みんなでつくろう! 風評に負けない社会 ~食の「安全・安心」の源を探りながら~

みんなでつくろう! 風評に負けない社会 ~食の「安全・安心」の源を探りながら~

官民協働ネットワークCrossover主催
ディスカッション大会

 

 

みんなでつくろう! 風評に負けない社会

~食の「安全・安心」の源を探りながら~

 

 

 

報告書

 

 

 

 

1.全体総括と参加者アンケートの結果


6月4日(日)11:50より、東京医科歯科大学にて、異業種ダイアログイベント「みんなでつくろう!風評に負けない社会 ~食の「安全・安心」の源を探りながら~」を開催しました。

今回の「異業種ダイアログイベント」には、約90名の方々から参加いただきました。参加者の職業は、これまでのイベントと同様、教員、国家公務員、地方公務員、会社員、会社経営者、政治家秘書など、多様な分野からお集まりいただきましたが、これまでとは異なり、約20名もの大学生・高校生に参加いただき、活気溢れるイベントになりました。

今回の企画は、代表池田とスタッフの村田と押久保が、池田の高校時代からの友人の岡田英雄さん主催の福島と東京の高校生同士の食の安全・安心を巡る対話のお手伝いをするために平成29年3月に参加した、「福島スタディトリップ」でいただいたご縁や問題意識が出発点となっています。
その中で、「ふくしま食べる通信」という、福島県産の一次産品の魅力と安全性をアピールする小冊子を、食材とともに全国に配送する活動を知り、この活動を通じて風評問題と戦っている高校生との出会いがありました。

今回の「異業種ダイアログイベント」は、代表の池田からのプレゼンテーションで幕を開けました。その中では、

・ 女子高生同士の他愛もない会話が風評となり、銀行の取り付け騒ぎまで発展したという、嘘のような本当の話、
・ 福島のスタディトリップで得た気づきの共有

①福島はイメージするもの以上に広いこと(東京都6個分!)、
②福島は地域毎に特色があり、ひとまとめにはできないこと、
③福島の震災前の野菜・果物の生産量は全国でもトップクラスで、とても実り豊かな県であること、
④生産物の価格や学校給食における利用状況を見ると、まだ課題はあるものの確実に前進していること、

・ 過去の風評被害に関する事例紹介

が行われました。この後、参加者同士のダイアログへと移っていきました。

 

 

 

第1セッション (ダイアログその1「風評被害って何?」)  80分
「そもそも“風評”とは何か?」
■スタッフ代表(池田洋一郎)からのプレゼンテーション
■異業種ダイアログ(45分)
・真偽が不確かな「うわさ」や「ニュース」をうっかりシェア、拡散してしまった経験はありますか?あるいは、事実ではない「うわさ」等によって傷ついたり、被害を受けたりしたことはありますか?
・「風評」とは何でしょうか?ただの「うわさ」や「デマ」とは違うものでしょうか?
・どんな条件がそろうと、ただの「うわさ」が「風評」となって社会全体に広まり、人や組織に「被害」を与えやすくなると思いますか?

第2セッション (ケーススタディセッション)  80分
「風評問題」を自分事として考え、その核心に迫る
■事例紹介(Crossover 安全・安心物語 ドラマ鑑賞)(10分)
■事例に基づくグループ・ディベート(ロールプレイ)(60分)
①引き続き埼玉県産の野菜を学校給食の食材として購入し、児童に提供するか否か、
②上記の意思決定を、農家、保護者、そして児童にどのように伝えるか
■ディスカッションの内容共有(10分)

第3セッション (ダイアログその2「風評に負けない者かいをつくるために私たちができること」)  90分
「風評に負けない社会」をつくるために一人一人が持つべき習慣やマインドセットを学ぶ
■ゲスト・スピーカー(下村健一さん(元TBSアナウンサー、元内閣審議官、現白鴎大学教授)からのプレゼンテーション(50分)
■プレゼンテーションに基づくグループ・ディスカッション(40分)
・下村さんのお話を聞いての感想、疑問は?
・「風評に負けない社会」をつくるために、あなたが個人として、組織や社会の一員として、できることは?

紹介  10分
■福島からの特別ゲスト紹介
■Crossoverスタッフからのメッセージ

成果の確認  2分
・当日得た最大の気付き、学び、そして出会いを自問し、答えを名札の裏に書き記すセッション

懇親会  180分
・懇談を通じて、会場に集った多様な参加者同士の交流を深めるためのセッション

 

第1セッションでは、池田からのプレゼンテーションも踏まえつつ、参加者同士で風評に関する経験の共有、「風評」と「うわさ」の違いや、単なる「うわさ」が「風評」となって被害を発生させるに至る条件などについてダイアログが交わされました。

その次の第2セッションでは、マスメディアも巻き込んだ過去の風評被害事例を元にフィクションとして作成したスタッフ出演のVTRを鑑賞し、参加者同士でケーススタディセッションを行いました。参加者全員がクロスオーバー小学校の教師役になりきり、保護者や農家、児童の立場を思い浮かべながら、熱い議論を交わしました。

 

「安全安心物語~食育教師ニノの風評に苦悩の巻」

copyright Crossover 2017

 

発案:池田洋一郎  監督・編集:服部真子、アドバイザー  特別出演:下村健一
素材協力:松本純子(写真)、畠山央暖(ドローン)、しろまさのり(写真)
撮影・出演協力:クロスオーバースタッフのみんな

 

<VTRのあらすじ>
・ クロスオーバー小学校の教師ニノは、以前から食育に熱心であり、給食にも児童と訪問したS県T市の農家の野菜を使用していた。
・ しかし、S県T市の葉物野菜から工場から流出したと思われるダイオキシンが検出されたというニュースが放送され、保護者からS県T市の野菜を給食に使用することを中止するよう求める電話が殺到する。
・ 一方で、S県の平野知事はS県の野菜は安全であると会見を行った。
・ さらに、農家の松本さんからも風評に惑わされて給食への利用を中止するならば訴えるという強い意見が寄せられる。
・ このような状況の中で、学校の職員たち(参加者)は、以下の2点について職員会議で決定しなければならなくなった。

① 引き続き埼玉県産の野菜を学校給食の食材として購入し、児童に提供するか否か、
② 上記の意思決定を、農家、保護者、そして児童にどのように伝えるか

続く第3セッションでは、元TBSアナウンサーの下村健一教授から、メディアリテラシーを高める模擬講義を行っていただきました。下村教授の講義の中では、とても分かりやすい例え話や事例を踏まえながら、我々が情報を受け取る時、情報を発信する時のそれぞれの注意点を学ぶことができました。下村教授の講義中、会場は沢山の笑いと深い頷きで満たされていました。
その後、これまでのセッションを踏まえて、「風評に負けない社会」をつくるために、参加者一人一人が個人として、組織や社会の一員としてできることについて、ダイアログを行いました。

参考文献:『想像力のスイッチを入れよう(講談社)』、『10代からの情報キャッチボール入門(岩波書店)』

参加された皆さんにご記入いただいたアンケートについては、こちらに取りまとめましておりますので、併せてご覧下さい。

 

アンケート結果

 

最後に締めくくりとして、「議論や講義を通じて得た最大の気付き、学び、出会い」について静かに自問し、それぞれの答えを名札の裏側に書き込みました。 会の冒頭で名札の上半分に書き刻んだ「目的意識」と、会の終わりに下半分に記した「成果」は、参加者一人ひとりの日常を変える、小さくとも確かなヒントとして、参加者の皆様に持ち帰っていただきました。

続く懇親会にも約80名の方に参加いただき、また、その後の会場を移して行われた二次会にも沢山の方がいらっしゃってくださいました。最後に解散したのは23時過ぎで、今回のイベントは約11時間に及びました!今回のイベントをともに盛り上げてくださった参加者の皆様に、心よりお礼を申し上げます。

ありがとうございました!

