とは一体何か、について議論。
・多様性がまず語られるのは生物多様性。一つの場所にあらゆる生物が生きるのでなく、それぞれに適した環境で生息する。また、生息する環境に適した形に進化していく。人間社会の多様性も、現状に適応しなくなれば変化していくということではないか。
・「多様性を認める」という価値観が世界のあらゆる場所で認められるのが多様性か、それとも、ある社会では画一的な物事の在り方しか認められないこともあるのが人間社会全体で見た時の多様性か。これは両方あり得て、それぞれの社会において、最低限のルールと、認められるべき多様性のバランスがあるということではないか。
・最低限のルールと認められるべき多様性の境界は。思想の自由などは心の中の問題であり、他人への影響がないものは立ち入られるべきでない。他方で、コミュニケーションが取れなければ多様性も成り立たず、例えば言語については最低限のルールとして一定の決まりがあって然るべきではないか(日本暮らすために日本語能力を求める等)。

◯ 最後に、多様性はなぜ必要か、どう確保するかを議論。
・生物多様性と同様に、一つの在り方のみではリスクが高く、多様性がある方がリスク管理からも良い。さらに現状に適応して変化もしていきやすい。
・多様性の確保とは、社会の在り方については意思決定プロセスの問題では。いかにして多様な意見を拾い上げつつ、最後は一つの決定を下すか。
・社会の中での多様性は、生物多様性と異なり、特に組織社会では放っておくと失われやすい、ある種人工的なものではないか。多様性をいかに確保するかということを意識的行うべき。

セッション2
あなたの考えるワークライフバランスとは?② ~多様なライフステージにあわせた、多様な働き方について考える~

メンバー構成
職業 学生:3名、国家公務員:1名、会社員:4名、自営業:1名
年齢層 20代:2名、30代:6名、40代:1名

主な議論
◯ まず、自身のワークライフバランスをめぐる状況について表明。
・コンサル業界ではプロジェクトが炎上すれば徹夜もざら。また、作業に時間をかけるだけ良いものにもなるという性質。今は仕事が楽しく不満はないが、上の人を見ると家庭との両立は大変そう。
・看護師は夜勤があるが、家庭との両立の点から夜勤をできるのが若い人に集中しがち。
・労働規制は守られていないし、生産性で評価されていない。有能かどうかより、いかにその組織にコミットできるかで評価されがち。
・学校の先生は、生徒・保護者・同僚の先生などとの人間関係が重要。部活動もあり、休日夜間問わず拘束されがち。
・自営業の場合は自分で取りに行かなければ仕事がない。
・就職活動では、ワークライフバランスのことを聞きづらかった。やりがいのある仕事がしたいので仕事の内容で選んだが、実際働き始めるとどうかという思いはある。

◯ 次に、ワークライフバランスの実現をどう考えるかを議論。
・働きたい人が好きなだけ働けば良いという発想では、働きづらい人に不利。多様な選択肢も認められるべき。
・過労死の問題もある中、労働時間が長かったり夜中の急な発注に対応できる企業が、顧客から選ばれたり競争に勝つという社会環境は変わらないといけない。
・ワークライフバランスは雇用されている人の話。外国でも、エリート層はものすごく働く。ただし、長時間仕事ばかりしていることで、インプットの機会や人生の充実という点から失っているものもあることに留意が必要。
・海外では、遅く帰る人は仕事ができないとみられる。日本では、ジョブ・ディスクリプションが明確でないために仕事の評価をうまく行えず、長く働くことで評価されてしまっている。今後は外国の人が日本で働くことも増えるので、変わらないといけない。
・上記はホワイトカラーの事務職の議論ではないか。看護師の場合、キャリアを登りつめる人はごく一部で、評価で競い合う感じではない。労働時間管理は厳しくなっている。ただ、仕事中はずっと動き回っているので疲労が大きい。ワークライフバランスを職場で求める前に、疲れて辞めてしまう人も多く、看護師のキャリアをどう考えるかに関心を持った。

◯ ここで、ワークライフバランスの実現のために、社会や制度はどうあるべきかを議論。
・まずはサービス残業撲滅。労働時間問題だけでなく、別の人の雇用機会も失われている。
・労働時間の上限規制をしても、現状でも法律が守られていないのに効果がない。それより、インターバル規制を自主的に行っている企業や、多様な働き方が可能な先進的な企業が選ばれるようになり、そうした取組が当たり前になるよう広まっていったら良い。
・働く人が企業を選べるようになるには、年金制度をポータブルにしたり、ジョブカードなどで転職しやすくするべき。労働移動しやすい受け皿の確保も重要。
・組織の中でも、長時間労働をする人が評価されるのではなく、多様な人が認められる評価基準になっていくべき。国で一律の評価基準を示す必要はなく、企業の状況にあわせて変わっていくと良い。また、裁量労働制なども、単に労働時間規制を外すだけでなく、適正な評価基準とセットであるべき。
・現在の管理職世代は今後親の介護の問題に直面する人が多く、意識や働き方は変わっていくのではないか。

◯ 最後に、自身はどう行動するかを表明。
・自分自身、付加価値を生み出すという意識で働いていく。
・組織ルールに拘束されず、外に出たくなった時に出られるよう、自分を高め続ける努力をする。
・周りの空気を読まず自分が率先して早く帰る、有給をとる。「帰る」と自分で宣言する。管理職としても部下にどんどん有給をとらせるなどワークライフバランス実現を後押しする。
・自分自身、他人の評価を労働時間でしていた面がある。仕事の質を見るよう見直したい。
・仕事を、させられるものでなく、ポジティブに捉えられる人を増やしたい。組織人として個人としての考えのギャップが大きい。本音で話す雰囲気を作り、ギャップを埋めていきたい。

ファシリテーターの感想
・セッション1は「多様性とは」というテーマでファシリテーションが難しかったが、議論の中で、生物多様性との比較や、社会の多様性は人工的なものではないか等、様々な問題提起をもらえて、普段の会話では出てこない面白い議論ができた。
・セッション2の「ワークライフバランス」については、制度の在り方について、国で上限規制などをするよりも、組織にしばられず移動が可能で、良い取組を行う主体が選ばれるようになるべき、という、当初自分で考えていたものとは違った議論になり面白かった。最後の自分自身の取組表明では、努力している仲間がたくさんいるのだと勇気付けられた。

文責 安部 愛子
NHLWスタッフ

 


グループ 申

ファシリテーター
田中 里沙 (所属:Crossover/総務省)

セッション1
多様性とは何か?多様性を認め、受け容れていくことの利点とコストは何か?

メンバー構成
職業 高校生1名、国家公務員:1名、会社員:4名、教員:1名、医療関係1名
年齢層 10代:1名、20代:1名、30代:6名

主な議論
○ 冒頭「多様性」という言葉から連想すること、分野を2人1組で意見交換後、グループで共有。出た意見は次のとおり。
- バックグランドの違いによってアウトプット違うこと。新しいアプローチを生み出すには多様性が必要。
- 働き方の多様性。考え方・環境の違いによって認め合えるかどうかが変わってくるもの。例えば、労働における組織(職位)のピラミッド構造においては、介護者やシングルマザーは働きにくい。
- 国籍、年齢。そして文化。特に文化については、日本は一応単一であり多様性がないので、他の文化への理解がない。
- 「多様性」は漠然としている。

○ 「自分が今所属している組織やコミュニティの中で「多様性がある」又は「多様性に欠ける」と感じる瞬間はどういうときか?」について経験を2人1組で意見交換後、グループで共有し。出た意見は次のとおり。
【多様性に欠ける】
- 言語が日本語のみで、様々なものが日本人のためだけに作られている。
- オリンピックを開催するのに看板の標記の翻訳レベルが低い。看板の場所も分かりにくい。HPのEnglishがあっても情報量が少ない。多様性を考えた取組が必要。
- 日系の会社の経営陣は、日本人・年輩の男性と単一的な経営陣で意思決定をしていることに疑問を持つ。例えばアメリカでは、ボードメンバーに女性がいるのも当たり前。年齢層もバラバラ。新しいものを生み出していくには多様性が必要。
- 学校教育の現場では、教育一筋の人ばかりなので、授業があると休むことが出来ない。働き方が決まってしまっている。
- 高校生だがシリコンバレーでインターンをしてプログラミング作りに関われた。日本では高校生でインターンはできないし、できても仕事に関われない。日本でも(インターンで高校生を受け入れる)仕組みがあった方がいい。
- 生物多様性の計画に携わった際に、多様性を確保するための計画のハズが、出来上がったものは均一で多様性があるとは言えなかった。考え方を柔軟にして地域の特徴を活かさないといけない。

○ 出た意見が「多様性に欠ける」ばかりだったので、次に「多様性がある」と感じた経験を共有。出た意見は次のとおり。
【多様性がある】
- 日本のファッションはとても多様。原宿を歩くと、ストリート・ヒップホップ・クラシック・メイドファッションと様々な。海外ではあまり見かけない。
- 美容の通信の専門学校でスクーリングに参加していた人達は、年齢も経験も様々だった。

○ 続いて、「多様性に欠ける」と感じているグループだったので、その原因・理由を議論。
-「構造」:島国。単一言語により日本国内で完結している。
物を作る産業構造時代は多様性がなくても良かったが、新しい価値を生み出せない。
-「mind」:人のことに口を出さない気質。常に気を配っている。
WWⅡ後、1人1人が頑張ってきた日本社会。違うことを受け入れない。
日本人が「日本人」とは、定義を明確に理解していない。違うことに対する拒否感。
日本社会に不足している物がないので、進歩したいという気持ちが足りない。

○ 最後に、「多様性が欠けている」と感じる現状を変えるために私たち又は社会がすべきこと、できることは何かを議論。出た意見は次のとおり。
- 組織で柔軟に働けるように、休暇の取り方をトップが自ら1ヶ月休むなどして変えていく。
例) ボランティア休暇は機能しないので廃止したが、社長夫人にボランティアに出てもらい、周りも自然にボランティアで休暇を取るようになった。
- トップダウンでの発信に加えて、ボトムアップで現場から上司とコミュニケーションを取って変えていく。
- 個人レベルでは、異質な物を拒んでいるメンタリティを意識する。多様性は面倒な面も受け入れて飛び込んでやってみる。
- グローバル教育は重要。また、教える側も色々な経験を持った人が教えるべき。
- 多様性がある社会でも、このグループのファシリテーターのように方向性を示す人、一本の軸は必要。核の部分持ちつつ多様性を受け入れていくべき。

セッション2
あなたの考えるワークライフバランスとは?③ ~多様なライフステージにあわせた、多様な働き方について考える~

メンバー構成
職業 学生:2名、国家公務員:2名、会社員:4名、外資系1名、NPO団体:1名
年齢層 20代:4名、30代:4名、40代:2名

主な議論
○ 冒頭なぜ「ワークライフバランス・多様な働き方」を選んだのかを共有。出た意見は次のとおり。
- 職場の働き方が固定化されていて、新しいアイディアが生まれないと感じている。
- 今世の中に求められているテーマだから。
- 会社も推奨しており自分も実践しているので、客観的に検証してみたい。
- 仕事が忙しくてWLBが取れていないので問題意識を持っている。
- 制度だけでなく人と関係性に関連するテーマで興味を持っている。
- 大学院でWLBの研究をしているため。○

○ その上で、各人が描いている「WLB」が差すもの、内容は、同じものだったのか、違うものだったのか、2チームに分かれてディスカッションし、グループ全体で共有。出た意見は次のとおり。
【バランス】
- 仕事と生活・家庭・人生の関係性であり、各人・性別・1人のライフステージによってそのバランスは異なるもの。
- バランスに最適解を求めていくもの。
- バランスが取れている人は、仕事でもプライベートでもイキイキしており活発。
- 自分が選択できる制度があることが大事。
【関係性】
- ワークからライフにかけてグラデーションがあり、極左のWから強制的に労働が求められるもの→自主的に働くもの(ボランティア)→公的に近い社会活動→仕事のための勉強→趣味のLにつながっている。
- Lをする、Lを維持する、Lの問題を解決できる多様な働き方が必要。

○ 次に、思考を深めるべく、グループで共有したワークライフバランスを実現するための課題について議論。出た意見は次のとおり。
- そもそも労働時間が長時間拘束されることに問題がある。
- 多様な働き方を実施するための制度(例:テレワーク、モバイルワーク、介護休暇、育児休暇等)がそもそもない。又は、制度があっても利用しづらい職種(例:看護師)であることや、利用できる職種でも周りの目や空気が気になって利用できないことが課題。

○ 最後に、共有した課題を解決するために、個人が又は社会が取り組むべきこと、できることは何かを議論。出た意見は次のとおり。
【個人】
- 今ある制度をうまく利用していけるように意識を変えていく必要がある。
- そもそもの働き方を効率化するよう、1人1人が心がける。「定時で帰れる人って仕事早くてカッコ良い!遅くまでダラダラ残業している人ってカッコ悪い!」という空気を作っていく(自分から上司に働きかけていく。話しやすい上司とコミュニケーションを高めていくことは大事)。
- 机に座ってパソコンで資料を作成するだけでなく、カフェスペースで雑談をしながらメールチェックをする、音楽を聴きながら仕事をするなど、働き方の自由度を高めることが、新しいアイディアを生み出すのではないか。
- スマホの売れ行きのように、徐々に売れ出した瞬間が重要で、どんどん広げていくことでマジョリティに受け入れられる。
【社会・制度】
- 今は、経営者側・管理職に、「○○の制度を取得させなければならない」という義務はないが、義務化する、又は取得させることを経営者・管理職に対する評価の指標とすることとして、多様な働き方を実現していく。

ファシリテーターの感想
・セッション1は、抽象的なテーマであったがため、ファシリテートが非常に難しく感じたが、「多様性」を必要だと感じる意義、なぜそう思うかについてもう少し深掘りして議論できればよかったと反省。
・セッション2は、自分自身が問題意識をあまり持っていなかったテーマだったため、今回様々な経験者と意見交換をし、各人が考える課題の共通項、そしてその課題解決に向けたアクションを考えることで、自分自身が改めて問題意識を持ち自分事として捉えることができたことが大きな気付きであった。

文責 田中 里沙
Crossoverスタッフ

 


グループ 酉

ファシリテーター
服部 真子(所属:Crossover/NHK World)

セッション1
多様性とは何か?多様性を認め、受け容れていくことの利点とコストは何か?