 

2.ダイアログ、ケーススタディセッション報告


チーム1 トマト

ファシリテーター
池田 洋一郎(所属:Crossoverスタッフ/財務省)

メンバー構成
(ダイアログその1、ケーススタディセッション)
○職 業 国家公務員:2名、会社員:1名、公認会計士:1名、管理栄養士:1名、企業経営:1名、大学生:1名、高校生:1名
○年齢層 10代:1名、20代:2名、30代:3名、40代:1名、60代以上:1名

(ダイアログその2)
○職 業 国家公務員:1名、地方公務員:2名、会社員:1名、団体職員:3名、大学生:2名
○年齢層 20代:4名、30代:2名、40代:3名

主な議論
(ダイアログその1)
テーマ:「風評被害って何?」

○ まず、真偽が不確かな噂やニュースをうっかりシェアしてしまった経験や、逆に噂等によって被害を受けた経験について自己紹介を兼ねてシェア。
・「巨大な東海地震が近々発生する」との専門家らしき人の見解に戸惑った。
・ 学校内での噂は、皆が関心のある恋愛話を中心に、SNSで拡散され易い。
・「スムージー飲むとやせる」という噂が身の回りで広がっていた。
・ 調べればすぐ嘘だと分かるのに、「パナマ文書(脱税に関与したとされる者のリスト)」に財務省幹部の名前が含まれているという噂がネット上で拡散された。
・「飛行機雲は企業が散布する毒物」という話を、冗談で友人に伝えてしまった。
・ 企業財務を見ていると、公式見解ではない噂が実は正しいと感じることがある。
○ 次に、「風評」と「デマ」との違いや、ただの「うわさ」が「風評」となって社会全体に広まる条件等について議論。「事件」、「権威」、「意図」、「感情」の4つがキーワードとして浮かび上がった。
・ 事件:英語で「Collateral Damage(巻き添え被害)」と呼ぶ風評被害は、噂(=Rumor)と異なり、実際に何か起きていることが多い。また、事件により物事の負の側面にばかりに注目が集まる、あるいは「情報をシェアしたい!」との焦りが生じることで、全体像や本質に注意が向き難くなる。
・ 意図:デマは何らかの悪意がある。他方、風評は無意識のうちに、あるいは「大切な何かを守りたい」という善意をもって広がるのではないか。
・ 権威:風評が広まる背景には、専門家、資格保持者、及び政府高官等の権威ある人への依存、あるいは反発、嫉妬があるのではないか。
・ 感情:一度風評が広まると、如何に細かく検査をし、その結果をどんなに丁寧に説明しても、例えば子供を守りたいと思う母親は納得してくれない。
○ その他、議論を通じて出された興味深い意見は以下の通り。
・ 風評は健全な社会にとって必要なのではないか。風評が全く存在しない社会は全体主義的な監視社会であるように思え、違和感がある。
・ 情報の真偽を見分けられるよう、なるべく一次情報に触れる、「ただの風評だった過去の事例」を蓄積する等を通じ、自らのセンサーを磨くことが肝要。

(ケーススタディセッション)
○ ダイオキシン汚染の疑いが報道されたS県T市の葉物野菜を明日からも学校給食の食材として児童に提供するか否かを決定する小学校の職員会議。なおT市農家とは、長年の食育を通じて学校との直接のつながりがある前提。
○ 冒頭各自の賛否を確認した上で議論。その上で多数決を実施。結果、T市産野菜の給食での提供を停止する旨決定。なお、議論を通じて4人が意見を変更。
[野菜使用賛成派の主な意見(議論前2人→採決時2人)]
・ 農家や県庁が安全宣言を出しているにもかかわらず使用を中断すれば「野菜が危険である」根拠を学校側が説明する責任が生じる。
・ 限られた不確かな情報しか得られていない段階で学校が野菜使用中断の意思決定をすれば、風評被害に拍車をかける。
・ 長年培ってきた農家との信頼関係が大きく傷つく。購入再開の目途も立たない。
[野菜使用反対派の主な意見(議論前5人→採決時5人)]
・ 農家や食育に対する情は理解できるが、事実関係や安全性が不確かな中では、学校として、不安に駆られた保護者を納得させることは困難。また、報道が真実であった場合、全責任が学校に生じることにも要留意。
・ 学校の給食の内容を考える際、最優先すべきは、子供の健康・安全ではないか。
○ 次に、上記意思決定の農家、保護者、児童への伝え方について議論し以下を提案。保護者や農家よりも、子供への伝え方を工夫すべきとの意見が目立った。
・ S県T市の野菜“全て”が汚染されているとは限らないことから、食育で関わった農家の野菜の安全性を農家とともに検査する。その際「危険かもしれないから」ではなく「早く食べられるよう一緒に確認する」といった言葉を使い、農家や子供の感情に配慮。そのうえで、サイエンス・リテラシーを高める機会として本件を活かす。

(ダイアログその2)
テーマ:「風評に負けない社会をつくるために私たちができること」

○ ゲストスピーカーのお話しを受けた感想や疑問を手掛かりに、「風評に負けない社会」をつくるために、参加者一人一人が、個人として、組織や社会の一員として出来ることについて対話。主な意見は次の通り。
・「四つのギモンとジモン」は、情報リテラシーを高めるためだけでなく、社会で生きていくための力として大切。
・ 情報の周囲を見ることの重要性を「D」を使って示されたことが印象的だった。
・ 情報リテラシーを高める教員の育成が重要。その際、政府やメディアへの不信を煽るのではなく、視野をより広く、よりカラフルにすることが目的、という前向きなメッセージを示すことが必要。
・ 意見を持ち、発信するときは、様々な考えに思いを馳せる想像力が大切。想像力は学校教育や企業研修等、できる限り早めに伸ばすことが望ましい。
・ 不確実な情勢の中「即断しない」でいるには不安と戦う「胆力」が必要。これを高めたい。
・「即断しない」は重要だが、限られた情報の中で先延ばしにせず決断し、説明する力も実社会では重要。ただし「今日の自分の意見に束縛されない」「多様な情報源に当たる」「今明らかなことと、不明なことを峻別する」ことが必要。
・ これからの情報社会に求められるのは、一つの情報に明確な白黒をつけることではなく、一つの情報を分解し「どこからどこまでは合っていて、どこからどこまでは間違っている」という判断ができる人ではないか。

スタッフの感想
○食に限らず風評被害そのものは、完全になくすことができないものなのかも知れない。しかし、情報を送受信する際に「4つの疑問と自問」をこの社会に生きる人々一人一人が意識をすることで、風評の被害に負けない社会をつくることもできるはずだ。Crossoverスタッフとして、自分自身が風評の炎に水をかける人間へ進化すると共に、周りに伝播していくことで、そのような人間を増やしていきたい。

文責Crossoverスタッフ
堀越 優行

 


チーム2 じゃがいも

ファシリテーター
斎川 貴代(所属:Crossover、IP Dream Inc.)