メンバー構成
職業 学生:1名、小学生:1名、国家公務員:1名、地方公務員1名、
会社員:5名、自営業:1名

主な議論
酉班まとめお読みいただきありがとうございます!

<初対面のバラバラな個性を持った10人の議論を短時間で深く活性化させるために試みた工夫>
① ゴールがないことの共有:多様性とは●●である!と定義することがゴールではありませんと確認
② 横パスの奨励:ファシリテーターの質問を待たずに、お互いに質問し合ってくださいとお願い
③ 発言は、大きな声ではっきりと。そして、積極的にあだ名・名前を呼び合ってくださいとお願い

○ 酉班にはなんと、小学生の女の子も一緒に参加してくれました^^!飛び入り参加の方も含め、全員が積極的に参加、かつ「多様性」に関する理解が深まるためには?という事を念頭に進めて行きました。

○ 自己紹介と、「自分が今所属している組織やコミュニティの中で「多様性がある/ない、と感じる瞬間」の共有
【多様性があると感じたとき】
・日本の移民に関する番組を制作したとき/各国の新人社員を集めて一斉に研修をしたとき/日々同じ日本人でも考え方が多様だなとかんじるとき/同年代でもキャリアによってスキルの差を感じるとき/障がい児のための歯科医院に行った時/男女と考えただけでも違い過ぎている
【多様性がないと感じたとき】
・皆サラリーマン&スーツで会話の内容も変わり映えしないとき/飲み会に毎回コンパニオンが呼ばれ毎回同じような内容の話が繰り返されるとき

<ちょっと一息・小学生の女の子に聞いてみました>
Q. 自分と違うなと思う子、障害を持った子と初めて会った時どう思った?どう感じた?
A. 小学校の入学式のように感じた。(初対面の人のように感じた)
Q. 今の自分のクラスに障害を持った子が来てもいい?
A. いい。
Q. クラスの皆も受け入れられると思う?
A. 受け入れられる子と受け入れられない子がいると思う。
Q. どんな子は受け入れられない子だと思う?
A. 自分と合わない子を省いてしまう子。
・・・大人も子供もそう変わらない課題を持っていそうです。

○ ここまでチーム全体として、「社会に多様性はあるね!」という一定の結論に達しました。

○ では、その多様性に対してどのように対応していくのか・・・以下のような問いを重ねました。

【日本は「空気」に支配されている?!】
・空気が読めるというのは何か?/暗黙知・「あ・うん」の呼吸は効率がいい/1を聞いて10を知れ/旧ユーゴスラビア指導者チトー「君はあれを・・・」で理解できる組織作り/「まぁまぁ」で解決し白黒つけない利点/察するというのは重要な力とみなされているような気がする/気がきくってなんでしょう?/想像力/裁判の時は言語化がマスト

○ 言葉にしなくても判りあえるというのは、一種の「知恵」なのではないかという話がでました。
【多様性があってはダメな瞬間は何か?】
・組み体操・合唱コンクール・軍隊(命令系統)/ルールを守る必要があるとき
【「多様」な人たちの中の間で「空気を読め」は通用するか?】
・教育レベルが均質でない状況では無理/9:00AMに集合と言っても、イタリア人、ドイツ人、日本人は全員バラバラの時間に来る。イタリア人は9:10、日本人は8:55に来る。言語化はマスト。

○ 単に言葉にして伝えるのではなく「相手の心に届く形で言語化する」というのが、多様性を力にするキーなのではないかという結論に至りました。
★ 「相手の心に届く形で言語化」というのは優しさがありとても素敵な表現だと思いました。事実と解釈を分けて言語化していくことが大切だなと私自身は感じました。

セッション2
国民総幸福度(GNH)は必要か? ~多様な幸せのモノサシについて考える~

メンバー構成
職業 学生:1名、国家公務員:2名、地方公務員:1名、会社員:4名、自営業:1名
年齢層 20代:3名、30代:4名、40代:1名

主な議論
<幸せについて本気出して考えてみる班ということで参加者幸せ度を上げるため試みた工夫>
① 隣の人とペアになり自己紹介しあったのち、他己紹介と相手のいいところを発表してもらった
② 暗い話と明るい話のバランスに着目しながらの進行

【あなたの幸せ度を1〜10で表すと?】
まず、2〜10の数字に割れ、平均は6.4でした。こんな理由が挙げられました。

満足度3〜4:・理想と現実とのギャップがある・時間がない・寂しい(パートナーの不在)
・使命はあるが健康が追いつかない・心配性である
満足度5〜7:・時間に余裕があるが自信が持てない・日本の雰囲気が暗い・仕事の裁量が減った
満足度8〜10:・やりたい仕事がやれていて、もっと不幸な人もいると思う・自然と笑顔になる瞬間がある

○ 参加者から「人は幸せを感じる時、人と比べる場合と、自分の時間軸でみる場合があるね」との分析。
相対的に捉えることも主体的に捉えることもどちらも重要な気がしました。

【個人の幸せの判断基準は何か?】
全体を半分ずつにわけ少人数でグループディスカッションを行いました。
最終的には、以下の4点でてきました。
・経済的余裕/精神的な余裕(自己肯定感)/健康/衣食住の確保

マズローの図と比べてみると重なることを確認しました。

【全体の幸せとは何か?】
所得の推移と生活満足度の推移、平均寿命の推移などを見て、今日この場にいない人たちのことも含めて何が幸せの条件となりうるのか、話し合いました。時間切れで、どうしたら国民総幸福度を作れるかというところまではいけませんでした。

【幸せ度が10になったあなたはどんな人?】
最後に、それぞれの幸せ度10の状態を宣言してもらいました。

ファシリテーターの感想
・ディスカッション大会に参加してくださった皆さんは多様ではあるが、問題意識はとても高く、幸せ度も高い人たちであることは間違いないなと思いました。どうしたら国民全体の底上げをしてゆけるか、もっと考えられると良いなと思いました。
・短時間でできるだけ皆さんの知恵を集約できるようファシリテーターとして精進したいな!と思いました。

文責 服部真子(ちょり)
Crossoverスタッフ

 


グループ 戌

ファシリテーター
石山 喜章(所属:Crossover/株式会社CCO)、金沢 侑加(所属:NHLW/厚生労働省)

セッション1
多様性とは何か?多様性を認め、受け容れていくことの利点とコストは何か?

メンバー構成
職業 学生:1名、国家公務員:1名、会社員:2名、医療従事者:1名、自営業:2名、社会福祉法人:1名、団体職員:1名
年齢層 20代:1名、30代:5名、40代:2名、60代:1名

主な議論
○ 冒頭「自分が今所属している組織やコミュニティの中で「多様性がある」または「多様性に欠ける」と感じる瞬間はいつか?」について経験を共有し「多様性」の持つ意味を議論。出された意見は以下の通り。
- 米国にしばらく留学していたので、日本に帰ってきたときに民族と文化の単一性に違和感を覚えた。
- 日本は同一性を求める傾向があるが、多様化も進んでいる。
- 自分が働いている病院ではネパール人・インド人の外来が多く、英語を話せない人もいる。ヒンズー語しか話せない患者を相手に、誤解を与えず治療するのは非常に難しい。
- 日本は移民や留学生に対して職場を提供し切れていない。「ごめん、要らなくなったから国へ帰って」という姿勢でよいのか?と感じている。
- 多様化が進む現代社会では、どう価値観の違いを乗り越えるのか?が課題だと感じる。
- 昔は他の省庁を批判していたが、震災後に全省庁が集まる復興会議で顔を合わせたメンバーは一人ひとりがとても立派な人物で、本当に国民のことを考えて動いていた。文句を言っている相手の顔を見てなかったので、視野が狭いと考えが部分最適に陥りやすいことに気づけた。
- 弊社の倉庫では外国人雇用が増えてきた為、文化や習慣の違いから外国人労働者を排斥しようという考えの社員と衝突することが多い。彼らが居ないと仕事が回らないのに分かり合えない。
- 一人ひとりが相手を理解する幅(受容力)を広げる必要がある。

○ 続いて「多様性の定義」と「社会・組織に多様性を認める意義とコスト」について議論
-「利点」:価値観の統一された組織はスピードが速く、効率性が高い。震災後の復旧段階では自衛隊が出動し、復興段階では民間にバトンタッチしたように、役割分担が重要では。
-「コスト」:完全にバラバラでは組織としての体をなさないので気持ちの面と仕組みの面で融和策が必要。その融合作業がコストになる。基本的人権(人名や財産)を守る部分は皆賛成となるが、それ以外では意見の対立をどう融合させるか?が課題&コスト。

○ 最後に議論を終えての感想をシェア。出された意見は以下のとおり。
-就職活動中に「我が社は多様性を大事にしています」って企業の面接に行ったら全員黒一色のスーツで「どこが?」って感じた。
-某市役所のTTP(徹底的にパクる)戦略は恥ずかしい。もっとオリジナリティを出せないものか。
-役所の場合はチャレンジが難しく統計的に正しい判断を取ると前例ありきの真似ごとになる。
-多様な価値観をすべて認めればカオスになる。多様性を認めつつも法律で決めたことは全員が守らなければ秩序は生まれない。個人と組織の価値観の違いにどう折り合いを付けるのかが重要。
-気付いた人から自分が変化して視野を広げ、受容していく姿勢が大事。

セッション2
多様性を尊重する社会に潜む孤独とどう向き合うか? ~誰もが他者や社会とのつながりを見出せる心の姿勢について考える~

メンバー構成
職業 学生:2名、国家公務員:2名、団体職員:1名、会社員:5名、自営業:1名
年齢層 20代:5名、30代:4名、40代:1名、50代:1名

主な議論
○ 他己紹介の後、冒頭で20世紀から21世紀にわたる仕事・生活・価値観の変化、離婚率の上昇、孤独死者数の増加などのデータを共有した上で、3つの問いについて議論。出された意見は次の通り。

○ 問い①「多様な価値観を許容する社会において、我々はどのように生きるべきか?」
-価値観の多様化が進むと人は孤独になる。自団体でも如何に孤独を防げば良いか?が課題。
-おせっかいや周囲からの干渉が減った分、誰もが孤独になりやすい。
-ケージ理論(孤独マウスに麻薬入りの水を飲ませると中毒になるが、つがいのマウスの場合は普通の水を選択するようになる)では寂しさや孤独感が麻薬中毒の原因。清原もそうだと思う。
-自分の状況を説明できなくなったとき、苦しさを感じる。なんで結婚してないの?どうして子供ができないの?なぜ就職できなかったの?など、皆は出来ているのに・・と責められるときなど。
-生まれた土地や性別、属するコミュニティー(宗教など)が、自分でも好き・良いと感じられればストレスはないが、生まれ持った属性が気に入らない場合にストレスを感じて孤独になる。(LGBTなども)
-現代は情報量が多すぎて租借・整理できないし、整理能力を上げるような教育も大学に存在しない。
-多様な考え方がありすぎて、何を中心軸や基準として判断すればよいのかわからない。
-自ら外出してこういう場に参加できる人はまだ良いが、そうでない人は孤立してゆく。

○ 問い②「多様な価値観を認めつつ、どう秩序をつくるのか?」
多様な価値観をすべて認めたら殺人やISISの蛮行も認めることになる。国家に法律があるように、組織や社会にも秩序は必要。では、多様な価値観を認めながら、どう秩序をつくればよいのだろうか?
-秩序やルールは不要、すべてなくしてしまえばいい。人間であれば心地よいと感じるポイントは一緒なのだから、自然と当事者同士の話し合いで解決されるはず。
-医師免許も不要となると、医療の品質を担保できない。食品業界においても同様。
-ルールが必要かどうかは性善説と性悪説、どちらの立場に立つかで変わる。
-規定やルールは必要最低限にして、法律同様その解釈と運用で対処すれば良いのでは。
-私たちが情報を選ぶ力も必要。マイノリティに配慮する姿勢も。
-個人の価値観と組織や社会の価値観が違うと、相手が大きいので従うしかない。
-生き方は自由でいいと思うが、生命・身体・財産を守るルールは必要。

○ 問い③「価値観の違いを乗り越える心の姿勢とは?」
価値観が違うことから生まれる摩擦・衝突・葛藤を各参加者が普段どのように克服しているか?について共有し、明日から自分は何を変化させればよいのか?を議論。
-無条件で従わなければならないというのは抵抗があるが、決まりごとがあっても、それを変化できる可能性があるならいい。(政治家が嫌なら投票で変えられるなど)
-LGBTの結婚制度など、昔は社会的な認知を求めていなかったマイノリティが「私たちも婚約制度に入れてよ」と言い出した。前提が変化していることを我々は認識する必要がある。
-相手を理解することは難しいが、相手の存在を認めて共存することは必要。
-判断基準は人権。できる限り平和に生きる権利をはく奪しない範囲で、話し合いによって決めるしかない。
-その線引きさえ難しい。某国の部族では小さい女の子の性器を傷つける風習があり、彼らにとっては常識なのだろうが、それは止めさせたいと私は思う。一方でイスラム教徒は、髪=女性の恥部と認識しており、ヒジャブ(顔を覆う布)を強制的に脱がせることは公衆の面前で無理やりブラジャーを脱がせる行為と同じなので、彼女たちの価値観を大切にしてあげたい。
-価値観の違いを乗り越える為の心の姿勢とは、
・相手の目的や意図を確認すること
・相手の目線やフィールドに立ってみること
・共通のビジョンやゴールを設定すること
-別に乗り越えなくてもいいと思う。
-完全に解決することは不可能なので、少しでもマシになるコミュニケーションを取るのが重要。

ファシリテーターの感想
・セッション1・2を通して「多様化には総論賛成・各論反対」の姿勢が見受けられ、共通課題は「(自分と関係する人との)価値観の違いをどう乗り越えればよいか?」だったように感じました。解決策は「観点の自由自在化」にあると私は認識していますが、この場を通して問題意識が深まる方も多いようなので、その問題意識に対する解決策や提案を皆で議論する場を創りたいと感じています。(石山)

・このチームのセッション2のテーマは一見捉えどころのないものでしたが、自分自身が感じた身近にある孤独から、新たな時代の潮流、人権感覚、相対的な価値と普遍的な価値、マジョリティとマイノリティ、民主主義とは、といった深淵なテーマまで議論することができました。各自の問題意識に基づき、すでに具体的な行動を移されている方も多く、私自身、強く刺激されました。参加された方々にとっても、実りのある時間となっていれば幸いです。(金沢)

文責 石山 喜章
rossoverスタッフ

金沢 侑加
NHLWスタッフ

 

 

本格的な少子高齢化と人口減少が到来する2030年に向け、あなたは、今、何に取り組み、何に備える?

本格的な少子高齢化と人口減少が到来する2030年に向け、あなたは、今、何に取り組み、何に備える?

官民協働ネットワークCrossover主催
異業種政策ワークショップ

 

 

少子高齢化と人口減少問題を語り、行動する異業種政策ワークショップ第三弾

本格的な少子高齢化と人口減少が到来する2030年に向け、あなたは、今、何に取り組み、何に備える?

 

 

 

報告書

 

 

 

1.全体総括と参加者アンケートの結果


官民協働ネットワークCrossoverは、「超高齢化・人口減少社会への適応」というテーマについて、昨年秋から様々な機会を通じて考えてまいりました。

具体的には、「そもそも、人口減少は問題なのか」を問いかけた第一弾(2014年12月15日開催)、そして兵庫県尼崎市をケースに人口減少がもたらす問題への対応策について提言を考えた第二弾(2015年2月28日開催)の二回のワークショップ、そして岩手県陸前高田市(2014年11月)及び北海道当別町(2015年6月)へのスタディ・トリップを実施。

・異業種間のディスカッション大会(2014年12月14日)
・異業種政策ワークショップ(2015年2月28日)
・岩手県陸前高田市へのスタディ・トリップ(2014年11月)

現在、日本が既に直面しつつある超高齢・人口減少社会に、政府、企業、そして一人一人の日本人が、どのように適応していけるかについて、様々な角度から考え、議論を続けてきました。

こうした取組みの区切りとなる第三回(今回)のワークショップでは、「本格的な少子高齢化と人口減少が到来する2030年に向け、あなたは、今、何に取り組み、何に備える?」をテーマに、参加頂いた100名を超える皆さんと、これまで得てきた気付きや学びを踏まえつつ、9つのテーマに分かれてより深い議論をするとともに、問題解決の力になるための、一人一人の思いやアクション・プランについて、共有する時間をつくりました。

ご参加頂きました皆様、本当にありがとうございました!

なお、参加された皆さんにご記入頂いたアンケートを取りまとめましたので、以下にまとめた議論のサマリーと併せてご覧下さい。

 

アンケート結果

 

官民協働ネットワークCrossover
スタッフ 服部真子(ちょり)

 

2.スタッフからのプレゼンテーション報告


当日は、冒頭にスタッフの田中里沙によるプレゼンテーションで、

①日本の総人口はほぼ確実に減る
②高齢化と共に人口減少が進む
③地方でより生産年齢人口の減少が進む
④世界全体では人口は爆発的に増える

という前提をカギとなるデータや概念を共有してからワークショップに移りました。

 

プレゼンテーション資料

 

ワークショップはセッション1、セッション2、そしてSSM(スーパー・ショート・ミーティング)という順に行いました。

セッション1では、参加者の皆さんを、事前に頂いた希望に基づき、以下の表にある9つの分野の全11グループに分けて問題解決を議論しました。

セッション2では、メンバーを総入れ替えし、セッション1において、各グループで議論された内容の共有と、議論の内容をどのように行動に繋げることができるかを話し合いました。

詳しくは各テーブルのファシリテーターのコメントをご参照ください。

 

【共通の枕詞】
本格的な少子高齢化と人口減少社会が到来する2030年に向け、わたしたちは・・・

 

最後に行ったSSMは、参加者全員に席を立っていただき、まだ話したことが無い人とペアになって、「今日一番の気づきと学び」を共有するコーナーです。これを5分×3回行いました。

このために、会の冒頭では「今日、何を持ち帰りたいか」について、用意した名札の裏側上部書いていただき、2つのセッション終了後に、名札の下部に「今日一番の学び、気付き」を記入していただきました。

SSMは、「行楽日和の休日に、Crossoverのワークショップを共に創って下さった参加者の方に、当日の気づきを目に見える形で持ち帰ってほしい」、そして「集まった参加者同士で、少しでも多くの、そして強い絆をつくっていただきたい」というスタッフの想いを形にするために、従来行ってきた「グループ別のプレゼンテーション」に代えて設けたセッションです。

初の試みだったSSMですが、教室がまるでコンサート会場になったかのような大変な盛り上がりを見せてくれました。私はここで喉が枯れそうになりました。

ワークショップ後の二次会、三次会は深夜まで続き、別日に行われた打ち上げにも、沢山の方にご参加いただき、大変嬉しく思っています。
また、すぐに皆さんと再会できますように!!

官民協働ネットワークCrossover
スタッフ 服部真子(ちょり)

 

3.ディスカッション報告


グループA
持続可能な社会保障制度をつくるために、何ができるだろうか?

ファシリテーター 田中里沙 (所属:横浜市(総務省から出向中))

メンバー構成
<セッション1> 8名
大学生1名、国家公務員3名、地方公務員1名、会社員2名(福祉系・電力系)、
医師1名/年齢層 20代3名、30代4名、40代1名

<セッション2> 8名
大学生2名、国家公務員2名、会社員3名(商社、技術系、金融)、その他1名
年齢層 20代3名、30代2名、40代1名、50代1名、60代1名

セッション1

主な議論
○ 社会保障制度を「受ける人」、「提供する人」、「負担する人」の確度から持続性を検証し、それぞれの課題を抽出。
○ 特に「提供する人」では少子高齢化を伴う人口減少が本格化する2030年においては、社会保障サービスの担い手不足は避けられず、持続可能性を担保するため、公共部門のみが提供すべきか、民間参入があっていいのでは、又、例えば介護であればサービスという業とするのではなく、家族・地域のつながりによる支え合いが今一度必要。

グループの感想
○ 財政の持続可能性は国民にとって何が問題か見えにくい。必要な社会保障サービスなら税金の範囲内で実施すべきだが、そのサービスがそもそも必要かどうかどうやって決まっているのか。
○ 医療費は少子高齢化に伴い必ず増加する。今の制度は高齢者の負担を現役世代より下げているが、このままでは持続しない。まずは自分ができることから、例えば健康を大事にするとかか、気持ちを改めて始めていかないと。

セッション2

主な議論
○ 各メンバーのセッション1で考えた個人の取組みでは、外国人の受入れでは「直接顔が見える関係を築くことが重要」、社会保障では「地域のつながりによる支え合い」、地域活性化では「意欲ある人が地域に入っていき顔が見える関係を作って地元の活性化を」と、テーマは異なれども、各人の意識・アクションには共通項=「人との触れ合い」があった。

グループの感想
○ それぞれのグループで異なる切り口から議論したのにも関わらず、みな共通した結論(人と人の触れ合い)が大事に落ち着いたのが印象的だった。
○ 各セッションの内容が有機的に結びついているのを感じた。
○ 別々のチームから来た人のお話を聞く中で、重なる部分があることがすごく面白かったです。

ファシリテーターの気付き
○ セッション1では、役人がゆえに「社会保障制度の持続可能性」といえば財政論を考えてしまうが、多様なバックグラウンドの参加者と議論し、かつ今回のテーマでもある〝自分事として捉えてアクションにつなげる″を意識すると、社会保障制度の「受け手側」や「提供側」から見た持続可能性もあり、議論の幅を改めて実感。
○ セッション2では、グループの感想でもあったが、セッション1で全く異なるテーマを議論してきたメンバーであったが、各人の考えるアクションには共通項があり、議論が結びついている瞬間の感覚が何とも心地よい興奮があった。

文責 田中 里沙

 


グループB
持続可能な社会保障制度をつくるために、何ができるだろうか?

ファシリテーター
池田洋一郎 (所属:財務省)

メンバー構成
<セッション1> 9名
大学生:1名、国家公務員:2名、大手新聞社社員:1名、会社員:2名(製薬会社、金融機関)、医師:1名、民間シンクタンク:1名、職業訓練校講師:1名
年齢層 20代:2名、30代:5名、40代:1名、60代:1名

<セッション2> 9名
大学生:1名、国家公務員:1名、会社員:2名(食品、金融)、職業訓練校講師:1名、政府系研究機関:1名、ベンチャー企業経営者:1名、行政書士:1名、教師:1名
年齢層 20代:3名、30代:4名、40代2名

セッション1

主な議論
○ 冒頭、「‟社会保障制度とは何か?”“何のために存在するのか?”の2点について、目の前に中学生がいたとしたら、どう説明するか?」という課題を設定。「先生の立場」、「生徒の立場」の二つに分かれて検討した後、「模擬授業」を実施。「先生役」からの説明、及び「生徒役」から質問を通じて得られた共通認識は以下の通り。
⇒ 「社会保障制度とは?」
-病気、怪我、失業、老化等、人生において、人が誰しも直面し得る困難を、自分の力だけで乗り切る「自助」、家族、親類、友人、ご近所さん等の力を借りつつ乗り切る「共助(相互扶助)」だけではカバーしきれない部分を、国民全体でお金を出し合って支え合うための仕組み(公助)。
⇒ 「何のために必要なのか?」
- 人が、直面した困難を乗り切るために使うことが出来る資金や人間関係といった「財」の量には違いがある。こうした中、「自助」「相互扶助」に加えて「公助」の仕組みを用意することで、誰もが、病気やけが等の困難を乗り切るのに必要最低限の支援を受けることが出来、格差が少ない社会を作ることが出来る。
-「公助」を用意することで、人々が、様々な困難の存在にもかかわらず、過度に委縮しすぎることなく、伸び伸びと経済・社会活動をしやすくなり、結果、活力ある社会や経済を実現しやすくなる。
○ 続いて、「‟持続可能な”社会保障を成り立たせる条件とは、何だろうか?」という点について、チーム全体で議論。主な意見は以下の通り。
- 国民一人一人が、社会保障制度を「一部の人達だけが得をする‟あいつらのための制度”」と捉えるのではなく、「自分たち一人一人に必要な、私たちの制度」という納得感とオーナーシップを持って捉えること
- 収支のバランスがとれていること
- 制度の運営者に対する利用者の信頼感があること
○ 次に、「現在の日本の社会保障制度は、2030年においても持続可能だと思いますか?」という論点について、皆で議論。その際、「社会保障(年金・医療・介護・子育て支援等)に要する費用の総額は2012年度の109.5兆円から2025年度には148.9兆円へと1.36倍に増加する一方で、その費用を賄う経済規模(GDP)については、2012年度の479.6兆円から2025年度の610.6兆円と、1.27倍しか伸びない」との、政府試算を参照。参加者から出された主な意見は以下の通り。
- 高齢者が増えれば増える程、医療・介護に要する費用は増大していくこと、及び人口動態は今後より一層高齢化することは確実であることから、現状の制度や慣行をそのままにしておけば、社会保障制度の収支バランスは取れなくなり、立ち行かなくなる。
- 政府試算における経済成長の伸びは、楽観的な見通しを前提としていること、及び2030年には、見通しの対象である2025年よりもより一層高齢者が進んでいることに留意が必要。
- 収支バランスが崩れていることが明らかにもかかわらず、必要な改善策が採られなければ、制度やその運営者に対する不信感が増大する。結果「自助」や「相互扶助」を十分に利用できる力のある人から抜けていき、制度が維持できなくなる。
○ 最後に、「私たちの社会保障を持続可能なものとするために、必要な改革とは何か、これを実行に移していくために、私たち一人一人が出来ることは何か?」について議論。参加者から出された主な意見は以下の通り。
- 若者は高齢者の苦労を、高齢者は若者の負担を、相手の立場にたって理解し合い、互いを思いやる「心のバランス」を取り戻すための、教育と交流の場が必要。
- 製薬会社、医師、厚生労働省、財務省等の社会保障制度改革に直接かかわる利害関係者が、それぞれの狭い利害を主張し合うのではなく、日本の長期的な人口動態、経済成長等、広い視野から「視点のバランス」を保ちながら、必要な改革案を議論し、実行することが必要。
- 「高福祉-高負担か、低福祉-低負担か?」といった抽象的な議論ではなく、「収支のバランス」を取り戻すための、数字に基づく客観的な議論が出来るよう、私たち一人一人が知識を高めていくとともに、質は保ちつつも不要な支出を削っていくための医療サービスの効率化を進めることが必要。

グループの感想
○ 多様な視点で対話を進めることができ、良い気付きの場になった。
○ やや空中戦の様相を呈していた。全体的にそれぞれのバックグランドがあまり活かされていないように感じた。
○ バランスよく議論が整理できた。参考となる資料を効果的に利用できた。

セッション2

主な議論
バセッション1とメンバーを入れ替えた上で、「セッション1でどのような議論をしましたか?あなたは、明日から、どんな課題の解決に、どのように取り組んでいこうと思いましたか? 」、「チームのメンバーが共有してくれた答えのなかで、あなたが最も強く共感した問題意識やアクションプランは何でしょうか?」、「あなたが、明日から課題に取り組んでいくうえで、一番重要なパートナーとは誰でしょうか?そのパートナーに何を求めますか?」の3点について議論。メンバーから出された意見は以下の通り。
- 人口減少・少子高齢化が進む中で、日本社会と安定と活力を保つためには、多様性を重視し受け容れる姿勢と、これを涵養するための教育が必要。
- 人口減少が進むからこそ、伝統や文化といった日本の幹を、日本人がしっかり理解し、守っていくことが必要。
- 抽象的な議論の意味をしっかり理解し、自分事としていくために、問題が起こっている現場に足を運び、問題と直接向き合っている人々の声に耳を傾けていきたい。そのエントリー・ポイントとなる人、水先案内人になってくれる人との出会いをCrossoverのような機会で求めたい。

グループの感想
○ 一人一人が話しやすく、議論で終わるのではなく、actionを起こすにはどうするか、具体的に考える機会が得られた。
○ 普段会わない立場の方々との意見交換は非常に楽しいし、現場を伝えるチャンス!
○ 非常に興味深い意見、バックグランドからのお話を伺えた。ただし、セッション1の議論をもっと踏まえた議論が出来ればよかった。

ファシリテーターの気付き
○ 「少子高齢化・人口減少社会に如何に適応するか」という私たちの世代にとって最も困難な課題について、一人一人が当事者意識をもって多様な視点から議論をすることが出来た。特に社会保障制度の持続可能性に関する議論では、収支や制度のありようだけでなく、高齢者と若者との間の思いやり、制度利用者と制度運営者との間の信頼感の重要性という、深く本質的な意見を頂けたことは、自分にとっても大きな収穫だった。
○ セッション2では、特に移民の受入について賛否両論示されたが、参加者一人一人が、異なる意見にもしっかり耳を傾け、賛同しがたい意見に対しても理解しようと試みる成熟さを示してくれたことに、感銘を受けた。

文責 池田 洋一郎

 


グループC
どのような「第5次産業革命」を起こせるだろうか?