メンバー構成
(ダイアログその1、ケーススタディセッション)
○職 業 国家公務員:3名、会社員:3名、団体職員:2名、大学生:1名
○年齢層 20代:3名、30代:4名、40代:1名、50代:1名

(ダイアログその2)
○職 業 国家公務員:1名、会社員:6名、大学生:1名、高校生:1名、
○年齢層 10代:1名、20代:2名、30代:3名、40代:1名、50代:1名、60代:1名

主な議論
(ダイアログその1)
テーマ:「風評被害って何?」

○ 真偽が不確かな「うわさ」や「ニュース」をうっかりシェア、拡散してしまった経験等に議論された。詳細は以下の通り。
・ 震災時に有害物質の情報が流れてきて周りにシェアしたら後日デマであることがわかった。
・ ブログを立ち上げたことにより、真偽の不明な内容は「わからない」と記載することにしており、良い結果が生まれている。
・ 仕事で事実を握りつぶす(黒を白という)仕事をしていたことがあった。
・ どこまでが事実でという切り分けが難しいが、「知識」とそれに基づく「判断」というプロセスがある。

○ 次に「風評」とは何か、その特徴について議論した。出された意見は以下の通り。
・ 笑って済ませられないもの
・ 信じてそうかもしれないと思うもの。
・ 経済的損失ではあるが、それには心理的損失も含む。(福島出身者へのいじめ等)

○ 最後に、どのような条件が揃うと、単なる「うわさ」ではなく、「風評」となって被害を及ぼすことになるか、について議論した。出された意見は以下のとおり。
・ 恐怖を感じさせるもの
・ 影響力のある人の声
・ 嫉妬等(つぶされた人がいる)

(ケーススタディセッション)
○ S県T市の野菜を今後も給食に使用し続けるかどうか、そしてその結論をどのように保護者、農家、児童に伝えるか、議論した。これに対し、使用し続けるかに対する回答としては8人中7人は「検査結果が出るまではT市の野菜は使用中止」というものであり、詳細は以下のとおり。

1.T市の野菜を給食に利用するか否か
[中止派の意見]
・ 農家には判断できない。(検証不可)わからないものは出さない。
・ 2週間〜1ヶ月の中止という期間は設定する。

(中止派の懸念点)
・ 一旦中止した後に再開できるのか。(保護者を納得させられるのか)
・ 食べたくない人はお弁当を持ってきてもらう案もあるが、明日からいきなりお弁当は難しい。
・ 給食自体は教育上良いので(配膳をチームで行う等)継続が望ましい。
[継続派の意見]
・ お弁当を持ってきてもらう等、各自で選択可能とする。
・ 明日からNoというのは農家が納得しない。
・ 訴訟になる。

2.保護者、農家、児童にどう伝えるか。
(1)保護者
・ 安全性を担保するために一旦差し控える。
・ しかし、あのニュース1つでこれまで子供たちも食育を深め学んでいたことを止めるのは断腸の思い。(農家の方へ話す姿勢とはある意味逆の姿勢とし「ニュース1つで不安が不安を呼ぶ状態には凛とした姿勢で臨む)

(2)農家
・ 農家との信頼が厚いニノ先生が対応。
・「農家を信じており、問題ないと思っているが、未来を担う子供の健康を一番に考え、2週間〜1ヶ月提供を差し控える。今回の件は農家の責任範囲を大きく超えており農家のためにも一旦時間をおいて状況を見させてほしい」と伝える。
(3)児童
・ やんわりした言い方にし不安を感じさせるものはNG.
・「諸事情によりT市の野菜が食べられないかもしれない。先生も頑張るからみんな待っていてね」

(ダイアログその2)
テーマ:「風評に負けない社会をつくるために私たちができること」

○ 下村教授の模擬授業の後、風評に負けない社会をつくるために自分たちができることについて議論した。報道関係者や若い世代から人生の先輩の視点等縦横無尽に活発に議論が展開された。主な内容は以下の通り。
・ 情報源に偏るのはよくない。
・ 受け手の立場、発信者の立場両方について考えたが、やはり発信者としては表現に気をつける必要があると思った。
・ 学校教育でも担任が言ったことが子供一人一人にそれぞれ別の伝わり方があるため、先生から聞いた話も議論したり、吟味が必要。
・ 意見の違う人と話すのは良い方法。また、少数派であることも恐れないでいることも多様な意見を共有しあうことができるので良い。
・ 若い世代はTwitter等結論を瞬時に反応してしまう傾向にあるので、反応せずに待ち、他の情報を様々調べたりする必要があると思った。(20代の方の発言)
・ 報道機関に勤めていると、社説と記事が違うと統一してほしいという視聴者の意見も来る。しかし、論説委員もそれぞれ異なる意見を持っており、違いを楽しむという姿勢は大事。
・ 本によく内容が調査され、精査された上で出版されることが多く、本を読むことも1つ。

ファシリテーターの感想
○ 自分が問題意識を持っている事件について現在世間では風評被害とも思える事象が起きており、メディアリテラシーの必要性を強く感じていたので、本当にタイムリなー企画だった。メディアリテラシーは今後の世界の状況を大きく左右するものでもあるので(米国の大統領選挙しかり)、大人も子供も共通の備えておくべきものだと改めて感じる。
○ 福島からの高校生のスピーチの「生産者の努力を消費者の皆さんも見てほしい。安いから買うというのも選択だが、安いという視点だけでない視点からもぜひ見て、行動をしてほしい」というコメント、また下村健一さんもおっしゃっていた視点の1つ「その発言は相手を傷つけていないか?」というコメントから、いかに周りの人、環境に想いを馳せ、配慮しながら共同体として生きていくということが問われていると感じた。

文責 Crossoverスタッフ
斎川 貴代

 


チーム3 レタス

ファシリテーター
新関 康平(所属:流離)

メンバー構成
(ダイアログその1、ケーススタディセッション)
○職 業 学生:2名、会社員:2名、団体職員:1名、自営業:1名、公務員:2名
○年齢層 不明

(ダイアログその2)
○職 業  公務員:1名、会社員:3名、学生:1名、自営業:1名、団体職員:1名
○年齢層 不明

主な議論
(ダイアログその1)
テーマ:「風評被害って何?」

◆冒頭の「福島トリップ」での気付きを受けて、次の3点について議論。主な意見は次の通り。
○ 真偽が不確かな「うわさ」や「ニュース」をうっかりシェア、拡散してしまった経験や、事実ではない「うわさ」等によって傷ついたり、被害を受けた経験について。
・ 会社内における「社内恋愛」等の不確かな噂。
・「大学を辞める」と冗談で友達に話した際、本気と受け取られ、気付かぬうちに他の友人にも拡散。
・ facebookに投稿された嘘の写真を何も考えず面白半分でシェア。
・ 福島県郡山市における「メンタルヘルス」に関する風評被害の事例。
○ 「風評」とは何か?ただの「うわさ」や「デマ」との違いは?
・ 「うわさ」や「デマ」は、身内のみに通じる他の人に知らせたい情報。
・ 風評は、科学的根拠に基づかない人々が何となく気分で拡散してしまう情報。
○ どんな条件が揃うと、ただの「うわさ」が「風評」となって社会全体に広まり、人や組織に「被害」を与えやすくなるか?
・ 科学的リテラシーが欠如した層が多数派を占める社会の場合に発生する。
・「福島」といった漠然としている一方、強力な影響を与えるキーワードが独り歩きし始めると社会全体に風評が広がっていく。

(ケーススタディセッション)
◆S県T市の野菜を今後も給食に使用し続けるかどうか、そしてその結論をどのように保護者、農家、児童に伝えるか、議論した。これに対する参加者の意見は一致して「検査結果が出るまでは使用中止」というものであった。保護者、児童、農家に対する対応は以下のとおり。
【保護者】教頭とニノ先生が、「児童の安全を第一とした上で、上の通り事実が判明し安全を確認するまでは一時的に使用を停止する。本決定は、当校において食育の取り組みをしてきたことについては、 否定するものではない」と体育館にて緊急保護者会を開き、報告する。
【児童】ニノ先生が、児童に対して、直接「安全かどうかわからないから、みんなで育てた野菜を食べることをちょっと控えましょうね。」と伝える。
【農家】校長、教頭、ニノ先生、農家との契約担当教諭と共に、直接農家を訪れ、「児童の安全を第一とした上で、上の通り事実が判明し安全を確認するまでは一時的に使用を停止する。勿論、安全であることが判明すれば、契約を再開するので、申し訳ないが、検査結果が出るまで待ってほしい。」と報告する。

(ダイアログその2)
テーマ:「風評に負けない社会をつくるために私たちができること」

◆下村先生の講義を受けて、風評に負けない社会を創る為に参加者一人一人が持つべき習慣やマインドセットついて議論。出されたアイデアは次の通り。
・「下村先生がおっしゃったことは実行すべきであるが、言うは易し、行うは難し。」という意見が殆どを占めた。

ファシリテーターの感想
○ 1stセッション(風評についてのダイアログ)では、具体的事例を各人がシェアする場で、各人が伝聞情報のみを発言していたことから、「風評」を自分事として捉え、考えたことがある者はいなかったように思う。その後の、「風評」の定義や発生メカニズムを考える際にも、定義やメカニズムの議論よりも、福島の事例の現況を第三者的視点で論じることに皆の関心が集まっていた。
○ ケーススタディでは、特に議論をせず、満場一致で一つの結論に到達したため、ケースの題材をより精査する必要があったと思われる。結論を導く議論よりも、各人の所属組織に沿った実務的な対応を発表する事の方が盛り上がっていた。
○ 最後のセッションでは、実際に下村先生の教えを実行することについて疑問を持つ者が殆どであった。
○ 予想以上に表面的過ぎる対話が展開されていた。今まで考えたことが無かったテーマだけに、本テーマについて深く考えている一部の者との壁を感じていた参加者が殆どであったように思う。この場で私が痛感した日本におけるリスクリテラシーの低さが「風評」を生じさせる一つの要因であることは言うまでもない。
○ ケーススタディには、より議論を活性化させる希望の光を感じた。

文責 Crossoverスタッフ
新関 康平

 


チーム4 ほうれん草

ファシリテーター
平野 慧(所属:Crossover、厚生労働省)

メンバー構成
(ダイアログその1、ケーススタディセッション)
○職 業 国家公務員:3名、会社員:3名、大学生:2名
○年齢層 20代:3名、30代:1名、40代:3名、50代:1名

(ダイアログその2)
○職 業 国家公務員:2名、自営業:1名、会社員:1名、大学生:1名
○年齢層 20代:3名、30代:1名、40代:1名

主な議論
(ダイアログその1)
テーマ:「風評被害って何?」

○ これまで自分が関わったことがある「風評」について議論した。これについては、
-ある女子大がモテ力を上げる講座を開設するという噂を聞き、教育に関わる友人間でシェアしたが、後日嘘だと発覚した。
-地元宮崎県で口蹄疫が発生し、宮崎県産の牛肉に風評被害が発生した。
-噂によってイメージが勝手に形作られ、それが原因でいじめに遭った。
-当時はtwitterが全盛期だったが、東日本大震災時に、自分もパニックになっていたこともあって、震災に関する様々な情報を事実確認することなくretweetしてしまっていた。
といったエピソードがシェアされた。
○ その後、シェアされた「風評」に関するエピソードを参考にしながら、「風評」とは何か、その特徴について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-その情報が意図して仕組まれたものかどうかは一つの特徴になるのではないか。多くの場合、風評は悪意なく広まる。
-一つの事象を実際よりもoverに捉えているかどうか、事実に基づいているか否かが特徴ではないか。
○ 最後に、これらの特徴を踏まえながら、どのような条件が揃うと、単なる「うわさ」ではなく、「風評」となって被害を及ぼすことになるか、について議論した。これについて出された意見は以下のとおり。
-何らかの問題について、知らない、あるいは知識がない場合に、新たな情報に接するとすぐに飛びついてしまう。
-「安全」であることがデータに基づいて示されていても、「安心」できないことがある。これは行政に対する不信も関わっているかもしれない。
-自分が何かについて「知らない」状態であり、また、行政に対する不信が存在するという状況では、自分の「直感」を信じることができなくなる。ゆえに、データを求め、もっともらしい情報に踊らされることになる。

(ケーススタディセッション)
○ S県T市の野菜を今後も給食に使用し続けるかどうか、そしてその結論をどのように保護者、農家、児童に伝えるか、議論した。これに対する参加者の意見は一致して「検査結果が出るまでは使用中止」というものであり、この結論に関して想定される懸念点に対するグループの考え方は以下のとおり。また、下線部は農家、児童に対して行う説明案の概要。
Q.知事は安全だと言っているが。
A.何の根拠も示されていない。ゆえに、安全かどうか、分からない状態であり、このような状況においては、我々にとって最も優先度が高い顧客である保護者、児童の利益を最優先に考えるべき。
Q.このような決定は、農家の方の心情的に納得させることができるだろうか。
A.ビジネスである以上、心情的なものは関係ない。安全であると言うならば、それを証明すればよく、その説明責任は農家にある。我々としてすべきことは、調査の結果安全が確認されれば、給食への使用を再開するとともに、安全であることを共にアピールしますというコミットメント、歩み寄りの姿勢を示すことだと思う。
Q.これまで食育を進めてきたにもかかわらずこのような決定をすることは、児童に対して、我々大人たちが情報に振り回されているという印象を与えるのではないか。
A.我々の意思決定理由とその経緯を共有することで、むしろ情報リテラシーを高める教育になりうる。
Q.我々の決定が、周辺の小学校や他の家庭にも影響を与え、風評被害の片棒を担ぐことにならないか。
A.仮にそうなってしまっても、悪いのはNステーションである。前述のような状況なので、一小学校としては、この決定以外に適切な判断はない。

(ダイアログその2)
テーマ:「風評に負けない社会をつくるために私たちができること」

○ 下村教授の模擬授業の後、風評に負けない社会をつくるために自分たちができることについて議論した。それぞれ職業や立場は異なるメンバーだったが、報道関係者や政府関係者などを中心とし、情報の発信側になることを意識した議論が展開された。
さらに、風評とは異なる部分があるが、政治家の発言をきっかけにしたいわゆる「炎上」が最近増えているのでは、という話になり、その原因としては、政府や政治家に対する不信が根底にあるのではないか、という議論になった。この「政府に対する信頼の欠如」は、奇しくも風評が広がる一つの要因としても考えることができ、風評と炎上の共通点について気づきがあった。

ファシリテーターの感想
○ ケーススタディセッションで、学校としては野菜の使用は中止せざるを得ないが、個人としてはS県の野菜を購入し続けることも選択肢である、という意見があった。個人単位での選択は、選択に伴うリスクが自分自身に限定されているのに対して、組織としての選択の場合、そのリスクは組織全体や顧客など広範囲に及ぶ可能性があるため、自ずと意思決定が異なる。
○ このため、風評が広がっていくことを防止するために必要な行動も、個人単位で考える場合と組織単位で考える場合で、異なってくるだろうと感じた。今回のイベントでは個人としてできることにフォーカスを当てた議論が中心となったが、今後、組織として守らなければならない利益も考慮に入れながら、組織として、風評の広がりを抑えるためにできること、すべきことを考えていきたいと感じた。

文責 Crossoverスタッフ
平野 慧

 


チーム6 人参

ファシリテーター
石山 喜章(所属:株式会社CCO)
馬見新 真理(所属:会社員)

メンバー構成
(ダイアログその1、ケーススタディセッション)
○職 業 地方公務員:2名、会社員:3名、自営業:1名、学生:2名
○年齢層 10代:2名、20代:1名、30代:2名、40代:3名