ファシリテーター
川合淳一 (所属:株式会社ブレンドシステムズ、合同会社ドリームオン)

メンバー構成
<セッション1> 9名
大学生:1名、大学院生:1名、会社員:5名(IT企業、コンサルティング会社)、研究機関:1名、自営業:1名
年齢層 20代:5名、30代:3名、40代:1名

<セッション2> 8名
大学生:1名、国家公務員:1名、会社員:2名(製造業)、大手新聞社社員:1名、自治体職員:1名、自営業:2名
年齢層 20代:3名、30代:3名、40代2名

セッション1

主な議論
○ 「1. ニーズ:人口減少を伴う少子高齢化が進んだ2030年の日本に必要なものは何か?」「2. シーズ:2030年までにどのような技術革新が実現されているか?」、「3. ニーズに対してシーズを当てはめるには何が必要となるか?」の3ステップで議論、そのうえで、あるべき社会制度とは何か、その実現に向けて自分に何ができるか、をまとめた。
○ 最終的な共通認識として特徴的な点は、(1)技術革新が進んだ結果、生活者自身が受け入れられるもののみが実現し、より‟人間的な生き方”を大切にする価値観が高まるだろうということ、(2)技術革新は科学や産業のみならず教育などの仕組みや制度にも及ぶということ、(3)技術革新による進歩を社会生活に結びつけるには旧来の制度を変えるという言わば「細胞死」が必要なこと、が挙げられる。
○ ステップ1の「2030年の日本のニーズ」で参加者から出された意見は、人口減少による知識労働者の不足による教育の問題、高齢者増による介護などの社会保障の問題、内需の縮小による産業競争力減の不安、といった点に集約された。人口ピラミッドが崩れた社会の具体的な問題について意識を共有した。
○ ステップ2では、よりポジティブかつ15年後に実現可能と考えられる技術を模索した。主に、新・代替エネルギーの開発、運送・工場・農業の自動化、ITによる医療・教育・金融サービスの高度化、が挙げられた。
○ ステップ3では、1で挙げた課題に、2で挙げた技術がいかに役立てられるかを考えた。目立ったアイデアには、現状より協創や感性を重視する教育をつくる、予防医療や省力化された介護を仕組みとして国外に輸出する、年齢で流通される通貨を変える、といったものがあった。技術革新により少子高齢化に伴う人口減少の問題に良い影響を与えられる可能性はある一方で、必ずしも解決可能と断定できる認識はない。
○ 最後に、参加者に2030年に向けて私達はどうすべきか、自分ができることは何か、を議論。今より価値が高まることとしては、感性や人との関係性、技術革新を社会に取り入れるための制度・政策・教育改革の必要性などが挙げられた。そのために、各自は、職場や研究内容において未来において必要と思われることを基軸に、今の在り方を見直す発言があった。
企業勤務の参加者からは、将来の課題に対して対策ができるよう目の前にある業務に真摯に取り組んでいきたい、将来に自分が楽しいと思える生き方をしたい、人とのコミュニケーションに関わることについて追求してきたい、といった発言があった。研究所勤務の参加者からは、業務において物質的な目標より感情的な付加価値を重視すること、大学生・大学院生からは研究している内容はニーズを意識して深めていくこと、といった発言があった。

グループの感想
○ 多くの意見を引き出すのに成功している。
○ 誰かが話すのを直接、模造紙に書くやり方だと、その時に出た発言に内容が引っ張られてしまう。テーマから外れそうになった時の修正の仕方はよかったと思います。
○ 今までやったことないワークショップのやり方で面白かったです。
○ 大変に充実した議論ができ、ファシリの方やメンバーにも恵まれ大満足です!もっと議論を深めたい内容でした。ありがとうございました。

セッション2

主な議論
○ セッション1で得られた知見を他のメンバーと共有できるよう、テーマを横断する質問を投げかけた。例えば、結婚・出産と外国人受け入れについて、その場合の社会保障は、さらには地域の活性化は、技術革新で何が可能か、といった具合に議論を展開した。結果として、多面的に話題になって課題の認識は広まったものの、共通認識に隔たりがあったため深い議論に発展せず、疑問を残して会を終えることになった。以下、出された主な発言や疑問を挙げる。
-結婚・出産について、制度は人のためにあるはずで、課題があるから出生率を高めよう、というのは本末転倒。夫が妻を養う時代でもない。個人が幸せになることが大切。
-地方はより深刻となる中で、今日の議論を踏まえて議会の運営において考えていきたい。
-外国人が増えるのが必然という想定の範囲で、日本の住民側の受け入れが問われている。

グループの感想
◯ 具体的にどう行動していくかを、考えることができた。
◯ 自分の分野以外の話ができたため
◯ 横串でいろいろな議論ができて発見が多かった。
◯ 議論発散した。
◯ 最初はどうなるかと思いましたが、「制度は人のために」という考えが整理されてよかったです。
◯ 情報共有の場としてはよかったと思います。
◯ 自由に言い合える感じで、ちょっと筋がそれた所でおもしろい意見が聞けました。

ファシリテーターの気付き
◯ セッション1では、多くの気づきがあった。2030年に起こるニーズやシーズを考えるにあたって、人口構造の変化と複合して探る必要があったためである。例えば、労働という分野において、知的労働と単純労働の付加価値の隔たりが一層大きくなるが、医療や介護が安価になって、かつ高齢者も働ける環境ができて大丈夫なのかもしれない。
更に、技術革新は、産業だけではなく制度や仕組みといった幅広い分野に及ぶことが分かり、それが付加価値となるかもしれない。その価値すらも、人間的な感性や幸福感に直結するものが高まり、金銭的な必要性が下がっているかもしれない。
あらゆる面で常識が覆される未来的思考と同時に、今直面しつつある問題を考えるのは、イノベーションの発想法として必要であり、それこそが表題にある第五次産業革命とうそぶくものに通じるものがあって面白かった。

○ セッション2では、自分を含めて、深刻な少子高齢化の問題を考えるにあたり、なかなか主体的に取り組むことは難しいと感じた。理由として、参加者の発言から想定するに、人口減という自然発生的な問題そのものに対して人為的な対策はできない前提があり、派生して起こる課題についても対策を考えること自体が不自然と認識されているのではないか、と考えられる。また課題に対して個人レベルで何かするということ自体が社会起業的な発想で解決策の提示は容易ではなく、国全体で考えても政策を立案できる程度の知識が必要となる。
従って、まずは自分の身を守るのが精一杯であり、目の前の仕事に取り組む際に意識しながら、役割を全うすることが、参加者ができ得る最大限のことなのかもしれない。今回得られた動機付けによるボトムアップによる努力が活かされるためには、同時に構造的な問題に対するリーダーシップが伴わなければならない、思う。

文責 川合 淳一

 


グループD
人に愛されるもの・サービスを世界へ提供するために、何を変え、何を守るべきか?

ファシリテーター
林 優里 (所属:環境省)

メンバー構成
<セッション1>
大学生1名、国家公務員2名、会社員5名、自営業2名

<セッション2>
国家公務員2名、会社員3名、自営業1名、教師1名、団体職員1名、その他1名

セッション1

主な議論
○ 日本が世界に誇れる、人に愛されるもの・サービスにはなにがあるか?
è 技術力関係:均一・丁寧な加工食品、新幹線、自動車、信頼できるQuality
è 国民性、生活習慣関係:ホスピタリティ、掃除をすること、継続的な関係性によるサービス提供、慎重な企業経営、100年企業の数世界一、風呂文化、時間を守る、正直さ
è 文化関係:マンガなどのポップカルチャー、「カワイイ」と称されるセンス、健康と季節を重視した食文化
○ 人に愛されるもの・サービスとは、どのような要素をもっているか?
è お互いを慮る精神、「サービス」に対する共通概念、反省し改善につなげる力、忍耐力、技術・生産体制の伝承力、繊細美、Common Sense 遊び心(エスプリ)
○ それらを、2030年においても、世界で提供できるようにするために、人口減少が原因となって生じうる問題は何か?
è 発信力が低下、文化の伝承が困難になる、等
○ それを乗り越えるために、今、変えるべきことは何か?時代が変わっても、守るべきことは何か?
è 多様性に基づく競争、外国人受け入れ、等

グループの感想
○ 日本のソフトパワーの源泉が、「思いやりを持てる社会、フラットな社会」にあることを見出した。将来、海外への売り込みをしていく上では、逆に、「海外の人も日本社会に受け入れる」ことが大切だという逆説に至り、興味深かった。
○ 参加している方々が個性的で面白かった。
○ 知らない話をたくさん聞くことができた。たくさんの発見があったとともに、自分とはあまりふだん話さない方とも話をできた。
○ 参加者の意見を上手に引き出してとりまとめてくれた。

セッション2

主な議論
○ 地方創生:日本の自治体は、①東京、②その他の差別化できる自治体、③他と差別化が困難な自治体、の3つに分けられる。地方創生にあたって課題になるのは③の自治体。
è 地方創生に関する活動を行っているが、その対象地は②にあたる。力を入れるべき地域が異なるかもしれないと気が付いた。
○ 教育:発達状況や住む地域の違いによる負のGapを取り払う教育が必要(例:小学校のうち各地を転々とできる仕組みにする等)
è 思い込みをどう変えることができるかが根幹。行政が大きなことをやってくれないと実現は困難。等

グループの感想
○ にこやかに対応してもらえ、気持ちよく話すことができた。

ファシリテーターの気付き
○ セッション1では、各人のバックグラウンドに基づき、多様な「人に愛されるもの・サービス」にまつわる事例が挙げられ、まだまだ日本のもの・サービスも捨てたものではないということを感じさせられた。特に普段はなかなか考察が至らない「人に愛されるもの・サービスが持つ要素」についてまで深堀りができるよい機会となった。
○ セッション2では、セッション1での議論がCrossoverし、各人の中で納得や気づきが生まれていることが手に取るようにわかったとともに、グループ内で同志を見つける場面が多数あった。また「国が動いてくれること」への期待の大きさを感じた。

文責 林 優里

 


グループE
持続的な経済成長のエンジンとなる新しい産業を、誰が、どう創り、育てるか?

ファシリテーター
西村 洋平 (所属:YCP Japan)

メンバー構成
<セッション1>
大学生1名、公務員1名、会社員4名、自営業2名

<セッション2>
公務員2名、会社員4名、自営業1名

セッション1

主な議論
○ 人口減少社会の元での経済成長について、(1)社会保障制度等の国のサポートを維持する、(2)企業が十分な売上/利益を出すことで、家計が必要な所得を得ることができる、という観点から、持続的な経済成長を実現するために、私たちがどのような視点を持ち、何を実行すればよいのか、を考えてみたい。

(1)大前提となる所与条件は何か?
→海外移転の拡大、ライフスタイルの変化(中央から地方への興味の変更等)、金の流れ/金の蓄積の変更(例えば、家計の中で資産を持っている層が高齢者となる、電子マネー/ビットコインの拡大など)。

(2)どのような分野で「新しい産業」が創出されるか?
→農業、自然エネルギー(再生可能エネルギー)、教育、インターネット、仕組み化(インフラ部分の海外輸出、水ビジネスなどの例)

(3)「誰が」とはどのような主体があるか?
→政府は中央よりも地方、企業は大企業よりもベンチャー、など、より分権型で小回りのきく組織が、これからの経済成長の源泉となる。

(4)あなたが日々を過ごす中で、特にアンテナを張るべき分野は何か?また、実際に実行することのできることはあるか?
→興味のある分野があれば、積極的に現場へいく、興味のある分野で実際に活動をしている人に話を聞くなど、机上ではなく現場を見る/聞くを実践することが必要。

グループの感想
○ 移民について、単に感情論で話すだけでなく、高度人材/現場人材など、複数の軸を入れて議論できたのがよかった
○ 地域活性化では、地方の魅力を出して、移住してもらうという高いハードルではなく、まずは東京と地方を行き来するデュアル生活を実施してもらうのが一つの解決策ではないかという議論が出た。

セッション2

主な議論
○ 社会保障の議論が、最終的に身近な行動(地域の集まりに出てみる)というアクションにつながったのが興味深い。防災の観点も、自助/公助/共助とあるが、共助の概念を広めていくのが最も大事かつ最も難しく、社会保障もこの論点と同様のことが生じていると感じた。
○ 経済成長でも地方でのイノベーションが重要であるという議論が多くでた一方、地方活性化チームにおいては、生活に重点が置いた議論がなされたように感じた。
○ 最終的には、様々な日本の問題については、「教育」に行き着くと感じている。様々な事象をどのように捉え問題と定義し、それを解決する策を自分の頭で考えることができるような人材を輩出する必要がある。

グループの感想
○ 日本の様々な課題が有機的に連関していることが少しでも理解できた。

ファシリテーターの気付き
○ 産業創出の議論では、よりバイオベンチャーやITテック企業の議論になるかと感じていたが、地方のイノベーションや農業や教育×ITというところに参加者が注目していた部分は意外であった。
今までイノベーションが起こっていないと皆が感じている部分に、これからの日本の成長の芽があると感じていると多くの方が思っていることが分かった。
○ セッション2では、より有機的に様々な問題を捉えてもらいたいという目標があり、一定程度達成されたと感じているものの、参加者の皆がこのような理解を深めるには、もう一歩のファシリテートや議論の進め方の工夫が必要であったと感じている。

文責 西村 洋平

 


グループF
私たちはどのような働き方やキャリアパスを創り、追求し、そして、受け容れていくべきか?