(ダイアログその2)
○職 業 国家公務員:2名、会社員:3名、学生:3名
○年齢層 10代:2名、20代:4名、30代:1名、40代:1名、50代:1名

主な議論
(ダイアログその1)
テーマ:「風評被害って何?」

◆冒頭の「福島トリップ」での気付きを受けて、次の3点について議論。主な意見は次の通り。
○ 真偽が不確かな「うわさ」や「ニュース」をうっかりシェア、拡散してしまった経験や、事実ではない「うわさ」等によって傷ついたり、被害を受けた経験について。
-北朝鮮のミサイル発射に関するニュース(一市民の対応策)をFacebookで拡散したが実際には発射されなかった。
-年明けに「2017年の予言」をシェアして友達に注意された。
-ライブドア事件のときマスコミの力を思い知った。
○ 「風評」とは何か?ただの「うわさ」や「デマ」との違いは?
-人を傷つけたり、商売に悪影響を与えるのが風評。そこまで行かないのがうわさ。
-あとになって真偽が判明したものが「デマ」と呼ばれる。判明前は「うわさ」
○ どんな条件が揃うと、ただの「うわさ」が「風評」となって社会全体に広まり、人や組織に「被害」を与えやすくなるか?
-そのニュース・事実が「大切な人を守りたい」と願う愛情を刺激したとき広まるのでは。人物批判と違って、「良かれ」と思う情報提供に遠慮はない。

(ケーススタディセッション)
◆映像を見た後の「ケーススタディ」に関しては、食材としての使用反対が6名、継続使用に賛成が2名と賛否が分かれた。主な意見は次の通り。

(反対派)
-情報不足で真偽は不明だが、健康リスクを考えて給食への使用は中止する。
-保護者対策や賠償リスクも考えて期間限定でも契約を打ち切るべき。
-汚染の事実は関係ない、保護者がどう認識しているか?で判断すべき。
-これが私立の学校なら転校する人が増えて売上にも影響する。
-平野市長の安全宣言には根拠が示されていない。
-今の段階では情報不足。だったら安全策をとるべき。

(賛成派)
-市場に流通しているということは安全であることの証。
-契約農家も安全だと言っている。
-どこからダイオキシンが検出されたのか不明。TV報道でも池田教授は「仮に検出されたら」と言っている。まだ検出されていないのが事実。
-万が一、本当に安全だった場合、契約農家への損害賠償額が膨らむ。
-契約打切りはできても再開は簡単ではない(保護者の手前)
-教師として、事実確認ができないのに、人の意見に左右されて判断を間違える大人の姿勢を子供たちに見せて良いのか?
-これまで実践してきた食育と子供達の感動体験をすべて否定することになる。

(結論と伝達方法)
-事実確認が取れるまでの期間限定で給食への使用を一時中止。安全が認められれば給食への使用を再開する。
-保護者と児童には説明会を開催して学校としての意思を表明する。
-食の安心安全に強い拘りのある保護者は、任意で(実費負担で)契約農家を訪れて現地確認ができるようスタディトリップを実施する。
-契約農家への伝達は、保護者同伴の上で校長から説明。三者で話し合い、事実を確認することが、不要な妄想や憶測を排除し、地域や保護者間でのうわさ撲滅に寄与する。また、晴れて安全が認められた場合は、このスタディトリップや保護者の対話の姿勢が児童への食育の一環となる。

(ダイアログその2)
テーマ:「風評に負けない社会をつくるために私たちができること」

◆下村先生の講義を受けて、風評に負けない社会を創る為に参加者一人一人が持つべき習慣やマインドセットついて議論。主な意見は次の通り。
-不要な情報を仕入れないようにテレビを見ない
-付き合う人を選んで、うわさを流すような人とは関わらなければいい。
-しかし事を成すには人の協力が必要。どう他者と協力関係を築くべきか?
-まず下村先生に教わった4つの疑問、自問を使おう。
-人の評判について第三者の視点を入れてはどうか?
-確かに。私からは「この部長、なんでこのポジションにいるんだろう?」と思うけど、きっと登用した理由があるハズなので、部長の上司に聞いてみる。
-相手の話や異なる価値観を受け入れる、受容する態度が重要。
-消費者としては、情報の裏を取る癖をつける。
-消費=投票なので、嘘ニュースサイトを見ない・クリックしないこと

ファシリテーターの感想
○ 現職が教員、農業の方もいらっしゃったので、ケーススタディの後に「実際の職員会議でもこういう風に議論できたら・・」、「福島産のお米だと消費者には売れないので、おにぎりなど加工食品に使われている」などリアルな現場の話を伺うことができたのが興味深かった。また、今回は東京と福島の高校生が参加してくれたので、大人の議論がどのように映るのか?素朴な疑問として何を感じているのか?など、新鮮な気持ちに戻れたうえ、須賀川市とは縁があるので改めて垣根を越えた出会いに価値を感じた。
○ ケーススタディの結論が、近くの3チームとも同じだったことを受けて、クロスオーバー参加者の判断基準が極めて近いことを実感。本当に枠を越えるには、ここに参加しない人に、どう参加して貰うか?を考える必要がある。また、下村先生の講義後に「偏った人や情報との関係を切る、離れる、見ない、近寄らない、関わらない」といった感想が出されたことも残念。SNS等で「自分と意見が合わない人をフォローする」ことの重要性を再確認させられた。
○ ファシリテーターに強い意見は必要ないかも知れないが、Crossoverの目的に沿ってガイド・ 指導するならば「今の発言は、先程の内容を無視しているのではないか?」など、教育的な観点でファシリすることも今後は必要かも知れないと感じた。このスタンスは一定の参加者を減らすことに繋がるが、その気付きを受け止めてくれる人の成長には繋がる。どちらを優先するか、次のスタッフMTGで議論したい。

文責 Crossoverスタッフ
石山 喜章

 


チーム7 きゅうり

ファシリテーター
川合 淳一(所属:株式会社ブレンドシステムズ)

メンバー構成
(ダイアログその1、ケーススタディセッション)
○職 業 公務員:2名、会社員:3名、団体職員:1名、自営業:1名
○年齢層 20代:3名、30代:5名

(ダイアログその2)
○職 業  公務員:1名、会社員:3名、学生:1名、その他:3名
○年齢層 10代:1名、20代:1名、30代:4名、40代:2名、50代:1名

主な議論
(ダイアログその1)
テーマ:「風評被害って何?」

◆冒頭の「福島トリップ」での気付きを受けて、次の3点について議論。主な意見は次の通り。
○ 真偽が不確かな「うわさ」や「ニュース」をうっかりシェア、拡散してしまった経験や、事実ではない「うわさ」等によって傷ついたり、被害を受けた経験について。
・ アメリカ留学先で、クラスメイトから、福島出身だからという理由で距離を置くように 親から言われたと聞かされて傷ついてしまった。
・ スーパーで買い物中、テレビのニュース番組で汚染の疑いを見聞きした地域産の野菜や魚があった場合は、そうでない地域を選ぶことがある。ひとりひとりの選択が積り重なることで、大きな経済的な影響が起こりうる。
・ ある企業への損害を目的として、違法性が確実だとの情報を得て、匿名のオンライン掲示板を通して情報を拡散したことがある。
○ 「風評」とは何か?ただの「うわさ」や「デマ」との違いは?
・ 「うわさ」や「デマ」はと異なり、風評とは、経済的な被害をもたらすイメージ。
・ 良いブランドイメージであっても、間接的にそうでないものへの影響がある。
○ どんな条件が揃うと、ただの「うわさ」が「風評」となって社会全体に広まり、人や組織に「被害」を与えやすくなるか?
・ 「風評」の成り立ちは「いじめ」に似ている。「いじめ」は、 レッテルを貼ることからはじまり、「いじめられるのは仕方ない」といった自己正当性をもたらし、発展すると社会的に排除するといった定着・固定化 で被害が拡大していく。
・ 風評は、脅威への防御反応や正義感での善意によるもので拡散していく。風評の対象が身近でない場合に、知識がなかったり誤解が生じたりすることで、被害が拡大しやすい。