ファシリテーター
砂田 薫 (所属:お茶の水女子大学/JGAP)

メンバー構成
<セッション1> 7名
大学生:1名、会社員:4名(証券会社2名、銀行1名、人材系1名)、国家公務員:1名、大学教員1名:1名
年齢層 20代:3名、30代:2名、40代1名、50代1名

<セッション2> 9名
大学生:1名、国家公務員:1名、会社員:2名(食品、金融)、職業訓練校講師:1名、政府系研究機関:1名、ベンチャー企業経営者:1名、行政書士:1名、教師:1名
年齢層 20代:3名、30代:2名、40代1名、50代1名

セッション1

主な議論
○ 冒頭、自分の現在の年齢に頭の中で15年を足してもらい、2030年のその姿のイメージを持ってもらうことから始めた。問いは三つを用意した。
①「少子高齢化と人口減少社会」が本格化する15年先の2030年に向け、自分の働き方やキャリアパスの構築に、影響を与えそうな外部環境・因子はどんなものがあるか?」
②「そのように想定される外部環境の中、2030年に向け、自分(もしくは家族)の理想の働き方やキャリアパスはどのようなものか?」
③「その実現のためには、何が必要で、どうすべきか? 2030年のあるべき姿から逆算して、1年後、5年後、10年後に、それぞれどう目標を設定し、アクションを起こすか?」
○ これらについて、最初の2つは対話をし、3つ目は、個人ワークで、「キャリアのバックキャスティング・シート」に2030年の目標を記述した後、その達成のために、1年後・5年後・10年後の順にやるべき計画項目とそのアクションプランのロードマップを作成した。以下、「対話」の要約。

【①について】
○ 模造紙を使用し、横軸に「働き方・キャリアパスの影響インパクト」の「好ましい」「好ましくない」、縦軸にそのインパクトの大小を取った。チームメンバーが「影響因子」のお題に対し、ポストイットを使用して貼り付けた結果、「シンギュラリティの可能性(人口知能が人間の脳を超える)」や3Dプリンターなど、技術やロボットの台頭が、仕事を奪ったり、あるいは逆に肉体労働を緩和してくれてよりキャリアの自由度が高まるという2面性があることが共通認識された。
「好ましくない」の1番は「団塊世代の後期高齢化」で子ども世代が自分のキャリアを突然介護で形成できない危険性も指摘された。「好ましい」では、不老に近づく再生医療(クローン作製、臓器培養、ES細胞、iPS細胞等)や医療技術の発達(卵子凍結等)への期待が挙がった。

【② について】
○ ①と同様模造紙を使用し、横軸に「実行の難易度」、縦軸に「少子高齢化と人口減少へのよい効果と悪い効果」を取り、メンバーが理想の働き方やキャリアパスの選択肢を記入し、貼り付けた。
○ 「よい効果」で、難易度が低いのは、「家事・介護はロボットで、育児はパートナーと楽しみながらキャリア形成」や「パラレルキャリア、プロボノの実践によるキャリアの複線化を目指し、いつでもキャリアチェンジできるようになる」や、「週3日NPO、週3日企業で働く」などが展望された。一方、難易度の高いものは、「日の1/3は自然の中で働く」「再入社(出戻り)」などがあった。
難易度が中位のところでは、「週末起業」「ワークシェアリング」「アライアンス(終身雇用都フリー・エージェントの中間)」「組織横断」「残業そこそこで、本業以外のキャリアや人生を楽しむ」等があった。

【③ について】
○ 前述通り、2030年の個人ワークで、「キャリアのバックキャスティング・シート」に2030年の目標を記述した後、その達成のために、1年後・5年後・10年後の順にやるべき計画項目とそのアクションプランのロードマップを作成した。

グループの感想
○ 個人に近づけて議論するテーマが多く、現実から遊離せずに話し合えた。
○ 最後に時間が足りなかった。
○ 参加者の意見や議論を上手に引き出してまとめていただきました。

セッション2

主な議論
○ セッション1とメンバーを入れ替えた上で、「セッション1でどのような議論をしましたか?あなたは、明日から、どんな課題の解決に、どのように取り組んでいこうと思いましたか? 」、「チームのメンバーが共有してくれた答えのなかで、あなたが最も強く共感した問題意識やアクションプランは何でしょうか?」、「あなたが、明日から課題に取り組んでいくうえで、一番重要なパートナーとは誰でしょうか?そのパートナーに何を求めますか?」の3点について議論。メンバーから出された意見は以下の通り。
- 人口減少・少子高齢化が進む中で、外国人受け容れは、ある程度コンセンサスが得られてく るのでは。多様性こそが、明日の活力と成長に結びつく。
- 人口減少が進み、日本の伝統や文化の伝承が難しくなる中、世界に向けて発信し続けることが肝要。心ある外国人が日本を愛し、伝承してくれるかもしれない。
- 結婚の問題は、就職・転職もそうだが、社会システムが多様性に欠けて硬直化していることが大きな要因。

グループの感想
○ 和やかな雰囲気の中で楽しく議論ができた。
○ 各自がセッション1での学びをもっと出しながら議論ができたらよりよい会になったと思う。
○ 時間が足りなくなってしまいました。

ファシリテーターの気付き
○「少子高齢化・人口減少社会に如何に適応するか」は、日本にとって、最も大きな課題ということをあらためて確認することができた。
また、それを克服するには、今回のような産官学民各セクターの多様なステークホルダーの「対話」が大事で、一回で終わるようなものでないことを再認識した。参加者の他人事でない当事者意識に感動もした。

文責 砂田 薫

 


グループG
どんな教育を、学校・家庭・社会で子供達に届けるべきだろうか?

ファシリテーター
服部 真子  所属:NHK World(株グローバル・メディア・リレーションズ)、国際ディベート学会

メンバー構成
<セッション1>
国家公務員2名、教員1名、会社員3名、 団体職員1名、その他2名 (計9名)
年齢層 20代3名、30代3名、40代2名、50代1名

<セッション2>
国家公務員3名、教員1名、会社員2名、 団体職員1名、学生1名、その他1名 (計9名)
年齢層 20代3名、30代3名、40代2名、50代1名

セッション1

主な議論
<大まかな流れ>
学校・家庭・地域の三つの場所を中心に、参加者それぞれが受けた教育、2015年現在の教育現場の実態、そして、2030年時点での予測される変化を、順を追って考えてゆき、2030年の子供たちにはどのような教育を届ければよいか話し合いました。(教育は義務教育期間内に限定しました。)

★メンバーの受けてきた教育★
メンバーは、ゆとり世代、さとり世代、団塊ジュニア、そして一番上は50代が集まっており、それぞれの経験を共有しました。時代背景、家庭の所得の差に応じて様々な教育の形があることを知りました。全く叱られることなく育った人たちや、世間の厳しさを親によって見せつけられた人もいました。このパート通じて、教育には学校・家庭・地域が密接に絡み合っているということが認識できたように思います。

★2015年の教育現場の実態★
現状の教育現場に関しては、メンバーの一人の高校教師の方からと、私の小学校教員の友人と中学高の恩師にインタビューした話を共有しました。学校では、実社会で必要になるスキルをどのように子供に身につけさせるかが課題になっているが、社会の変化のスピードがあまりにも早い中で、学校は混乱していることが分かりました。タブレットを使った反転教育や、起業家マインドを育てる実地教育など、導入し安定するまでの現場の教師の負担感が相当あるようでした。
家庭は、子供に対して強く叱れない親が増え、しつけが行き届いていないケースが増えているそうです。大人・子供の双方の積極性が低下し地域との繋がりも希薄になっているケースもあるようでした。そこには、昔と比べて高学歴な親が増えたにも拘わらず、それが災いしてプライドが高く、かつ自信が持てない社会になってきているのではないか、という問いがありました。

★2030年の教育現場は?★
2030年時点では、現在存在しない職業が出現し、かつ、現在ある職業が消えているだろうという予想がでました。議論を進めていくうちに「変化に強い子供を育てる」という共通認識が生まれてきました。
それでは、「変化に強い子供」を育てるために、どのような事ができるか?という話題では、小学校6年間のうち、3年は田舎で3年は都会で過ごすという、多様な文化を経験させるというアイディアや、学校・家庭・地域をつなぐ人財を増やす(子育てを終了した世代など)アイディアがでました。

★私たちが今からできることは・・・★
子育ては、育てる側の大人が、日々自信を持って生きてゆくことが何より大切だということがわかり、皆自信を持てる生き方をしよう!という結論になりました。

グループの感想
○ クリティカルな問題点が浮き彫りになりました。
○ まとめるのが難しいテーマにうまく(情熱的に)かかわってくださったと思います。一生懸命にやってくださっているのが伝わり良かったです。
○ 予定が多すぎて消化できなかった。(仕方ないですけど)

セッション2

主な議論
○ 「セッション1でどのような議論をしましたか?あなたは、明日から、どんな課題の解決に、どのように取り組んでいこうと思いましたか? 」、「チームのメンバーが共有してくれた答えのなかで、あなたが最も強く共感した問題意識やアクションプランは何でしょうか?」、「あなたが、明日から課題に取り組んでいくうえで、一番重要なパートナーとは誰でしょうか?そのパートナーに何を求めますか?」の3点について議論。
・移民受け入れは心の問題が大きい。・社会保障制度をよりよいものにするためには、老人と若者それぞれが互いを知ろうとすることが大切だ。など。
様々な問題提起があった中で共通していたのは、当事者同士がわかりあうために豊かなコミュニケーションが必要だという点だった。

グループの感想
○ 最初の一人一人の発表で発表時間が長すぎる人がいたので、調整できるとよかったですが、議論は盛り上がってよかったです。
○ 時間が足りなくなりました。

ファシリテーターの気付き
○ 集まった参加者の皆さんは、それぞれの場所で問題意識をもって行動している人ばかりでした。ただ、自分以外の誰かを巻き込んでいくことを困難に感じているという共通の悩みを持っていることも判りました。自分とは違うフィールドでも人を巻き込もうと頑張っている人たちがいる、ということを肌で感じ、明日からの活力に変えられたように見えました。
小さな積み重ねが大きなうねりを生み出す。そんな火種が集まる場に同席できたことが嬉しかったです。

文責 服部  真子(ちょり)

 


グループH
人が集まる東京と、人が減りゆく地方を、どう捉え、どう変えていくべきか?

ファシリテーター
新関 康平 (所属:団体職員

メンバー構成
<セッション1> 9名
大学生:2名、国家公務員:1名、地方公務員:1名、地方議会議員:1名、会社員:4名(ゼネコン、広告、システム等)
年齢層 20代:4名、30代:4名、40代:1名、50代:1名

<セッション2> 9名
大学生:3名、国家公務員:2名、会社員:4名(デザインコンサル、エンターテイメント、製薬等)
年齢層 20代:3名、30代:2名、40代:2名、50代:2名

セッション1

主な議論
○2つの問いを検討した。①「2030年の日本国の社会はどのような状態になっているか?(人口動態を問わず)」②「その上で、東京等の大都市圏に人口を一極集中させて良いのか?」について賛成・反対側に分かれて議論を行った。

⇒①について
・ロボットが生活に大きな影響を及ぼす。・若者が海外に住むようになる。
・力の無い地方自治体は消滅している。 ・介護問題が社会に降りかかる。
・より一層、地方から東京に人口が集まる。・五輪の後に、景気が後退している。

⇒②について(主な意見のみを掲載)
(賛成側)
・地方財政を国が支えられない。
・選択と集中が起こるのはやむなし。

(反対側)
・東京がダメになった時のリスクヘッジが必要。
・地方の伝統や価値が無くなるのは日本にとって大きな損失。
共通見解:どこにどの程度人口を集中させるかの検討が必要である。

○ 続いて、「2030年、日本の人口をどこにどの程度集中させるべきか?」という点について、チーム全体で議論。主な意見は以下の通り。
-そもそも、人口をどこかに集中しようと考えるべきでない。
その場所に住みたい人の自由意思に委ねるべき。
-現在の主要都市(神戸、福岡等)に更なる人口の集中を図り、各自治体の強い個性を打ち出すべき。
-どこかに定住をさせるのではなく、仕事やプライベートによって住み分けをさせる政策を取るべき。
○ 最後に、参加者の関心が高かった「人口減少・財政が厳しい・産業が衰退している地域のコミュニティを存続させるにはどのようにすべきか?」について議論。参加者から出された主な意見は以下の通り。
-各セクターの縦割りの打破が必要。商店街やNPOの連合が必須。
-元気な地域を盛り上げるおじさんがいる時に手を打たなければ、手遅れになる。
-日本国がやるのではなく、海外の国や人が盛り上げることも面白いのでは。
共通見解:そのような地方自治体は消滅して良いが、地域の人々の暮らしはなんとかしたい。

グループの感想
○ 話がそれがちな議論の中、所々原点に立ち戻らせてくださいました。新鮮な話をたくさん吸収しました。
○ 視点の異なる人が集まって、角度の異なる意見が聞けて面白かったです。
○「一極集中」とか「地域活性化」って言葉が示すものが多様なので、なかなか議論しにくいテーマでした。でも最後は盛り上がりました。「地方」と「地域」の差では大事な点と思いました。あえて「東京の戦略」くらい絞ったら面白いかもと思いました。
○ 地域課題を取り上げ、人口移動・集中などとても明確で課題意識の高い内容での議論ができた。

セッション2

主な議論
○ セッション1とメンバーを入れ替えた上で、「セッション1でどのような議論をしましたか?あなたは、明日から、どんな課題の解決に、どのように取り組んでいこうと思いましたか? 」、「チームのメンバーが共有してくれた答えのなかで、あなたが最も強く共感した問題意識やアクションプランは何でしょうか?」、「あなたが、明日から課題に取り組んでいくうえで、一番重要なパートナーとは誰でしょうか?そのパートナーに何を求めますか?」の3点について議論。メンバーから出された意見は以下の通り。
-日本人は精神的に成熟をしていない。「そもそも」論から議論をすることが必要。
-社会保障、税、日本文化について無知な人が多すぎる。教育から抜本的に変えるべき。
-今の日本人は心の余裕がない。それが外国人、結婚、働き方の問題に繋がっている。

グループの感想
○ 最初は各人の発表だけで味気がなかった。しかし、議論の中心が「教育」になった時活気づいたのは良かったと思う。
○ よかったです。各グループの説明を通じて、もう少し連携が具体的に議論できればと感じました。
○ 前のチームのディスカッションが聴けて、新たな発見ができた。

ファシリテーターの気付き
○「少子高齢化・人口減少社会に如何に適応するか」という課題について、日本全体を俯瞰し、当事者意識を持ちながらの議論が行われた。
地方・地域に関する議論では、単に人の移動をどうすべきかだけでなく、そもそも人の移動をコントロールすべきか、日本全体の地域ビジョンをどうすべきかという、本質を問う議論ができたことは大変満足であった。
○ セッション2では、特に教育のあり方について参加者が盛り上がっていた。教育に留まらず、日本で生じている諸問題の根底原因を追究しようという参加者の姿勢に感銘を受けた。

文責 新関 康平

 


グループI
日本を、世界の人々を惹き付ける場所にするために、何を変え、何を守るべきか?

ファシリテーター
石山 喜章 (所属:株式会社CCO)

メンバー構成
国家公務員2名、地方公務員1名、団体職員1名、NPO/NGO職員1名、医師1名、会社員2名、その他1名
年齢層 20代2名、30代4名、40代2名、50代1名

セッション1

主な議
○ 他己紹介後に参加者それぞれの立場から見えている問題意識を共有
○ 茨城県は外国人観光客を増やす取り組み、NGOは外国人犯罪者への法規制、民間企業からは日系ブラジル人への技術支援、中南米での農業支援、外国人留学生の就職、歴史認識など、経済産業省では近隣諸国との協力関係をつくっていく上で「中国をどうみるか」といった多様な観点が出そろった。
○ まずは日本としてどういう人材が必要で、どういう人材には来て欲しくないか、目標やターゲットを明確にしようという流れのなか、エンジニア、技術者、研究者、実業家など高度人材への優遇措置と、2030年に人材不足が深刻化する一次産業、二次産業における外国人労働者と移民に対する法規制の必要性が議論された。

グループの感想
○ 外国人の受け入れに関しては、まず「我々が受け入れる心を持てるか?」が大切
○ 日本に滞在する外国人労働者の47%を占める中韓の「反日教育」をどう解決するか?が、日本国内における意図的な外国人犯罪の防止につながる。
○ 逆に日本人は中韓の視点に立った歴史観を理解することが必要
○ 一人ひとりの心や認識が変わらなければ、外国人受入に関する問題はなくならない

セッション2

主な議論
○ 各テーブルでどのような話し合いが行われたのかを最初に共有
○ セッション1の感想を聞くなかで、共感したことについて意見交換。技術革新のテーブルでは「考える人材」の必要性とヘルスケア(心の豊かさ)について話題が及び、「画一的な教育から幅広く多様な価値観を受け入れる社会へのシフトが必要」と、教育や外国人受入と似た論点を見出す。
結婚・出産で出た「社会不安や将来への不安が結婚阻害要因のひとつ」という観方は、社会保障の課題とも一致するなど、分野を越えて課題の根っこが繋がっていることを認識。
○ 後半はこの場に参加した目的や、どんなパートナーと協働していきたいかを議論

グループの感想
○ 地方発展の為に何かいいアイデアを得られると思って参加したが、自分の専門分野以外のことも学ぶ必要性があると感じた。
○ 昔の地域社会の「絆」を形成していた、仕事以外の人間関係や隣人による「おせっかい」の重要性を再認識した。
○ 自分の業務で課題と感じていたことに関して、分野の異なる多くの方の意見を直接伺えたことが参考になりました。

ファシリテーターの気付き
○「議論=何か1つの答えを出すもの」というイメージが根深くあることを実感。Crossoverの趣旨である他人事→自分事(Ownership)、共感して協働するきっかけづくり(Partnership)、明日から行動に移す為の力を与えあう(Empowerment)を体現する場づくりができるよう精進したいと感じました。

 

文責 石山 喜章

 


グループJ
日本を、世界の人々を惹き付ける場所にするために、何を変え、何を守るべきか?

ファシリテーター
田中 宗介 (所属:経済産業省)

メンバー構成
大学生1名、国家公務員2名、会社員3名(総合電機メーカー)

セッション1

主な議論
○ 外国の方々が増えていった場合に生じる影響について、ポジティブ・ネガティブに分けて、また、観光等の一時的な入国と、就労等の長期的な居住それぞれの場合で意見を出し合った。
○ そうすると、「日本人が自分たちのアイデンティティに気付かされる」という意見と、「日本人らしさが失われる」という意見のように、互いに同じ意見なのに全く別の受け止め方をしていることが分かった。
○ こうした矛盾した受け止め方に対して、「積極的な挨拶」など、自ら一歩踏み出して相互理解を深めていく、といった個人個人が取り組めるアクションについて議論した。

グループの感想
○ 話しやすい雰囲気を創ってくれて、外国人を日本に受け入れた際のメリットとデメリットをかんがえ、問題点を気付かせてくれる会でした。

セッション2

主な議論
○ 「結婚出産」での議論が育児・介護との両立等の「働き方」に繋がり、「働き方」の議論がIT化など「技術革新」に繋がり、「技術革新」が自治体の取組の変化や産業創出など「地域活性化」に繋がるなど、各々のセッション1での議論の連関を議論した。
○ その結果、それぞれのセッションでの議論が、互いに繋がっていくことが気付いた。
○ 一つ一つの社会的課題への解決にアプローチする、その取組自体が、少子高齢化に向き合うことになっているように思われた。

グループの感想
○ 議論又はディスカッションの目的が明確化されると良いと思いました。人口減少と関わらない話がありました。
○ みなの意見を吸い上げるのが上手だと思います。議論の最終着地点が見えにくく何の議論をしているのか、分かりにくいときがありました。
○ 多数の人と交流できる機会があった。

ファシリテーターの気付き
○ 同じテーマでも、一人一人で物事の捉え方が違うこと、似ていることがあり、それぞれを見える化(ポストイットでの意見表示)することで、整理して皆で気付くことができた。
○ バラバラのセッションで議論してきたことも、それぞれの共通点や繋がりを見付け合うことで、議論に連帯感が生まれ、議論が活性化した。

文責 田中 宗介

 


グループK
いかにして結婚の敷居をさげ、または結婚以外で子をもつ可能性を拓くか?

ファシリテーター
城まさのり(団体職員)
斎川貴代(会社員)

メンバー構成
<セッション1>
団体職員1名、学生1名、企業7名(男性4名、 女性5名)
<セッション2>
団体職員2名、国家公務員1名、地方公務員1 名、自由業1名、会社員4名

セッション1

主な議論
○ 親の問題:子どもに自分の夢を託す・甘やかす・親が婚活 までする
○ 経済の問題:養える経済力がない・教育コスト →経済的不安定さが結婚への障壁になっているというのは、おかしい のではないか(過去の日本はもっと貧乏だったはず)
○ 社会価値観の問題:家制度・自由でいたい・幸せそうな夫 婦が周囲にいない・自分ことを悪く言う社会風潮・出産による キャリアの途絶・男性の育児不参加・保育園不足
○ 文化や価値観の変化:お見合いが減った・婚外子が認めら れない・女性が怖い・多忙すぎ・女性の自意識が高まった・ア プローチ数の絶対的不足・結婚は忍耐
○ 不安(とそれを煽る金融関係者):結婚生活の不安、子ども の未来が不安
○ 子どもも結婚も不必要:一人で生きられる環境・それに伴う自立・仕事が楽しい・周囲からの結婚圧が減った
○ 高齢出産に関するリスク・メリットの教育が重要

セッション2

主な議論
○ 各自の Session1 での感想、反省など
○ 女性の再就職のための企業の取り組みとその理想
○ 地域振興のための方策

ファシリテーターの気付き
【斎川】
自分が興味関心のあるテーマであったため、収穫が多かったです。 様々なバックグラウンドの中、「少子化の対策で最終的に上がってい たものが「高齢出産に関する正しい知識の教育」だったのは、自分の 仮説通りでした。 男性も女性も結婚に良い印象を持っていない方が多いということが 考えさせられました。
ある参加者は、「両親があまり楽しそうじゃな い」と言っていたり、「結婚は家同士の問題で、友達が大変そう」と ネガティブな印象を持っていたり、男性で興味深かったのは「結婚は したくないけど、子供は欲しい」という意見です。
様々要因はあると 思いますが、「結婚はなぜあまり良いものとされていないのか」とい うことの私が思っている仮説の1つは、日本には嫉妬の文化があり、 「家庭がうまくいっていても、あまり人に言えない(自慢という印象 をもたれ、嫉妬されてしまう)」ということもあるのかなと感じまし た。
私の周りでも、本当に心を開いている友人は、結婚の楽しさ、幸 せを話してくれますが、そうでない場合は、楽しくても、ネガティブ 情報を優先して言ったりすることがあるなと感じました。
また、ディ スカッション中ではなく、MM 中に話した女性は、私のテーブルの 話をフィードバックしたところ、「私、精子バンクの申し込み考えた ことあります」とおっしゃっている人もいました。
「人との恋愛は面 倒だけど、子供は欲しい」という時代の流れともいえる現象が男女と もに起きているのかなと感じます。

【城】
ある程度予想していた意見が多かったが、多くの話題が解決策とし て、経済対策より(結婚適齢期の大人に対する)教育という方向に向 かうことが興味深かった。また日本固有の文化から来る原因が意外と 大きな比重を持っていることを知った。
女性の発言権増大に起因す る部分に女性自身が切り込んでいた点が興味深かった。ともすると 男女間の権利論がぶつかる部分だけに、男女とも少子化に一定の危機 感を持っていることを感じた。
斎川氏の作成した参考資料がほとんど使われなかった点は反省される。
次回から(特に学生参加者には) 名刺を持ってくることを周知したい。

文責 城まさのり
斎川貴代

 

再設計! 日本経済・社会の仕組み ~人口減少に適応できる経済・社会の構築に向けて~

再設計! 日本経済・社会の仕組み ~人口減少に適応できる経済・社会の構築に向けて~

官民協働ネットワークCrossover主催
異業種政策ワークショップ

 

 

再設計! 日本経済・社会の仕組み

~人口減少に適応できる経済・社会の構築に向けて~

 

 

 

報告書

 

 

 

1.全体総括と参加者アンケートの結果


官民協働ネットワークCrossoverは、現在日本が直面している最も困難な課題として「人口減少社会への適応」に着目、異業種間のディスカッション、政策ワークショップ、そしてスタディ・トリップなどを通じて、この課題について様々な角度から認識を深め、私たち一人一人がそれぞれの立場でとるべき対応や行動について議論しています。

2015年2月28日に東京医科歯科大学にて開催した「異業種政策ワークショップ」では、「少子高齢化を伴う人口減少が進むA市(尼崎市)が直面する諸問題への解決策提示」をテーマとして、国-地方、官-民、そして年齢、業種などの壁を越え、共通の課題にともに向き合う協働作業に取り組みました。

13:30にスタートしたワークショップは18:30まで6時間続き、その後に続く懇親会の終了は23:30、計10時間以上のウルトラ・マラソン・セッションでしたが、会場は常に熱気、多彩な意見、意表を突くパフォーマンス、そして笑いと共感に包まれていました。今回は、首都圏を中心に、北は北海道や岩手県釜石市、西は長野県、岐阜県、三重県、福岡県、大阪府、広島市など、全国から約80名の皆さんに参加いただきました。御多忙の中、足を運んでいただき、ともに素晴らしい学びの空間を創って下さった参加者の皆さん、本当にありがとうございました。
なお、参加された皆さんにご記入頂いた アンケート を取りまとめましたので、以下にまとめた議論のサマリーと併せてご覧下さい。

 

アンケート結果

 

今回の「異業種政策ワークショップ」では、約80名の参加者が、8つのグループに別れた上で、一人一人が「‟A市”市長のアドバイザリー・ボードメンバー」であるとの想定の下、「①人口減少が進み、様々な問題が発生している‟A市”にとって、市民や行政が今向き合うべき、最も重要な課題は何か、②その課題を解決するために、あなたが考える市民(あなた自身)と行政(市役所)が最優先で取り組むべきアクションは何か」の二つの課題について、市長に提言することを目的に行いました。
「政策提言」を目的として行うワークショップ形式は、これまでCrossoverが「特定の政策課題について視野を広げ、深めること」を目的に主催してきた「異業種ディスカッション大会」とは異なる初の試みであったことから、スタッフは、事前ミーティング等において、テーマ設定、議論の仕方、及び視点等について何度も議論を行い、試行錯誤を重ねてのチャレンジとなりました。

日頃は異なる分野で働いている初対面の参加者10名が織り成す各グループの議論では、まさに十人十色の意見が出され、グループで1つの提言をまとめるという協働作業は簡単ではありませんでしたが、互いの意見に耳を傾け合い、共通点を見出しながら議論を進めるプロセスから、大きな学びを得ることが出来ました。また、8つのグループが、それぞれの議論の内容や提言を会場全体と共有するために行ったグループ・プレゼンテーションでは、Crossover初となる寸劇も披露されるなど、各グループの持ち味が発揮されました。