(ケーススタディセッション)
◆映像を見た後の「ケーススタディ」で、当該野菜を給食の食材に利用するかどうかの意思決定のために、まず誰の何に考慮する必要があるか、指標を検討した。

(指標)
・ 児童を安全に守る
・ 公教育業務の遂行のため、教職員の責任や負担を最小限にする
・ 近隣の飲食店や他の地域の機関が判断する事例となるため、農家への経済的な悪影響を最小限にする

結果として「保護者からの電話と報道を根拠とし、一時的に当該野菜の給食での利用を停止するが、保健所等の第三者機関の判断で安全だと確認できた上で、使用を再開する」
とのコンセンサスを得て、給食の食材は利用しない結論を出した。
保護者・児童・農家への、短期・中長期での対応は以下の通り。

(短期間での対応)
【保護者へ】「児童の安全を第一とした上で、上の通り事実が判明し安全を確認するまでは一時的に使用を停止する。本決定は、当校において食育の取り組みをしてきたことについては、 否定するものではない」と添える。
【児童へ】質問があった際には、 結論を出すのではなく「分からない状況」と答える。
【農家へ】「これまでの食育の取り組みに感謝しており、是非野菜を使いたいが、事実が分からないため停止しなければならない」と、学校の責任を回避しつつ人間関係を壊さないよう伝える

(中長期での対応)
【保護者へ】農政課、専門家、農家などステークホルダを交えたダイアログを開催する。
【児童へ】食育の時間に、大学生を招いて問題を一緒に考える場を設ける。
【農家へ】食育の時間に、指導員として招聘し、日当を支払う。

(ダイアログその2)
テーマ:「風評に負けない社会をつくるために私たちができること」

◆下村先生の講義を受けて、風評に負けない社会を創る為に参加者一人一人が持つべき習慣やマインドセットついて議論。出されたアイデア は次の通り。
・ 安全確保のために、すぐに判断して回避行動をとった場合であっても、常に最新情報を確認して、過去の決定にとらわれずに判断を改める
・ 情報を拡散することで、他人に被害を与えないように注意する。真相が明らかでない場合は、そのように指摘をする。
・ 良いブランドイメージのものであっても、言及した場合の影響については注意する(「無農薬野菜」や「遺伝子組み換え」など)
・ 情報を受信する場合でも発信する場合でも、確実ではないことは前提とする
・ 個人が判断できるように、あるいは他者の判断理由を検証できるように、情報開示を求める
・ 講義にあった「4つの注意」を日頃から意識して、火に油を注ぐのではなく、火を消す側になるように努力する

ファシリテーターの感想
○ グループでの議論では、業務で何らかの情報を扱って発信する経験がある人の発言が多かった一方で、業務経験の浅い立場の人が議論についていけずに、途中で説明をしなければならない場面が、他のテーマでの議論のときより多かったように感じる。ある立場では当然の前提となっていることが、別の立場では全く異なっていることが、話し合いを阻害する要因であることが現れた結果となったと理解している。
○ ケーススタディでは、別の結論となったグループが見受けられなかったことを内省しなければならない。公教育のケースだったことで同じ結論になることは当然と考えられる一方で、公益部門に責任が集中してしまうことで柔軟性や多様性が欠けていないだろうか、一人ひとりが自分自身で判断できるだろうか、協力し合って助け合うような能力が欠落していないだろうか、といった懸念が残る。ケースと異なり、現実では 発信源や不確実な情報が錯綜する中で、短期間で判断することが迫られる。それは余りに多くの責任が伴うため、一人ひとりが判断できるよう、責任を公に分担する上でも情報公開は積極的に推進すべきものだと思う。
○ 今回のテーマでは「メディアと個人」のコミュニケーションに注目したが、これは「行政と国民」「企業対個人」「個人対個人」といった置き換えが無数に考えられると同時に、そのまま適用できる教訓も含んでいると思う。グループワークでは、学校や会社での体験を共有してもらうことができたので、普段の生活で役立つ場面も多くあったと思う。あらゆる評判やイメージは誰かの意図があって当然であり、自身で冷静に論理的に見極めることが「安心・安全」を作る上で欠かせないと思う。私自身も何かWebシステムで実現できると良いなと考えている。

文責 Crossoverスタッフ
川合 淳一

 


チーム8 セロリ

ファシリテーター
二宮聖也(所属:Crossover/農林水産省)

メンバー構成
(ダイアログその1、ケーススタディ)
○職 業 国家公務員:2名、会社員:3名、学生2名(大学生1名、高校生1名)、その他1名
○年齢層 10代:1名、20代:3名、30代:3名、40代:1名

(ダイアログその2)
○職 業 国家公務員:1名、地方公務員:1名、会社員:4名、学生2名
○年齢層 10代:1名、20代:4名、30代:3名

主な議論
(ダイアログその1)
テーマ:「風評被害って何?」

・ 風評被害の加害者・被害者になった例とそのきっかけとして、人事異動の噂などの身近なことへの「興味・関心」、チェーンメールやデマなどに対する「不安感」、震災後の放射能汚染を懸念して水道水からペットボトル水に切り替えた「我が子を守り思う気持ち」などが挙げられた。
・ 自身が安全と感じるか、信頼・共感できるかなどの「主観」が共通項であった。必ずしも悪意はなく、無意識・癖、善意によることも多い。
・ 人の行動に変容をもたらしたり、ネガティブな噂が社会レベルの規模感に達したときに、ただの噂が風評と言う言葉に変わり始める。その引き金となり得る要素として、①情報アクセス・発信者との関係:情報不足や情報過多、情報の非対称、行政やメディア等の権威に対する信頼、
②情報の受信者(個人・組織):専門用語へのリテラシー、情報の受け取り方(共感できる一部の情報を意図的に切り取って解釈していないか)、情報を受け取り消化するプロセスにおける納得感、他の事象との比較可能性(前例)などが挙げられた。

(ケーススタディセッション)
・ 子どもの安全確保が学校にとっての優先順位であること、説明責任の回避からゼロリスク(絶対安全論)を尊重し慎重であるべきなど、「明日からの提供」に対しては反対意見が多かった。
・ 一方、今回の判断に子ども達が納得感と当事者意識を持つことが、子ども達の将来の価値判断に影響を与え、風評被害に「負けない」社会を作るために重要であることから、児童に解決に向けた問いかけを行い、総合学習における安全性調査などを通じて一緒に体験し、考えていくこと、モニタリングを通じて定期的に関係者とコミュニケーションを取ることで心の準備の時間を与えること、子ども達に選択肢(給食選択の自由)を与えることなど、前向きな意見が多く挙げられた。
・ しかし、実際に何をどこまで説明するかという議論になった時に、給食への野菜提供に対するスタンスを学校は取らないこと、不確実なことや期待・不安を仰ぐことは言わないなどの保身的な意見が多かった。
・ 他人事化した意見や保身の態度が現れた点で、現実ケースでも起こりえそうな結果となった。「利害関係者にどう伝えるか(HOW)」について、各参加者が最後に校長先生になりきって説明するという設定にしておけば、一言ずつ言葉を丁寧に選び、伝え方を工夫する議論ができたと思われる。

(ダイアログその2)
テーマ:「風評に負けない社会をつくるために私たちができること」

・ 安心へのキーワードは「信頼」であり、自身が信頼できる人脈やネットワークを築いておくことがリテラシーを高める一方、それにより思考停止に陥らずに、外に広がる景色を求めて日々実践していく心の持ち方の重要性を再認識することができた。
・ 世の中では物事が二項対立で議論されることが多いが、実は多様な視点が隠れていたり、本質的な目的・ゴールが同じでアプローチが異なるだけで対立していることもある。その場合、相手を批難する姿勢は相互のレッテル張りという戦いの油に火を注ぐことになる。「罪を憎んで人を憎まず」―ヒトと意見を切り離して批判的・建設的に対話することで、皆で風評に負けない社会を創りあげることができるのではないか。