今回議論した尼崎市の事例のように、現在、私達が直面している問題の多くは、様々な原因が互いに複雑に絡み合い、解決の糸口がつかみにくいものばかりです。一方で、私たちは情報の洪水に圧倒されながら、自分の持ち場に引きこもりがちではないでしょうか。

こうした状況において、問題の本質を見極めた上で、人々がそれぞれの強みを活かし、弱みを補い合いながらその解決に向けて協働していけるムーブメントを仕掛け、仕組みを創り上げていくプロセスのファシリテーションが、これまで以上に、政治、行政、ビジネス、NPO、大学、メディア等のそれぞれの現場で、求められていると感じています。このような視点と行動は、日本全体の人口減少のペースを緩和し、また、日本の制度や慣行を人口減少社会に適応させていく上でも、非常に重要なポイントになると考えます。そして、私たちCrossoverスタッフは複雑な社会問題解決の力となるべく、こうした問題意識をもって、会員の皆さんとともに、Crossoverの活動を通じて「問題発見・設定力」と「ファシリテーション力」を蓄え、高め、そして発揮していける人財を目指していきたいと思っています。

今回のイベントで出された貴重な意見を一人一人の記憶にシッカリと残すため、そして社会に向けて発信していくために、以下のとおり、スタッフからのプレゼンの概要と、グループ・ディスカッションにおける各チームの議論をまとめています。今回参加された方も、残念ながら参加がかなわなかった方も、御覧いただければ幸いです。

官民協働ネットワークCrossover
スタッフ 田中 里沙

 

2.スタッフからのプレゼンテーション報告


始めに、スタッフの田中里沙より、「Key Message」として、日本の人口減少の状況と、前回ディスカッション大会(開催日:2014.12.14、テーマ:人口減少はそもそも問題か?)における議論の内容を紹介したうえで、今回のテーマを以下のように提示しました。
あなたは、とある‟A市(尼崎市)”のアドバイザリー・ボードメンバーの一人として、

①人口減少が進み、様々な問題が発生している‟A市”にとって、市民や行政が今向き合うべき、最も重要な課題は何か
②その課題を解決するために、あなたが考える市民(あなた自身)と行政(市役所)が最優先で取り組むべきアクションは何か

市長に提言することが求められています。

 

プレゼンテーション資料1

 

なお、CrossoverスタッフがA市(尼崎市)をケースとして取り上げたのは、モノづくり産業の苦境や高齢化に伴う税収減や財政悪化や拡大する格差への対応といった課題に直面するA市は、日本の近未来の写し絵であり、日本の未来の課題を先取りしている「課題先進都市」と考えたためです。A市の課題と向き合うことで、今後日本全体の課題とその解決策を考えていく上で、「地に足の着いたヒント」が得られるのではないでしょうか。

次に、A市のモデルである兵庫県尼崎市の現状について、2014年夏までの3年間、尼崎市理事として勤務したスタッフの福嶋慶三がプレゼンテーションを行いました。

 

プレゼンテーション資料2

 

なお、今回は、『パン工房・ハッピー』さんから5種類のパンの提供をいただきました。『パン工房・ハッピー』さんでは、知的障がいを持つ24名の方々が、パン職人さんの指導を受けながら、天然素材を使ってパン、ラスクやクッキーを作っておられます。

Crossoverスタッフの田中健一が、知人の方から紹介で、工場見学に行かせていただき、熱心にパン作られている皆さんを応援したいという思いで、今回Crossoverの場で紹介させていただきました。

○ 運営主体:社会福祉法人 明星会 パン工房・ハッピー 就労継続支援B型(ここで訓練を受け一般企業に就職する)

○ 住所:神奈川県南足柄市塚原721-1  ○ 電話:0465-72-3033  ○ 営業時間:9:00~16:00(定休日:土・日・祝日)

○ HP: http://www.kanagawa-id.org/takenoko/sisetu4/

 

3.ディスカッション報告


グループA

ファシリテーター
池田洋一郎 (所属:財務省)

メンバー構成
国家公務員2名、地方公務員1名、会社員3名(コンサルティング・ファーム、メーカー)、メディア1名、団体職員1名、NGO職員1名
年齢層 20代:3名、30代:3名、40代:1名、50代:2名

グループの提言
① A市が直面している最大の課題:問題設定・解決能力の高い人財の呼び込みと定着
② 取るべき対応:市長直下の官民協働プロボノ・タスクチームの設置

主な議論
☆ 導入
グループ・メンバーの問題意識等

○ A市による企業・人の誘致の成功が、周囲の自治体からの人材・企業の流出によってもたらされるのであれば、日本全体としては、問題解決とはならない。従って、近隣自治体も含めた地域全体、あるいは日本全体にとって最適な解決策を考える視点が必要。
○ A市の中でも、様々な特性やアイデンティティが混在していることを忘れるべきではなく、地元の特性を把握し、そのニーズに応えるという視点と、より広域の地域や日本全体の全体最適を図る視点の二つのバランスを取ることが必要。
○ 「A市」という行政区画にとらわれた発想ではなく、そこで生活する市民や、通勤・通学をする生活者の視点で検討をするべき。

☆ 議題1
人口減少が進み、様々な問題が発生している‟A市”にとって、市民や行政が今向き合うべき、最も重要な課題は何か

○ 従来型の製造業への依存が続く結果、尼崎市としての「稼ぐ力」が低下。これが市税収、市民の所得の低下をもたらし、さらに市の行政サービスや生活環境等の“アメニティ”の劣化がもたらされつつある。従来型の産業を誘致しても、パナソニックの例が示す通り、新興国との価格競争等により定着しない可能性が高い。以上より、「稼ぐ力を取り戻し、継続的に高める」ための産業構造の質的・量的な転換が最大の課題。

○ A市の人口減少の主な理由は、小学生に上がるくらいの子供を持つ世帯の市街転出による社会減。公立小・中学校教育の質が悪いこと、あるいはそうしたイメージが定着していることが背景として挙げられている。また、A市には保育所や病児保育施設が充実している等の魅力も多くあるにも関わらず、それが市民や近隣市町村に伝わっていない。従って、「暮らしやすい、住みたいと思う街」としてのイメージ戦略を強化していくことが課題。
○ 住民一人当たりの生活保護負担割合が全国で14位、というデータが示す通り、A市は人口減少で悩みながらも生活保護の受給者数が多いことが問題。彼らへの雇用や活躍の場を用意することが重要な課題ではないか。
○ 尼崎は人口がピーク時の55万人から45万人まで減少したが、人口密度を見ると、なお、全国的にも極めて高い水準。県外移転の主な理由には、「住環境が悪い」、「家賃が高い」等が挙げられていることを踏まえれば、人口が減少すること自体は、問題とは言えない。人口が減少して余裕が出来た空間を、付加価値の高い生産的な活動が展開する場へと転換していくことが重要な課題。

☆ 議題2
課題を解決するために、あなたが考える市民(あなた自身)と行政(市役所)が最優先で取り組むべきアクションは何か

○ 先進的な手法で課題を解決したことを示す具体的な物語とともに発信する尼崎市のイメージ・アップ戦略。社会課題に取り組む社会起業家やNPO等が知恵、資金、人財を共有するプラットフォームやラボの立上げ。
○ 過去の成功体験や既存の産業構造に縛られない、自由な発想を持った人財の市内からの発掘と、市外からの招致。
○ A市が元来持つユニークな強みを伸ばす教育関連施設(スポーツや音楽の専門校、モノづくり関連の職業訓練校やR&D施設等)の招致や充実。
○ 上記施策を分野別に議論し実行に移すために、その道の専門家を官民横断的に集めるタスクフォースを市長の直下に設立。

政策ワークショップに対するグループの感想
○ バランスとテンポよく進み、工夫を沢山盛り込んで頂いて、皆意見を出しやすかったと思います。
○ 他チームのプレゼンを聞いた後では、もっと自由に、ちょっと不真面目に、議論してもよかったかな、と思いましたが、全体的には真剣に議論できてよかったです。
○ 全員の意見がファシリテーターの努力により盛り込まれ、よかったと思う。異業種の方の意見が聞けてよかった。
○ 筋道を大切にディスカッションができたと思う。準備等、ありがとうございました。
○ 今回、様々な意見を聞けたが、行政職員が「公共の福祉」に逃げがちなところを鋭く指摘されたところも面白かった。
○ 自分の仕事上だけでは出会えないような他業種の人々と意見交換ができて、ハッとすることが多く勉強になります。
○ 産学官民の多セクターの参加者が集まり、楽しい時間が持てました。
○ 官民協働の名に違わず、様々な業種の人々と意見交換ができたのがよかった。今後もまた参加していきたいと思う。

文責 池田 洋一郎

 


グループB

ファシリテーター
田中里沙 (所属:横浜市←総務省から出向中)

メンバー構成
国家公務員2名、地方公務員1名、会社員2名(コンサル)、会計士1名、団体職員1名、大学関係1名
年齢層 20代:3名、30代:1名、40代:1名、50代:3名

グループの提言
「かまってほしい尼崎」
社会減(ファミリー世帯の流出)による税収減への対策として、地域のニーズを捉え、A市の強みである“ものづくり現場”を活かした「人情味ある教育カリキュラム」を導入し、コミュニティの再生につなげていく。

主な議論
☆ 導入:グループ・メンバーの問題意識等

○ A市の人口減少は自然減もあるが社会減であることに着目し、その理由を考えることで課題や解決策が見いだせる。自然減に対する解決策とすると中長期的に時間がかかる政策となるため、今課題に対応すべき最も重要な課題としての整理は難しい。
○ A市の治安は本当に悪化しているのか、市民はどのように感じているのかがポイント。
○ 市民アンケートで“住み続けたい”と思っている人が少ないことに着目すべき。
○ 子育てや介護等のライフステージで必要となるコミュニティは整っているのか、住みやすい環境となっているのか。
○ A市の人口減少と密接に関連しているのは中心市街地の衰退でることもポイント。
○ 企業の誘致による税収増も重要な政策。
○ A市の強みである医療やものづくり現場を活かした解決策を考えたい。

☆ 議題1
人口減少が進み、様々な問題が発生している‟A市”にとって、市民や行政が今向き合うべき、最も重要な課題は何か

○ A市は人口がピーク時の55万人から45万人まで減少しているが、減少そのものは日本全体で起こっている事象であり、注目すべきはA市の人口減少の中身。高齢者の減り幅よりも生産年齢人口の減り幅の方が大きい。
○ 市民アンケートを見ても、“住み続けたい”と思っている人が少なく、また教育の質の低下や治安に不安を持つという回答が見受けられるため、子育て世代であるファミリー世帯の流出が考えられ、この結果、A市の税収減につながる。
○ また、子育て世代にとって住み続けにくい環境というのは、都市であるA市では隣同士知らないといったコミュニティの希薄化も影響していると考えられる。
○ よって、ファミリー世帯の流出である社会減による税収減への対策が最も重要な課題。

☆ 議題2
課題を解決するために、あなたが考える市民(あなた自身)と行政(市役所)が最優先で取り組むべきアクションは何か

○ ファミリー世帯の流出に影響を与えている事象は、治安への懸念や教育の質の低下、コミュニティの希薄が考えられ、この事象は翻すとA市にとってのニーズと捉えることができる。

○ これらのニーズに対して、考えられる解決策としては、A市の強みである“ものづくり現場”を活かして、例えば小学校の社会科見学でものづくり工場に行き生のものづくりを体験したり、職人の方から授業で経験をお話いただいたりする「人情味ある教育カリキュラム」を導入する。
○ その結果、ものづくりの現場の方や教育現場の方、子ども・親の交流が進み、コミュニティの再生につながり、ファミリー世帯が長く住み続けたいと感じることができるようになり、最終的にはA市の社会減にストップをかけることにつながると考える。
○ なお、この政策は市の小学校教育を考える市としての立場からの関わり方が重要であり、かつ市だけでは難しいコミュニティの再生には市民参加も必要であるため、官民協働のアクションである。

政策ワークショップに対するグループの感想
○ 解決の方向性、アイデアの方向性が似た人が集まっていたようだ。
○ 個人として、ここにいることに納得できました。
○ 内容が濃く、あっという間に時間が過ぎた。
○ 時間はギリギリでしたが、色々と議論ができました。
○ 多様な考え方が聞けて有意義だった。対策を考える時間配分をもう少し多くしたいと思った。
○ 全ての参加者の意見を聞くような配慮があって良かった。

文責 田中 里沙

 


グループC

ファシリテーター
田中宗介 (所属:経済産業省)

メンバー構成
国家公務員1名、会社員4名、学生2名、その他1名
年齢層 20代:2名、30代:3名、40代:2名、70代:1名

グループの提言
大学を中心に市の南北を繋ぎ、北の洗練された感性やITで、南の労働者を熟れ男に!
(南北の地域性と世代間ギャップをクロスオーバーする)

主な議論
☆ 導入
グループ・メンバーの問題意識等

○ イメージの悪い「尼崎市」を「のほほんとしたPRビデオ」で誤魔化すのではなく、明確に立ち位置を意識すべき。スイーツの街や住環境をアピールしても、ライバルとなる街が多い(芦屋、西宮、神戸、宝塚等)。
○ 尼崎市の北部は、住民の流動性が高く、IT技術に長けた若者層や比較的所得の高い住民が多い。尼崎市の南部は、住民の流動性が低く、昔ながらの商店街や町工場が多い。地域性があるが、住民は、南北ではなく東西(阪急・JR・阪神といった沿線)を意識しており、市のイメージが明確になっていない。

☆ 議題1
人口減少が進み、様々な問題が発生している‟A市”にとって、市民や行政が今向き合うべき、最も重要な課題は何か

○ 尼崎市の抱える課題のうち、最も重要な課題は「イメージの悪さ」。
○ このイメージを隠し・誤魔化すのではなく、「ちっちゃいおっさん」(市非公認ゆるキャラ)のように、尼崎らしさ、個性を活かすべき。

☆ 議題2
課題を解決するために、あなたが考える市民(あなた自身)と行政(市役所)が最優先で取り組むべきアクションは何か

○ そこで、尼崎にあるモノを活かすことを考え、北部の若者、IT、感性を発揮する場として、大学の誘致を考えた。
○ 大学は、都市型キャンパスやサテライト型で良いが、市の中心部に立地させ、南北の結節点とする。