ファシリテーターの感想
○ 風評被害が気の毒な他人事ではなく、身近な日々の生活のなかで意図せず起こりうること、そして風評被害に対してファクトや権力を振りかざして「勝とう」とするのではなく、各々が明日から実践できる行動によって風評被害に「負けない」社会を皆で作りあげることの重要性について、全体を通じて学ぶことができたと思われる。
○ ケーススタディは当事者意識・自分事化を促すことが難しく、現実のケースでも同じような状況になりうると感じた。「参加者一人一人が説明責任者となり、ステークホルダーに説明する」という点をロールプレイングのゴールにすることで、感情面も加味した自分事化に繋がると感じた。

文責 Crossoverスタッフ
二宮 聖也

 


チーム9 ブロッコリー

ファシリテーター
服部 真子(所属:Crossover、NHK World)

メンバー構成
(ダイアログその1、ケーススタディセッション)
○職 業 国家公務員:2名、会社員:2名、団体職員:1名、大学生:3名
○年齢層 20代:3名、30代:3名、40代:1名、50代以上:1名

(ダイアログその2)
○職 業 国家公務員:1名、会社員:6名、大学生:1名、高校生:1名、
○年齢層 10代:1名、20代:2名、30代:3名、40代:1名、50代:1名、60代:1名

主な議論
(ダイアログその1)
テーマ:「風評被害って何?」

○ 真偽が不確かな「うわさ」や「ニュース」をうっかりシェア、拡散してしまった経験等に議論された。詳細は以下の通り。
・ 震災報道に関わっていたからこそ、3.11の時は何が安全なのか全くわからなくなっていた。友人から送られてきた黒い雨が降るから危ないという情報を自分の大切な友達にも伝えた。
・ 阪神大震災の時に、朝鮮人が井戸に毒を盛ったという噂が流れて朝鮮人の方が攻撃されていたのをみた。これは定かではないが、状況が不安定な中政府が、仮想敵をつくるために流したデマではないかと考えている。
・ 仕事柄、事実とわからないことは発信しないようにしている。(意見を持たない言わない)
・ ラジオ番組で「口裂け女」が話題になり、多くの若者が信じて恐れていた。

○ 次に「風評」とは何か、その特徴について議論した。出された意見は以下の通り。
・ 風評が、噂やデマと違うのは、何か事件や事故などの事実が震源地としてあるということ。
・ 噂には、良い噂と悪い噂がある。風評は・・・?(答え出ず)
・ 風評に悪意はあるのか、ないのか?(答え出ず)
・ デマには悪意はありそうだ。

○ 最後に、どのような条件が揃うと、単なる「うわさ」ではなく、「風評」となって被害を及ぼすことになるか、について議論した。出された意見は以下のとおり。
・ 事件や事故の真相がわからず、また、解決策も見つからないまま事件や事故が未解決の期間が長引き、人々の間に不安が蔓延している時、一定の答えになりそうな現象が現れると盲目的に飛びついて判断しまうことで生まれるのが風評被害ではないか?
・ キーワードは見えない不安。

(ケーススタディセッション)
○ S県T市の野菜を今後も給食に使用し続けるかどうか、そしてその結論をどのように保護者、農家、児童に伝えるか、議論した。これに対し、使用し続けるかに対する回答として、最初は8人中4人は「検査結果が出るまではT市の野菜は使用中止」、話し合いの末、8人中6人が、使用中止となった。

1.T市の野菜を給食に利用するか否か
【議論前の中止派の意見】
・ 事実関係が確認できるまでは出せない

【議論前の継続派の意見】
・ 事実関係がわからないので、給食には出し続ける。(S県T市の農家というだけで、学校が直接契約している農家の野菜というわけではないから。)

【議題に挙がった懸案事項】
・ 優先順位の第一は子どもの命、健康である。
・ データが、①Nステ、②知事、③農家の証言と混在しているため判断できない。→第三者機関による再調査と、データの見比べが必要
・ 二人三脚で子どもの食育に関わってきてくれた農家の人との信頼関係をどう保つか
・ Nステの報道、知事の発言はそれぞれ、ある程度は責任感を持っているはずである。その時、誰の言葉を信じるのか?
・ 第三者ではなく、自分たちの目で耳で判断するためにはどうしたらいいのか?徹夜でダイオキシン検査を一つ一つの食材に対してやろう。(でも知識も技術もないから無理だ)
・ 昨日まで仲良くしていた人の評価を、全く関係のない第三者の発言でいとも簡単に変える姿を子どもに見せていいのか?人格形成に影響しないか?
・ また、一報道で右往左往していては、保護者も学校は今までよく調査もしないで、食育を農家と行っていたのか不安になるのではないか?
・ 安全のため。大義名分は揃ったが一番大事なのは伝え方、誠意の見せ方ではないか。
・ 一度やめる、ということは再開するには3倍の労力がかかる。

2.保護者、農家、児童にどう伝えるか。

事実としての結論:子どもの命の安全を第一に考え、安全性が100パーセント確保されるまでは、S県T市の野菜は使わない。第三者機関に調査を依頼すると共に、子どもと一緒に事実確認をする学習の時間をもつ。

(1)保護者
・ S県T市の野菜からダイオキシンが検出された問題について、学校としては、子どもの安全を第一に考え、「一旦」差し控えます。
・ 今まで、学校として取り組んできたS県T市の農家の野菜はキチンと安全が確保されていたし、食育推進の活動は、間違っていなかったと自負している。
・ 一報道で、差し止めなければいけないのは断腸の思いです。子どもにもみだりに農家や学校の悪口を言わないでほしい。
・ 情報の信憑性を確かめる教材としてこの事件を扱い子どもと一緒に真相解明につとめます。
・ 安全が確認できたら今まで通り、S県T市の農家との提携を再開します。

(2)農家
・ 差し止めをすることになり、本当に本当に申し訳なくおもっております。
・ 農家のことは信じているし、今まで協力してきてくださったことに感謝しています。子どもの安全を第一に考え抜いた結果、ダイオキシンという見えない物質に対し、データが混在しているなか、絶対に1ミリの不安もなく食べさせることができるのかと問われれば、難しいという判断になりました。
・ 農家の方と子どもの信頼関係も保ちたいので、これを機会と捉え、実際にダイオキシンが出ていないという調査を一緒にさせていただけないでしょうか。

(3)児童
・ みんな、S県の農家の方にはいつもお世話になっているよね?美味しい野菜を届けてもらってみんなの元気を支えてもらっているね。
・ みんなも、もしかしたらお母さんお父さんから聞いているかもしれないけど、「ダイオキシン」という物質が、工場のゴミ処理施設から排出されて、お野菜にくっついちゃったかもしれないんだ。この「かもしれない」というのがとても重要で、先生たちは、誰も「ダイオキシン」の専門家ではなかったから、本当についているのかついていないのか、今わからない状態です。いつもお世話になっている農家さんが悪いわけでは絶対ないのだけど、万が一これから大きくなるみんなの体に影響がでてはいけない。その可能性は限りなく0パーセントにしなくてはいけないから、本当に残念なんだけど、「絶対安全」と言えるまでS県の農家さんからのお野菜は学校給食では食べられないことになりました。
・ 見えない、わからない不安があった時に、どうやってその真相を確かめたらいいか、学校のみんなで調査しようと思うんだ。みんな協力してくれるかな?