○ 市の南部には、多くの地場企業があり、大学で生まれた知見を活かすフィールドになる。例えば、新たなソフトウェア開発や実証を行う際に市内事業者と共同開発や実証試験を行うなど、北部のソフトと南部のハードを融合させ、尼崎でしか実現できない尼崎モデルとする。
○ 副次的な効果として、中高年労働者とIT技術に長けた若者の行き来が増え、イカシタ中年=熟れ男が増える。(ちっちゃいおっさんがスマホの最新アプリを使いこなすイメージ。)

政策ワークショップに対するグループの感想
○ 様々な方の意見や強みを議論の中で知ることができ、異業種交流の魅力を感じることができた。
○ 時間に制限がある中で、ディスカッションの内容が詰められるかなと思いましたが、前向きにディスカッションが進められました。
○ メンバーのバランスが良く、話やすかったです。話がズレる前に、ファシリがタイミング良く話を整理して頂けて助かりました。

文責 田中 宗介

 


グループD

ファシリテーター
林 優里 (所属:環境省)

メンバー構成
大学院生 1名、国家公務員 3名、会社員 2名、地方公務員1名、会計士1名、その他1名

グループの提言
① A市が直面している最大の課題
「住み続けたい町にする」
② 取るべき対応
「ガラが悪い」「学力が低い」というイメージの払拭に向け、「イメージ向上」、「地域の関係性の強化」、「学力向上」という縦軸、「小さい行政」「大きい公共」という横軸に対応する施策をパッケージとして実施する。

主な議論
☆ 導入
グループ・メンバーの問題意識等

○ 税収の低下、福祉政策への支出増と、それらによる財政悪化、福祉の質の低下、「尼崎」と言えば、という特徴がないことが問題
○ 一方で、おもしろい町、北は教育水準が高く、南は下町で暖かい、という特徴がある
○ 議論の進め方については、適正人口がどの程度なのか見極める必要がある、目指すべきビジョンをはじめに設定すべき、等の意見が出された

☆ 議題1
人口減少が進み、様々な問題が発生している‟A市”にとって、市民や行政が今向き合うべき、最も重要な課題は何か

○ 表面化している問題は…
・転出による人口の社会減が進んでおり、若い人が少ない。
・アンケートによると、「ずっと住み続けたいと思わない」という回答をした人の割合は、20代女性が最も多い
・世帯人数が増えたり子供が大きくなったりすると、転出する例が多い

・外から来る人を増やすよりも、転出を防ぐ方が重要
・行政でできることは限られている。市民の力を借りた政策立案・実行が必要
・共感してくれた人は出て行かない
・公立学校の環境・レベルに対する不満がある

○ それら問題の原因は…
・イメージが悪い(ガラが悪いというイメージがある)
・治安が悪い
・学力が低い

○ 上記を踏まえると、課題は、「住み続けたい町にする」こと。

☆ 議題2
課題を解決するために、あなたが考える市民(あなた自身)と行政(市役所)が最優先で取り組むべきアクションは何か

○ 市長がどのような町にしたいかというビジョンを踏まえる必要がある
○ 「イメージ向上」、「地域の関係性の強化」、「学力向上」が必要
○ 具体的な施策は以下の通り
・「尼崎にいればこう育つ」という良いイメージをつくる
・逆に、不良が入っても更生される学校等にする
・自分で考え、自分で決める経験をさせる
・就業体験等を通して、尼崎の事業価値を再発見する
・地域で見守る環境をつくる
・「窮屈」さを逆転して、「和」文化を育てる

・震災からの復興の経験を活かし、「へこたれへん」人を育てる町にする
・生きる力(サバイバル)を育てる
・フリー教育特区を敷く
・地域のスポーツチームの育成など、スポーツの振興策を行う
・地域の大人が出前授業をする・学生に職場に来てもらうという機会を設ける
・卒業生の会を活かし、地域の縦のつながりを強化する
・対話の教育を行う

・財源は、ふるさと納税で補填
・アフタースクールの支援をする(寺子屋等)
・海外とつながる経験をできる場を設ける
・これらに対して、市としては、マッチングや公共の場所の貸し出しにより支援ができる

政策ワークショップに対するグループの感想
○ 私自身がこういった場に参加することが初めてであったので、非常に勉強になった
○ 様々な意見を聞くことができた。1グループ9人は少し人が多すぎる感じがした
○ きちんと議論の流れを本筋に戻しながら、ポイントをおさえ、皆に発言させるバランスの良さがあった

文責 林 優里

 


グループE

ファシリテーター
田中健一(北京天衛診療所)

メンバー構成
公務員2名、会社員4名、医療関係(2名)、学生2名
年齢層 20代:3名、30代:4名、40代:2名、50代:1名  人口10万人以上出身3名

グループの提言
日本国からの独立

主な議論
☆ 導入
グループ・メンバーの問題意識等

○ 自己紹介に続き、立場の違いを超えて自由な意見交換をしていきたい、というファシリテーターとしての希望をのべた。そして、他の7つのグループが考えないような奇想天外なアイデアを出すことを目標にした。
○ 意見が収束しがちな時、ファシリテーターがあえて他にも問題がないだろうか?と問いかけることにより別の意見がでてきた。
○ 市のかかえる多くの問題の根本には、貧困とイメージの悪さ、があることに集約した。発表においては多数決をとって、貧困解決の取り組みを伝えることとした。
◆最も問題とした点:市の財政が赤字体質から脱却できないこと
○ 背景には貧困層への支給、イメージの悪さにより富裕層が住まないことがあるのでは?

☆議題1
貧困 扶助率34%という高い数字を減らすには何を市としてすべきか?

○ 支給から納付へ1:生活保護者にも仕事をしてもらう。
・では仕事ができない人はどうするか?
→応分の負担をしてもらうべき(ここから臓器提供の意見がでる、この倫理的違和感から最後まで発表に乗せるかどうかで紛糾、意見集約はできず)
→でていってもらう施策を行う(住みにくい環境にしてしまう)

※ あくまでも政策を立案することを主眼においているので、個人の価値観・倫理観は一旦横において考えましょう、と伝える。逆ばりはどこにあるか?から意見をだしてもらうことを要請した。

☆議題2
貧困層を減らす政策の実現に向けて

○ 法律的・予算的権限を持つ中央政府が許すわけがない。
→独立すれば施策は可能になる。→独立に必要なことは何か
・ 空港を持つため伊丹市と合併 →これを実現できるのは誰か?

政策ワークショップに対するグループの感想
○ 抱えている課題が自分の住む自治体とも類似していると実感し、身近なテーマとして捉えられた
○ もっと焦点は絞ってアイデアを深めた方が楽しいかなと思う。
○ 他の班が出さないアイデアを出そうという考え方は共感できる。しかし、班員はモラル面で納得できないという意見がでた場合にはもう少し、柔軟な対応ができたら良かったかなと思った。

文責 田中 健一

 


グループF

ファシリテーター
川合淳一 (所属:合同会社ドリームオン、株式会社ブレンドシステムズ)

メンバー構成
国家公務員 2名、地方公務員1名、会社員 2名(製造業)、教師 2名、自営業2名
年齢層 20代 2名、30代 5名、40代1名、50代1名

グループの提言
課題は産業の衰退にある。勝ち馬をつくるため、炭素樹脂などの成長産業の誘致と、中高一貫校の設置を。

主な議論
☆ 導入
グループ・メンバーの問題意識等

○ グループで政策といった成果を出そうという、目的の達成についての動機付けが得られなかった。データを見て課題を探すより、どちらかというと弁論が重視された。
○ 人口減少の問題について、他の問題を挙げるべきか、課題についてのみ挙げるべきか、進行方向について議論が行われた。
○ サッカーチームを作ろう、など自らの解決策のアイデアを持っている人が積極的に話を展開し出したが、何が課題なのかが共有されていなかったため、共感を得るのが難しかった。

☆ 議題1
人口減少が進み、様々な問題が発生している‟A市”にとって、市民や行政が今向き合うべき、最も重要な課題は何か

○ 課題について、大きく1住みやすさと、2産業の衰退に分けられた。
○ 1住みやすさについては、住環境は人口問題に直接影響することから、ファミリー層流出による子育て支援、住環境整備、行政サービスの充実、そして学力の低さが挙げられた。しかし、周辺地域との差別化が計りにくいことから、最重要課題とふさわしくないとされた。

○ 2産業の衰退について、税収減少、工場閉鎖、労働人口の減少が挙げられた。A市の特色と資産を活かす上で産業衰退への取り組みを最重要課題とすることになった。
○ 最重要課題を1とする者と2とする者の主張者同士の意見をくみ取り、2の反対意見がなくなった段階で最重要課題を決定した。

☆ 議題2
課題を解決するたに、あなたが考える市民(あなた自身)と行政(市役所)が最優先で取り組むべきアクションは何か

○ 既に残り時間が20分を切っていたため、急ぐ必要があった。
○ 出てきた具体的なアイデアに対して、誰も反対しなかった場合にアクションとして取り入れた。他に意見がなかったため、決定した。
○ 発表者に立候補した方に、自分より良いと考える人を推薦させ、これを決定した。用紙に清書する者と、発表内容を評価する者、投票用紙の上に記載された5つの観点から見て、より良い方法にアレンジする者、の分担作業を指示し、発表に間に合わせることはできた。

政策ワークショップに対するグループの感想
○ 緊張されていたかと推察します。ありがとうございました。
○ がんばって!!(笑)
○ ファシリテーターの位置付けがよく分からず、最初混乱してしまった。やはり様々な分野からの人達で議論することは大切に。けど難しいと感じた。自分の意見を言うことももっとしていきたいと思った。
○ 面白かった
○ 時間があっという間で、何をこの時間に意見を出すのか焦点化していくファシリが必要だったと感じる。各々の人はテーマに沿って話せた。スタッフの役割って一体なんですか?(グループ内の)

文責 川合 淳一

 


グループG

ファシリテーター
城まさのり (団体職員)

メンバー構成
国家公務員 2名、地方公務員 2名、会社員 2名、団体職員 2 名、無職 1名

グループの提言
女性活用特区の創設

主な議論
☆ 導入
グループ・メンバーの問題意識等(理想の町)

○ 子育てがしやすい町が良い
○ 町に関わる人が多い町が良い
○ エネルギーの地産地消ができる町がよい
○ 自由な町、発展が読めないがよい
○ お金じゃないところで生き甲斐を得られる町
○ 緑がいっぱいある町がよい

☆ 議題1
人口減少が進み、様々な問題が発生している‟A市”にとって、市民や行政が今向き合うべき、最も重要な課題は何か

○ 人口増ではなく人口バランスの回復
○ 安全な町にすること
○ 住民のクォリティを上げる
○ IT の活用

☆ 議題2
課題を解決するために、あなたが考える市民(あなた自身)と行政(市役所)が最優先で取り組むべきアクションは何か

○ 保育所が充実しているので子育て支援
○ 特区創設
○ 市長を積極的に看板にする
○ 大学・高校の誘致
○ 若者がカネを持つようにする
○ 図書館、放送大学を使ったIT 利用

政策ワークショップに対するグループの感想
○ もっと大きなテーマを扱うべき
○ ルールを守らなかったグループは減点すべきだと思う。
○ 最後にまとめるのがどうしても上手な人に頼ってしまう
○ A市レベルはまだ良いほう。限界に近い自治体の方が良かった

文責 城 まさのり

 


グループH

ファシリテーター
新関康平 (預金保険機構)

メンバー構成
国家公務員2名、会社員3名(証券、メーカー、人材派遣)、団体職員3名、自営業1名
年齢層 20代:2名、30代:4名、40代:2名、50代:1名

グループの提言
① 灘高校のサテライト校を尼崎南部に設置。そのエリアに新興マンション建設。
② あまにい・ねえ制度(尼崎住民が公立学校で勉強を教える)
③ 町づくりファシリテーターの招聘。

主な議論
☆ 導入
グループ・メンバーの問題意識等

○ チームの3分の2が東京出身で地方で住んだことがない。地方の人口減少を肌で感じられない者が多数。その結果、参加者の主張が日本全体でこうあるべき!というものが目立った。
○ 女性の社会進出が阻害されていることで女性陣が大盛り上がり。終始男性陣が女性陣の力強さに圧倒されていた印象。
○ 一人を除いて尼崎に行った事が無かった。尼崎といえばという問いに対して、電車の事故やダウンタウンの出身地、公害という回答があった。

☆ 議題1
人口減少が進み、様々な問題が発生している‟A市”にとって、市民や行政が今向き合うべき、最も重要な課題は何か

○ A市の人口減少は主として、小学生に上がるくらいの子供を持つ世帯の市街転出による社会減。子供を産んでから教育の質の悪さのために、移住する者が多いため、公立小中学校教育の質が悪いことが課題。
○ 子育て世代の移住の理は、「家が狭い」、「家賃が高い」が挙げられている。子育て世代に対して、住みやすい住環境の提供が課題。

☆ 議題2
課題を解決するために、あなたが考える市民(あなた自身)と行政(市役所)が最優先で取り組むべきアクションは何か

○ 灘高校のサテライト校を尼崎南部に設置。そのエリアに子育て世代が住みやすい新興マンションを建設する。三井不動産と交渉。その結果、子育て世代の定住化が図れる。
○ あまにい・ねえ制度(尼崎住民が公立学校で勉強を教える)所得が無い者でも、一定の教育水準を担保するようにし、教育格差を無くす。
○ ファシリテーター人材を市外からの招き、よそ者や南北住民の仲介役を担ってもらう。

政策ワークショップに対するグループの感想
○ 議論が散漫になったときがあった。
○ 各人が多様な意見を出して盛り上がった。
○ 新関さんが実行策に落とし込もうとしていた。拡散した意見を纏めてくれた。
○ まとめるのと時間配分が上手い。
○ 的確な方向性に導いてくれた。
○ 課題抽出に時間がかかった。
○ 貧困層と接したことが無い人が尼崎を論じる資格はない。

文責 新関 康平