(ダイアログその2)
テーマ:「風評に負けない社会をつくるために私たちができること」

○ 下村教授の模擬授業の後、風評に負けない社会をつくるために自分たちができることについて議論した。高校生から報道関係者、人生の先輩の視点等縦横無尽に活発に議論が展開された。主な内容は以下の通り。
・ 情報の受け取り方、発信の仕方にもっと慎重になろうと思った。
・ 自分が、水質調査を仕事でしているので、ちゃんとしたデータに基づかず発信する人の気持ちがわからなかった。しかし同時に、データを専門用語と一緒に使うのではなく、わかりやすく伝えることの重要性にも気がついた。
・ 仕事柄、事実を伝えることに徹底していたが、本来はそこにある人の気持ちに寄り添った伝え方が大事だと気がついた。

ファシリテーターの感想
○ 何が起こっているのかの事実をしっかり確認することと、その事実によって影響を受ける人の気持ちに寄り添った表現力を磨くことがとても大事だと感じました。
○ 議論を深めるために、スタッフミーティングを重ねてきたことが活きたのが嬉しかったです。同調圧力を打破するのは悪魔の弁護人の役目である。これからもその力を磨いていきたい。みんなで一緒に考えて作るそんな社会を実現したいと思いました。

文責 Crossoverスタッフ
服部真子(ちょり)

 


チーム10 大根

ファシリテーター
田中 里沙(所属:Crossoverスタッフ/総務省)、
丸山 剛(所属:Crossoverスタッフ/株式会社クリックネット)

メンバー構成
(ダイアログその1、ケーススタディセッション)
○職 業 国家公務員:2名、会社員:3名、大学関係者1名、大学生:1名、高校生:1名
○年齢層 10代:1名、20代:3名、30代:1名、40代:3名

(ダイアログその2)
○職 業 国家公務員:1名、地方公務員:1名、会社員:4名、大学関係者:1名、公認会計士:1名、大学生:1名

主な議論
(ダイアログその1)
テーマ:「風評被害って何?」

○   まず、アイスブレイキングとして自己紹介、今日ここに参加した問題意識、趣味等を全体で共有。
○ 次に、「風評」と「うわさ」との違いや、ただの「うわさ」が「風評」となって社会全体に広まる条件等について、ペアを組んで議論。「風評」と「うわさ」との違いは、いかに相手に分かりやすく伝えるかという点を重視し、″小学校5年生に伝えるにはどう説明する″という視点で議論。

【「風評」と「うわさ」との違い】
○ うわさ
「○○ちゃんと××君が付き合っているみたい」
事実は不明
個人の問題

○ 風評
「この小学校は万引きする生徒が多い→この小学校に入るのをやめよう→小学校が経営難」
事実は不明だが、何等か実害が生じているもの
社会の問題

など。

普段「風評」と「うわさ」の違いを意識していなかったという参加者の声もあり、より意識して自分ごととして捉えて考えることで、普段の景色の見え方が変わってくるという声もあった。

【「うわさ」が「風評」となって社会全体に広まる条件等】
○ 権威性
権威がありそうな人(NHKが言っている、朝日新聞が書いている、○○教授が言っているなど)の発言は、事実確認をせずにも真実と捉えがちで、マスにシェアをしてしまいがち。
○ 距離
距離が近い(身近に感じる話)ほど、第一報のニュースとして捉え、検証せずに受け止めがち。
など。

(ケーススタディセッション)
■野菜の使用継続についての意思決定
○ 冒頭各自の賛否を確認し、賛成派・反対派に分かれ理由(意見)を確認。その上で賛成派と反対派に分かれて意見を交換(議論)。議論の中では、賛成派の教師においては自分の子どもが学校に通っているというシチュエーション、反対派の教師においては親戚がこの野菜を出荷している農家というシチュエーションを追加してもなお意見が変わらないか、その理由は何かを掘り下げて議論。そして最後に多数決を実施。
○ 結果、T市産野菜の給食での提供を一時停止し、安全性の検証を行った上で再度判断する旨を決定。なお、議論を通じて2人が意見を変更したが、新たな気付きによる意見変更というよりは、学校として明日からの給食をどうするかという意思決定をする必要があるという条件下において、協力して問題を解決しようという意識の基、少数派が多数派に意見を合わせた形となった。

【野菜使用賛成派の主な意見(議論前2人→採決時0人)】
・ 県知事が安全と表明しているのは、最大限努力して確認を行った上で表明しているはずなので、野菜の使用を続けても問題がない。
・ 食育を実施している学校の教師という立場として、速報のニュースだけをもって使用を止めるという判断はできないのではないか。
・ 一方で、学校として何等かの安全性の確認は必要。
・ とはいえ、保護者や児童の中で不安に思う人がいるであろうから、葉物野菜を使った献立をチェックし、希望者はお弁当を認めることとするか。

【野菜使用反対派の主な意見(議論前5人→採決時7人)】
・ ダイオキシンが検知されたというニュースがあり、その原因や規模感が判明していない中では、給食の野菜が安全か判断できないので、使用は停止すべき。
・ 知事の検査の詳細も不明。
・ 安全だとしても安心できない。
・ 子どもが明日以降も野菜を食べて何かあってからでは遅い。
・ 改めて原因等の調査を行い、その結果が分かるまで(安全の確認が取れるまで)は停止すべきではないか。

■野菜の使用停止を関係者に伝える方法についての意思決定
○ 次に、上記意思決定の農家・保護者・児童への伝え方について、対象者ごとにグループを分けて議論。以下を提案。
→農家
・ 個別に説明に行く。
・ 学校としては安全だけでなく安心も大事と考えているので、保護者や児童が安心と感じられるまで、不安を取り除くために一旦停止をさせてほしいと説明する。
・ 安心の確認が取れたらまた再開する旨はちゃんと提示する。
→保護者
・ 保護者会を開く。現時点で行われている検査の状況を説明する。
・ 保護者が感じている不安、聞いている情報を聞く。
→児童
・ 全校集会を開き、分かりやすく書いたプリントを配布して説明する。
・ 別途、児童にとっては担任の先生が最も身近で指針を示す人なので、ホームルームで食育を意識した説明を行う。例えば青信号を渡る際に、車が来ていないか一回立ち止まって左右を確認して渡ると安心。不安を取り除くために一度立ち止まって確認をすることの重要性を伝える。
○ 議論の過程では、それぞれの立場を想って、どういう手段でどのように伝えることで一番納得が得られるかを重視していた。

(ダイアログその2)
テーマ:「風評に負けない社会をつくるために私たちができること」

○ ゲストスピーカーのお話しを受けた感想や疑問を手掛かりに、「風評に負けない社会」をつくるために、参加者一人一人が、個人として、組織や社会の一員として出来ることについて対話。主な意見は次の通り。
・ 「そ・う・か・な」を含めて、情報を受け止めるスタンスの見直しをしたいと思った。
・ 色々な見方、価値観が風評のベースとなっているが、幅広い情報をフラットな姿勢で受け留めるかが大切。
・ 情報発信の仕方に最新の注意を払うべきということを改めて実感。人の特性を変えることは難しいが、まずは自分と自身の周りから変化させていきたい。
など。

ファシリテーターの感想
○ 初めて「風評」及びその影響〈被害〉について正面から議論したが、参加者各自がもつイメージ・前提の知識・考え方によって、情報の受け止め方やその後の情報発信・行動が変わってくることを、自身含め参加者各自が実感したことは、今後の行動を変えていくことにつながると確信。
○ 1人1人が、4つの疑問「そ・う・か・な」を意識して情報を見る・取ることで、今回のテーマである「風評の被害に負けない社会をつくる」ことにつながると思うとともに、1次情報の取り方、自身での検証の方法については、改めて考察してみたいと実感。

文責 Crossoverスタッフ
田中 里沙